したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

377黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/10/04(木) 18:09:00 ID:KBSZFcPc0
『サンタナ』
【午後 15:47】C-3 紅魔館 地下大図書館


 気が付くとサンタナは、紅魔館内部に立っていた。
 本当に、気が付いたら立っていた、という他ない。

 ワムウに敗け、肉体がぐずぐずに崩壊していくサンタナを放心から引っ張り上げたのは、主の命令であった。
 勝利をもぎ取る事は成し得なかったが、ほんの僅かなか細い綱だけは何とか掴み取れたらしい。

 サンタナの挑戦は終わらない。
 相手取るDIOはたかだか吸血鬼でしかないが、格下であろうとそれは確かなる挑戦だ。
 歩みを止めた瞬間に、サンタナは今度こそ塵芥と化すかもしれない。
 だから……今はただ、余計な思考に流されず、目の前の道のみを辿ればいい。


 そうして彼は、胡乱のままにこの地へ立った。


 曖昧にぼかされた視界で歩んだ侵入経路は、聖白蓮がインドラの雷にて地下道にまでくり抜いた大穴。
 頭上から灯された光天に導かれるよう、虚無であった怪物は無心で穴をよじ登った。
 奈落の底から唯一の救いを求める為に、這い上がるのだ。

 縦に伸びた、暗い暗いトンネルはすぐに抜け出た。穴は至極短い長さで、大した労力も時間も掛からなかったが、サンタナの意識にとっては酷く冗長のように感じた。
 どうやら随分と開けた空間に来てしまったらしく、辺りはやけに騒々しい。

 その場所に、いきなり『居た』。


「───DIO」


 此処までの道程は一心不乱であったが故に、作戦や気構えといった心の準備を殆ど立てられていない。
 緊張しているのだろうか。こんな序盤で足踏みしている場合ではないというのに。
 『挑む』という行為がそもそも、サンタナにとっては馴染みが無い。彼が今までの生で働かせてきた暴力とは、戦闘というよりかは、集る害虫をまとめて踏み躙るような本能的衝動だ。
 それらとは一線を画するこの鼓動の高まりは、ワムウとの決闘前と似て非なるもの。

 未知への挑戦、だった。

 あのカーズを一撃で吹き飛ばした男。
 一目見てサンタナは肌に感じた。確かにその辺の吸血鬼とは、何かが違う。
 その『何か』を見極め、無事帰還し、主達に報告する事がサンタナの任だ。可能ならば、討って良しとも。
 重大な任務であるにもかかわらず、サンタナは与えられた命令そのものに対しては、さほど執着を感じてない。
 カーズの命令をこなすという勲章は、彼にとって一個の『手段』に過ぎない。あくまで大切なのは自分の意志にあり、そこを履き違えると本末転倒となる。
 ワムウとはっきり異なる点はそこだろう。命令に対する『感情』と『意志』……それぞれに傾倒する比重が、サンタナとワムウの対照的な部分だ。
 とはいえ、用意された手段が現状、DIO討伐ルートしか存在しない以上、失敗の許されない道であることも承知の上。

 迂闊な特攻は軽率に選ぶべきではない。
 只でさえカーズからは「鬼の流法は未成熟」と釘を刺されている。


(驚異なのはやはり……奴の『スタンド』か)


 触れた物に裂け目を生み出すあの人間の男との連戦は、サンタナの意識に明確な『警戒心』を齎していた。
 人間の非力な部分を補って余りある精神像は、脅威と呼ぶに相応しい我武者羅さをも備えている。
 それぞれには固有の能力があるようで、カーズは不意打ちとはいえリング外まで弾き飛ばされたと聞いている。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板