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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所7

337サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:10:15 ID:kyCPAeeI
【イノセント】

「おまえ魔女を見たことあるか?」
「いいや、ないね」
「だろうな。魔女の絶対数は少ないし、大抵は軍の中で隔離されてるもんな」
「おまえは見たことあるのか?」
「あるよ。…聞いて驚け。あいつら本物の子供なんだぜ!」
「なんだそりゃ…?」
「だから、本当に子供なんだよ。そこらにいる餓鬼と何もかわらねぇ」
「ふーん…少し飲み過ぎだな、おまえ」
「酔ってねぇよ。…とにかく聞けって」
「さっきから聞いてるよ」
「うん…その子供達が戦場の最前線にいるわけよ。信じられるか?」
「魔女しか対抗できないしな。それに…シールドがあるから平気なんだろ?」
「大本営の公式記録じゃ魔女の死傷率は限りなくゼロに近いってことになってるけどな…」
「違うのか?」
「実態は悲惨なもんだ」
「…そうか」
「中には怯えきってしまい、戦場に出ることを拒否する魔女もいる。
いや…大抵の魔女がそうだな。泣きながら逃げちまうんだ。
まあ…無理もないけどな」
「…」
「そんな子供達を気持ちよく戦場に送り出すために、どーすると思う?」
「さあ…考えたくもないね」
「薬だよ! 子供達に薬を投与すんだ! 信じられるか? 恐怖心を麻痺させて、残虐性だけを引き出すんだ!
中には精神崩壊しちまう魔女もいる。そいつらはお払い箱さ。ただの道具なんだよ!」
「…」
「だから俺達はコアコントロールシステムを開発する。子供達に闘わせないために。子供達を犠牲にしないために…」
「そういえば…お前の娘も魔女だったな。確か戦場で大怪我をして引退したとか…。今はどうしてるんだ?」
「娘の話しは…やめて…くれ…」
男は酒瓶を手から滑り落とすと、テーブルに覆いかぶさるようにして酔いつぶれた。

「しょうがねーな…。だから言ったろ? 飲み過ぎだって。そろそろ帰った方がいい。いま迎えを呼んでやるよ」
男は席を立つと後ろで控えている兵士に声を掛けた。
「マロニー大将のお帰りだ。表に車をまわしてくれ。それと…貴様がこの場で聞いたことは軍の最高機密事項だ。
…わかってるな?」

兵士は青ざめた顔で震えながら敬礼すると、駐車場へと走った。

338サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:11:03 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】1/7


サーニャが夜間哨戒から帰って来た時、滑走路の隅から青年が飛び出してきて声を掛けた。
そこに人がいると思ってなかったサーニャは、心臓が止まるほど驚いて一瞬悲鳴をあげた。
「驚かせてしまって申し訳ありません。そんなつもりじゃなかったんだけど、その…まいったな…」
胸の動悸を手で押さえながら、サーニャはふーっと軽い溜め息をついた。
「こちらこそ御免なさい。まさか人がいると思わなかったから驚いちゃって…」
どぎまぎしながら対応したサーニャは、それでも少し落ち着きを取り戻した。
まだ薄暗い滑走路のなかで改めて青年に目をやると、見慣れない軍服を着ていることに気がついた。
サーニャはまじまじと青年の顔を眺めた。痩せ形で背が高く優しい目をしている。
「501支援部隊のかたですか? 珍しい軍服ですね?」
「僕は最近オラーシャから配属されたんです。徴兵された途端に何も知らない異国の地に島流しです」
青年はおどけた調子で言うとケラケラと笑い出した。
オラーシャという言葉に興味を抱きながらも、サーニャは素知らぬ顔で尋ねた。
「…それで、私に何かご用ですか?」
「あぁ失礼しました。じつは先日もこちらで中尉殿を目にしました。優雅に空から舞い降りてくる姿に感動しちゃって…」
「はぁ…」
「僕は徴兵される前は絵描きを目指してたんです。それで…もし良かったらモデルになって欲しと思いまして…」
「もでるぅう!? そんなの無理です! 絶対無理!」
「迷惑はかけませんから。夜間哨戒から帰ってきた所を毎日10分程で構わないんです。お願いします!」
青年は深々と頭を下げて頼み込んだ。

339サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:11:24 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】2/7


「それで…素性も分からない不審な男の言葉を真に受けて、モデルの仕事を引き受けちゃたのかー?」
「うん…」
「お人好しにもほどがあるぞ、サーニャ!」
「そんなに怒ることないでしょエイラ。支援部隊の人だし素性はハッキリしてるわ。それに…悪い人には見えなかった」
「モデルなんて私は絶対に反対だな。だいだいサーニャは甘すぎるんだ」
サーニャは顔をしかめてベェーと舌を出して見せたがエイラは気がついていない。
「だいだい男の絵描きにろくな人間はいないんだ。扶桑の絵描きを見ろ。
股間ばかり描く変態だらけじゃないか。そんな変態の目でサーニャの事を見られるかと思うと私は私は…」
「エイラの馬鹿!」サーニャは枕を投げつけると部屋を出て行った。
一人残された部屋の中で寂しそうにエイラが呟く。
「私はサーニャの事が心配なだけなんだ。それなのに…サーニャの分からず屋!」

340サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:11:43 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】3/7


「お疲れ様ですサーニャ中尉。今日もご無事で何よりです。早速ですが始めましょうか?」
サーニャが夜間哨戒から戻ってくると、青年は既にキャンパスを広げて絵を描く準備をしていた。
「毎朝早いんですね。そんなに無理して任務に支障はないんですか?」
絵を描き始めてから既に一週間になる。
もうだいぶ絵は仕上がっていると思うが、青年は頑として絵を見せてくれなかった。
そんな青年にサーニャは軽い苛立ちを感じる。いったいどんな絵を描いてるのか気になって仕方がなかった。
「僕のことは気にしないで下さい。大丈夫ですから…」
青年は一心不乱に筆を動かしながら時おり真面目な瞳でサーニャを見つめた。
そのたびにサーニャは顔が赤く火照るのを感じた。
「絵が出来たら絶対に見せて下さいね」
「もちろんです…ってゆーか、絵は中尉殿に差し上げるつもりです」
「いいんですか?」
この青年は何の為に絵を描いてるんだろ。本当に絵の勉強のためだろうか?
サーニャは首を傾げて青年を眺めた。

341サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:12:28 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】4/7


「サーニャ。大切な話があるんだ…」
昼食が終わってリビングでくつろいでいる時にエイラがそっと耳打ちした。
「話ってなーに?」
他の隊員は部屋の中央で先日撮影した写真の話題で盛り上がっている。こちらに注目している者は誰もいなかった。

「例の青年のことだけど…少し調べてみたんだ」
エイラは少し躊躇いながら真顔で続けた。
「支援部隊にはオラーシャ出身の人間はいないんだ…何の目的か知らないけど、あいつは嘘をついてる!」
「…」
「ちゃんと聞いてるのか、サーニャ?」
「ごめん。今はその話はしたくないの。もうすぐ絵が完成するわ。そしたら…」
「そしたら…?」
「そしたら全てがはっきりすると思うの」
「そんな…! 私はサーニャのことが心配なんだ! あんな奴にこれ以上付き合うことなんてない!」
「私は平気だから。だから…もう少しだけ待って。エイラ」
サーニャは席を立つと足早に食堂を後にした。
「ちょ、ちょっと待って。話はまだ終わって…」
「ごめん。わたし今日も夜勤なの。だから先に寝るね」
「サーニャ…」

342サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:12:51 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】5/7


「エイラ中尉と喧嘩してるそうですね? もしかして僕のせいですか?」
申し訳なさそうな顔で青年が尋ねた。
「あなたが気にする事じゃないわ」
「絵は完成しました…けど、僕にはエイラ中尉の誤解を解けそうにありません」
「…」
「約束通り絵は差し上げます。僕の願いは叶いました。僕はここから消える事にします」

