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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

639紅の土竜:2020/07/31(金) 17:29:52 ID:LM0DDSIo0
『サンタナ』
【夕方】C-3 紅魔館 地下大図書館


 蝿が目障りだったので、払い除けた。

 目の前の女を出し抜けに吹き飛ばした行動の真意など、サンタナからすればほんのその程度の反射に収まる。
 実際には、蝿は飛んですらいない。血溜めの桶でも頭から被ったかの様な色合いの衣服を纏ったその少女は、自分に対して困惑や動揺の様子こそ見せてはいたものの、敵意は無く、サンタナがこれに先制攻撃を入れる意味など全くなかった。
 それでも試す必要はあった。サンタナには、DIOから語られた『君と会わせたい人物』とやらが、本当に会う価値のある人材なのかを見定める必要があったのだ。
 偏に『見定める』と言っても、品物の値打ちを判ずる考査には諸々の嗜好が出る。サンタナがまず採った選択が、『暴力』による小手調べだったというだけの話。彼という人種を考えれば、当然の手段である。


「…………? どういう事だ、これは」


 考査結果のみを見て、サンタナの頭には疑問符が押し寄せる。
 ただ、払っただけ。
 超生物たる男からしてみれば腕をほんのひと薙ぎの、何という事も無い行為である。本当に殺すつもりの威力など、少なくとも今の一撃には込めていない。

 しかし、その少女───秋静葉にとって、柱の男とのフィジカル差はあまりに瞭然。サンタナがDIO戦にて大きく疲弊している状態を差し引いても、このあまりに埒外な先攻を食らったのでは、堪らず紙切れのように吹き飛ばされる醜態を見せたのは致し方ないと言えた。


 何だ、この虫けらは。
 この、脆弱な生物は。
 これがDIOのぬかした、オレと『縁』がある女?


 ───本当に、舐められたもんだ。


「どうやら時間を無駄にしたらしい。……不愉快、だ」

 元々、どうしようもなく腹立たしげに感じてはいた。
 DIOに立ち向かったはいいが、事実上の敗北を喫し。
 むざむざ撤退する訳にもいかず、あろう事か奴の口から仲間へと誘われ。
 刻むべき道を『二択』に迫られた結果として、奴から宛てがわれた女の正体が〝これ〟では。

「う……ぅ、あ……っ」

 反吐を吐き、地べたに四つん這いの格好を取る女を見下ろすサンタナは、また嫌悪し、蔑んだ。
 いよいよ我慢ならなかった。DIOは何を以て、オレと〝これ〟の縁がどうだのという話を持ち掛けたのだ?

「……女。お前は、何だ?」
「かっ……は、ァ……ッ!?」

 体重の数値は三桁を優に超すサンタナ。その大木のように太ましい脚が、悶え蹲う静葉の背へと、遠慮の欠片もなく真っ直ぐ落とされた。

 DIOは先程、別れ際にこう言い残している。

『───好きにすればいい。気に入らないようなら喰っていいし、力は全く以て脆弱な少女だ』

 奴なりの冗句か何かだと、その場は流したものだったが。どうやら言葉の通りとなりそうだ。それぐらいに、サンタナにとっての秋静葉という存在の第一印象は、言葉を交わすまでもなく最低ラインから始まった。
 このまま杭打ちした足の先から『喰って』も問題は無かろうが、言葉を交わす事でこの『交流』が意味を形成する。そんな邂逅に成り得る可能性も否定出来ない。初めこそ暴力での会話を試みたものだが、それだけでは〝人の底〟を測れやしない。少なくとも、今のサンタナにはそういった意義ある体験が、回数こそ少ないものの経験として活きている。

 甲羅を経る。
 良く言えば、そういう目的を兼ねた腹案──下心のような気持ちで、サンタナは自らより下に見ている少女へと、漠然ながらも尋ねたのだった。
 「お前はオレにとって、有益をもたらす存在なのか?」と、値踏みするかの様に。全ては、己の糧に通ずるか?という思惑の上であった。
 命を握られた側の少女にとってみれば、ここで答えを誤るわけにはいかない。突然にして陥った窮地であると同時に、重大な質問だった。


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