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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

631Run,Araki,Run! ◆e9TEVgec3U:2020/07/28(火) 01:21:26 ID:xCgiZT7s0



荒木の持つグラスにとぽとぽ、とワインが注がれていく。
濁りを排した丁寧な色が無色透明なガラスの器に注がれ染まり、清く澄みわたる空の様に広がる。
ふむ、とグラスを静かに回すと中のワインもつられてゆっくりとその回転に追随していった。
ワインについて聞き齧った知識だけでも、重ね重ね良質なものだと分かっていく様には感嘆さえ覚えようか。
だが早く一口含みたい気持ちはそっと堪える必要がある。まだ空のグラスがもう一つあるのに、先に飲んでしまうのは失礼だ。
荒木は一旦グラスを雪の上に置いて、ワインの注ぎ手と受け手を交代した。


「あのシーンのジョニィとジャイロは聖なる遺体を全て失った後でしたが……
 そういえば僕らは何も失ってませんでしたね」


「このゲームだとそりゃあ失う物も差し出す物も中々無いからね」


「ンフフ、それもそうです」


雪の中に乾いた音が一つ、丁重に響いた。
それはさほど大きくもなく、会場のどの参加者の耳に入る事も無く。
男二人の乾杯の音頭は人知れず幕を開けたに過ぎない。



「それじゃあ、『ネットにひっかかってはじかれたボールに』乾杯しようか」


「ええ」



クイッ、とグラスが傾けられて中のワインが下へ下へ。
喉を軽く鳴らし、その爽やかのようで重い味わいに舌鼓を打つ。


他の参加者が近くを通り過ぎるかもしれない、という懸念材料も今だけはどうでもよく。
先程の確執も恥も一旦脇道に逸らして。

ただ、持って来たワインに感銘を寄せていた。


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