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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

540夢見るさだめ ◆753g193UYk:2019/03/27(水) 17:41:45 ID:1qUWgLbM0
 
「けど、あいつはもう『キラークイーン』の姿を知ってる。かろうじて、まだ完全にはこっちを『知らない』って点を突いたつもりだけど……多分、あいつならすぐにカラクリに気付いて突破してくるよ。今のうちにどうするのか決めるんだね、吉良」
「ありがとう、ぬえ……感謝する。だが……どうするのか決める、というのは……どういうことかな」
「戦うのか、逃げるのか……ってことだよ。やれないなら、とっとと逃げた方が賢いと私は思うけど」
「ごもっともだ……だが、やつはここで『始末』する。これは『絶対』だ」

 ぬえが僅かに目を見開いた。それも、すぐに真剣な眼差しへと変わる。

「あんた、やれるの?」
「やつは我が『キラークイーン』の能力を知った。逃げれば今はいいかもしれないが、その次、またその次と狙われる羽目になる。いつ来るか分からない攻撃に怯えて過ごすことは……やはり、わたしの望む『平穏』からは程遠い行為だ」
「そりゃ、そうかもしれないけどさ」
「仕留めるなら、片腕を失った今をおいて他にはない。ここで見逃せば……次は万全の状態で、我々の情報を握った状態のやつが挑んでくる」

 ふいに、パチュリーが顔を上げた。

「待って……ある、かもしれないわ。あのバケモノを仕留める方法」

 全員の瞠目の視線がパチュリーへと集中する。

「私の魔法、なら……あいつを、仕留められるかも」

 言葉の通り、パチュリーの中には、既にエシディシを攻略できる可能性が構築されていた。けれども、それを実行に移すことには、確かなためらいがあった。
 そもそも、勝手にエシディシに啖呵を切って戦闘行為をはじめたのは、吉良吉影個人だ。吉良吉影を切り捨てて上手く立ち回れば、パチュリーをはじめとする他の人員は見逃して貰えるのではないか、パチュリーの中にそういう思考が共存しているのもまた確かだった。
 解剖の結果、爆弾解除の方法に必ずしも吉良吉影が必要でないと分かった以上、この場でどうしても吉良吉影を優先しなければならない理由もないのだから。
 けれども、そういった選択肢を考えるたび、パチュリーは自ずと拳に力が入るのを抑えられなかった。
 また、自分は逃げるのか。
 理不尽な暴力に恐怖して、己の尊厳を踏みにじる選択をするのか。
 屈辱に擦り合わされた奥歯が、軋みを上げるのを自覚せずにはいられない。
 思い悩むパチュリーの肩に、細く白い指が置かれた。赤い髪の少女が、いつもと変わらぬ、なんのてらいもない微笑みを浮かべて、パチュリーを見つめていた。

「流石ね、パチェ。なにか考えがあるんでしょう。だったら、それ、私にも一枚噛ませてよ」
「……夢美、あんたわかってるの。あいつらはバケモノよ……私ひとりならともかく、あんたまであいつらを敵に回す必要は、どこにもない」
「パチェは、自分ひとりの問題だから、自分が犠牲になったって私たちには関係ないって……もしかして、そう思ってるの?」

 夢美の表情から、あの不敵な微笑みが消えた。なんの感情も感じさせない、失望したような目で、パチュリーを見る。
 意外だった。他ならぬ夢美に、そんな目で見られることは、パチュリー自身も堪えるものがあった。無意識のうちに、パチュリーは夢美から視線を逸らす。
 努めて冷たい口調で、パチュリーは吐き捨てるように言った。


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