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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

542夢見るさだめ ◆753g193UYk:2019/03/27(水) 17:55:33 ID:1qUWgLbM0
 
「さあ、行くわよ夢美」
「えっ、行くって、なにするつもりなの、パチェ!」
「私がこれからあいつの懐に飛び込むわ。あなたは、それを全力でサポートしてちょうだい」

 ここへ来てはじめて、夢美を頼りにした戦略を脳内で組み立てる。
 立ち上がったパチュリーを追い立てるように、後方から風が吹き始めた。木属性の魔法による追い風だ。この場で飛ぶことができないなら、せめて擬似的にでも飛行に近い速度が出せればそれでいい。やがて、風の中に雪が混じりはじめた。水属性の魔法だ。風が吹雪へと変わって、室内を吹き荒れるのに、さほど時間はかからなかった。

「ぬうう、小癪な手品を使ってまた目くらましをしやがるか」
「悪いわね、それが私の魔法なの」
「ふうむ、おまえにはさんざっぱら力の差を見せ付けたハズだが」
「ああ、それね、私もどうかしてたみたい。この紅魔の魔女が、あんなことで戦意を折られるなんて」

 自嘲気味にパチュリーは笑った。
 思えば、あの廃洋館でやつらと出会ってからというもの、自分自身どうかしていたように思う。西洋魔術から、東洋は陰陽術まであますことなく網羅した天下の大魔女であるこのパチュリー・ノーレッジが、一方的に脅迫され、為す術もなく逃げるなど、プライドが許せない。
 あの廃洋館での邂逅は、あまりにも状況が悪かった。ただの、それだけだ。
 このパチュリー・ノーレッジにたったひとりで喧嘩を売りにくることがなにを意味するのか、あの野蛮民族の男に徹底的に刻み付けてやる必要がある。
 これは、失われたものを取り戻すための戦いだ。

  水符「プリンセスウンディネ」

 吹雪に押し出される形で駆け出したパチュリーの足元に、水色の魔法陣が描かれる。走りながら手をかざすと、大気中の水分を固めた泡が無数に散らばった。パチュリーは水属性のレーザーを放ちながら、長年の引きこもり生活によって衰えた体に鞭打ち、ひた走る。

「こんなもんでおれの炎の流法を打ち消せるとちィとでも思ったかッ!」

 エシディシは殺到する水弾幕を回避し、時には血管針で叩き落として蒸発させながら、パチュリーとの距離を詰める。腕だけでなく、両足からも血管針が飛び出てきた。左腕の切断面からもだ。その数、合計二十に及ぶ。触れるだけで容易く水泡を蒸発させる超高熱の鞭が、灼熱の血液を噴き上げながら暴れ狂う。

  水符「ジェリーフィッシュプリンセス」

 エシディシの血液が命中する瞬間、パチュリーは己の体を巨大な水の珠で覆った。浮遊しはじめる前に、パチュリーは己の魔法を解除し、ずぶ濡れの体で再び駆け出す。
 血管針が多少体を掠めても、吹雪を身に纏って、熱を打ち消して進む。

「ハッ、なるほどなあ。火に対して水というのが安直な考えよなァーッ、パチュリィーッ!」
「うっさいわね、これが私の魔法だっつってんでしょ、黙ってなさい」

 刻一刻とエシディシとの距離は狭まる。対峙するエシディシも、逃げも隠れもしないとばかりにその場から動こうとはしなかった。
 その代わりに、大量の血管針が、エシディシを中心に扇を開くように展開された。灼熱の血液が弾幕のようにパチュリーへと降り掛かる。パチュリーも負けじとプリンセスウンディネの弾幕を展開するが、絶え間なく射出される血液を前に、水泡はまたたく間に蒸発させられた。


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