「もとの世界…いえ未来の世界に帰るのね?」
青年は驚いた顔でサーニャを見詰めた。
「驚いたな…いつから気がついてたんですか?」
「初めて会った時から。あなたエイラの面影があるわ」
サーニャは悪戯っぽく笑ってみせた。
「…なんてね。確信したのは写真を拾ってから。あなたエイラの写真を落としたでしょ? 色褪せた古い写真。
あの写真ね、4日前に撮られた写真なの。写真を見比べた時は本当に驚いたわ」
「やっぱり、おばあちゃんが拾ってたのか…あの写真」
「まさかと思ったけど、やっぱりそうなのね?
でも"おばあちゃん"はよして。私は"おばあちゃん"なんかじゃないわ」
青年は少し躊躇いがちに目を伏せた。
「…サーニャさんは僕の父親の母。エイラさんは僕の母親の母なんです。
つまり両方とも僕のおばあちゃんって訳です。今まで隠していてごめんなさい。
でも余計な混乱は避けたかったんです」
「おばあちゃん…? まさか…」サーニャは目を丸めて絶句する。
「本当に…本当に私があなたの"おばあちゃん"なの?」
「僕はサーニャおばあちゃんに似てるって、よく言われてましたよ。
見た目だけじゃなく芸術家としても、ね」
サーニャは困惑の表情を浮かべた。

343サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:13:26 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】6/7


「私が"おばあちゃん"だという事は認めたくないけど、とりあえず認めるわ。
でも、あなたはどんな方法でこの世界に来たの?」
問い掛けて直ぐにサーニャは気がついた。
「魔女の力を受け継いだのね。男の子なのに? 時間を跳躍する固有魔法?
そんな途方もない魔法力があるなんて信じられないわ」
「僕は伝説の魔女2人の血をひいてるんですよ。
それより、未来の世界がどうなってるのか興味はないんですか?」
サーニャは首を横に振った。
「あなたを見てれば分かるわ。とても幸せそうだもの。
それに…あなたの存在そのものが証明してる。私達の戦いが無駄ではないことを」
青年は照れたように頷いた。
「501部隊にいた頃の若いサーニャ"おばあちゃん"にどうしても会ってみたかった。
やっぱり来て良かった」
「このままエイラに会わないで帰るの?」
「エイラおばあちゃんは、僕が絵描きになることに反対してて…なんか苦手なんです」
青年は少し苦笑いをしながら答えた。
「だけど…、その絵はエイラおばあちゃんに渡してくれると嬉しいかな。
サーニャおばあちゃんからの贈り物なら、エイラおばあちゃんも喜びそうだし」
「なるほどね。分かったわ。エイラおばあちゃんの事は私に任せなさい。
あなたが産まれるまでに、絵描きに対する偏見を直してみせるから」
「ありがとう。僕はそろそろ帰ります。僕の能力じゃ上手いこと条件が揃わないと時間を跳躍できないから」
青年は明るみ始めた滑走路をゆっくりと歩き出した。
「ちょっと待って…」
サーニャが慌てて青年を引き止める。
「もう一度…もう一度だけ顔をちゃんと見せて」
サーニャは青年に近づくと両腕で青年を抱きしめた。知らぬ間に涙が溢れでていた。
この不思議な感情をどう表現すれば良いのだるう? サーニャには分からなかった。
「むこうに帰っても無理をしないで…体には気をつけて…」
青年はクスクスと笑った。
「やっぱりサーニャおばあちゃんだ。未来でも同じことを言ってる」
「年寄りの言うことは聞くものよ。元気でね…さよなら」
「またすぐに会えます。おばあちゃん」

344サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:14:01 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】7/7


サーニャは青年の描いた絵を壁に立てかけて眺めていた。
サーニャとエイラが寄り添うように並んでいる絵。凛々しくも優しい表情をしたサーニャとエイラ。
繊細なタッチで描かれたその絵からは、まぎれもない画家の愛情が溢れ出ている。
絵を眺めているだけでサーニャは幸せな気分になった。
「あいつ…何でエイラの写真を持ってるのかと思ってたら、こういう事だったのね。
…素直じゃないところはエイラに似ちゃったのかしら?」
腕組みしたサーニャは自分の考えが可笑しくてクスクスと笑い出した。

「サーニャ? これが例の不審人物が描いた絵か?」
いつの間にかエイラが横に並んで絵を覗き込んだ。
「うわっ! これって私じゃないか? な、なんでだ? 私はモデルになった覚えはないぞ」
「素敵な絵だと思わない? エイラ」
エイラは無言のまま絵を眺めていたが、暫くしてからポツリと呟いた。
「うん…いい絵だな…」
内心でガッツポーズをとりながら、サーニャは涼しげな顔をしている。
「気にいった?」
「うん。なんて言うか…サーニャが綺麗だな…」
「この画家さんね、この絵をエイラに貰って欲しいんだって言ってたわ」
エイラが必死の形相で振り向いた。
「えっ! いいの? これを本当に私が貰ってもいいの?」
「私もエイラに貰ってもらうのが一番良いと思う」
「そうか、この絵は家宝として孫の代まで大切にする」
「うん。きっと私達の孫も喜ぶと思うわ」
「えっ?」

「戦争もいつかは終わる。いつの日か私も年老いて、この手に孫を抱くことになるのね」
サーニャは感慨深い気持ちでいつまでも絵を眺めていた。

345サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:14:23 ID:kyCPAeeI
【模擬訓練】1/3


宮藤は午前の模擬訓練が終了すると、真っすぐにサーニャの所に向かった。
「ねぇ、エイラさんって弱点ないのかなー?」
宮藤の服はペイント弾のインクでベトベトに汚れている。
「いくら撃っても予知魔法で読まれちゃって全然当たらないんだ。エイラさんズルいよ。
サーニャちゃんならエイラさんの弱点知ってるんでしょ?」
「知ってるけど…」
サーニャは少し困った顔をして続けた。
「エイラの弱点を教えることは出来ないわ。だってそれはエイラを裏切るのと同じことだもの…」
宮藤は一瞬ハッとした顔をすると頬を赤く染めて恥いるように下をむいた。
「そ、そうだよね。ゴメンね変なこと訊いちゃって…」
宮藤につられるようにサーニャも頬を赤らめてうつむく。
「ううん。こっちこそ役に立てなくてゴメンね…」

346サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:14:41 ID:kyCPAeeI
【模擬訓練】2/3


午後の模擬戦でサーニャはエイラと対戦することになった。
後ろから執拗にマークしてくるエイラを魔導針で補足しながら、サーニャはぼんやりと宮藤のことを考えていた。

「芳佳ちゃん…エイラを撃墜する方法は本当は沢山あるの。
一つ目は予知しても避けようのない攻撃をする方法。例えばペリーヌさんの雷撃みたいに。
二つ目はエイラの魔法力が消耗するのを待つ方法。鋭い攻撃を続けて予知魔法をずっと使い続けさせる。
三つ目はエイラに予知魔法を使わせない方法。心理的な揺さぶりを掛けるなどしてエイラの集中力を撹乱する。
そして四つ目は…」

サーニャは目の前に浮かぶ大きな雲に飛び込んだ。

347サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:17:39 ID:kyCPAeeI
【模擬訓練】3/3


サーニャを追ってエイラも雲の中に飛び込んだ。濃密な雲の中は、まるで視界が効かない。
追撃を諦めて雲から抜け出そうとしたエイラは突然顔色を変えた。
「ま、まずい!」
狼狽したエイラの腹部と右肩にサーニャのペイント弾が直撃した。
困惑するエイラに次々とペイント弾がヒットしていく。

