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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

306黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/08/30(木) 18:42:01 ID:/BP69OTc0
『鈴仙』
【午後 15:12】C-3 紅魔館 地下大図書館


 だだっ広い図書館もここまで来ると考えものだ。書物の管理だけで一日など優に消費するんじゃなかろうか。
 本なんてそう何度も読み返すものでもなかろうに、誰に貸し出す訳でもないこの量の本を所蔵しておくのは理解に苦しむ。
 現実逃避の術として、縦横に長い本棚の数々をボーッと仰ぐのみに勤しむ鈴仙の耳に、薄情な内容が飛び込んできた。

「DIOが動き出しました。丁度良い、待ち伏せましょう」

 ジョルノはどうあってもDIOと拳を交えたい姿勢を崩さない。

「時間を稼ごうと言ってるんですよ鈴仙。何も無意味に戦うわけじゃない」
「で、でもジョルノ君! 相手が何人で来るかも分からないのに!」

 時間を稼ぐというのは、単騎行動中の八雲紫に依存しての選択だろう。彼女が無事、件の『声』の主を救出できれば即刻撤退の作戦なのだから。
 だが極力奴らとの戦闘を回避したい鈴仙からすれば、こんな袋の鼠必至の空間で兵力不明な敵集団と相見えるなど、断固お断りだった。

「いいですか鈴仙。既に話しましたが、僕がDIOの接近に気付いていると同時に、奴からも同じことが言えます。
 逃げ隠れした所であっという間に追い込まれるのがオチでしょう」

 戦略的な言い分はジョルノに理がある。
 そもそも鈴仙はあれやこれやと異議を唱えて、結局は戦うのが怖いというだけだ。が、やはりそんな消極的な逃げ腰ではジョルノを論破するには至らない。

 帰する所、DIOとの対決は免れないのだ。

「……DIOって、ジョルノ君のお父さんなんだよね?」

 全てを諦めて腰を落とし、深い溜息を寿命数年分と共に吐き出しながら、兼ねてよりの疑問を問う。

「この身体には奴の血が流れている。残念ながら、ただそれだけの事実としか僕は捉えてません」

 本当だろうか。鈴仙は返ってきた答えにもまた、疑問を浮かべる。
 人の持つ波長というのは敏感だ。さっきからジョルノは平然とした顔を作ってはいるが、鈴仙の捉える彼の波長は館に近付くにつれ荒んできている。

 血の繋がった自らの父親へ敵意を向ける。
 それはDIOがどうしようもない悪党で、自分の息子であろうと手を下してくるような男だったからだと聞いた。

 また、『家族』か。
 ディアボロとトリッシュの時と同じに、子を手にかけるような外道がここにも。
 これが鈴仙には全く理解の及ばぬ領域であり、今まで抱えたことのない嫌悪感に気分を悪くする理由だ。

(ホント……悪趣味なゲームよね)

 トリッシュという名の少女は、父親に殺された。
 ジョルノもまた、父親と戦うことを選ぶという。
 胸に風穴を開けられ、惨い死に様を見せ付けられたトリッシュとジョルノの姿が、どうしても被ってしまう。

 守りたい。
 ジョルノを死なせたくない。心からそう思う。
 鈴仙は決意を済ませる。ようやくではあったが、その狂気の瞳からは濁りが消えた。


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