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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

632Run,Araki,Run! ◆e9TEVgec3U:2020/07/28(火) 01:23:48 ID:xCgiZT7s0

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【午後】D-3 旧地獄街道




光の対義語は、と聞かれたら闇と答えるのが通例だろう。例えそれが作麼生と説破の様な場でも変わらないはずだ。
神がそう宣えば追聯したその二つの概念が生まれ、そこに交えぬ境界線が発生する。
そして互いが互いを嫌悪し合って元の黙阿弥に戻れなくなる。
世間の常識がそれを身に着けていない者を迫害する様に。
世間体を維持出来ない者がそこを離れざるを得ない様に。
異常者が健常者の様に振舞うのを忌避する様に。

この一面に広がる建物群の空間もその境界線の一つ。
幻想郷にて越えてはならぬラインを跨ぎかねない者達の収容房にして楽園。
旧地獄という、幻想郷に馴染めない妖怪にとっての不可侵の砦。


「何よあのオッサン、凶悪なツラして逃げやがって……しかもドコよここ」


太田に位置座標を飛ばされた藤原妹紅も、そのど真ん中に居た。


彼女もまた闇であり、異常の側の存在。本来であれば厭われるべき忌まれる者の側。
しかし不思議なもので、異常というのはあくまで観測者の倫理観に全てを委ねられる尺度の一つ。
彼女自身にとっては自分自身こそが唯一無二の正常性を担保出来る存在で、他の全てが異常なのだ。
暗闇に目が慣れて、その内光が何かを忘れてしまったら、もう二度と戻れない深淵の世界。
彼女の瞳に映る光は、一周回って闇になってしまった。
眼前に現れた主催者の顔ももう覚えていない。
あるのは醜い生への渇望だけ。


誰も自分に害しそうな敵が周囲に居ない事を確認してから、妹紅はその大通りを注意深く歩き始めた。
建物の雰囲気は、普通にどこにでもありそうな木造家屋ばかり。時折家っぽくない建物もあるが、基本的には住宅地。
しかしこの空間の天井は不気味で、天蓋は高く衝いた厚い岩盤に覆われ、隙間一つ無く太陽光の一筋すら届かない。
にも関わらず家々の軒先に吊るされた赤提灯の一個一個が周囲を照らしており、黄昏時の様な明るさを常に演出している。
しかし本来あるべき妖達の姿はどこにも無く、従ってそれらの纏う酒乱のアルコール臭ささえも漂っていない。
あるのはお祭り気分に取り残された建物の数々と、藤原妹紅の一人だけ。
孤独な旅路に輩は必要ない。


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