したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

765一世の夢と名も無き鳥 ◆e9TEVgec3U:2020/11/09(月) 01:30:25 ID:7dG6hTvE0


そしてお眼鏡に適う次の建物は、予想していた以上に早く見付かった。
さっきまで居た酒蔵から、通り一本分先にあった何の変哲も無い一軒家と思しきその建物。
暖簾が掛かっていないという事実から妖怪かそこらの住居である事は容易に想像出来るが、それにつけても見た目のボロさに拍車が掛かっていた。
あばら家とまでは言わないにしろ、その無骨な装いをした外観は寧ろ青娥のセンサーに得体の知れない何かがありそうと確信にまで至らせている。
呑み屋と食事処の間で居竦まる様に縮こまったその姿は可愛らしいものだが、そんな雰囲気に惑わされる青娥ではない。
木を隠すなら森の中、一見だけでは価値が分からないけど実は高価な物は安価なガラクタの中に混じっていると相場は決まっているのだ。
考えただけでも胸が躍ろう。重火器近接武器嗜好品なんでもござれである。


「ん〜〜〜〜ん?」


いざ『オアシス』のスーツを起動しようとして建物に近付いて、そこでふと感じてしまった違和感。
扉に鍵が掛かっていない無防備さどころか、扉がやや半開きになって壁と間隙を生み出しているのが見て取れる。
人が現在進行形で中に居るのか、それとももう家探しを終えてもぬけの殻なのかまでは分からないにしろ、少なくとも誰かが存在していた形跡は今目の前にあるのだ。
眉を顰めてみるものの、こういう時に限って光学迷彩スーツのバッテリーは再充電の真っ只中。こればっかりはどうしようもない。
しかし姿を隠せないからというだけで、中に何があるのかをその目で確かめずにむざむざ手ぶらで帰るだなんてそうは問屋が卸さない。


逡巡している時間なんて物は必要無かった。
ええいままよ、と言わんばかりにスライド式の扉に手を掛ける間も無くドアに突っ込む――そのの勢いで、『オアシス』のスーツを使って扉を透過。
体が触れた部分から扉は液状化していき、体が離れた部分から次第に元に戻っていくのは、扉を液面に見立てた飛び込み競技かの様。
それにこの動作と侵入が一体となった手法は、青娥には簪を使っている時と同じくらいに気分が良かった。
そもそも疚しい事なんてこれっぽっちもしていないのに何を恐れる必要があるのだろうかと思ってしまえば、行動に移るのは簡単だったのだから。



そしてやっぱりと言うべきか、部屋の隅に先客は居た。

一部屋で構成された屋内の一番奥手の柱にもたれかかって、片膝立ててスヤスヤと眠る一人の少女。
ボロさの残る室内と同じくその体には軽い傷の跡が見え隠れしているが、その艶と輝く黒髪はそれらと比べると場違いな雰囲気さえ放っているかのよう。
普段の青娥であれば芝居掛かった雰囲気であらあらあらあら、とニンマリ笑うところであったが、そうは至れない神妙さがそこにはある。

外見さえ見てくれは服が違うとは言え縁起に聞こゆ藤原妹紅のその姿なのに、挿絵の白髪とはうってかわって目の前のその髪は黒色。
直接会った事は無けれども、その白と黒という正反対の色への変貌は流石に見紛う事は出来ないのだ。
髪の艶やかなのは別に構わない。これでもヘッドセットには気を遣う邪仙なのだから、適当にトリートメントの材料を聞き出せば良いだけのこと。
しかしその黒色、見れば見る程に漆黒を湛えてどこまでも深くて異質で禍々しく。
逆に何をもってすればその様な変化をその身にありありと表現しようか。
ここまでの変容が起こったその経緯とは如何程な物か皆目検討も付かない。

だが、青娥をその黒髪以上に惹き付けるモノがあるのもまた確かで。


「あらあらあらあらあらあら〜〜〜〜〜〜!!」


失敬とでも言わんがばかりの満面の笑み。口からその歓喜を余す所無く高らかに優雅に溢れさせていく。
口角も目尻も、ヒトのそれとは思えぬ程にその感情を満遍なく表現していた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板