「四つ目は…エイラの予知した光景を利用する方法。
エイラは少し先の未来の光景を見ることが出来るわ。
でも濃密な雲で視界が遮られてる状態では、エイラの見てる未来の光景も雲に遮られている光景でしかないの。
エイラは自分が撃たれた場面を知る事はできても、弾がいつどこから何発飛んできたのか『見る』ことは出来ない…
だから、エイラはどの方向に逃げれば良いのか分からないし、予知魔法で逃げる方向を検証してる時間的余裕もないわ。
でも私にはエイラの正確な位置が見えるし、エイラが何を予知しているのか『見える』…」

サーニャは軽いため息をつくと沈んだ表情で呟いた。
「もちろんエイラは私が相手だから手加減してるわ。でもねエイラ、私も手加減してるのよ。
私が本気なら、雲の中に誘い込むようなまどろっこしい真似はしない。
最初からナパーム弾を使って、エイラの周囲1キロ四方を一瞬で火の海にしてるわ」

348サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:21:57 ID:kyCPAeeI
【SHE/みっちゃん編】


遠い風が運んだエアメール
ぎこちない綴りの宛名書き
ポトリと落ちた一枚の写真
あなたと伝説の魔女たち 501部隊に溶け込んだあなたの笑顔

あなたの全てを変えた土曜のベースキャンプ
制服を着替えて お洒落をして ピアスをして 二人で急いだ

Dear my best friend
元気でいて 見知らぬ空の下
Dear my best friend
泣き虫のあなた 海を飛び越した

あのころ語り合った夢
現実はそんなに上手く行かないね
あなたの活躍を聞いてから
本気で夢を追うことなんて
今は忘れてしまいそう

ニュースが伝えるあなたの活躍を見ていた
手の届かぬ場所へと あなたは行く
わたしは ただ ただ立ちつくした

Dear my best friend
覚えてるよね 壁の落書きを
Dear my best friend
時間が落とした小さな忘れ物
Dear my best friend
幸せそうな写真をふせる
Dear my best friend
元気でいて 見知らぬ空の下
Dear my best friend
泣き虫のあなた 海を飛び越した

349サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:23:35 ID:kyCPAeeI
>>348はSSじゃねーな。プリプリの名曲を改竄したものだわな。まぁ良いか…

350Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:29:00 ID:nqEBa8jM
おはようございます!Hwd8/SPpです。

>>315-347
いやあ…やはりエイラーニャ人気はスゴいですね!読んでいてとても勉強になります!

話は変わりますが、2008年11月26日にn7rMsqmD様が書かれた「ウィッチーズ劇場シンデレラリーネ」という作品が大好きです。しかし、未完なため続きはどうなるのだろう…?とずっと思っていたのですが…。
なので誠に勝手ではございますが!続きを自分が書きました!…勝手な行動をお許しください;;


【ウィッチーズ劇場 シンデレラリーネDX】

(語り手:ミーナ)

むか〜しむかし…あるところにリネットという胸が大きい、可哀想な女の子がいました。
リネットのお母さんは生まれてすぐに死んでしまい、お父さんはミーナというカールスラント人と再婚しました。

「たっ、隊長がお母さんだなんて…っ」
「リーネちゃん!!もう物語始まってるよ!!;;」

ゴホンッ…ミーナには、トゥルーデとエーリカという2人の連れ子…ちょっと!私まだ18よ?!

「ミーナ、落ち着け」
「でも美緒!」
「愚痴なら後でたくさん聞いてやる」
「…もう…」

連れ子が2人居て、お父さんが生きているうちは仲良くしていました………が!
お父さんが死んだ途端、ミーナは財産を全て自分達の物にしてリネットには襤褸を着せて、まるでメイドの様にこき使っていました…。

「まるで鬼ね…」
「いやあ、ミーナ合ってるかもよ〜」
「…エーリカ、後で私の部屋に来なさい…」
「ってエイラが言ってた」
「わっ、私カヨッ??!!」

そして、トゥールデとエーリカはいつもリネットを虐めていました。

「ゴホン…リーネ、スマン…これはセリフなんだ。きっ、貴様…なんてけしからん乳をしているんだ!」
「アハハ…どーしてロクな物を食べていないくせにおっぱいが大きいんだろうね…トゥルーデ姉さん♪…あ、お姉ちゃん」
「その言い方はやめろ!!!」

そしてトゥルーデとエーリカはいつものようにリネットの胸を、まるでパン生地の様にこねくり回して弄んでいました。

「ひひひ…どうだどうだ〜っ!」
「やめて下さい…トゥールデ義姉さん、エーリカ義姉さん………ちょっとハルトマンさん、台本では『フリ』だったのに本気で揉むのはやめてくださ〜い(泣)」
「あ、ミー…お母さんが帰ってきた!」

351Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:30:58 ID:nqEBa8jM
>>350の続き。

ドレスの包みを抱えたミーナが帰ってくると、トゥルーデとエーリカに向かってこう言いました。

「明日、お城で舞踏会があります。ひょっとすると、芳佳王子の目に留まるかもしれません!二人とも、頑張っておめかしして舞踏会に備えましょう!」
「みやふ…芳佳王子が私のモノに!よし…芳佳…よしっ…よしホーッ、ホアーッ、ホアアーッ!!!!」
「トゥルーデ落ち着いて!!;;」

「お義母様…ドレスの包みが3つありますが…」
とリネットはミーナに聞きました。

「これは私の分です。もしかしたら美緒国王の目に留まって側室に…(ジュルリ」
「うわ〜、ミーナ半分マジだよ…」
「そうそうリネットさんにはカラス豆を選別して貰います」

リネットはがっかりしました。

「リネット!さぼったら承知しないからな!」
「けっこう毛だらけ〜リネット灰だらけ〜♪」
「…ぐすっ」

2人の義姉はリネットに追い討ちをかけるような事を言い、包みを抱えて自分達の部屋に向かいましたとさ…。

352Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:32:36 ID:nqEBa8jM
>>351の続き。

そして舞踏会の夜…リネットはかわいそうに1人残って泣きながらカラス豆を選別していました。

「残らせたのはミーナじゃ〜ん」
「だから黙ってろ、エーリカ!」
「へ〜い…」

「ああ、わたしも舞踏会に行きたいわ。芳佳ちゃ…芳佳王子さまに、お会いしたいわ」

でも、シンデレラのボロボロの服では舞踏会どころかお城に入る事も許されません。
その時、どこからか声がしました。

「泣くのはおやめなさい!!!!」
「キャッ!?不法侵入!!??」

「現実的ダナ、このシンデレラ…」

「だっ…誰ですか?」
「私はペリーヌ。誇り高き妖精ですわ!」
「リーネさん、アナタははいつも仕事をがんばる、とても良い子ですね。そのごほうびに、このワタクシが舞踏会へ行かせてあげましょう………あんな38歳に坂本少佐を取られるだなんてたまったモンじゃありませんわっ!!」
「あは…あははは」

…ペリーヌさん、後で私の部屋に来てくださいね。

「ゴホン…ではリネットさん、畑でカボチャを取ってくださいまし」
「はっ、はい!」

魔女に言われた通り、リネットは畑からカボチャを取って来ると魔女はそのカボチャを魔法のつえで叩きました。

「トネール!…ラピエルッ!!!!」

凄まじい雷光とともに、そこには………

「ウジュー…私はシンデレラ役やりたかったよぉ〜!」

カボチャがどんどん大きくなり、何と黄金の馬車(正確にはルッキーニさんがカボチャの着ぐるみを)になったではありませんか!

