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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部
315
:
黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──
:2018/08/30(木) 18:51:19 ID:/BP69OTc0
気高き『高尚』さを胸に秘めたジョルノ。彼は大袈裟な形で自分の感情を吐き出すタイプではないが、それでも『ライン』という物は存在する。
もしも一線を越えれば、ここぞとばかりにジョルノは爆発する。それこそ一線を越えて、『殺人』にすら悠々と手を染められる。
感情をコントロールするという点では、ジョルノは完璧ではない。年齢も若く、経験だって豊富な方ではない。
ジョルノは決して愚ではないが、血の繋がった父親から『あんな事』まで吐き捨てられて。
それでいて冷静に、じっと堪えられる程に感情をコントロール出来はしなかった。
数少ない相手には間違いない。チームの命を狙う新手のギャングや、あのディアボロですら、ジョルノの『夢』を叶える為のいわば避けられない試練。立ち塞がってきた敵である。
サイコ染みた医者チョコラータ、くらいであろうか。防衛の為でなく、仲間の為でなく、目的の為でもなく、ジョルノが心底嫌悪し、激情しながら『叩き潰す為』に断罪した悪は。
大義名分ではない。高尚な理由などそこには無く、ただ許せないから手に掛ける、本能的な衝動。DIOは、かのチョコラータに抱いた悪感情と同類だ。
かつての尊敬する上司ブチャラティが、自らの実父ディアボロに手を掛けられたトリッシュを救う為、激昴し、その場でボスに戦いを挑んだ時のように。
人には、犯してはならない『領域』という物がある。
ジョルノにとってそれは、未だ触れたことの無い『家族』という唯一の、透明な絆。
その領域を、あろうことか父親本人から滅茶苦茶に穢された。その事が許せなかった。
それだけの話。
鈴仙は、それが共感できてしまった。
漠然とではあったが、ジョルノが自らの存在意義を『家族』本人から覆されてしまったこと。
こと今の鈴仙には、その気持ちが痛いほどに理解出来る。
ジョルノを止める為、自分の体を盾にしてでもDIOの前に立ち塞がった鈴仙の頭には、ディアボロや八意永琳の姿が過ぎった。
深手を負った鈴仙が本当に成そうとした行いは。
ジョルノを守る為だったのか。
それとも家族を手に掛ける〝悪〟を、この世から殺(け)してやりたかったという……本能的な衝動なのか。
「鈴仙ッ!」
私の名を呼ぶ声が、すぐ傍で轟いた。
どうやらジョルノは、床に崩れる私の体を支えて懸命に救おうとしているらしい。
勿論、敵がそんな暇を与えてくれるわけがない。
「本当に貴様は『ジョースター』の人間だったらしい。
失望もあるが……“オレ”にとっては待ち侘びた瞬間だ。その木偶人形と共に死ね」
敵を討つよりも、瀕死の鈴仙を治療する事を選んだジョルノ。
そんな隙だらけの息子を心底見下す瞳で、スタンドの拳を掲げたDIOに躊躇のひと匙もない。
嗚呼。本当に、この世は『家族』をどうとも思わないクズが多すぎる。
鈴仙が最後に浮かべたのは、憎悪とも愚痴とも取れない……因果応報への悲観であった。
(神も仏も……ありゃしない、わね)
視界が、完全な暗幕によって覆われて。
肌から伝う彼の暖かみも、とうに冷たいそれへと変わっている。
五感に残った聴覚が微かに捉えた、けたたましいバイクの駆動音を最後に。
───鈴仙の意識は奈落の闇に堕ちた。
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