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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

313黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/08/30(木) 18:49:51 ID:/BP69OTc0

『エンリコ・プッチ』
【午後 15:26】C-3 紅魔館 地下大図書館


 DIOは決して愚ではない。

 彼がジョルノ・ジョバァーナ及びにウンガロ、リキエル、ヴェルサスら四人の子を産ませた背景には、今聞かされた実験的企てがあったのだと。
 早い話、生まれてくる子供に『ジョースター』の意志が片鱗たりとも宿るかどうか。それを試した様なものだったという。
 上手く行けば──十中八九は上手く行く試みだが──産まれた子はDIOの兵力となる。恵まれた素質が約束された、一騎当千のスタンド使いとなる事が期待出来た。
 現にプッチは運命に導かれ、三人のスタンド使いの息子を味方に付けた。

 しかしそれは同時に、深い諸刃の試みでもある。万が一、産まれた子にジョースターの黄金の精神などが芽生えれば、たちまち反旗を翻す可能性があるからだ。
 現にジョルノというイレギュラーが育ち、こうしてDIOへと立ち向かってきているではないか。


(DIOはそのリスクを考えなかったのだろうか?)


 プッチは訝しむも、すぐに否定する。
 DIOという男が、決して愚ではないと知っていたから。

 もしも産まれる子にジョースターの片鱗が僅かでも確認出来たなら。
 それはそれで、ある意味においては収穫なのだ。

 彼が父親として良き模本かどうかはさておき、少なくとも世に吐き捨てるほど分布する、後先考えずに子供を作る様な無責任な親とは違う。
 産まれ落ちてすぐに息を引き取った子供と、無関係な他所様の健やかな子供とを密かにすげ替え、我が子として何食わぬ顔で育て上げるような愚かな親とは……決定的に違う。

 “こうなる事”も想定した上で、DIOはジョルノを産ませた。プッチにはそう思えてならないのだ。
 口では気まぐれだと後悔したような軽口を叩くも、本質ではそうじゃない。
 DIOはジョースターを、自らの人生最大の宿敵だと認識している。徹底的に潰さなければならない因縁の芽だと敵視している。

 何よりその因縁という『運命』が曲者で、恐るべき障害だったのだ。
 そしてその恐れこそが、超えねばならぬ唯一絶対の壁だと理解していた。
 もしも産まれた子がジョースターに与する因子であったなら。
 それは如何なる因果に引き付けられて産まれた意志なのか。
 たとえエジプトの戦いでジョセフや承太郎を抹殺したとして。ジョースターの血を根絶やしにしたとして。
 運命は、自らの血を触媒にして再び立ち向かってくるのか。


 それをどうしても『再確認』する必要が、彼にはあった。


(DIO。君は、そこまでしてジョースターを乗り越えようと考えて……)


 DIOの肉体は、ジョースターの肉体そのものでもある。
 自らが生きている限り、ジョースターは永劫無くならない。
 考えずにいれば全て丸く収まるであろう、その自己矛盾的な葛藤を内に抱えたまま、DIOはどうしても捨てきれずにいた。
 思考の端に渦巻くジョースターの意志が、いつだってDIOの歩く道を遮ろうとしてきた。

 もしやすれば、DIOはジョルノのような存在が産まれてくる未来を望んでいたのかもしれない。
 まだ完全に……ジョースターとしての意志が芽生えきっていない段階でなら、容易く“摘む”ことも容易だろう。
 DIOがエジプトで敗北さえしなければ。きっと彼はその足で、産まれた我が子を迎えに──いや、『選別』しに向かっただろう。
 作物の良質と粗悪とを区別し、都合が悪い物は芽の時点で摘む。それと同じだ。


 彼はジョセフ・ジョースターを。
 空条承太郎を。
 そして最後に息子ジョルノ・ジョバァーナを殺し。
 完全な形でジョースターを消し去る事で。

 自らの肉体に残留するジョナサンの意志も含め。
 初めて運命に勝利出来ると、考えた。

 奈落そのもののような暗黒街に産まれ。
 最悪の屑親を父に持ってしまった少年ディオは。
 マイナスを起点とした、泥濘の運命へと勝つ為に。


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