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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

424黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/20(火) 04:09:50 ID:mCm9debw0

 奴の部下らしき──戦闘に巻き込まれないよう端で備えていた黒帽子の女と、一体何処に潜んでいたのか、ヒラヒラの服装をした妖しげな女が上から降り、共にDIOに付き添って行った。
 奴にも部下がいる。そいつらは何故、DIOに従うのか。
 尊敬か。支配か。興味か。いずれにせよ、今のオレに理解出来よう筈もない。



 残ったのは、オレ独り。
 今までの喧騒が嘘のように、辺りは静まり返っている。


「───オレは、奴を殺しに来た……筈だったがな」


 醜態以外の何者でもないが、このまま撤退するのが無難だ。
 実際、一刻も早くここから去りたい気持ちで一杯だった。
 それを、やらない。気力が湧かない。
 何故か。
 DIOという男の魔力が、オレを捕らえて離さない。
 それは同時に……オレの未来から訪れる、また別のオレの姿が。
 ふとした時に、瞼の裏に浮かんでくるからなのかもしれない。


 火に飲まれ、半分が灰となった本が傍に落ちている事に気付いた。
 何となしにそれを手に取り、読める部分をパラパラと捲ってみても……内容は、全く頭に入ってこなかった。
 手持ち無沙汰と感じているのは、迷いが生じているからだ。


 オレは今、途方もない『選択』を強いられていた。


            ◆


「感心しないな、青娥。君にはメリーの護衛を命じた筈だったが」


 臆面もなくしゃあしゃあと背後を付いてくる邪仙の顔は屈託なくニヤニヤしたそれであり、彼女の良好な御機嫌が窺えた。
 その機嫌の根源など簡単に想像はつく。彼女の気質を考えれば、非常に心震わせる『見世物』をタダで観られたから、以外に無かろう。

「気付いておられたなんて、DIO様も一言言ってくだされば……。でもその点は本当にお詫びのしようがありませんわ。
 不肖、青娥娘々……居てもたってもいられず。気付けばその足は、一散に会場の陣取りへ泳ぎ出し。その手は、一心に貴方様への応援の鼓舞へ回り出し。
 ……あぁ、淑女としてお恥ずかしい限りです」

 言葉とは裏腹に、青娥の表情からはお恥ずかしさや申し訳なさ、必死さといった感情は見当たらず。ハッキリ言って癪に障るのだが、実のところ私は大して怒りなど抱いていない。

「元々、予想済みだったさ。君の軽薄な行動はね」
「まあ、人が悪いですわ。……と言っても“そうだろう”と私自身思ったからこそ、こうして堂々と抜け出たんですけども。
 ───メリーちゃんと八雲紫。あの二人を、会わせてみたかったのでしょう?」

 邪仙の胡散臭い笑顔が、一層影を増して黒ばむ。やはりこの女は相当に鋭いようだ。普段の奔放とする姿も偽りではなかろうが、腹に一物二物抱えた曲者である事を再認識出来た。
 部下としては正の部分も負の部分も持ち合わせる、組織を掻き混ぜるタイプのイレギュラーだ。そこがまた、彼女独自の素晴らしさだとも思うが。
 なので青娥の命令違反に関しては咎などあろう筈もない。そんな事よりも遥かに重要な計画がある。

 メリーと八雲紫を会わせる。
 それこそが私の目的の一つであり、眠りについたメリーを一旦は手元から離した理由だ。
 ディエゴの支配から解き放たれた八雲紫は、きっとメリーの奪還に戻ってくる。思ったより随分早い帰還ではあったものの、私の予想はズバリ的中したようだ。
 奪還の際、私が傍に居たのでは向こうも警戒を敷いてくるであろう事も踏まえ、敢えて部屋に置いてきた。青娥を護衛に命じたのは一応の体裁であり、興奮した彼女がすぐさま護衛対象を放置して来ることも計算済みだ。
 まあ、私のその予想すらも邪仙が読んでいたことはやや慮外ではあったが。

「……理想としては、二人を会わせるのはメリーを支配下に置いた“後”の方が都合が良かったがな」
「紫ちゃんが館に戻ってくるタイミングが、想像より早すぎたという事ですね」

 既に肉の芽内部で二人が出会った以上、恐らくメリーの陥落自体は難しくなった。傍にいる八雲紫がそれをさせないだろう。
 が、それならそれで構わない。優先順位はあくまで、メリーの『真の能力』……その羽化にある。
 きっかけは恐らく、メリーと八雲紫の邂逅。二人が『一巡後』の関係という予想が正解ならば、この引力にはきっと意味がある。


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