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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

483黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:25:33 ID:dCSol15U0


「あ。……蝶」


 私の胸に添えていた、ナナホシのブローチが。
 蓮子の命を、結果的には奪ってしまって───違う。
 私の命を/マエリベリーの身体を、護ってくれたブローチが。

 この世のものとは思えない程に色鮮やかな『虹』を、その翼に彩って。
 まるで蛹から羽化したみたいに……『蝶』へと変わって、空を翔んだ。


「ジョルノ……」


 彼が発動させたのだろうか。
 それとも、これは私が見ている幻想か。
 蝶にはあの世とこの世を行き交う力があるとされ、輪廻転生の象徴とも呼ばれている。
 虹の翼を羽ばたかせる蝶は、蓮子を弔うかのように彼女の周りを飛び続け。


 幻想的な七色の鱗粉を舞わせ……やがて闇の奥へと姿を消した。


「まるで……幽々子の蝶みたい」


 力無く笑った紫は、自身の“傷付いた胸”を押さえながら、ゆったりと立ち上がった。
 右腕だけとなったその手には、べっとりと血がこびり付いている。
 蓮子の血ではない。斬り飛ばされた自分の左腕から流れ出るモノでもない。
 ゴールド・Eの反射は……アヌビス神の刀を全て防ぎ切った訳ではなかったらしい。

 物体透過能力。
 妖刀はブローチの盾を僅かだが『貫通』し、紫の心臓にそのまま損傷を与えていた。

 この反射が100%作用していたならば蓮子は〝メリー〟と再会出来ず、最期の言葉を交わす暇なく即死していただろう。
 この反射が全く作用していなければ紫は死に絶え、蓮子は妖刀に支配されたままに哀しき人斬りを繰り返していただろう。

 偶然にしては出来すぎだ。
 仮初の姿を通してではあったが。一瞬限りではあったが。
 秘封倶楽部の二人が『再会』出来たのは、この偶然が成した結果であった。


(この傷は……私が受容すべき戒めの傷。甘んじて、受け入れましょう)


 受け入れるべきは肉体への傷でなく、紫の心への傷。
 今の身体はマエリベリーの物。何に代えてでも癒すべきなのは当然だった。
 決して浅いものではないし、左手の欠損も重傷。ここでもジョルノの力を借りなければならない無様に、本当に嫌気がさす。


 悔やまれるが、少しの間だけ蓮子の亡骸は置いて行くことになる。
 あの蝶の先にジョルノは居る。マエリベリーも一緒だ。先に脱出しろとは指示しておいたが、こんな自分を心配してそこまで来ているのかもしれない。

 心から情けない事ではあるが。
 まず許される失態ではないことも承知しているが。
 マエリベリーに、謝ろう。
 目を背けたりせず、共に蓮子を弔おう。


「すぐに、戻ってくるから。だから……少しだけ、待ってて───蓮子」


 血で穢れた唇から漏れ出た、その言葉は。
 果たして〝八雲紫〟の言葉か。
 それとも〝マエリベリー〟の言葉か。
 それを考えることなど、やはり無意味だ。
 世界でただ一つの秘封倶楽部に、穢れた自分などが入り込む事は……許されないのだから。


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