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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

545夢見るさだめ ◆753g193UYk:2019/03/27(水) 18:02:09 ID:1qUWgLbM0
 
「おおおおれが! おれが! おれがこんな小娘にィィ!!」
「はぁ、……はぁっ……ハァ……ッ」

 眼前の敵にのみ集中するパチュリーの視界の隅で、ちかちかと光が散りはじめた。疲労の証だ。エシディシすら焼き溶かす程の高熱を間近で受けて、明らかにパチュリーの体力が底を突き始めている。このまま高温に晒され続ければ、じきにパチュリーは意識を失い、一命をとりとめたエシディシに命を刈り取られるだろう。それだけは、許されない。ここまでやって負けることなど、絶対に許されない。此処から先は、どちらが先に力尽きるかの根比べだ。

「RRRRRRRRRUUUUUUUUUUUOOOOOHHHHHHHH――ッ」

 やがて、エシディシの体表面が溶け落ち、溶岩のようなどろどろの液状と化して床へ滴りはじめた。物質が形を保てる臨界点を越えたのだ。
 マグマと化して溶け始めたエシディシの体内で、ぼん、となにかが弾けるような音が鳴った。あまりにも高温に達しすぎた熱が、体内でなんらかのエネルギーに誘爆したのだ。パチュリーの体はその衝撃に吹き飛ばされた。

「パチェ!」
「パチュリーさん!」

 既に燃え始めている床を転がって、衣服に火を纏いながら戻ってきたパチュリーに、夢美と吉影が駆け寄る。パチュリーは残った魔力で水を纏い、衣服に火が広がるのを防いだが、既にところどころが焼けて、腕や脚など、白く細い肌が露出している。腰まで届く髪の毛はあちこちが焼けて、縮れてしまっていた。それでも、自分の姿など今はどうでもいいとばかりに、パチュリーはエシディシに視線を集中させる。

「おれは! おれは! おれは偉大な生き物だ……や、やられるなんて!」

 既にエシディシは人の体を保っているとは言い難く、炎を吹き上げるマグマと化していると表現した方が的確だった。
 かろうじて原型を保っていた頭部から、巨大な一本角が競り上がった。獣のように牙を剥いて、エシディシが跳び上がる。

「よくもッ! おおおおのれェェェェッ、よくもォォォォォこんなァァアアアーーーッ!!」

 全身から炎を振り撒いて、獅子奮迅たる勢いで急迫したエシディシの体を、キラークイーンの拳が打った。火が吉影の手へと燃え移るよりも早く、次の拳を放つ。凄絶な拳のラッシュが、エシディシの体を打ち返した。
 パチュリーの背中を抱き起こしながら、吉影はどこまでも冷徹な瞳で転がってゆくエシディシの姿を眺めていた。

「エシディシ……とかいったか。余裕ある態度だったのは最初だけで……どうやら、ずいぶんと……生き汚い生物だったようだな」

 倒れ伏したエシディシの全身から、黄金に光り輝くエネルギーが放出されはじめた。何万年もの長い時を生き抜いてきた生命力が、光の奔流となって、崩壊をはじめたエシディシの体から溢れ出ているのだ。神々しいばかりに溢れ出る生命力の輝きは、見る者の心を奪った。
 断末魔の絶叫をあげながら、エシディシの体が熱とエネルギーの奔流に呑まれ完全消滅する様を見届けたパチュリーは、力尽きたようにどさりと背を床に預けた。
 室内に、冷気を帯びた吹雪が吹き荒れる。エシディシによって焼かれた室内は、すぐに雪によって消化された。あとに残されたのは、一面焼け焦げた床板と、脚が焼けて燃え落ちたテーブルと椅子の数々だった。


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