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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部
495
:
黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──
:2018/11/26(月) 01:38:00 ID:dCSol15U0
その時、視界の端の闇に、俊敏な動きで這う生物の影を邪仙の視力が拾った。
光量の微少な地下道であるゆえ見過ごしかけたが、そいつは確かに青娥の荷物から飛び出したように見えた。正体には凡そ予想がつく。
「……トカゲ? ディエゴ君ね、どうせ」
仕込まれたのはさっきだろうか。中々のスピードで走る輩であったが、青娥はそれを難無くとっ捕まえた。ディエゴの下僕は例の翼竜だけかと思っていたが、トカゲタイプも居たのか。
「どこまでも食わせ者ねえ、あの子も」
邪仙・霍青娥は、マエリベリー・ハーン(紫)と宇佐見蓮子の乳繰り合いを蚊帳の外からニヤついて観ているだけでした。そんな報告がDIOに渡っても面倒臭い。
青娥はほとほと苦笑しながら、尻尾を掴まれオロオロするトカゲを空いた手でグチャと握り潰し、泥団子の様に丸めて隅っこへと棄てた。
「あ、そういえば『良さげな死体』なら、此処にも二つあるじゃない」
双輪に結った頭に一際明るい豆電球が点灯した。今更な閃きではあるが、蓮子とメリーの死体を使ってキョンシーを作り上げるというのも悪くない。
「……いや、流石に悪いわね。そこまでしちゃあ」
妙案はすぐさま取り下げられる。常識的な倫理観など持たない彼女が“可哀想”とまで同情し、結局二人の死体は置いて行く事にしたというのだ。
青娥にとってそれは、本当に、単純に、ただ『カワイソウ』だっただけ。
形だけでもせっかく『再会』出来た秘封倶楽部のか弱い二人を、キョンシーにしてまで好き放題するなんて……
「───私の『良心』が痛みますわ。せめて安らかに眠ってね、秘封倶楽部のお二人さん♪」
ああ……なんて不憫な子達なのかしら、と。
少女の片側へは、自ら手に掛けたという事実も棚に上げて。
邪仙は、心の底から薄っぺらな同情を掛けやり───少女達の死体には、もう見向きもせずに去り行く。
「〜〜〜♪ 〜〜♪」
軽快な足音と耳に障る鼻歌の余韻のみが、誰も居なくなったこの場所に生きる最後の音。
結局、邪仙には最後まで分からない。
八雲紫の弱体化の裏側。最期に見せた笑み。
その根源は、彼女が託した者達へと繋がっているという事に。
◆
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