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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

612雪華に犇めくバーリトゥード ◆qSXL3X4ics:2020/07/21(火) 15:34:56 ID:Cv8akD0g0

「兎に角! 今はあのジョナサンをとっ捕まえるよ! サトリ妖怪、次どっち!」
「あ、ハイ。彼の足跡はそのままで……」

 理不尽な苛立ちをぶつけられるのは、さとりも同じである。
 消失したジョナサンを追うのに、この白銀の環境は不幸中の幸いと言うべきか。あの身長195cmの体躯から生み出される雪上の足跡は、うっかり雪山で目撃すればビッグフットか何かだと勘違いすること請け合いである。
 追う側である我々にとっては都合が良い。四苦八苦しながらハンドルを操るてゐを横目に、さとりは膨れたお腹を無意識にさすった。

(私やこころさんがあの能力の影響から逃れたのは……何か、意味があるのかしら)

 万物の起こりには必ず意味が存在する。
 家族を喪ったばかりのさとりにとって、今や自分の保身だけでも精一杯というのが現状であり、正直言って「あの巫女達を救わなければ」という気持ちはそれ程大きくない。

 だが、ジョナサン・ジョースターは例外だ。
 彼には大きな借りがあり、知らず命を救われていたさとりは、まだ彼に対し感謝の言葉も掛けられていない。
 錆に塗れ、血に濡れたこの世界において『優しさ』を忘れることは即ち、敵を増やすことに他ならない。旧地獄に逃げ、地底の溜まり場で最低限の処世術を学んださとりは、それを体験している。
 見返りを期待してでもいい。『敵』を増やすよりは『味方』を増やす事の方が遥かに建設的で、自分が傷付かない方法なのだから。

(何より……白蓮さんと約束しましたから)

 聖白蓮は決死の覚悟で紅魔館に向かった。
 ジョナサンのDISCを取り返し、傷だらけで帰還を遂げた其の場所に肝心のジョナサン本人が居なかったとあれば、留守を任された自分らは何をやっていたんだという話になる。
 無論、あの慈悲深い尼はそんな事でさとりを批難したりはしないだろう。どころか自責に苦しむさとりを至極丁寧に慰め、負傷体のまま即座にジョナサン捜索へ飛び出すくらいはやるかもしれない。

 それが、さとりには堪らなく嫌で。
 因幡てゐに協力する、自分なりの理由だった。


 前方に竹林が見えてきた。
 足跡は、林内に伸びている。このまま何事もなく事を成し遂げるという期待は、果たして楽観的であろうか。

 言い知れぬ不安が、さとりの胸中を過っていった。

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