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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

686Яessentimənt:2020/08/14(金) 19:36:44 ID:nr6s2DUA0


「今日こそ私の持論を証明してやるよ」


 揚々と懐から『それ』を取り出した魔理沙のその腕が震えているのは、緊張や負傷のせいだけではないだろう。


「弾幕ってのは、やっぱ──────」


 いつもの弾幕ごっこであり。
 いつもの弾幕ごっこではない。
 取り出されるミニ八卦炉に込められた魔力の膨大さは、いつもの〝遊び〟の比では無かった。


「パワーーーーーーだぜェェえええ!!!!」


 少女の最も得意とするこのスペルに、躊躇の様子が微塵も感じられないのは。
 外部から促された殺意や狂気……その増幅が、本来のスペルカード・ルールに引かれた予防線を容易く割らせたからであった。

「……! いきなり大技じゃない。相変わらずスマートに欠けるわね」

 先手を許した霊夢の目前一杯に広がるは、飽きるほど見てきた友人の代名詞マスタースパークの光条だ。この規模の弾幕を見るのは、この土地だと『二度目』だろうか。

 一度目は、そう───。

(ジョジョの奴に、撃たれたんだっけ……)

 少女にとっては苦い敗北の記憶。アヌビス神を携え斬り掛かる博麗霊夢へと、あの容赦ない男は支給されたミニ八卦炉でもって擬似マスタースパークを放ってきたのだ。
 その折は『夢想天生』で(霊夢だけは)事なきを得たが、今回の『本家マスタースパーク』は流石に威力が目に見えて違った。
 いや、承太郎の放ったソレも本家との見劣りは無かったように霊夢には思えた。だが〝今回〟はどうも勝手が違ったらしい。

「死っねぇぇえええーーーーーー霊夢ゥゥううううーーーーーーーーーッ!!!!」
「ちっ……! あの馬鹿、完全に殺す気ね!」

 見慣れた筈の青白い極太光線。コレに対し霊夢が二の足を踏んだ理由は、見慣れていたが故である。
 完全に範囲と間合いを掌握していたと思い込んでいた巨大ビームは、いつもより一回り〝デカかった〟。想定とズレた超レンジから察せられる魔理沙の意図など、殺傷目的以外には無い。

 スペルカード・ルールとはそもそも、基本的に意図的な殺傷は禁止されている。弾幕の威力や量を調整し、可能な限りは〝ごっこ遊び〟の範囲に収めるのが目的である。
 主に力の強い大妖や神クラスに重く強いられるルールであり、その恩恵を受けるのは弱き側……すなわち人間である魔理沙のような者達だった。
 とはいえ、である。霧雨魔理沙の弾幕は火力に比重を置いている為、こと『殺傷力』という点では〝ルール〟 に触れない程度の調整は普段から成されていた。
 今回は、それに気を遣う必要など無かった。弾幕ごっこという名目ではあったが、殺生禁止ルールなどあってないようなものだ。加えて、サバイバーの性質が弾幕の威力向上に一役買っている。

 ブレーキを取っ払われた暴走トラックを前にして、霊夢は一の手である正面回避の択を直ちに棄てた。
 マトモに避けようとしたのではギリギリ被弾する。その崖際を狙って魔理沙はミニ八卦炉に魔力という名の薪を焚べ、範囲を広げたのだ。
 表択を棄てた霊夢は、即座に裏択───二の手を選び切った。空も飛べやしない現状では、いつもは空にて舞う弾幕ごっこも、地上での純粋な身体能力に依存せねばならない。

 その命綱である身体能力を、ここは敢えて棄てる。
 霊夢の二の手は『亜空穴』。空間の結界に忍び込み、零時間移動を可能にする技……いわゆるワープだ。果樹園にそびえ立つ木々をまとめて焼き尽くしていくマスタースパークの照準から姿を消し、彼女は容易に魔理沙の頭上を取った。
 魔理沙は元々勇み足の者だ。それが弾幕ごっこにしろ日常の中にしろ、我先にと一等を目指す真っ直ぐな性格は、美点ではあったが闘いの中では減点である。
 敢えて先攻を取らせてやったに過ぎない。マイペースな性格の霊夢という事でもあるが、両者のスタイルの差は〝後の先を取る〟という形で、霊夢が第一ターンを制した。


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