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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

286奈落論:2018/08/09(木) 19:11:43 ID:eL9lb5wk0
『ホル・ホース』
【午後 15:09】C-3 紅魔館 エントランスホール


 グラスワインに一滴の泥水でも混ざれば、舌の肥えたソムリエならおもむろに立ち上がり、目をひん剥きながら叱り飛ばす。
 ホル・ホースが今やった行為は、ワインに泥水を混ぜるようなリスクだ。


(ぐ……! 中まで入ると尋常じゃねえ寒気だ……!)


 ギィ……と、極力隠密性を高めて館に入りはしたが、扉の音は誤魔化せても光は誤魔化せない。
 紅魔館の構造上、昼間であっても内部は比較的薄暗いゆえ、僅かな隙間であろうと日光の差し込みは目立つ。玄関扉が無駄に大きな作りなので尚更だ。
 例えば……其処に住まう者が吸血鬼であれば、どれだけ小さな光の一滴でも過剰に反応しかねない。

 このリスクを犯してでも彼は、館に入るべき確固たる理由があった。

(チクショウ! 何でよりによってDIOなんだよ! 百パーセントこの洋館に居るンじゃねーか!)

 聖白蓮の足跡を追って辿り着いた館。大口に繋がれた一本橋を渡る最中には、既にヒシヒシと感じていたのだ。

 ───肌にへばりつくこの独特な悪寒は間違いなくあのDIOのモノだ、という直感を。

 命あっての物種。それを何より信条とする彼がUターンを選ぶことなく侵入を決意したのも、考えあっての事。
 DIOとはホル・ホースの契約主だからである。金で雇われた仕事の関係ではあるが、下手に面識の無い相手よりかはまだ取り入りやすい。契約期間は依然続行中なのだから。
 ならば寧ろ、ここほど安全な場所も無いのではなかろうか?
 ホル・ホース目線で言っても、DIOという男は意外と話の分かる相手だ。世界各国から殺し屋を金で雇い、ただターゲットの始末を命じる。縦組織に有りがちな、窮屈な規律なども強いない。
 DIOの集った刺客者らは、ホル・ホース含め比較的自由な体系で構築されていたろう。無論、お決まりの“裏切り者は許さない”という了解は敷かれていたが、ハメを外しすぎなければお咎めなどそうそう無い。

 何が言いたいかといえば、少なくともDIOの方からホル・ホースへ危害を加えてくる理由は浮かばない。逆にホル・ホースからDIOに謀反を起こす理由もない。
 冷静になって考えれば、この立場でDIOを警戒する必要など無いのだった。

(ま、既に『二回』命令を失敗してんのがコエーっちゃコエーけどよ)

 ホル・ホースは過去にジョースター抹殺の指令を二度、しくじっている。
 そんな失態を背負っていながら厚い顔でDIOの元に舞い戻り、彼の反感を買いかけた事がある。
 その直後にこのゲームへと呼ばれてしまったものだから、DIOが案外根に持つ性質であるならやはり進んで会いたくはない。

 即ち、既に館へ侵入を果たしているであろう聖白蓮とは事を荒立てることなく接触する、というのがベストだ。

(DIOに会わねーでいられるなら会わねーに越したことはねーぜ! 何処にいやがるんだ、その住職サマはよォー)

 ここは紅魔館のエントランスホール。既に戦闘の後なのか、どこかしこが損傷している。
 外から見ても分かったが、この館はそれなりのデカさがあった。人ひとりを見付けるのに、敵エンカウント無しでやり遂げるにはどれだけの幸運が必須とされるのか。


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