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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

533 ◆753g193UYk:2019/03/27(水) 17:25:51 ID:1qUWgLbM0
 テーブルの上に広げられたアルミニウム製のシートの上に、広瀬康一の頭部が横たえられている。髪の毛を剃り落とされた頭蓋骨は、真ん中で縦半分に切断され、外された頭蓋の内部は空洞になっていた。すぐそばに、四等分された脳が置かれている。
 密室内で執り行われるパチュリー・ノーレッジの主導による解剖実験は、滞りなく進んでいた。

「どう、パチェ。なにか分かったことはある?」

 夢美の能力で精製された顕微鏡を覗き込み、脳の断片をしげしげと観察していたパチュリーは、溜息混じりに吐息を零しながら顔を上げた。

「分かったこともある、といったところかしらね」
「爆弾の解除方法は?」
「残念ながら」
「そっかぁ」

 夢美はうなだれ、落胆を分かりやすく仕草で現した。顕微鏡が元のスタンド像へと変化し、そのまま夢美の懐へと向かって消えていく。パチュリーは四つに切り分けられた脳を再び康一の頭部の空洞へと戻しながら、淡々と語った。
 
「今回の実験結果を報告するわ。広瀬康一の頭を解剖しても、魔力・霊力の類はいっさい感知されなかった。顕微鏡で拡大して観ても、魔法・霊的な観点から見て不自然と思しき箇所は見受けられなかったわ。広瀬康一の脳は、ごく一般的な、いたって健康体と呼ぶにふさわしい人間の脳だった……これが結論よ」

 はじめパチュリーは、頭蓋骨を開いて脳を露出させた時点で、脳に魔力や霊力による呪いや封印の類が課せられていないかを確認したが、その時点でなにも得られたものはなかった。魔力による爆弾であれば、パチュリーによって固形化し、吉良吉影の能力で爆破消滅させることも考えられたが、少なくとも康一の頭脳から得られた情報を鑑みるに、それは不可能であることだけは結論付けられた。
 
「うーん、なるほど。少なくとも、康一くんの脳内には爆弾はなかったと……でも、これは興味深い結果よね、パチェ」
「そうね。少なくとも、物理的な爆弾が埋め込まれている可能性はゼロになった。かといって、魔力も感知されたというわけではない……ということは、また新たな仮説がいくつかたてられるわ。ふりだしに戻ったわけじゃあない」

 脳をすべて元あった頭蓋の中に戻したパチュリーは、取り外した頭蓋をそっと康一の頭に被せた。外見上元通りになったところで、短い詠唱ののち、康一の頭部の表面を凍らせた。これ以上の状態の悪化を防ぐためだ。
 夢美がパチュリーの言葉を引き継ぎ、語り出す。

「仮説その一は、簡単ね。そもそも脳内爆弾なんてものは存在しない説。外部からの干渉を受けて、それぞれの参加者を起爆させる……でもこれはあまり現実的じゃないわよね」
「そうね、ここには蓬莱人や吸血鬼もいる。それを外的要因だけで殺し切るのは、無理があるわ。だとすれば、考えられるのはやっぱり、呪いや封印の類よね」
「だけど、解剖をしても肝心の魔力は感知されなかったのよね。ということは、考えられる可能性はかなり絞られる……」

 パチュリーは外面は無表情ながらも、感心した様子で聞き入っていた。おそらく、レミリアが相手であれば、こうもスムーズに話は進まない。

「って、どうしたのパチェ。そんなにまじまじと私の顔を見つめて……まさか!?」
「ああ、いや、あんた、こういう話となると案外まともなのね。安心したわ、ただの気の触れた女じゃなくて」
「ひっどーい! 私、これでも物理学者だって言ってなかったっけ」
「いえ、聞いていたわ。話の腰を折ってごめん、続けて」

 あからさまに眉根を寄せながらも、夢美は咳払いをして、再び語り出した。

「以上の観点から、考えられる可能性としては、生きている間は作用しているけれど、死ぬと無効化される魔力爆弾、という可能性が考えられる。どう、パチェ」
「おみそれしたわ。その通りよ、話が早くて助かる」

 安堵したようにふっと笑みを零すと、夢美は胸を張って威張った。あまり調子に乗せると面倒なので、褒めるのはこの辺りにしておいた方がいいとパチュリーは思った。


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