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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

624Run,Araki,Run! ◆e9TEVgec3U:2020/07/28(火) 01:12:21 ID:xCgiZT7s0


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【午後】C-4 魔法の森 南東部




心身共に疲弊した荒木の前に参加者が現れてしまったという事実。
少女の声。人の集まる場所の近く。太田君の顔。色々な要素が脳裏で鬩ぎ合っては弾け飛ぶ。
危険信号の点滅音はけたたましく耳の奥を揺らして離さず、この事態の緊急性を嫌程かというレベルで訴えていた。
いつもの調子なら接近してくる誰かの存在に気付くのは簡単だろうが、それすらも出来ない程に切羽詰まっていたのだから無理はない。
余程の訓練を積んでいたとしても極限状態に置かれた者が普段通りに振る舞える保証などどこにも無いのだから。

参加者に気付かれたというこの事態この状況は、それ程までに緊張を加速させるに値する。
彼の首の皮一枚で繋がっていた精神性の最後の牙城をいとも容易く壊してしまえる物を秘めていたこの接近劇。
思い付く防衛策は一つしか無かった。



「逃げるんだよォォォ─────ッ!!!!!」


自身の能力を使おうとは全く考えていない、イイ年した男の全力ダッシュ。
鍛え上げられた筋肉と、それを活かせる彼のトレーニング生活はこういう時に功を奏すのだ。

こと逃亡という観念に対して、年甲斐といったプライドは関係無い。
命あっての物種であるし、相手を振り切って追跡を断念させれば事実上の勝利と言っても過言では無い。
逃げるが勝ちというのも走為上という兵法三十六計に記された由緒ある戦法に由来している。
戦って玉砕する心配は皆無でも、相手の姿も確認せずに逃亡に走らせる程の余裕の無さが今の荒木には存在していた。

これからどうするかという展望は存在しないのに。
逃げれば事態が解決する訳でもないというのは嫌でも分かっている。
それでもまずは目の前の参加者から一刻も早く身を隠す事が先決だという考えを脳が思い付く前に実践していた。
姿は見られているだろうけれども、相手が一人の様子ならどうにかこうにかなるに違いないという淡い期待もある。
立場上は主催者なのだから毅然として振る舞うのが最適解だったかもしれないが、そんな心の余裕が無い事はとうに分かりきっている。


だが、結局は幸か不幸かという問題なのだ。
追跡者が逃がしてくれるかどうかはその時になってみないと分からないもので。



荒木の走っていたすぐ後ろの木が何の前触れも無く爆ぜたのはそれから数秒も経っていない事だった。


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