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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

693Яessentimənt:2020/08/14(金) 19:44:57 ID:nr6s2DUA0


「……同じじゃ、ないわよ」


 霊夢のトーンが一層と落ちた。
 普段の強気な彼女とは似ても似つかぬ、幼子のような声色だった。


「アンタには、まだ次の『機会』がある。でも私には…………ジョジョは、もう」


 これも一種の地雷だろうか。
 魔理沙にとっての霊夢とは、腕を伸ばせば届く範囲に居る友達だ。何度でも挑戦して、何度でも負け惜しみを言えばいい。
 だが霊夢にとって空条承太郎は、もはや二度とは届かぬ雲の上の存在となってしまっている。
 軽々とジョジョの名を出すのは、霊夢を傷付けるだけではないのか。


「……それでも私は、お前に追い付きたかったんだ。あわよくば、お前にとっての〝ジョジョ〟になりたかった」


 拒絶される事を恐れず、魔理沙は本心を吐いてみせた。
 いつの間にか自分まで、会ったこともない空条承太郎に強く焦がれるような羨望を滲ませていたらしい。
 霊夢にとっての〝ジョジョ〟こそが、かつて魔理沙が求めた空想の居場所だったのだから。


「でも、今のお前を見てやっぱり違うって思ったよ。お前が私の後ろ姿を眺めるのは、やっぱり違う。
 高望みはしないぜ。私は、お前の隣がいい」
「……当たり前、よ。アンタは、ジョジョじゃない」
「そうだな。承太郎は承太郎で、魔理沙は魔理沙だぜ。私には私の、理想の居場所がある」


 互いに背中合わせ。
 どちらが後ろで、どちらが前もない。
 そして、隣同士でもなかった。

 魔理沙にはまだ、霊夢の隣に立つ資格は無い。
 それでも。
 今はこんなにも、霊夢を近くに感じている。


「少しはお前のこと、理解できたかねぇ」


 背中に感じる友人の体温は、暖かみと呼ぶにはやや冷たい。
 霊夢にはまだ、払拭し切れない〝汚点〟があるのだから。


「……〝まだ〟よ。まだまだ。アンタは私のことを全然理解出来てないし、理解する必要なんて無い」


 霊夢は、空を翔べなくなっていた。
 とある重力に負けて、突如として地に堕ちた。


「……そりゃあ〝咲夜〟の事を、言ってるのか」
「魔理沙。アンタは私を、理解する必要無いのよ」


 背中に感じていた重みが、唐突に消えた。
 床板の軋む音。霊夢は立ち上がり、何処かへと行くようだ。


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