「あつい〜あ〜つ〜い〜」
「ゴメンね、ルッキーニちゃん…後で冷たい飲み物作ってあげるね…」
「なんでぺったんこが継母役じゃないの〜?」
「なっ!!しょうがないでしょう!!それに何です?!そのあだ名!!」
「ぺったんこはぺったんこじゃ〜ん」
「2人とも!!今は…ケンカはよした方が…」

ゴホンッ…ペリーヌさん、続けて。

「ごめんなさいわ、えと…まだまだ、魔法はこれからですわ!さてと、馬車を引くには馬が必要ですわ。その馬は、どこにいるのかしら?」

すると魔女はポケットからウサギを取り出しました。そして先ほどと同じように、

「トネール!…ラピエルッ!!!!」

凄まじい雷光とともに、そこには………

「えと…この扱いは流石に酷いと思うんだけどなあ…」

ウサギは立派な白馬(正確にはシャーリーさんが馬の着ぐるみを)になりました。

「これって特別手当出るんだよな?隊長」

え、ええ…まあ…シャーリーさん!今はこれに集中して!

「おっといけね、ヒッ…ヒヒ〜ン!!」
「さあリーネさん!これで舞踏会に行く仕度が出来ましたわよ」
「うれしいです!ありがとうございます!…でも、こんなドレスじゃ」
「あぁ、もう!一度で仰いなさい!もう!」
「す…すいません…」

魔女がまた杖を叩くと、みすぼらしい服はたちまち輝く様な純白の美しいドレスに変わりました。
同時に、小さくて素敵なガラスのクツもくれました(ここ、重要!)。

「さあ、楽しんでおいでませリーネさん。でもワタクシの魔法は12時までしか続かないから、それを忘れないこと」
「わかりました〜!ペリーヌさ〜ん、ありがとうございま〜す!」

そうして、リネットは馬車に乗り芳佳王子の居るお城へ向かいました…。

353Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:34:12 ID:nqEBa8jM
>>352の続き。

その頃、お城ではダンスパーティーが催されていました。

「ウジュー…私たちは一人何役なの〜?」
「がーまんだ、ルッキーニ」
「と言うか私もダゾ…それにしてもサーニャ、ドレス似合ってるゾ!」
「エイラも…タキシード服似合ってる…」
「…お2人さん、イチャつくのはロビーでやってくんないかなあ?」
「ねえシャーリー!あそこにあるオードブル食べようよ〜」
「そうだなあ………って、ペリーヌ!お前いつの間に魔女役からウェイター役に変わったんだ?!」
「うるさいですわねえ…人手が足りないですの!」
「ほえ〜っ…ペリーヌ、胸が小いさいから男の服が似合うね〜!」
「なななな何ですの??!!」

ゴホンッ…
さて、お城の大広間にシンデレラが現れるとそのあまりの美しさにあたりはシーンと静まりました。
それに気づいた芳佳王子が、シンデレラの前に進み出ました。

「うわあ…リーネちゃん、綺麗〜っ!!」
「あ、ありがとう芳佳ちゃ…王子さま…」
「えと…ミーナ隊長、セリフなんでしたっけ??」
「おいミヤフジー、ちゃんと台本読んどけヨー」
「あ、思い出しました思い出しました!!ぼくと、踊っていただけませんか?」

「宮藤宮藤宮藤宮藤宮藤…」
「トゥルーデ、セットの柱が壊れちゃうよ…そんなしがみついたら…」

リネットはとてもダンスが上手でした。
王子はひとときも、シンデレラの手を離しません。
楽しい時間は、あっという間に過ぎてハッと気がつくと12時になる15分前です。

「あっ、いけないわっ!…おやすみなさい、王子さま」
「えっ、リーネちゃん??!!」

リネットは丁寧にお辞儀をすると、急いで大広間を出て行きました。
ですが、慌てた拍子にガラスのクツが階段にひっかかってガラスのクツが脱げてしまいました。

「あっ!!」

12時まで、あと5分です。
カラスのクツを、取りに戻る時間がありません。シンデレラは待っていた馬車に飛び乗ると、急いで家へ帰りました。
シンデレラの後を追ってきた王子さまは、落ちていたガラスのクツを拾うと王さまに言いました。

「ぼくは、このガラスのクツの持ち主の娘と結婚します」
「わっはっは…そうか宮藤ぃ!なら結婚する前に訓練だぁ!」
「えぇぇっ??!!さっ、坂本さん…」

354Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:34:49 ID:nqEBa8jM
>>353の続き。

次の日から、お城の使い(エイラさんとサーニャさん)が国中を駆け回り、
手がかりのガラスのクツが足にぴったり合う女の人を探しました。

「ムリダナ」
「エイラ…」
「だって王子もムチャ振りダゾ?こんな何千軒もあるのに…」
「私も手伝うから…」
「キョ、今日ダケダカンナー」

そしてお城の使いはリネットの家にもやって来ました。

「さあ2人とも!このクツが足に入れば、あなたたちは王子さまのお嫁さんよ」
「うわあ…ミーナ、お母さん役が染みついてるね」
「………っ」
「おおおいエーリカ!!どれどれ!私から履いてみよう!!」
「…お願いだからトゥルーデ、履く『フリ』をしてよ?魔力解放とかして壊さないでね」
「…;;」

二人のお姉さんたちは小さなガラスのクツに足をギュウギュウと押し込みましたが、
どう頑張ってもガラスのクツは入りません。

「わ〜無理だ〜(棒読み)」
「残念ながら、この家には昨日の娘はいないようダナ」

そう言ってお城の使いが帰ろうとした時、リネットが現れて言いました。

「リーネさん、どうぞ…」
「何をバカな事を言っているんだ!!」
「えと…そうよ、あたしたちにも入らないのにあんたなんかに(棒読み)」
「もっと力を入れて演技しろ!」
「え〜…だってだんだん面倒くさくなってきたんだも〜ん」
「あ…」

すると1人の使いが小さな声をあげました…

「当たり…ダナ」

リネットが履いてみると、ガラスのクツはピッタリです。
みんなは驚きのあまり、口も聞けません。

するとそこに、ペリーヌさん扮する魔女が現れます。

「あらあら、わたしの出番ですわ」

魔法の杖を一振りすると、リネットはたちまち眩しいほど美しいお姫さまになっていました。

「「「あっ、あのリネットが??!!」」」
「………バルクホルン大尉、今ちょっとタイミングがズレたロ?」

お母さんと二人のお姉さんたちは、ヘナヘナと腰を抜かしてしまいました。
それからシンデレラは王子さまと結婚して、いつまでも幸せに暮らしました。

めでたしめでたし………。


***

355Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:36:04 ID:nqEBa8jM
>>354の続き。




「…やはりやめましょう」
「えぇっ??!!」
「うん、そもそも主役がリーネって時点で地味なんだよね〜。やっぱ主役はこのエーリカちゃんじゃなきゃ」
「酷いです、ハルトマン中尉」
「じゃあ私やる〜っ!!!!」
「ルッキーニはカボチャの馬車役でじゅうぶ〜ん」
「はああ…」

リハーサルの終えたステージにて、ミーナはその場で座りこむ。

「地域貢献の一環として、近隣の村の子供に見せようと思ったけど…こんな劇は見せられないわ!」
「わっはっは、ならば私が能を舞おう」
「え?!坂本さん、舞えるんですか??!!」
「舞えん!」
「と言うか、おっぱい揉む童話なんて聞いたことないわ!!」
「しかし、ミーナ…予算かけてセットや小道具を作ったんだぞ?」
「中止よ、中止!」
「私とエイラが協力して台本書いたのに〜」
「そうダゾ!本来はもっとリーネがあんな目やこんな目に遭うシナリオだったんダゾ?!」
「エイラ…」
「………頭痛いわ、私は横になってます。それと、エーリカとペリーヌさんは後で私の部屋に来なさい」




【おわれ】



以上です。書いててスゴい楽しかったです!
何か不都合等がありましたらご連絡お願いします。

356名無しさん:2011/02/12(土) 11:04:51 ID:fC7sHxpQ
>>315-347
短編集かな、乙。雰囲気すきだった
あんまり長いのはあぷろだにテキストでまとめた方がいいかもな

