[
板情報
|
R18ランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
ジョジョ×東方ロワイアル 第八部
751
:
ビターにはなりきれない
:2020/11/04(水) 18:20:25 ID:UVCbRvCA0
「──────ッ!?」
普段のドッピオの身体能力では決して避けきれない攻撃が、背後から音もなく飛んできた。
一直線の糸──『釣り針』だった。射線上に棒立ちのままであれば、間違いなく直撃していた。
身体を飛び込ませるようにして、これを大袈裟に避ける。一見して殺傷力の低そうなこの投擲を、ドッピオは一瞥する事もなく逆向きの姿勢で回避を選んだ。
この行動が正解だったと、直後に悟る。あらぬ方向に飛んだ釣り針の先端は、前方の木の幹に深々と突き刺さり──否。水面に潜るようにして、針が幹の中へ潜行していた。明らかにスタンドだ。
「驚いた。アンタ、背中に目でも付いてるのかい?」
「てめぇ……っ!」
地面に這い蹲ったまま、ドッピオは自分が歩いてきた方向へ振り返った。
「また会ったね。ドッピオ君」
地面を踏み抜くような酷く重々しい威圧感。その一歩一歩が、まるで人の形をとった岩石の如き重量を伴っているようだった。
初めに邂逅した時よりも彼女のそれは、明白な違いが見て取れた。
───殺気である。
「〝君〟はやめろと言った筈だよなァ……!」
立ち上がり、構えるドッピオの瞳には焦燥と怒り、そして覚悟が混ざり合っていた。これから命のやり取りを行使する者特有の目だ。
現れた神奈子の腕には『釣竿』が構えられている。あれが奴のスタンドなのだろう。初撃の不意打ちを避けられたのは100%予知のお陰であり、心構えさえあれば追撃の回避も難しくないと推測する。
だが、彼女の最も厄介な武装は他にあった。
アレを全て回避する術が、現時点で見付からない。
こうして向き合ってしまった瞬間から、詰みだった。
「フザけんなッ! いきなり裏切るつもりかてめぇ!」
「八つ当たり、と言われたらそうかもしれない。妬み、やっかみ、羨望……どっちにしろ、ロクでもない理由なのは確かさ。協定を違えたことだけは、謝っとくよ」
理不尽な怒りを込めた猛りは、柳のように受け流す神奈子の全身を呆気なく通り過ぎる。
心変わりしたのか、初めからこうするつもりでドッピオへ接触してきたのか。ともかく掌を返すような彼女の行動は、かつてないほどドッピオの命を脅かしている。
「アンタは私が成れなかった、理想のままの姿を体現している。その歳でよくやるよ。嘘偽りなく、私はアンタを尊敬しよう」
神奈子が釣竿を手放した。しかしそれは正確ではなく、ただスタンドを解除したに過ぎない。
両手を使用可能としたのだ。彼女に配られた『第二の矛』の威力と散弾範囲は、先のちっぽけな釣り針とは桁が違う。
その穂先が今、ドッピオの胸を捉えていた。幾ら未来が視えても、防御の手段も無い状態であの掃射を回避するというには、この場所はあまりに開けすぎている。
「お、おい待て……!」
武器であるアメリカンクラッカーを手に取り、すかさず構えるドッピオ。その視線の先には、数十秒後に訪れるであろう予知の光景がぼんやり浮かび始める。
エピタフの予知は絶対だ。
訪れる未来が希望に満ちた光景であれば、心晴れやかに足を踏み出すことが出来る。
訪れる未来が絶望に染まる光景であれば───彼は、絶望を希望に変える為に足掻こうとする。
ドッピオという少年は、それが出来る人間だった。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板