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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

309黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/08/30(木) 18:46:02 ID:/BP69OTc0


(それくらいは……『予想内』よッ!)


 想定外なものか。ジョルノがDIOの存在・位置を感知可能なら。つまりDIOからもジョルノの奇襲が容易に予想出来た筈である。
 姿が見えずであろうとも、DIOには息子の接近が分かっていた。この程度であれば、充分にシナリオ通りだ。
 とはいえシグナルの位置把握は完璧とまではいかない為、DIOの攻撃タイミングは群を抜いた正確性である事も窺える。

 鈴仙は入口近くの本棚の陰に隠れて戦いをじっと見ていた。波長を操る能力は現在、全面的にジョルノのフォローに使用している為、自らの姿までは器用に隠せない。
 ジョルノの初撃が失敗するであろう事は想定内。ジョルノは鈴仙の攻撃こそを『本命』だと語り、彼女を切り札として隠した。敵は館に潜入したジョルノ以外のメンバーを知らない筈であるから。
 鈴仙の必殺のスペルを確実に当てるには、機を待ちたい。通常の弾幕であれば制限なく撃てるものだが、彼女の『狂気の瞳』に限っては、相手がこちらの眼を目視する事が発動条件であるからだ。

 まだ。まだ鈴仙は姿を現せない。
 DIOが隙を見せてくれる好機が到来する時まで。

 目の前ではジョルノが敵スタンドの拳とせめぎ合っていた。
 力の均衡は、劣勢。


「……くっ!」


 拳から腕に伝わる衝撃を逃せず、ジョルノの脳が揺れた。やはり単なるスタンドパワーで敵う相手ではない。

「前に言った筈だぞ。スピードはあるがパワーは足りん、とな」

 ザ・ワールドの豪快な腕力が、ゴールド・Eの細身を悠々と跳ね飛ばす。ジョルノは宙返りを経て受け身を取り、地上へと着地した。
 すぐさま迎撃の姿勢を作ったが、予想に反してDIOは距離を詰めてこない。後ろの神父風の男、帽子を被った少女の二人へと腕を伸ばし、軽く制したくらいだ。


「愚直だ」


 果たして、DIOが背後の部下を押し留めたのは言葉を投げ掛ける為であった。
 男は先の鍔迫り合いに全力の半分も注いでいない。一方のジョルノは、少なくとも一撃で決められる程度の万力は込めていたというのに。

「何がですか」
「お前の読みがだよ。大体の位置は互いに分かるというのに、わざわざ姿を隠し、わざわざ目の塞がった左側から攻撃を繰るとは。
 ブラフにすらなっちゃいない。たとえ両目を塞がれていたとしても避けられるぞ。本当にやる気はあるのか?」

 ジョルノの姿は既にDIOから見えている。初撃をしくじった時点で、姿を隠し通す事の意味は薄れた。
 故に鈴仙はジョルノの周囲を捻じ曲げる波長を解いた。守りから攻めへの態勢へと転じ、隙を窺いながら会話を見守る。

「やる気が無いのは貴方の方では?」
「ほう?」
「今……『時』を止めていたならば、早くも勝負は決していた筈。何故能力を使わなかったのですか?」

 それは鈴仙も疑問に思っていた。
 DIOのスタンド能力が『時を止める』能力である事は、他ならぬジョルノから教わった情報である。
 奇襲はともかく、安直に近付くのは自殺行為。一撃で沈めなければ、返しの時止めで強力無比のカウンターを食らってもおかしくはなかった。

「取り留めのない話だ。私のスタンド能力を知っているのならば、お前の方こそ何故安易に近寄った?
 決して頭の回らない男ではないだろう。狙いがあった筈だ」

 狙い、と言える程のものか。
 何となく、DIOが時を“止めてこない”と感じたから。
 直感だが、ジョルノはそう思ったからこそ無茶な攻撃を出した。

「前に会った時、言いましたよね。話をするのは『次の機会』だと」

 空条承太郎と博麗霊夢を救出するため、F・Fらと共に紅魔館へ突っ込んだ時。
 ジョルノは父との対話を選びたかった。しかし迫る時間がそれを許さず、一目散に撤退したのだ。

「貴方も息子と話を付けたかったのではないですか?
 そうでなければ今頃、僕は心臓を貫かれ転がっていたでしょう」

 ジョルノに真の狙いがあったというのなら。
 囚われの少女を救うより。八雲紫の夢を手助けするより。
 彼個人に確たる目的が潜んでいたというのなら。

 それは父との対話。
 性を理解するには、あまりに棲う世界の違う父親だと叩き込まれた。
 歩み合う事は不可能だろう。しかし、言葉を交わすことで『知る』ことは出来る。

 DIOという男を。

 家族を、父親を知りたいが為に、ジョルノは再びこの地へ戻ってきた。


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