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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

463黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:05:56 ID:dCSol15U0

「ままま待って!」

 紫の説明に慌てて割って入った鈴仙は、すぐに異を唱えた。サーフィスが足止めの役を担うという事は、本体である鈴仙も必然近くに控えてなければ通らない道理だ。
 幸いにも鈴仙本体には隠密能力があるものの、つい数十分前に自分を瀕死に追い込んだあのDIOの近くに潜むというポジションを強要されるのは流石に御免被りたい。

「私のサーフィスの『射程距離』はそんなに長くないですよ!?」
「だから?」
「……私、いちおー瀕死から復活したばかりの病み上がりなんですけど」
「退院おめでとう。無事で良かったわね」

 といった決死の抗議を、当の紫は「頑張ってね」と一言のみを添え、何事もなく話は続けられる。この世の絶望をいよいよ体現させた鈴仙の生気無き兎耳をしかとシカトし、紫は残ったジョルノに目を向ける。

「ジョルノ君は私とここで少し待機ね」
「アザの反応によりDIOから勘付かれるから、ですか」
「そう。マエリベリーと蓮子を分断させDIOを足止めした後、戻ってきた鈴仙を拾って紅魔館から一旦離れるわよ」

 マエリベリーと、正気に返った蓮子がすぐに追い付くから。紫はそう言い終えて、何か質問はあるかとジョルノへ聞く。勿論ある。

「大前提として……見た所マエリベリーは普通の少女の様ですが、本当に彼女に肉の芽をどうにか出来るのですか?」

 話を聞く最中にもひしひしと感じていた大きな疑問だ。この作戦の要はマエリベリーであると言うが、果たして本当にそうだろうか。
 そもそも紫のコピーを作るまでもなく、本人がマエリベリーの傍に付いてフォローしてやった方がよほど安泰な気がする。紫のことだ、考えあっての策なのだろうが。

「質問に答えるわね。マエリベリーに肉の芽が解除出来るかどうか……?
 それに必要な『手段』と『力』は、私からマエリベリーへと既に貸し付けてあります」
「貸し……?」
「そう。幸運なことに、彼女の『器』は私のモノと非常に良く似ていますので。大妖怪〝八雲紫〟の力をこの子に多少貸す程度なら、充分可能な程に」

 偶然なのか運命なのか、二人の器は相似しているという。
 かつてディアボロは『魂』の形が良く似た自分の娘トリッシュの肉体に潜り、強引にスタンドを動かしたりもした。それと同じに紫とマエリベリーも、自身の力を互いに貸し与えたり出来るという理屈だろうか。
 だとしても、危険なことに変わりない。やはり見直した方がよいのでは……と、ジョルノが口を開こうとした時、マエリベリーがそれを遮るように前へ出た。

「あの! ジョルノ君!」
「……マエリベリー?」
「紫さんには私から頼み込んだの! 蓮子を元に戻す役目は私に任せて欲しいって!
 そうですよね、紫さん?」
「……そうよ。部外者の私なんかより、親密な間柄であるマエリベリーの方がまだ可能性がある。だから私は力をこの子に貸した。少しくらいの弾幕やスキマ能力くらいは使えるようになってる筈よ」

 険しい顔を作りながらも紫は振り返ってきた少女に同調した。肉の芽の仕様は分からないが、親友のマエリベリー自ら蓮子へと本気で訴えれば、抑え込まれていた蓮子本来の感情を呼び起こすというのは医学的な領域でもあり得る話だ。
 とはいえ、ここはジョルノの推測も及ばない方面。恐らくDIOと蓮子の分断まではそう難しいことではないだろうが、件の『肉の芽』については何とも言えない。
 そんな不安が顔に出ていたのだろう。ジョルノの難色に紫はもう一つ、判断材料となる事実を落とし混ぜた。

「肉の芽についての危惧ならマエリベリーは寧ろ、うってつけの人選よ。そうよね?」
「……はい。以前も同じ様に、DIOから支配された男の人の芽を取り除いた経験はあります。だから大丈夫、とは言い切れませんが……いえ、きっと何とかしてみせます。
 蓮子は───大切な、親友ですから」

 大切な、親友。
 その言葉を発する瞬間、マエリベリーと紫の視線が交差した。
 狭間にあったのは、意味深なアイコンタクトのみ。顔色を窺うといった懐疑的な視線でなく、確信めいた何かだ。彼女達の間でしか通じ得ない、独自の絆の様な空気は確かにあるのだろう。


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