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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

460黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/26(月) 01:02:14 ID:dCSol15U0
『ジョルノ・ジョバァーナ』
【十数分前:夕方 16:14】C-3 紅魔館 屋上


 穏やかな性格で周囲からの人望も厚い聖白蓮という者は、途端の融通を利かせてくれる臨機応変な女性に違いないと。彼女との付き合いはごく短いものであったが、僅かな会話を交わしただけのジョルノにもそう思わせる空気が白蓮にはあった。
 実際、その評価は決して間違っていない。戒律を守るべき立場の彼女には信者への厳しさこそあったものの、規律から脱す範疇でなければ大抵の要望や嘆願は献身的なまでに応じてくれた。

 そういった女性であったし、だからこそ彼女は人妖問わず慕われたのだろう。
 しかしその一方で、白蓮にはある種の頑固さが同居していた。


「プッチ神父とは……私一人で決着を付けさせてください」


 真っ直ぐな視線で放たれたその言葉には、白蓮の決意の全てが含まれていたようにジョルノは思う。

 地下図書館からバイクにて飛び出したジョルノは直ぐに、紅魔館の破壊策を彼女へと伝えた。地下を脱出した理由にはこの破壊活動が含まれるからだ。館の屋根や壁面さえ取り除いてしまえば、少なくとも吸血鬼のDIOだけは無力化出来るかしれない。今後を考えると、アジトの破壊もやれる時にやっておくべきだ。
 その旨を伝えて尚、白蓮はジョルノの作戦への参加を拒んだのだった。作戦自体には了承したものの、彼女はあくまでプッチとの決着を望んでいたようで、館の破壊はジョルノに任せると残してそのまま中庭にて神父を待ち構えた。
 愚かだ、とはジョルノは思わない。彼女と神父の間に何かしらの確執があったのは目に見えていたし、強い決起を宿したその覚悟をジョルノが止める道理も無い。

 何より……白蓮の瞳を見てジョルノは感じ取った。彼女はきっと、気付いていたのだろう。あのまま彼女と戦線を共にして神父を迎え撃っていたならば───

(僕は多分、プッチを躊躇なく『始末』していた。あの女性は僕を見てそんな未来を漠然ながら予感し……避けようとしたんだと思う)

 あるいは逆に『始末されていた』かも知れないが……どちらにしろ白蓮は、その結果を嫌った。だからジョルノと共同戦線を張る案を良しとせず、一人でプッチを迎え撃とうとした。
 白蓮は、敵である神父が万が一死ぬ未来すらも回避しようとしていたのだろうか……? そこまで来れば『甘い性格』で済ませられる話ではない。
 しかしジョルノには、それも間違いだという確信があった。確信と断ずるには拙い、心の占の様な予感だが。


(あの人はきっと……他の誰でもなく『自らの手』でプッチを───)


 怨恨はあったのかも知れない。白蓮とて……人の子なのだから。
 責任も感じていたのだろうか。良心の塊みたいな人なのだから。
 だがそんな自己的な理由で、彼女はその綺麗な手を自ら穢そうとしないだろう。
 分かりはしない。白蓮が何思い、何感じてプッチと相対するに至ったのかなど。
 ジョルノにそれを知る術など、無いのだ。
 他人の心を読む術でも無い限り。


 現在ジョルノは、紅魔館の屋上によじ登り『破壊活動』に精を出していた。破壊といっても屋根や壁を植物の『蔦』などに変え、囲いとしての役割を奪っているに過ぎないのだが。
 白蓮とは結局、別れた。事が終われば館の外で待ち合う約束まではしているが、もしも彼女がプッチから返り討ちにあっていれば、ジョルノは白蓮を見殺しにしたという見方も出来る。
 ジョルノ・ジョバァーナという少年は正義感の強い人間ではある。しかし彼はイタリアの裏世界を牛耳る巨大ギャング組織のボス。庇護する対象が力の無い弱者であるならまだしも、白蓮は強大な力を正当なる方向へと扱うことの出来る一端の大人なのだ。その様な彼女にあれだけの覚悟を示されれば、否定などとても出来ない。少年はそんな立場ですら無いのだから。
 更に言えばジョルノは、ギャング同士の抗争に一般人を直接巻き込む事を毛嫌いしている。その信念を逆さに見るなら、「関わるな」と遠回しに願い出た白蓮らの因縁に、進んで割って入る気にもなれなかった。彼女には彼女なりの『落とし前』の付け方もあったのだろう。
 ジョルノの持つそういった素っ気ない部分は、他人から見れば『冷酷』に映るのかも知れない。


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