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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

627Run,Araki,Run! ◆e9TEVgec3U:2020/07/28(火) 01:16:56 ID:xCgiZT7s0
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暴風雨の様に驚異が去ってまだ幾秒しか経っていないのに、体感では分単位で時が進んでいるように思える。
肩で息をしなければならない程に、遅れて吹き出した緊張の糸の縺れという名の楔は深く打ち込まれていた。
突然の転移という目の前に発生した僥倖の原因はいざ知らず、まだ根本的な問題の解決には一切至ってはいないのだ。
藤原妹紅という壊れた参加者が居なくなったからとて他の問題点となる太田君の存在や他の参加者の動向も安全な訳ではない。
どこに逃げれば安全か、確証のある行動は出来ない。―――少なくとも、会場内では。
主催者はパネルから参加者の位置を確認出来るが、それが主催者の位置もパネルに表示されない保証とはならない。
少なくとも大一番を決めるために入念な仕掛けをしているであろう太田君なのだから、そんなミスが無いはずがない。
地下空間のマッピングもされているのだから、そちらに逃げて座標だけ誤魔化すのも不可能である。

だが焦る思考に早く解を出せと責め立てる傍ら、視界にノイズが走った事実もしっかりと視神経から脳に行き届いていた。


瞬間、空間の一部が歪んで何かを形作ってそれは人型で見覚えのある帽子を被っていて―――




「荒木先生、大丈夫ですか!!」


その声と同時に思考が全て停止し、髪も全神経までもが震え上がる程の悶え。
背筋が凍った。それ以上に最適な表現はこの世に存在しないと言っても過言ではない。
運動後にかく気持ちの良い汗ではなく、雪やこの森自体の湿気に後押しされた、ゾッとするような気持ち悪さ。
振り返るまでもない。眼前に彼が居る。何も無かったはずの空間に突然転移して現れたのをこの目がはっきり捉えてしまっている。
一難去ってまた一難とも言うべきか。しかも先程の藤原妹紅以上の災難否、災害。
肌色を見せているのは腕と顔だけで、一糸纏わぬ裸体は存在しない。着衣の乱れや着崩しも見受けられない。
それにあの張り付けたような笑みを浮かべていない、ただただ心配している様に思えるその顔。
その数点に安堵して、それよりも大きな問題がある事に身が竦む。


「お、太田君!!??どど、どうしてこここに!!それにふ、服……!!??」


太田が目の前に居る現実が到底受け入れられずに、吐き出した言葉はギリギリで体を為しているだけのしどろもどろ。
体が驚愕したままわななき、足を滑らせてそのまま尻餅を付く醜態まで晒してしまう。
後方には焼け焦げた木の痕。立っていれば飛び越えられるだけの障害物も、今となれば追い詰めるのに都合の良い袋小路。
精神的にも肉体的にも逃げ場の無い、袋の鼠を追い詰める為の単純な行き止まりの完成である。

雪に足を掬われたのだ。立ち上がるまでのコンマ数秒。この状況で目の前の狂人が事を起こす可能性は否定できない。
いや、近くにレストランがあって参加者が来るかもしれない状態でそんな危険な事をするだろうか?
首を縦に振るのはこんな危機的状況では無理だ。


この男には、やると言ったらやる………『スゴ味』があるッ!


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