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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部
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黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──
:2018/11/26(月) 01:12:27 ID:dCSol15U0
八雲紫は正義の味方などではない。人間を食い物にし、利用する妖怪だ。
慈善事業で人助けなど、気まぐれが起こらない限りやりはしない。ましてや件の少女はメリーの親友とはいえ、幻想郷とは無関係な外の世界の人間だ。
とはいえ紫も、鬼や悪魔ではない。鬼は紫の友人にもいたし、悪魔は館を不在にして好き勝手に暴れているだろうが。余裕があるのなら、メリーの親友というのだ、助けに奔走するくらい請け負ってやる。
問題は、その余裕が無いことにある。
こちらの戦力はメリーを省いても三人。対するDIO一派の全勢力は不明。先の予測が出来ない危険な賭け。それにメリーを巻き込むのだけは、したくなかった。
「紫さん……! お願い、します。私がここから逃げたら、DIOはきっと蓮子を……」
深々と頭を下げるメリーの姿に、紫の罪悪感がはち切れそうな程に膨らむ。
こんな冷酷で心が軋むような宣告、やりたくてやってる訳ではない。
紫は平常心を偽る裏で、かつてない『選択』に迫られていた。
「どうかお願いします! 私一人じゃあ、蓮子を救えない! 誰かの助けが必要なんです!」
垂れ下げ続けるメリーの顎先から、雫が落ちた。
その懸命な姿を無視してでもメリーを連れ出す権利が、自分如きに有るのだろうか。
誰にだって有りはしない。少女の操縦桿を好き勝手に握り強制する権利など、この世の誰にも。
「……それほどまでに、蓮子の事が大事?」
やがて、紫が言い放った。
眼差しはあくまで冷たいままで、出来るだけ低い声色を作り上げて。
「大好きな、友達です」
返ってきた言葉は、紫の『選択』を決定付けるに充分な答えだ。
この決定は、幻想的の未来すらも左右しかねない重大な分岐点。
もし『しくじれば』……八雲紫はそこで死ぬ公算が高いのだから。
そして、そうなってしまえば。目の前で頭を垂れる少女にとっても……その人生を大きく変えてしまいかねない、選択。
(……やっぱり、こうなってしまうのね)
誰にも聴こえない声量で呟かれた、彼女の言葉。
その中身が示す通り、紫は心中の何処かで『こうなる事』を予想していたのかも知れない。
予想、というよりは、予感。
それはともすれば、夢の中でメリーと出逢うよりも前から感じていた漠然な予感。
いつからだろう。
ジョルノへと夢を語った、あの時から?
メリーからのSOSを朧気ながらキャッチした、あの時から?
それとも。この会場に運ばれ、目を醒まして初めに見た……あの鮮明な星空に浮かぶ七つの星。
───彼らを見上げた時から?
予感とは曖昧だ。
それがたとえ、自分の中に確固として渦巻くモノであっても。
「───負けたわ。貴方のその、純粋な気持ちに」
かくして八雲紫は、『選択』の末に舵を切った。
メリーの涙を見なかった事にして前へ進めるほど、紫は強い女性ではない。
「……え」
「なんて顔をしているの。『蓮子を助けてあげる』って言ったのよ」
涙と鼻水でグシャグシャに汚れる寸前の顔を、メリーはグンと勢いよく上げた。
可愛げのある少女を見て、紫は対照的に笑ってみせた。誰もが心を射止められるような、美しく朗らかな笑顔で。
「ほ、ホントですか!?」
「あら。嘘であって欲しいの?」
「い、いえそんなっ! あの! あ、ありが……」
「お礼はいいの。私は貴方で、貴方は私なんだから。
私は私の為に、貴方を助けるようなものよ。だからお礼はナシ。いい?」
「わ、分かりました……?」
人を惑わすような理屈でまた丸め込められ、メリーは袖で顔を拭いながら了承する。
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