>>355
コメディおもしろかった乙

357サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 18:05:15 ID:kyCPAeeI
【Magic Waltz】

基地にはピアノが設置されている。ミーナ隊長の趣味で用意されたピアノだ。
暇があるとサーニャは、このピアノに張り付いて延々と曲を弾き続ける。
有名なクラシックからジャズ、ポップスに至るまで何でもこなす。気分のままに即興で曲を作る事も多い。
エイラはサーニャのピアノを聴くのが好きだった。

気だるい日曜の午後、エイラはピアノの音に誘われて音楽室のドアを開けた。
「ここにいるのかサーニャ?」
部屋の中を覗き込んだエイラが絶句した。
サーニャのピアノに合わせて、無数の花びらが部屋の中を渦を巻いて舞っている。
「な、なんだコレ?」
そよ風に舞う無数の花びらを目で追いながら、エイラはサーニャの隣に腰を下ろした。
「どう? 素敵でしょ?」
ピアノを弾きながらサーニャが尋ねた。
「うん…でもコレは?」
「Magic Waltzという曲よ。1900という名前の人の曲」
「いや、曲名じゃなくて…」
言いかけたエイラが部屋の片隅に目を留めた。
「ハルトマン…?」
部屋の隅でハルトマンがクスクスと笑っている。
「気づくのが遅いよエイラ」
「何やってんだ、こんなとこで?」
「演出。Magic Waltzって曲にピッタリでしょ?」
「うぐぐ…確かに悪くはない」悔しそうにエイラが言う。
「村の人達に招待されて、次の日曜日に公民館で演奏することになったの。その練習よ」
サーニャが慌てて説明した。
「地域貢献の一環ってやつ。ミーナ隊長の命令でもあるんだよ」ハルトマンが補足する。
「そうか、それなら私も協力するぞ!」
「いいけど、エイラは何か楽器が弾けるの?」ハルトマンが意地悪そうに言う。

「私はDJ兼MCパーソナリティをやる! スターライトストリームで慣れてるから安心していいぞ」
「えっ?」

358mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/12(土) 21:50:42 ID:Vrkwrbm2
>>サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk様
GJです。短編集ですかね? どれもステキです。凄い量に圧倒されました。

>>355 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJ! 相変わらずのハイテンションぶりが面白かったです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
軽く思い付いたネタを、短く文章化してみました。
ではどうぞ。

359memory and record:2011/02/12(土) 21:51:37 ID:Vrkwrbm2
 風の無い穏やかなある日の事。兵舎の窓のひとつを開け放ち、外を見るビューリングの姿があった。
「ビューリングさん、こんな所で一体何を?」
「ちょっとな」
 煙草の火をくゆらせ、どんよりと曇った空を眺める。
 しばしの沈黙。エルマはビューリングの背後に立ったまま。ビューリングはそんな彼女の表情を振り返って見る事も無しに、ぽつりと言った。
「あいつの……」
「えっ?」
「昔の話さ。ライバルだった奴が居るんだが……そいつが戦死してな」
「そうなんですか。お気の毒に……」
「今日はそいつの命日なんだ」
「……」
 冷たい風が、軽く窓を通して部屋に入ってくる。お構いなしのビューリングは、煙草をくわえ、言葉を続けた。
「ここには墓も無いし、思い出すものと言えばあいつの小憎らしい顔位。でも、せめてもの手向けに、思い出す位はしてやらないと」
「十分ですよ。だって、覚えていてくれる人が居るって事は、それだけ覚えてる人に愛されてるって事ですから」
「エルマは優しいな。無条件にそう思えるなんて」
「えっ……違うんですか」
 ビューリングは何も言わずに、もう一本煙草を取り出すと火を付けた。
「私は……」
 エルマの方を振り向き、ビューリングは独り言の様に呟いた。
「ネウロイとがむしゃらに戦って名誉の戦死を遂げるか……一人生き残って恥を背負うか」
 エルマは黙り込んで、ビューリングの顔をじっと見た。
「私にはどっちも出来ん。せいぜい、馴染みの顔を思い出して……」
「そうやって、いじけてるの良くないと思います」
 毅然とした表情のエルマ。
 珍しい。
 ぴくりと眉を動かして反応を見る。エルマは彼女なりに、必死に訴えかけている。
「亡くなった方を弔うのはとても大事な事です。でも、貴方には……」
「分かってる。生きて恥を背負ったまま、今の仲間を守るさ。私にはそれしか出来ん」
 煙草の火を消し、エルマの顔をじっと見る。
「それなら、良いんです」
「エルマに納得された」
 少し驚くビューリング。
「もっと、今の貴方を、今の私達を、大事にしてくれれば、それで良いんです」
 エルマはそう言って、一歩踏み出した。
「分かってるさ」
 ビューリングは、エルマをそっと抱きしめた。ごく自然な感じで。
 一陣の風が、二人を包み、抜けて行く。
 ビューリングは鈍色の空と太陽を窓越しに見上げた。
 エルマは彼女の悲しそうな目を見た。やがて、彼女の瞳が自分のそれと重なる時、悲しみは薄れ、希望にも似た光を湛えている事に気付く。
「そうだな。私は……」
 言いかけたが、エルマにぎゅっと抱きしめられ、ビューリングは答えが出なかった。でもそれで良かった。
 居なくなった者を慰めているつもりが、逆に慰められるとは。でも、それで……。

end

360名無しさん:2011/02/12(土) 21:51:48 ID:Vrkwrbm2
以上です。
ビューリングさんは何処か引きずってる感じがして
それをエルマさんが頑張って癒してあげたらと思います。

ではまた〜。

361名無しさん:2011/02/12(土) 21:52:44 ID:AySEBkRw
何処かに載っていたSSにサーニャスレに投下されたやつの転載オンパレード
ついでに百合としては喧嘩売ってるやつまで・・・
荒らしはどっか行ってくれないか

362名無しさん:2011/02/12(土) 21:56:39 ID:AySEBkRw
NG→ID:kyCPAeeI

363サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 22:16:39 ID:kyCPAeeI
>>361
荒らしてるつもりは無いけど厳しいな。まぁでも駄目なんだろうな。
ハルトマンを主人公にしたSSも考えてるけど、長くなりそうだし百合でもないしないしな。

でも、せっかくだから触りの部分だけでも投下させてくれ。


【ホムンクルス計画】


『ナチズムを政治運動としか理解せぬ者は、実は何も知らないに等しい。ナチズムは宗教以上のものだ。
それは新しい人類創造の意志である。自分とその組織は、新人類を創造する使命を受けているのだ』
〜アドルフ・ヒトラーの談話より抜粋


1929年、私はカールスラントの施設で産れた。ナチスの前身であるトゥーレ協会を母体とする大きな研究所だ。
後にトゥーレ協会はナチスに疎まれて排除されることになるが、その思想は確実にヒトラーの中に残された。
すなわちアーリア民族主義。ハインリヒ・ヒムラー長官はこれを自身のオカルト思想と結び付けて、様々な秘密
結社を立ち上げていた。一般に知られる「レーベンスボルン(生命の泉)計画」は、人口増加と純血性の確保を
目的とした母性養護の福祉機関だと言われているけど、本質的には人種改良計画の一翼を担っている。
だけど、それは深い闇に閉ざされた全体の中の一部でしかない。
それより遥か以前に積極的優生学に基づく「本当の人種改良計画」の研究は始まっていたんだ。

私の産れた研究施設もその中の一つだった。
目的は『高レベル魔法力を持つ魔女の遺伝子を解析し、人工的にレベル5以上の魔女を量産する』こと。
研究所の人達はそれを「ホムンクルス計画」と呼んでいた。
当初の研究はネウロイの出現とは何も関係はなかった。それは純粋にナチスの思想に基づくものだった。
ネウロイの出現以降、研究は対ネウロイの戦略的な軍事研究へと変貌していく。

