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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

705貴方にこの血が流れずとも:2020/09/29(火) 00:15:46 ID:mdXdZ3W20
「ごめんなさい、リサリサ」

震える身体で声までは震わせぬように。
良く通る声でそう口にした後、亡骸に頭を下げて謝った。
少女の傾いた頭の先にリサリサと呼ばれた遺体が血だまりで横たわっていた。
リサリサの名の通り、遺体は女性のものだった。脚線美と呼ぶに相応しいスラッと伸びた脚は、彼女が美しさに磨きをかけた女性であることを教えてくれる。
そして、本来ならばそのボディラインに見合ったクールなマスクをしていた。
今はもう、見る影もない。
その血だまりの全てが、彼女の頭部から流れ出ている。
ただひたすら徹底的に、鈍器のようなモノで打ち付けに打ち付けられている。
命と共にリサリサの美貌も奪う悪辣非道な所業であった。

「仇は取るよ。必ず」

そう言ってあげたかった。
ただ、その仇の事を考えた途端、言葉が出て来なかった。
決して敵の存在に臆したワケではない。しかし今は、敵と呼ばざるを得なくなった味方がいる。その存在が言葉を遮る。

「神奈子……」

八坂神奈子。
風雨の神であり山の神でもあり、闘えば天下無双の大和の神。そして折を見てはその神性を柔軟に変えてしまう大らかな気風。
敵に始まり、利用される間柄になり、いつしか友になり、きっと家族だった仲。
そして今、彼女は忌むべき敵である。

「私はどうしたら良いんだろうね」

尋ねても誰も答えてはくれない。仮に目の前に神奈子がいても答えてはくれない。それでも口に出さずにはいられない。

「同じモノを私たちは見てるって、私はそう思ってたけどなぁ」

ここにいる少女もまた八坂神奈子と同じく神の一柱。
生誕から軍事果ては耕作まで司り、背けば祟りに祟られる恐怖の象徴。命の始まりから終わりまで、その信仰を決して絶やすことはできない。
かつての栄あるその肩書きも、今は似つかわしい、弱い少女。
その神の名前を―――洩矢諏訪子と言った。


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