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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

461黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:03:14 ID:dCSol15U0


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」


 よって彼は自身に課せられた役目を完璧にこなすべく、こうして『黄金体験』を広い範囲にて使用し、次々に館の囲いを取り除いていた。
 どちらかと言えば破壊と言うよりは変換だ。瓦礫を拡散させつつも、拳を打ち込んだ傍からスルスルと植物化していくその光景に、見た目ほど派手な爆音は響いていない。尤も、支柱が失われ本格的に崩壊が始まれば辺り一帯に大きく轟く崩壊音にはなるだろうが、それには少々時間が掛かる。


「───ジョルノくぅ〜ん! も、もうそのくらいで充分じゃないかしらー!?」


 館の下、玄関部に当たる場所から聞き慣れた声が控えめな音量で叫ばれた。
 手を止めて下を覗くと、お馴染みとなりつつある長い兎耳。それがしおしおと垂れ掛かる丸い頭が、こちらを見上げていた。一時期は危険な状態だっただけに、回復具合が極めて良好な経過を見ると少なからず安堵する。

「鈴仙か。という事は、これで館を一周出来たかな」

 蔦に変容していく壁に掴まりながら、ジョルノは声を飛ばした少女の元へ降り立った。さくりと、土に被った新雪を踏む心地好い音が伝わる。

「鈴仙。君はついさっき意識が戻ったばかりなんだから、無理せず横になっていて下さい」
「こんな悪魔の館の玄関口に寝かしておいてよく言うわよ……」

 鈴仙がやや呆れ顔で苦情を申し立てる。DIOから受けた心臓への傷は浅いものでは無かったが、ジョルノの迅速な処置が功を奏して身体を動かせるまでに回復した。素でディアボロの一撃に耐える程度には鍛えられている鈴仙の身体。先刻、博麗霊夢の絶望的な負傷を何とか塞ぎ止めたジョルノだが、人間の霊夢と比較すれば妖獣の鈴仙はその強度が高い印象を受けた。
 治療する際、当然ながらその衣服を脱がした経緯があるとは鈴仙には伝えていない。地霊殿内にて彼女の一糸纏わぬ裸身をわりとじっくり目撃した状況を思い起こせば、伝えてもロクな事になりはしないと心得ていたからだ。

「それで……これからどうするの? 紫さん、まだ中に居るんでしょ?」
「そこなんですが───ん? これは……」

 こちらから積極的に紫と落ち合うというのはなるべく避けたい。プッチは白蓮に任せっきりでいるが、囮を任されたジョルノ達に引き付けられた他の敵が紫の周囲に集まるという状況は彼女の望む所でもない。
 考えあぐねていたジョルノは、暫くの間不動だにしなかった紫の『位置』がすぐ近くまで迫っている事を感知した。彼女に預けていたブローチの効力である。

 八雲紫がいつの間にか動いている。
 目的を達成したのか、その動きは迷いなく真っ直ぐな軌跡であった。


「───あ、居た居た。ジョルノ君」


 館の玄関からやや離れた位置に目立たぬよう立つジョルノらへと二つの影が近寄る。少し見ない間であったが随分と久しぶりの様に錯覚してしまうのは、館内にて演じられた一幕が想像以上に色濃い軋轢であった反発か。

「紫さん! ……心配しましたよ、あまりに動きが無いものですから」

 八雲紫。見た目には以前と何ら変わらない姿が、一人の少女を横に伴って現れた。

「怪我は無いですか? それに隣の女の子は……?」
「わ……紫さんに、なんか凄く似てる……」

 ジョルノも鈴仙も、紫の連れてきた少女の容姿に驚きを隠せずにいる。彼女が紫へと『SOS』を求めてきた誰かなのだろうが、それにしても八雲紫の外見とあまりに酷似しているのだから。
 少女はジョルノ達の前に立ち、そつのない所作で頭を下げた。


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