親愛なるトゥルーデ。何から話して良いのか未だに気持ちの整理がついていない。
私はこれから「ある行動」を起こさなくてはならない。私の行動に賛同してもらうつもりはない。
ただ、私が行動しなければならないという事を理解してほしい。
カールスラント総統のヒトラーの動向がはっきりした。あいつは私達がカールスラント奪還作戦を決行する日に
すぐ近くまで来る予定なんだ。本当にすぐ近くまで、私の手が届きそうな距離に。

親愛なるトゥルーデ。あなたがこの手紙を読み終える頃には、全ての決着がついているだろう。
どのような結末を迎えることになったとしても、私はトゥルーデと出会えた事を神に感謝したいと思う。

364名無しさん:2011/02/13(日) 00:02:55 ID:Smzv2GJY
ううん、読むのが間に合わない。
2月13日の祭りに巻き込まれる前に投下するつもりだったんだけど、>>363のつづきは大丈夫なのかな?
なければ短めのを投下したいんだけど。

365名無しさん:2011/02/13(日) 00:06:09 ID:2JIf5OhM
ここは『避難所』ですよ〜

366サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/13(日) 00:12:00 ID:VrhkGu5s
>>364
もう辞めとくから大丈夫ですよ

367zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:28:40 ID:Smzv2GJY
>>366
そうなのですか…。
個人的にはここに投下しにくいないようでしたらpixiv小説などへの投下もアリじゃないかと思います。

今日が誕生日のキャラとは全然関係なくてごめんなさい。
真美とおケイさんネタです。

368zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:33:38 ID:Smzv2GJY
●トブルク1943 まみちゃんがおっぱ(ry

「うん、しょ……っと。ケイさん、書類はココでいいですね」
「……ええ、ありがとうね、真美」

 冷え込みのきつくなる夜。
 お使いを色々頼まれて辿り着いたテントの中、ケイさんは書類に埋もれていた。
 そんなところに更に書類束を持ってきたものだから流石のケイさんも「うえー」って表情になる。
 そうはなるけれど、お使いを頼んだ対象であるわたしなんかにしっかりと「ありがとう」という感謝の言葉を作れるのは本当に大人だなぁと思う。
 そんなケイさんにわたしが出来る事は……そうだ。

「あの、ケイさん」
「なぁに? 真美」
「肩、凝ってませんか?」
「あら、もしかして」
「はい、デスクワークで疲れているでしょうし、よろしければ肩揉みでもと思いまして」
「嬉しいわね。じゃあ、お願いしてもいいかしら? すこし休んだ方が帰って効率上がりそうだし」
「はいっ」

 そんなわけで背もたれのある椅子に腰掛けたままのケイさんの肩をもみ始める。
 まずは様子見で軽く揉みながら全体を把握します。
 うん、とっても硬い。
 肩の上のラインから肩甲骨の間辺りの辺りがガチガチになっている感じ。
 これは、もしかするともっと下の方まで固くなっているかも。

「ケイさん、ちょっとお願いがあるんですけれど」
「ん? どうしたの?」
「ええと、逆向きに椅子に腰掛けられませんか」
「あら、ずいぶんと本格的になってきたわね。いいわ……よし、これでいい?」
「ありがとうございます」

 背もたれ側を抱くようにして座りなおしたケイさんの肩から背中にかけてを改めて触る。
 結構下の方まで背骨の両側とか、肋骨よりも下の辺りの腰に硬さがある。
 わたしの武器の調達とか、偉いおじ様達に言えば色々持ってきてくれてるみたいだったけれど、代わりに裏では山のような書類が発生してたんですね。
 その書類処理のためには結局隊長であるケイさんが机に縛り付けられて頑張ってる。
 そんな頑張ってるケイさんの為に、わたしも頑張って肩揉みします!
 軽く揉みながら大体の状態を確認できたので、次は懲りの頑固そうな所を中心に軽く叩いてほぐして行きます。
 とんとんとん……。
 子供っぽいわたしからすると羨ましさを覚える様な女性らしいラインのケイさんの背中を、軽く作った握りこぶしでリズミカルに叩いていく。
 その後は手のひら全体で硬さの残る辺りをさするようにして揉み、最後に指で押していく。
 で、当のケイさんなんですが……さっきから「んっ」「ああっ」「あんっ」「そこぉ」と、なんだかもしかすると声だけ拾ったらすごくヒワイな事になっている気もします。
 ちょっと、こっちまでドキドキしてくるかも……。

369zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:36:01 ID:Smzv2GJY
 指先の感覚としてはまだまだ凝りは奥深いけれど初めに比べると柔らかくなってきていて、すこし汗ばんでも来た様なので、あとあとのもみ返しのことを考えるとこのくらいで止めておくのがいいかもしれません。

「とりあえず、このくらいでしょうか?」
「はふぅ……、あら、もうおしまい?」
「はい、あまりやりすぎると却ってもみ返しで痛くなるかもしれませんし、もう30分近くたっています」
「あら、そうだったのね……私とした事が」
「でも、もっと続けてほしいほど気持ちよかったのなら幸いです」
「ええ、すごく良かったんでまた今度も頼んじゃおうかしらね」
「はい、是非!」

 椅子に座りなおしながらそう言って微笑みかけてくれるケイさんに対して、二つ返事を返した。
 悦んでくれて笑顔が見れる上に、なんだかちょっと普段聞けないような声を聞かせてもらえるのはこちらも幸せなので、それは非常にありがたい申し出だと思ったから。


 ――――。
 と、そんな事が数日続いたある日。

「ふぅ……真美、帰る前にちょっといいかしら」
「はい、何でしょう?」
「肩揉みの後で申し訳ないんだけど、ちょっとお願いがあるの。あなたの魔法で、試してみたい事があるのよ」
「試したい、事?」

 いつに無く真剣なケイさんの眼。
 その迫力に押されるようにして、私はゆっくりと頷いた。

「まずは……そうね、この椅子をこうして……」

 ケイさんは立ち上がると別の椅子を持ってきて、自分の椅子の後ろにそれを置いた。

「ねぇ真美、あなたの固有魔法って見た目は怪力だけれど、実際は対象物の軽量化なのよね」
「は、はい。そういう風に聞いています。自分ではよくわかりませんが」
「それって言うのは、多分だけど、自分が重量を感じた対象を軽くしているって認識でいいのよね」
「はい、多分」
「よしっ!」
「きゃっ」

 ケイさんはわたしがびっくりするほど気合を入れると、自分の椅子に座る。

「真美、後ろの椅子に座って」
「はいっ」

 言われるままに後ろの椅子へと座る。

「椅子はぎりぎりまで前に出して……私にくっつくような感じで……そうよ。そのまま腕を前に出して」
「はい。こう……ですか?」
「ええ、いいわ……うん、これで……」

 むにゅ。

「えっ!?」

 ケイさんの胴体の前側に回した手のひらになんていうかこう……重量感のある柔らかいものがっ……ごくり。

「真美、魔法使ってみて」
「えっ……あっ、はい!」

 言われるがままに魔法を使い、手に余る「にくまんじゅう」の重量感を消し去る。

「お、おおおおっ!」
「ひゃ」

 ケイさんが変な声を上げたので驚いて思わず手を引っ込める。

「あ、真美」
「すすすすいません!」
「驚かせちゃってゴメンね、真美。ね、もう一度お願い」
「えと……あの、いいんですか?」
「私からお願いしてるのよ。都合悪いなら仕方が無いけれど……」
「い、いえいえっ、そんな事はありません!」
「じゃあ」
「はいっ」

 生唾を飲み込みつつ、ケイさんの脇の下から腕を通し、もう一度胸に触れ、大きくて柔らかいものを掴む。
 程よい重量感を少しだけ堪能してから魔法を込め、重みを消し去った。

