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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部
498
:
黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──
:2018/11/26(月) 01:41:32 ID:dCSol15U0
『マエリベリー・ハーン』
【夕方 16:41】C-3 紅魔館 地下道
「………………『メリー』って、ね。呼んでくれたの───蓮子が」
寄り添い合うように眠る、〖秘封倶楽部】の番(つがい)を。
〝八雲紫〟の姿で、しゃがみ込んだままじっと見つめる少女。
気遣うように距離を置いたジョルノと鈴仙は、彼女の背後に無言で立ち尽くしている。
掛ける言葉も見当たらない、という言葉がよく似合っていた。
ただただ目の前の現実を歯噛み、自分の力の無さを実感する。
「最初に『メリー』ってあだ名で呼んでくれたのは、蓮子だったわ。『マエリベリーじゃあ呼びにくいから』って……」
蓮子。宇佐見蓮子。
マエリベリー・ハーンの、大切な友達で。
秘封倶楽部の、たった一人の相棒。
それだけ。
それだけ、だった。
メリーにとっては、それだけで充分だった。
ただそれだけの……何処にでもいるような、元気一杯の少女だった。
「『どうしてメリーなの?』って、その時の私は困惑しながら訊いたわ。そしたら『“マエリベリー”って発音しにくいし、語感の良い感じに縮めた』って。
縮めたんならメリーじゃなくて“マリー”じゃない。ほんと……可笑しいわよね」
本当に可笑しそうな様子で、メリーは背を向けたままに連ねる。
震えを我慢する声に染み込んだ悲壮が、ジョルノにも鈴仙にも、沈痛に伝わる。
貴方は〝マエリベリー〟なのですか。
それとも〝八雲紫〟なのですか。
先程ジョルノは彼女へそう尋ねようとした。交わされた握手を通して、ゴールド・Eが彼女の生命力に『違和感』を感じたからだった。それでも紫とマエリベリーの意を汲んで……やはり尋ねなかった。
姿形は八雲紫そのものだが、この少女の本質は間違いなく〝マエリベリー〟というジョルノもまだ知らぬ人間だ。
彼女の独白と今の光景を見れば、それは嫌でも理解してしまう。
「……私、此処に飛ばされてから。この世界に来てから。まだ、あの子と『再会』出来てない。
〝宇佐見蓮子〟とは、何一つ、会話も……会話、すらも……してない」
邪悪に支配された蓮子に蹂躙されたメリーは、彼女を『宇佐見蓮子』とは見れなかった。
芽の呪いから蓮子を解き放ち、初めて二人が『再会』を果たせると。
そう、信じて頑張ってきた。
メリーは、とうとう『宇佐見蓮子』に逢えず───今生の別れを突きつけられたのだ。
こんな辛い不幸は誰のせいだ、と怒りを燃やすことも。
あの時こうしていれば、と我が身を責め立てることも。
愕然として夢から覚める様な現実を、見つめることも。
頭が麻痺して光景を受け入れられず、逃げ出すことも。
拒絶したいほどの悲哀に屈し、大粒の涙を流すことも。
そのどれもこれもの感情が、自分の中で上手く湧き上がらない。
「なんで、かな」
一言、呟いた。
少女の手の中には、いつの間にか。
七つの星をその背に彩った、てんとう虫型のブローチが握られている。
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