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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

392黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/10/13(土) 19:00:22 ID:DAf9RJjQ0

(〜〜〜ッ!? お、『重い』……ッ!)

 事もあろうに、吸血鬼の腕力が圧倒されていた。
 単なるパワーでは、DIO本体の力は『ザ・ワールド』にも引けを取らない。矢の力でスタンドを得た今となっては、戦闘において昔ほど吸血鬼の力に依存する事も少なくなってきたのは事実だ。
 そのDIOが人間をやめて以降、恐らく初めて体験するであろう、吸血鬼をも超えた圧倒的なパワー。
 柱の男の秘めるふざけたスペックが、力比べに押し負けつつあるDIOの体を、足から順に床へ押し潰そうとしていた。

「ぐ……ッ! き、サマ……このDIOと、相撲でも……取る、つもりか……!」

 メキメキと、上から押さえ込まんとする膂力が、DIOの足を少しずつ床にめり込ませる。
 まるで上空からロードローラーでも落とされたかのような重圧に、次第にDIOは根負けを予感しつつ。

「スモウ……? 何だ、それは?」

 DIOとは対照的に、サンタナの顔色は涼しいモノだった。スタンドのもたらすエネルギーは相当なものだが、肝心の本体であるDIOの力は、やはり並の吸血鬼とそう変わらない。
 それを確信したが故の余裕が、サンタナの顔には浮かんでいる。

 余裕が見えるとはつまり、隙を覗かせたという事だ。
 押し組み合いに尽くされたサンタナの、あまりに無防備な背中から───世界の渾身の突きが二度、三度と連撃で入った。
 堪らず腕が離され、本棚の高い壁へと幾度目かになる衝突がサンタナを襲う。


「───相撲、とは。相手を土俵外へブッ飛ばす、もとい押し出す競技のことだ。因みに今の技は、相撲で言うところの『張り手』だな」


 めり込んだ両足を、何でもない事のように床板の下から持ち上げる軽快さは、DIOに積まれたダメージの軽量さを物語る。
 問題は足ではない。如何にも「それがどうした」と言わんばかりに余裕の台詞を吐いたDIOの視線は、今しがた化け物を掴んでいた両手を注視していた。

 ───溶けている?

 否。これは『捕食』の痕跡だ。
 僅かな時間であったのが功を奏したか。虫食いにやられたかのような指の痕は、使い物にはなるようだ。
 痛みも無かった。全く意識の外から、この化け物はぐずぐずと肉を喰らってくれたらしい。
 何と言っても、今腕を掴んでいたのはDIOの方であった。サンタナの手首を下方から掴んだ形では、相手の指先なり掌なりはDIOの皮膚に触れられる体勢とはならない。

「驚いたな。貴様は『皮膚』からでも捕食出来るのか」

 吸血鬼のDIOをして、全くもって不可解と述べずにはいられない。
 DIO達吸血鬼は、指先から吸血を行う。それ自体もあまり類を見ないスタイルであるが、例えば伝承に語られるような一般的な吸血鬼は大概歯先を当て、そこから血を吸うのがオーソドックスというものだ。
 しかし皮膚そのものから取り込む規格外の怪物が居るとは。

 目前に見据えるには歯痒い事実であるが。
 この敵──サンタナ、並びにその一族は。
 根本的に、吸血鬼よりも『格』が上等。
 考古学者ジョナサン・ジョースターは、かの石仮面のルーツを調べあげようと幾年もの月日を掛けていたが。

 そのルーツが……今、目の前に居るようだ。


(お前の求めていた『歴史』そのものが、このDIOの前に立っているぞ。
 なあ……ジョナサン)


 愚かで……尊敬の対象でもある友人の姿を脳裏に思い起こし、悠然と立ち上がってくるサンタナの姿と重ねた。
 本能で理解できる事もある。
 生物の歴史上に積み上げられた弱肉強食のヒエラルキー。その頂点に座するは、DIOではなかった。
 石仮面を作り上げた先人達がいる。とうに滅んだのであろうと、DIO自身軽く考えていた謎の存在が。
 ギリリと歯を鳴らす。不快な気分がDIOの頭頂から爪先までを駆け巡った。

 サンタナに、ではない。
 彼の同胞。石仮面を作った相手へと、である。


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