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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

474黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:16:13 ID:dCSol15U0

『〝マエリベリー・ハーン〟』
【夕方 16:28】C-3 紅魔館 地下道


 八雲紫とメリーが見ていた『夢』。二人はそこから目覚め、すぐに行動を始めた。
 目覚めたその部屋には、待機させていた筈のホル・ホースの姿は無かった。薄情な男とは思ったが、微睡みの最中に何かされた形跡も見当たらず、結果的には支障はない。
 二人は足早に館を出た。まずはジョルノと鈴仙への合流が先決。程なくして、館を揺らしていた犯人のジョルノらと再会出来た。
 彼らに作戦を伝え、宇佐見蓮子の救出を最優先事項とさせ。快い協力のもと、蓮子とメリーの二人は無事に地下へと落とされ───


 そして今。
 少女は、邪悪の根源となっていた親友の『芽』を、とうとう摘んだ。
 宇佐見蓮子は、親友の腕の中で支配から解放されたのだ。



 ───『肉の芽』と云う名の、支配から“は”。










「……………………れ、ん……こ…………、?」









 妖刀が、メリーの心臓を真っ直ぐに貫いていた。


「……………………ぁ、」


 メリーの腕の中で、〝宇佐見蓮子〟は再び嗤っていた。
 刀を握り、口角を大きく釣り上げながら。
 “嗤い”は次の瞬間、“笑い”となって、ひっそりと寝入っていた地下に木霊する。



「クク…………ギャーーーーーハッハッハッハ!!! バァーーーカッ!! まんまとしてやったりのつもりだったのかァーーー!?」



 声は蓮子そのもの。しかし『意思』は蓮子とは別人。勿論たった今消し去ってやった肉の芽が生んだ意思でも無い。
 串刺しにされたメリーは胸を襲う痛覚よりも、自分の失態に絶望する後悔の気持ちが全ての感情を凌駕する。

 この蓮子の正体を、自分は知っている。
 どうしてそこに考え至らなかったのか、何もかもを後悔する。


「そーーーだよオレは蓮子じゃあねーぜッ! 喋ってんのは蓮子嬢ちゃんが握ってる『刀』の方だよボケ! 『アヌビス神』のスタンドさァ!!」


 癪に障る声など、耳に入らない。少女にとっては、全くそれどころではない。
 DIOの肉の芽を解除出来たのは確かだ。手に残った感覚が、邪悪の消滅を完全に証明している。
 じゃあ目の前で高らかに笑う『コイツ』はなんだ?

(違う……私はコイツを知っていた。何故、今までその事を失念していた……!?)

 蓮子の腕の中で不気味に光る妖刀がどれだけに厄介な得物かは、身を以て理解していた。
 だが肉の芽への対策に気を取られ過ぎていた。芽さえ取り除けば、蓮子を蝕む全ての『魔』はすっかり祓い清められるのだと。

 支配は『二重』に掛けられていた。今になって気付かされた真実。
 肉の芽の呪いが強烈過ぎたが為に、触れただけで意識を乗っ取られるアヌビス神の支配力すらも上書きされていた。アヌビスの呪いを上から更に抑え付け、蓮子の全意識を支配していた悪魔の芽。
 それが今、消滅した。するとどうなる?

「すると『こうなる』って事だよォ〜〜ン! お前には礼を言っとくゼェ〜メリーちゃんよォー!」

 DIOからセーブされていたアヌビス神を結果的に蘇らせたのは、皮肉にもメリー。

 しかし、それの比ではない過酷な運命がこの時……二人を包んだ。

 メリーは、高笑いする妖刀に胸を貫かれたから動けないのではない。

 メリーは、自らの失態に唇を噛んでいたから痛みが無いのではない。

 メリーは、自身に訪れる死を悟ったから顔を歪めているのではない。

 逆だった。


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