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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

274奈落論:2018/08/09(木) 18:54:02 ID:eL9lb5wk0
『DIO』
【午後 14:54】C-3 紅魔館 二階客間


「失礼致します。DIO様、二人をお連れしましたわ」


 普段の奔放な態度とは明確に違う、上品な作法を前面に出した霍青娥が二回のノック音と共に、身体を柔らかに折り曲げて入室した。
 後方には真っ青な顔でただ連れられるメリー。その少女を見張るように最後尾につく蓮子の二人。
 既に友人と談笑でも開始していたのか、DIOとプッチは何とも座り心地良さそうな椅子を対面に向け合い、三人の来客の姿を認めた。

 ふと刺々しい視線を肌に感じ、青娥は部屋の窓際に目を向ける。吸血鬼在室中ゆえ基本的に殆どの窓にはカーテンが掛けられていたが、その一角だけは半分ほど幕が開けられ、ふてぶてしい態度のディエゴが日光に目を細めていた。
 怪我人なのだから大人しく個室で休むか、せめて座ってれば良いですのに……と、青娥は言葉には出さずとも視線に込めて彼にお節介を焼いてみた。無視されたが。


「あぁ、ご苦労だった青娥。君も疲れているだろうし、遠慮せずに座りたまえ」


 家主(ではないが)の許可が得られたところで、青娥はスカートの裾を押さえながらちょこんと椅子に座る。今更その白々しい恥じらいは淑女の真似っぷりにしか見えないが、彼女が演じると相応の絵になるのも事実だった。

「どうしたメリー? 怖がらなくていい。君も楽にしていいのだよ。もっとも、蓮子の分の椅子は足りないがね」

 さあ、とDIOは自身の真横に置かれた同様の椅子を指し、朦朧のメリーを柔らかく導いた。
 逞しく盛り上がった二の腕と反発するかの如く、ピンと伸ばされた人差し指は細く、白く、滑らかに。場の全員が男の何気ないその所作を、優れた指揮者の振るうタクトの動きと被って見えた。
 だが彼の危険性が脳骨に染み込んでいるメリーにとって、その仕草一つ取っても死神の手招きにしか映らない。その上、一体いつ付けられたのか。男の左瞼の上から下を切傷が真一文字に走っていた。

 知れたことだが抵抗も無駄。諦観に頭を支配されかけているメリーはもう、大人しく従う以外の道など選べるわけがない。

(また、知らない男の人…………DIOにそっくりな人と……『神父』、さま?)

 彼女の視界の内には更なる新手の二人。
 あのDIOと瓜二つの顔形を持ったジョッキー風な男性に、神父服を着た教誨師の様な男性。こちらは一見温和そうで、DIOとの距離感も近く見える。
 第一印象ではあるが、この中では一番話が通じそうな人種というか、穏やかな人物かもとメリーは受け取った。
 その神父らしき男がメリーを眺めながら、まったりと口開く。

「この娘が君の言っていた『境界が見える』女の子かい? DIO」
「ああそうだ。中々面白そうな人材じゃあないか?」
「君の話通りならね」
「なあメリー……そう怖がるなよ。彼は私の友人で、エンリコ・プッチという。見ての通り教会職さ」

 そう言ってDIOは対面に座る神父を紹介した。その様は父親が娘へと、来訪してきた旧友を紹介するようであり、DIOの奇抜な格好を除けば何ら不自然のない光景だった。
 オドオドする余裕すら無くなっているメリーは、招かれるままに用意された椅子へと腰を下ろす。後ろを付いてきていた蓮子が、無言のままに背後の位置へ立つ気配も同時に感じながら。

「どうだプッチ。君はどう思う?」

 DIOは実に楽しげにメリーを指しながら、友人の意見を尋ねる。

「どうって」
「メリーさ。非常に酷似しているのだよ、あの八雲紫の容姿や能力と」
「と言われてもな。私はその八雲紫をまだ目にしてすらない」

 ごく簡単な見落としを指摘されたも同然なDIOは、「それもそうか」と自らの額を軽くぺしっと叩く。多少盛り上がっているDIOに比べ、プッチはやや大人しめだ。彼も怪我人には間違いなく、疲れも幾分見えている。
 しかしその表情に一切の煩わしさは浮かべず、彼自身も友人との会話を楽しんでいる節はある。マイペースな人物、と初見ながらもメリーは思った。


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