「うう~ん。やっぱり軽いわ~」

 軽く頸をかしげるようにして回しながら嬉しそうに呟くケイさん。

「そ、そんなに違うんですか?」
「ええ、かなり違うわ。暫くこうしてもらっててもいい?」
「はい……って、えええ!? あの、いいんですか?」

 暫くこうするっていう事は、わたしがずっとケイさんのおっぱを、こう……鷲づかみに状態を維持するという事でして……つまり、なんというか、すごく幸せな気分になってきました。

「え? 私がお願いしてる側よ。魔力も消費してもらってるわけだし、疲れてたり何か他に用事があるんだったらあなたの事を優先して頂戴」
「めめめ滅相もございません!」

 こんな機会は逃せません!
 でも、下手を打って失礼にならない様にしないといけませんね。

「あら、ふふふ……すこしなら揉んだりして触り心地を楽しんでくれてもいいのよ」

370zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:38:12 ID:Smzv2GJY
「ええっ、ほほほほんとうですかっ!?」

 ううっ、思わず大声で反応してしまいましたが、そんな嬉しい事を言われても欲望に流されるわけには行きません。
 こうして触れているだけでも鼻血が出そうなくらい幸せなのに。

「えっと、あの……大丈夫です。変な事はしませんので、お仕事の方を進めてください」
「そう、真美は真面目ね。じゃ、お言葉に甘えて書類を片付けちゃうわね」

 ケイさんが机に向かって集中し始めた。
 私の手のひらにはただ重量ゼロでひたすら柔らかい、例えるなら綿菓子のようなケイさんのおっぱいがあって、その存在感と体温を私へと伝えてくる。
 わたしはと言えば少し、いえ、かなりドキドキしていたりします。
 この胸の過剰な高鳴りを気付かれていないか心配になるけれど、なるべく呼吸の間隔を浅く長くしてハァハァ言わないように制御。
 無意識に手のひらへと感覚が集中して、このまま手をぐーぱーとは言わないまでも微妙に動かしてというか揉みしだいて、もっと柔らかさを堪能してみたいという欲求が盛り上がる。
 そんな邪な思考を難しい事とかを考える事で何とか押さえ込もうとするけれど……うう、やっぱり手のひらの中の存在感が大きすぎて無理っぽいです。
 どうにか意識を別のものに向けられないでしょうか?
 落ち着き無く周囲を見回していると、視線が止まったのはケイさんのうなじ。
 ああ、まずいです。
 さらに肩揉み中の色っぽい声が勝手に脳内で再生され始めました。
 これは、これは泥沼……。
 なんだか頭がくらくらとしてきました。
 あれ? 目の前が、暗く……。


 ――――。
 なんだか私を呼ぶ声が聞こえる。

「真美、大丈夫?」
「んっ……。あれ? ケイさん?」

 目を覚ますと白い布地の盛り上がりの向こうにケイさんの顔があって、心配そうに私を覗き込んでいる。
 後頭部にも体温。
 この姿勢って……膝枕?

「よかった。目を覚ましたのね」
「一生懸命になってくれるのは嬉しかったんだけど、私の頼みだからってそんなに消耗するほど頑張らなくて良かったのよ」

 あれ、なんだか誤解されている気がします。

「え? あの、いえ……そういうわけじゃなくて……」
「でも、本当に助かったわ。調子がいいときとかにはまたお願いしてもいいかしら」
「は、はいっ! 勿論です!」

 口の中でゴニョゴニョと言い訳のようなそうでない様な事を言おうとするも、笑顔で膝枕な上に頭を撫でてながら優しくそう言うケイさんの前にはそうとしか答えられず、何となく手のひらに残る柔らかい体温を反芻する事しか出来なかった。



 後日、どこかからその話が流れてポルシェ少佐やマイルズ少佐のデスクワークにもお付き合いするようになるのは別の話です。

371zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:40:17 ID:Smzv2GJY
以上となります。
誕生日とかバレンタインとか色々飽和してるうちに全く別のネタが出てきてしまうという……。
たくさん投下されてるSSはこのあと読ませていただきます~。

372名無しさん:2011/02/13(日) 01:12:09 ID:ILZMdGKE
>>371
GJ! マミも遂にマイスターに!w

373名無しさん:2011/02/13(日) 15:30:48 ID:ZiFWP486
>>371
GJ

3745uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/13(日) 23:14:22 ID:5QMwXOUo
>>315 サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk様
GJです。素敵な短編集をありがとうございます。こういう雰囲気大好きです。

>>350 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。501のみんなでの演劇、面白いですね〜。
妙にノリのいい501の面々が大好きです。

>>358 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。シリアスな中にどこか暖かみのある雰囲気が良いですね。
自分もいつかビューエル書きたいなぁ……

>>367 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです。このおっぱいシリーズ、大好きです。
真美ちゃんかわいいよ真美ちゃん。

こんばんは、今日はシャーリーとジュンジュンの誕生日ということで1本書いてみました。
シャッキーニと竹フェルがイチャイチャしてるだけの話です。ではどうぞ

375チョコとロマーニャ娘 1/2:2011/02/13(日) 23:15:03 ID:5QMwXOUo

「シャーリー! あ〜んして」
「へ? あ〜ん……お、美味いなこのチョコ」
「へへー、でしょでしょ〜? リーネが作ってくれたんだよ。もっと食べて〜」

2月13日、今日はあたしの大好きなシャーリーの誕生日。
誕生パーティーも終わって、今はあたしとシャーリーの2人きりの時間。
「いっぱいあるからどんどん食べてね。はい、あ〜ん」
「あ〜ん……うん、甘くて美味しい」
あたしはお皿の上に山盛りに乗ってる一口サイズのチョコレートを1個また1個とシャーリーの口へと運んでいく。
シャーリーはあたしからのチョコを受け取ると、それを1個また1個とテンポよく食べてくれた。
えへへ、やっぱりあたし達って息の合う名コンビだね。

「ところでルッキーニ、なんでこんなにチョコがあるんだ? はむっ」
「えっとね、フェブル……なんだったっけ? とにかく、明日何かの神祝祭があってブリタニアでは
その日は好きな人にチョコレートを贈る日なんだって」
「へぇ〜」
「それでね、あたしも大好きなシャーリーのためにチョコ作ろうと思って、リーネに習って、
試しに何個か作ってみたんだけど……やっぱり初めてだと上手くいかないね」

あたしは、チョコレートの山の底にある形がいびつなチョコをフォークでつつきながら言った。
一目で自分が作ったチョコだと分かるくらいリーネの作ったそれと比べると、見栄えが良くないのが分かる。
でも、シャーリーはそんなこと気にせずにあたしの作ったチョコをぱくっと食べてくれた。
「うん、美味い!」
「本当?」
「ああ。なんてったってルッキーニがあたしのことを想って作ってくれたチョコだからな。
あたしにとっては世界一のチョコだよ」

そう言ってシャーリーは優しく頬笑みながら、あたしのことを優しく抱きしめてくれた。
ぱふぱふで、ふわふわしてて、暖かくて、あたしの大好きな場所。
「ありがと、シャーリー。あたし、今度は綺麗な形のチョコ作ってみせるから、その時はまた食べてくれる?」
「おう、楽しみにしてるぞ。そうだ、こんな話知ってるか? チョコレートって食べ過ぎると鼻血が出るんだってさ」
「え? その話本当なの?」
「う〜ん、あたしも噂で聞いた話だから本当のことはよく分かんないんだけどね」
「あはは! なにそれ〜」
「ははは! ま、こういう時は笑ったもん勝ちってことだよ」
「それもそうだね。あはは……」
あたし達はそれからしばらくの間、2人で笑い合った。

