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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

499黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:42:07 ID:dCSol15U0

「それは、僕の……」

 ジョルノがハッとして、思わず口に出す。
 それは繋ぎ合った〖秘封倶楽部】の握り合う手の中に守られていた物だ。
 それは蓮子を救出する前、紫の衣装からメリーへと継がれたブローチだ。


 そして、それは。
 妖刀に支配された蓮子から、八雲紫を守る為。
 ゴールド・エクスペリエンスの反射が働き、結果的に蓮子の命を奪い取ってしまったブローチ。


 ブローチの中心には刀で突き刺したような小さな痕跡。
 血溜まりの中に倒れる蓮子の胸にも、同じような刺傷。
 辺りには、刀だったモノの、最早欠片とも呼べぬ残骸。
 それが一体、何を意味するか。


 ほんの断片的な情報が顕とされ、ここで起こった『真実』をジョルノは可能な限り推測した。


 真実とは、時に残酷だ。
 かつて真実を求め、苦難の道を歩んできたジョルノにとって。
 未だかつて無いダメージが、彼の心を蝕もうとしていた。

 
「───貴方のせいじゃないわ。ジョルノ君」


 脳へと響くグラりとした衝撃に、よろめきかけるジョルノを救う声がメリーの口から漏れた。
 罪の自覚に動揺するジョルノを支えるような、その言葉は。
 ここで起こった悲劇が、彼女にも凡そ理解出来たということを証明していた。

 メリーはアヌビス神が持ち主を操る妖刀だという事も、ゴールド・Eが攻撃を反射するという事も知らない筈だ。
 だが“今のメリー”には、八雲紫の記憶・意志が受け継がれ、以前とは比較にならない情報量を得ている。
 現状を見れば、少なくとも宇佐見蓮子の死因がジョルノのブローチによる反射だ、という真実に辿り着くことは、メリーにとってもそう難儀な推理ではない。

 その真実を知ってなお。
 メリーは、ジョルノの胸中を労る言葉を掛けた。
 彼女の『聖女』のような優しさに、「なんて強い子なのだろう」とジョルノは思う。
 真に傷付いているのは、間違いなくメリーの方だというのに。

 彼女の優しさは、その未来に暗雲をもたらすかもしれない。
 ジョルノのよく知る、今はもうこの世にいない……あの勇敢なるギャングリーダーのように。


「……貴方の友人は、僕が死なせてしまったようなものです。本当に、なんと言えば……」


 だからジョルノは、メリーの優しさを軽率に受け取らない。
 簡単に受け入れては、誰の為にもならないと思った。

「ジョルノ君……」

 そんな悲痛な面持ちのジョルノは見たことがない。すぐ横で二人の顔を窺う鈴仙も、掛けるべき言葉を見い出せずに胸へと手を当てた。


「少なくとも、ここで眠っている蓮子の表情は……とても人間らしい顔をしているわ。
 DIOに支配されていた時よりも、遥かに穏やかな顔。……少し、哀しそうだけれども」


 メリーは膝を下ろし、蓮子と……片割れの紫の頬をそっと擦る。
 動かない蓮子の額に、肉の芽は無かった。きっと紫が約束を果たしてくれたのだろう。
 宇佐見蓮子を必ず元に戻す。そう交わして、邪悪の魅せる悪夢の中から蓮子を引き上げてくれたに違いなかった。


「ジョルノ君のブローチが、蓮子と……紫さんを『救って』くれた。
 私は、そう信じています」


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