したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

479黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:22:51 ID:dCSol15U0

『八雲紫』
【夕方 ??:??】?-? 荒廃した■■神社


「───蓮子を救い出す『作戦』を説明します。よく聞いて、マエリベリー」


 七色と七星の見守る、一筋の夢の狭間。
 この素晴らしき夢幻が醒める前に、紫はメリーへと策を伝えた。
 メリーの大切な友達、宇佐見蓮子を救い出す最善の策を。


「───以上。外にはジョルノ君と鈴仙が居ると思うから、二人への合流がまず先ね。まあ、彼らが無事だったらの話だけど」


 凡そ完璧な作戦とは言えない、リスクという名の穴も幾らか見え隠れする凡策。それでも今、この場で蓮子をどうしても助け出すというのなら、これが最善だと紫には思えた。

「……作戦は理解しました。でも、あの……紫さん」
「分かってるわよ、貴方の言いたい事は」

 メリーは、紫の話した作戦の『ある一部分』においてだけ引っ掛かっていた。
 その内容というものは……


「『私と紫さんが入れ替わる』……っていうのは?」
「そのまんまよ。私が貴方に。貴方が私に『成りすます』って意味よ」


 入れ替わる。
 確かにメリーと紫の容姿は酷似しているが、衣装など交換したところで髪の長さや雰囲気など諸々の点では異なっている。
 成りすましなど可能かどうか分からないし、そもそもその行為に何の意味があるのかがメリーには理解に及ばなかった。

「まず『入れ替わり』の可否だけども、一言で言えば『可能』です」
「どうやって入れ替わるんですか? 身長とか、その……体つき、とかもちょっと違うように見えるんですけど。……主に私の体が足を引っ張る方向で」
「別に変装しようって意味じゃあないわよ。見た目に関しては私の境界を操る能力で何とかします。幸いにも容姿の方は殆ど同じだから、『夢』から醒める過程でスムーズに肉体を交換出来るでしょう」

 紫はあたかも服のサイズが合うかどうか程度のように軽く言ってみせたが、果たしてそう簡単にいくものだろうか。
 肉体を他人の物と交換するという、ただの少女が経験するには些か常識外れのイベント。それはそれでちょっと面白そうかもと、不謹慎ながらメリーは少々胸を高まらせた。なにせ目の前の大人かつ妖艶な美女の姿に変身できる様な話なのだから。

「少し難しいのは『中身』の方ね。私の方はともかく、貴方の演技力で〝八雲紫〟を完璧にトレース出来るとは……まあ、ちょっと思えないわねえ」

 何ですかそれ……と抗議しようとしたが、止めた。
 全くその通りであり、ハッキリ言ってメリーには紫のような独特の艷らしい空気を出せる自信などない。悲しいことに。

「そこでマエリベリー。貴方には、私の『記憶』や『能力』を分け与えます。“ちょっとだけ”ね」
「記憶と能力、ですか……?」
「ええ。私の持つ記憶や意思、スキマの力の使い方とか……『八雲紫』の持つ全てを一時的に貸すという意味よ。同時に、貴方の記憶も私と同調──つまり『共有』させて貰う。ひとえに演技するといっても限界があるからね。
 貴方自身は難しい事なんて考えずに、貸与された『私の意志』へ自然に肩を寄せてればいい。記憶と意思さえ共有すれば、貴方もありのままの〝八雲紫〟を振る舞える筈ですわ」
「えっと……よく分からないんですけど、そんな事まで出来るんですか?」
「普通は無理ね。ただ、貴方はやっぱり『特別』みたいだから」

 メリーと紫の間には、通常存在する『個の境界』が特別に薄いのだと言う。それは人格だとか、人間性だとか、人や妖怪の全てを形成する無二のアイデンティティ。それらを潜り抜け、メリーが紫に、紫がメリーの器に潜り込み、あたかも本人そのものの様に振る舞うことは難儀ではないと。
 鏡に映った互い同士を、鏡界を超えて交換するようなものだという。なにぶん初めての体験であるので、メリーにはいまいちピンと来ない。しかし賢者が可能だと断言する以上、それはやっぱり夢物語なんかじゃなくて。

 メリーは紫の提唱した肉体トレード策に、力強く頷いた。これも蓮子を救う方法ならば、何だってやってやると。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板