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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

663星屑になる貴方を抱きしめて:2020/08/06(木) 17:23:49 ID:n3Q3fHho0

「戦闘、逃走の意思……無しと捉える。悪く思うなよ」

 圧力を込めたワムウの右腕に吸い寄せられるように、室内中の大気と線香の煙が集中した。柱と空気の軋む音が、これから生み出される破壊の暴力性を物語っている。
 小娘ひとりに放つ威力としては充分以上。確実に一発で沈めるには腕一本で事足りる。


 女は、この期に及んでこちらを一瞥もしない。


 殺気を込めた腕とは裏腹に、ワムウの表情からは一気に脱力感が溢れた。僅か程度には〝期待〟していたが、女が自失から復活する事はとうとう無かったからだ。


 自らの性(さが)である、闘争本能。
 それが発汗と同時に終息したワケは。
 事が無事〝成された〟からではない。
 まるで予想外の光景があったからだ。




 ボーーーーーーーーーン……




 壁掛け時計の長針が、真下を知らせた。

 『時』が動き出したのである。








「…………………………………………?」




 何が起こったのか。
 止まったかと思われた少女の『時』が、動いていた。
 ワムウはこの光景をそう比喩するが。
 それが比喩でも何でもない事を知るのは、少女のみであった。


「キサマ…………今、何をした?」
「………………………………………。」


 メイドがいつの間にか───そう、本当に『いつの間にか』……動いていた。

 蹲っていただけの女は、風を切断する程のワムウの攻撃地点からいつの間にか消失し、瞬時にして5m程の間合いを取って立ち竦んでいた。
 置き土産と言わんばかりに、振り抜いたワムウの腕には銀色のナイフが一本、直角に突き刺さっていた。
 歴戦の猛者として腕を慣らすワムウの死線を掻い潜った上でやってのけた、唯ならぬ精巧な技芸。

 今までの女の状態とは一線を画す、目を見張る『別人』。
 噴き上がる警戒心を身に纏いながら、腕に立てられたナイフを抜き捨てる。
 ワムウは終息したはずの闘争心を再び滾らせ始め、女に対する認識の甘さを瞬時に切り替えた。


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