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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

536夢見るさだめ ◆753g193UYk:2019/03/27(水) 17:29:51 ID:1qUWgLbM0
 
「おっと、おれは荒々しいことをするつもりでここに来たわけじゃあない。勘違いしておれに挑むのはやめておけよ……無駄に寿命を縮めたくないならなァ」
「あなたは……エシディシ、といったかしら。なにをしに来たの」

 今度はパチュリーの額に脂汗が浮かび上がっている。少なくともパチュリーにとって味方と呼べる相手でないことだけは、その顔色から吉影にも理解できた。
 エシディシと呼ばれた男は、フンと鼻を鳴らし、笑った。

「本当なら地下通路を通って一気に紅魔館に行くつもりだったんだがなァ……おれの進行方向上にこの館があったんで、ちょいと顔を出しに来たのさ。どうやら外ではスデに別の揉め事が起こっているようだが、おれはまったくの無関係だぜ……爆弾解除の術を探ってくれているパチュリーのチームを襲うのは、賢い判断じゃあないからな」
「待て……おまえは、パチュリーさんとはどういう関係なんだ」
「ンン? なんだパチュリー、おまえ……おれたちのこと、お仲間には話しちゃいなかったのか」

 極めてわざとらしく、エシディシは目を丸くして見せた。同時にこの場の全員の視線が、今度はパチュリーへと注がれる。対するパチュリーは、物言わず目線を伏せるだけだった。けれども、その視線の中には、エシディシに対する明らかな敵意が見て取れる。
 物言わず憎々しげにエシディシを睨め付けるだけしかできないパチュリーの視線に気付いたエシディシは、これは傑作とばかりに失笑した。

「ハッ、なるほどなあ。おまえ、そのプライドの高さゆえに、お仲間には知られたくなかったというワケか……自分の『敗北』と『隷属』を」
「隷属、って……パチェ、どういうこと」

 エシディシは磊落に笑いながら口を開いた。

「そこの小娘が答えぬならば、おれが代わりに説明してやろう。そこにいるパチュリーはなァ、廃洋館で我ら一族に完膚なきまでに叩きのめされ、体内に毒入りのリングを埋め込まれちまったのさ」
「ど、毒入りの、リング……だと」
「リングは第四回放送後に溶け出し、パチュリーの命を奪うッ! 外科手術でリングを取り出そうとしたり、スタンドで触れようとした場合も同様! 解除方法はただひとつだ……第四回放送までに爆弾を解除する方法を見付け出し、それをカーズに伝えることッ!」

 エシディシが言葉を言い終える頃には、既にパチュリーは完全にうなだれていた。屈辱からか、握り締められた拳が震えている。
 夢美は静かに、パチュリーの肩を抱き寄せた。平時のパチュリーならば夢美に抵抗しそうなものだが、この瞬間ばかりは、ただ静かに体を預けるパチュリーが、吉影には嫌に痛ましく感じられた。
 自分の居場所をつくるために行動してくれていた女性が、吉影の居場所を脅かそうとする外的に傷付けられる様を見せ付けられることに、吉影は理屈ではない憤りを覚えた。

「さてパチュリーよ、ここで有益な情報をおれたちに寄越すっていうのなら、おれからカーズにとりなしてやろう。脳内爆弾の構造について、なにかわかったことがあるのだろう?」
「ば、爆弾の……解除方法、は……」
「答える必要はないよ、パチュリーさん」

 軽く片手を掲げ、吉影はパチュリーの言葉を遮った。
 パチュリーの足元に置かれていたデイバッグを、エシディシの足元へと投げて寄越す。元々河城にとりが持っていたものだ。軽く視線だけを下方に送り、足元にどさりと落ちたデイバッグを見たエシディシは、再び不敵に口角を吊り上げて笑った。

「うーむ、これはどういうつもりなのだろうなァ。まさか、このおれに貢ぎ物をする代わりに、この場は見逃してくれという懇願のサインか、なァ?」
「自由にとってくれて構わない……今ここできみに与える情報は……なにもないということだよ」
「ちょ、ちょっと吉影……なに勝手に」
「いいから、ここはわたしに任せて欲しい」

 吉影はパチュリーを庇うように一歩前に踏み出した。


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