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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

605雪華に犇めくバーリトゥード ◆qSXL3X4ics:2020/07/21(火) 15:28:40 ID:Cv8akD0g0

「やめなさい魔理沙っ!! どうしたってのよ突然!?」
「ジョジョ!? な、なになに急にどうしたのよ皆して!」

 リングの観客席と化したバギーカーの車中から身を乗り出すのは、霊夢とてゐの二名。彼女らはやにわに争い始めた仲間達の姿を、我が目を疑いながら傍観する。するしか出来ない。
 ただの敵だとか邪魔者であれば、てゐはともかく霊夢の場合、怪我の上でも直ちに袖を捲りながらとっちめるくらいはやる。
 今、目の前で行われている異変は、そういったいざこざとは訳が違った。いつもの様に、懲らしめてハイお仕舞いではないのだ。
 博麗の巫女の頭の中にあるマニュアルには、こんな訳の分からない暴動を丸く収める術など項目に無い。ましてや旧来の友人の、今までに見たことのない激しい様相を目の前にしたとあっては、仲裁に向かう足も固まりつくのは当然だ。

「この.......馬鹿魔理沙! 徐倫も、今は喧嘩なんてしてる場合じゃないでしょう!?」

 眼前で行われている乱闘がただの喧嘩ではない事など霊夢にも承知である。それでも直接的な敵の姿や攻撃すら見えない以上、これは喧嘩の延長線にある馬鹿げた内輪揉めだ、という認識の下で動かざるを得なかった。

 どのような状況下にあろうとも。
 どこかの誰かの言葉ひとつで、自身の心が揺れ動こうとも。
 博麗の巫女とは、異変を解決する役職の人間である。
 長き立場の上で刷り込まれた博麗への意識は、たとえ怪我人であろうとも少女の足を立ち上がらせるには十分な異変が、目の前で繰り広げられている。

「アンタは中に居なさい!」
「え……って、霊夢!? その怪我で行くの!? なんかアイツら、普通じゃないよ……っ」

 愛用のお祓い棒を掴み取り、車のドアを取っ払う様に開けながら、霊夢は銀世界へ変貌しつつある外へ降りた。
 その荒立つ様は、とてもダメージを刻まれた少女には見えない程に勇敢な後ろ姿だ。そんな霊夢をてゐは、頼もしいと感じる以上に今回ばかりは不安が上回っている。

 幻想郷において、異変解決のエキスパートとして真っ先に名が挙がる博麗霊夢と霧雨魔理沙に加えて、あの強大な妖狐を共に撃破したジョセフ・ジョースターが揃ったパーティメンバー。てゐの心境からすれば、鬼が金棒に飽き足らずスペルカードまで修得したような心持ちでいた。
 何だかんだで、今やちょっとやそっとの襲撃者が現れたところで、仲間達が返り討ちにしてくれるだろうという驕りの心地もあった。
 その矢先の出来事である。牙を剥いてきた敵対者は、外敵ではなく仲間内だというのだから、弱者側であるてゐの心情は尚更に不安ばかりが肥大する。

「こんな怪我、ツバ付けときゃ治るわよ! ていうか、もう治ってる!」

 霊夢の言葉が虚勢なのは、てゐにだって理解出来る。彼女が後部座席で辛そうに横になっていたのは、事が起こり出す今の今までだったのだから。
 やっぱり止めた方がいいんじゃあ……とてゐが逡巡する間にも霊夢は、いきり立ったその足を現場へと走らせた。


 土と一緒に蹴られた雪が、てゐの鼻先を掠める。
 その〝雪〟こそが、まさに災を流し伝播させるコンベアを担っていた事に、誰一人として気付くことは出来ない。


            ◆


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