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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

489黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:33:02 ID:dCSol15U0
『ディエゴ・ブランドー』
【夕方 16:34】C-3 紅魔館 一階廊下


(フーン……。あの女の能力が『宇宙を超える』、ねぇ)


 まるで『大統領』のヤツが得意な能力みたいだな、とディエゴは口漏らす。
 かのD4Cは物と物との間に挟まる事で『隣の世界』へ行ける。そしてそれは、周囲の人物も巻き込む事で同様の現象を与えられる。
 ヤツの場合はあくまで『少しだけ違う世界』というものだ。それですらブッ飛んだ能力には違いないし、ディエゴ自身も隣の世界へ飛ばされて死に掛ける、といった体験は記憶に新しい。
 片やメリーの能力とは、複合的な条件こそ必要であるらしいものの、宇宙の輪廻をも飛び越えて扉を開くというもの。謂わば、完全なる別世界へ入門出来るようなものだ。
 宇宙を越える、という新仮説をDIOも紫も同意見として導いていた。それはつまり、何十億、何百億年単位で『時空』を飛び越える事になる。

 DIOのように『時間操作』タイプの能力者、という見解も出来るのだ。


「面白くなってきやがったな。あの女、是非ともモノにしたいところだ」


 大袈裟に裂けた唇が三日月型に歪み、恐竜の牙が覗いた。ディエゴの肩には通常索敵に使用する翼竜型ではなく、屋内潜伏に適したトカゲ型の小型恐竜が乗っており、DIOと紫の会話内容を盗み聞いたのは彼の功労だった。
 翼竜よりは目立たないが、それでも屋内だと不便はある。が、館内の諜報役としてはこれくらいで充分。お陰で貴重な話が聞けた。

「それにしたって翼竜共の集まりが悪いな。低温気候のせい……というより、あの『フード男』の仕業か」

 外の雪のせいで、斥候の招集率が悪化してきた。そしてこの『雪』が、自然現象による気候ではないという事もディエゴは既に勘付いている。

 ウェザー・リポート。いや、ウェス・ブルーなんたら、だったか? とにかく、その男がスタンドによって雪を降らしている。
 意図的だろうがなんだろうが、ヤツの行為によってこっち側の『足』がどんどん潰されているのだ。

「ウザったいな……早めに始末しておくべきか」

 戦うとなれば苦戦は必須。現状を見ても分かるように、ディエゴの『スケアリーモンスターズ』とあの天気男は相性がすこぶる悪い。湖の前でゴミ屑にしてやった『傘』も雨を操り固めていたが、相性はというと同様に悪かった。
 出来れば他の人間……相性で決めるなら、文句なくヴァレンタイン大統領に向かわせるべきか。


「……っと。この場所も流石に崩れてきそうだ。オレも地下に潜るか」


 さっきから建物を伝わる振動がディエゴを小刻みに揺らしている。ジョルノの一計でこの紅魔館もオシマイの運命という訳だ。アジトの移動は余儀なくされるだろう。
 取り敢えずウェスの始末と、ホル・ホースの持ち去った『DISC』が目下の優先事項か。

 そういえば、メリーと蓮子を追跡させた恐竜がまだ戻らない。
 あそこには青娥も向かった筈だ。つい先程、そこの廊下で出くわしたのだから知っている。
 あの女に渡しておいたDISC──翼竜が会場のどこかから一枚だけ拾ってきた奴だ──は、果たして有効活用されてるだろうか。

「まあ、あの悪女が素直にオレの言うことなど………………聞くかもなあ」

 特別、反抗心がある女ではない。ただ、あの頭花畑女は如何せん自分に正直すぎる。
 己が認めた人間は無礼が付くほど持ち上げ、自分は全く別の次元から眼下の光景を俯瞰して楽しむような女だ。
 つまり結局、奴は周囲の人間全てを見下しているのだ。DIOだろうが、オレだろうが、誰だろうが。

 だからオレは、あの女が本当に嫌いなんだ。

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