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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

538夢見るさだめ ◆753g193UYk:2019/03/27(水) 17:35:51 ID:1qUWgLbM0
 
 エシディシの表情は、歯を食いしばるように歪められていた。
 やがてその瞳から、ぽろりと、ひとしずくの涙が零れ落ちた。

「あんまりだ……」
「なに?」
「HEEEEEEEEEEEEEEYYYYYYYYYYYYYYY――ッ」

 またたく間に涙腺は決壊し、エシディシの頬を滝のような涙が滂沱と流れはじめた。エシディシは、なくなった腕を庇うようにして身をくねらせ、うずくまり、まるで駄々をこねる子供のように叫んだ。

「あァァァんまりだァァァッ!!」
「な、なんだ……いったい……、泣いているのか? 血管を浮かび上がらせて怒ってくるのかと思いきや……このエシディシという男……ダダッ子のように泣きわめいている!」
「AHYYYYYYY! AHYYYYYッ、AHYWHOOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHHHHHHッ!!」
「ね、ねえ、泣いている今のうちにトドメ刺しちゃった方がいいんじゃないの……なんか不気味だよ、アイツ!」

 ぬえが、吉影の裾を指先で引っ張って進言する。一理ある。激怒し襲い掛かってくるのであれば、キラークイーンで始末するつもりでいたが、こうも無防備に泣きわめくのでは、吉影としても気味の悪さを感じずにはいられない。今度は吉影の額を緊迫から生じた嫌な汗が伝っていく。

「おおおおおおれェェェェェのォォォォォうでェェェェェがァァァァァ〜〜〜〜〜!!」

 吉影がもう一度キラークイーンを具現化させたとき、ふいに、エシディシの泣き声がピタリと止んだ。同様に、吉影をはじめとする全員の動きも止まる。エシディシの次の行動に、否応なしに視線は集中する。
 当のエシディシは、なんでもないように立ち上がった。既にその瞳から流れる涙も止まっている。怒りも悲しみも感じさせない瞳で、エシディシは肺に溜まった息を吐き出した。

「フーーー、スッとしたぜ。おれはカーズやワムウと比べるとチと荒っぽい性格でな〜〜〜……激昂してトチ狂いそうになると、泣きわめいて頭を冷静にすることにしているのだ」

 左腕が欠損しているというのに、痛みもなにもないかのように、エシディシは歩を進める。今はもう、左腕の切断面からは、一滴の血も流れてはいない。
 吉影の前面に出たキラークイーンは、拳を握り締め、身構えた。エシディシはその構えをどこまでも冷淡な視線を見下ろすと、淡々と語りはじめた。

「で、おまえ……おれの体を爆弾に変えてブッ飛ばしたといったな……それならおれも気付いたよ。これがただの爆弾だったらちっとも怖くはなかったんだがなァ……デイバッグを掴んだ瞬間、おれの体細胞が別のものに変わっていくんで、流石のおれもゾッとしたよ……やばいと思ったんで、即座に腕を切り離したことは正解だったらしいなあ。残念ながらおれの左腕は跡形もなく爆破消滅しちまったが」
「……バケモノめ」
「ククク、体細胞の組み換えはおれたちの十八番でなァ……腕がなくなっちまったのはちィと惜しいが、まあいい……おまえを殺して代わりの腕をいただくとしよう」
「ッ、キラークイーン!!」

 吉影の叫びに応えて、キラークイーンが拳を突き出し前進する。同時にキラークイーンの懐に飛び込んできたエシディシの、残った右の拳と打ち合った。互いの拳の衝突ののち、弾かれたのはエシディシの方だった。そこにすかさず、キラークイーンの拳のラッシュが直撃する。エシディシはかわすことも応戦することもせず、拳をすべて体で受け止めた。
 後方へと吹っ飛び、並べられた椅子を弾き飛ばして床に突っ伏したエシディシは、やはりなにごともなかったかのように立ち上がると、キラークイーンに殴られてひしゃげた箇所をべこぼこと音を立てて自己矯正し、元通りの体躯を形成した。


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