――シャーリー、誕生日おめでとう。
これからもずっと、2人でバカ騒ぎして一緒に笑い合おうね。
あっ、そう言えばジュンジュンも今日が誕生日なんだっけ。
ジュンジュンも今頃フェル達に祝ってもらってるのかな。
あたしはそんなことを考えながら、シャーリーのおっぱいに顔を埋め、眠りの世界へと落ちていった……

―――――――――――

376チョコとロマーニャ娘 2/2:2011/02/13(日) 23:15:56 ID:5QMwXOUo

「竹井」
「なーに、フェル?」
誕生会の後、私は1人で竹井の部屋を訪れていた。
うぅ、なんだかすごく緊張してきたわ。

「その……改めて誕生日おめでとう。これ、私が作ったんだけど良かったら食べて」
「ありがとう……わぁ、美味しそう。チョコレートケーキかしら?」
「うん。今日の誕生会でルチアナが作ったケーキと比べると味は劣ると思うけど……」
「そんなことないと思うけど……はむっ」
竹井が私の作ったチョコケーキをフォークで一口大に切ると、それを口へと運んだ。
「ど、どう……?」
「うん! とっても美味しいわ」
そう言って満面の笑みで微笑む竹井。
「ほ、本当?」
「ええ。良かったらフェルも食べてみる?」
と、フォークで切ったケーキを私に差し出してくる竹井。
あ、あれ? これ、私がプレゼントしたケーキよね?

「はい、あ〜んして」
「あ、あ〜ん……はむっ」
竹井に言われるがまま口を開けて、自分のケーキを食べる私。
豊かな甘みが口の中にふわっと広がって、とても美味しかった。
「本当に美味しいわ……私ったら天才かも」
「ふふっ、でしょ? ねぇ、今度は私にあ〜んして」
上目遣いでそう言う竹井を見て私の胸は一層鼓動を早めて行く。
ちょ、ちょっと何その表情、可愛すぎるじゃない。
オ、オーケーオーケー、落ちつくのよフェルナンディア。
「は、はいあ〜ん……」
「あ〜ん……うん、やっぱり美味しい。じゃあ今度は私の番ね。はい、あ〜ん」
それからしばらくの間私たちは、1つのフォークでお互いにケーキを食べさせ合った。
……まるでリベリオンのおしどり夫婦ね。

「ねぇ、竹井」
「どうしたの、フェル?」
2人で1つのケーキを食べ終わった後、私はベッドに腰掛ける竹井の手をそっと握った。
柔らかくて、暖かみのある私の大好きな手。
「明日って何の日か知ってる?」
「ええ。フェブルウス神祝祭でしょ?」
「うん。パティに聞いたんだけど明日は、ブリタニアでは大切な人にチョコレートを贈る日なんですって。
それを聞いて私、竹井にチョコケーキを作ろうと思ったの。竹井は私にとって大切な人だから……」
私がそう言うと、竹井は使い魔の耳と尻尾を出して私に頬笑みかけてきた。
「へ? ちょっと! なんで使い魔の耳と尻尾を出してるの?」
「ふふっ、フェル可〜愛い!」
「きゃっ!」
竹井ははち切れんばかりに尻尾を振りながら、私をベッドに押し倒した。
ちょ、ちょっと! 色々とマズいんじゃないかしらこの状況。
「ふ、扶桑のウィッチって、みんなこんな感じなの?」
「ふふっ、どうかしらね……」
悪戯っぽく笑いながら竹井は、私の唇に自分のそれを重ねてきた。
彼女の手と同じくらい柔らかくて暖かみのある唇だった。
「あぅ……」
「フェル、大好きよ」
そう言ってもう一度口付けを落とす竹井。
――フェデリカ少佐、竹井って本当に『出来るオンナ』ね……色々な意味で。

〜Fin〜

―――――――
以上です。シャーリー&ジュンジュン、誕生日おめでとう!

377名無しさん:2011/02/14(月) 01:03:56 ID:x34XljVA
>>376
GJ!シャッキーニの安定感と竹フェルの色っぽさがステキ

378zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:54:11 ID:pMKONIUQ
こんなん書いていいのかなーと思いつつ、書いてしまったので投下します。

えっちな上にSM入ってます。
痛そうとか熱そうなのが苦手な方はスルーでお願いします。
サーニャxエーリカで、一応バレンタインのネタとなります。

379zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:54:27 ID:pMKONIUQ
●ロマーニャ19XX 秘密

 なだらかな曲線の白い素肌へと、深い色のどろりとした液体を、垂らす。

「ッ!」
「熱い?」

 硬いベッドの上に横たわって、苦悶の表情を浮かべる、目隠しをされた金髪ショートカットの少女。

「んんっ……へ、へいき……だか、らっ……続けて、いいよ……さーにゃん」
「返事が、違う」

 あっという間に上気してほんのりと赤みを帯びた丘陵へと、さっきよりも多めに溶けたチョコを垂らす。

「あっ! ああああっ!!!」

 耐え切れずに少女が叫ぶ。
 手足が自由なままにもかかわらず、私のその苦悶の施しから逃げるようなことはしない。
 うん、たまに返事の仕方を間違えるけれど、これは良くしつけられたワンちゃんだと思う。

「ワンちゃんの返事はそうじゃないわ」
「……わんっ、わんわんっ」
「うん、いいお返事にはご褒美」

 ご褒美に、このワンちゃんの大好きなお菓子、チョコを上げる。
 ベッドの横に置かれた台。
 その上の携帯型コンロにくべられた鍋。
 はられたお湯。
 そこに浮かぶもう一つの鍋。
 二重の鍋の中で溶けた熱々のチョコレートを大きめのスプーンですくって、わたしより浅い胸の谷間からおヘソにかけて、垂らした。

「ひっ! うああっ!!」

 目の前の子犬は大きな声をあげながらも肌を茶色で彩られるという行為にシーツを強く掴むことで耐える。

「いっぱい食べていいのよ、ワンちゃん」

 更に断続的に垂らす。
 私よりも控えめな胸も、おヘソのくぼみも、みんなチョコの茶色に染め上げる。

「うぁっ! あっ、つぅ……うあああああああああ!!!」

 熱いチョコを大量にかけられた私のワンちゃんが悲鳴をあげる。
 こういう声を聞くと、とても胸の奥、体の芯の方が熱くなってくる。
 すごく、心地良い。
 目の前であられもない姿を晒す年上の中尉の姿に劣情を煽られながらも、心の何処か冷静な部分が、いつから二人の関係はこうなってしまったんだろうと自問自答する。

 どちらからともなく――ううん、きっと話しかけてくるのはいつもハルトマン中尉だから、彼女の方からだったと思う――お互いの愛する人の話から性癖の話になって、何度かその話題を経る内にお互いに自分の中にある異常な部分に気づいた。
 わたしにはどうやら嗜虐癖があって、ハルトマンさんには被虐癖がある。
 でも、お互い愛する人にそんな事を求める事なんて出来ない。
 わたしは自分が満足するためにエイラにひどいことなんて出来ないし、ハルトマン中尉も自分を大切にしてくれているバルクホルン大尉に自分を傷つけるような事はさせたくない、と。
 そして、ハルトマン中尉が放った言葉「ねぇ、二人で試してみない?」それが発端だった。
 はじめはおしりを叩いたりすることから始まって、ハルトマン中尉の苦悶の表情、痛みと周知のないまぜになった喘ぎに心のそこから興奮を憶えて、今日という日にはこうしてエイラとバルクホルンに贈るために用意したはずのチョコで、こんな事をしてる。

「おっぱいもおヘソも、茶色く染まっちゃった。まるで天使のチョコレート掛け」
「わんっ」

 その甘くて香ばしい色をまとった小さなふくらみの頂点へと、前触れもなく口をつけた。

「ふあっ!? んっ……あぁん」

 ワンちゃんが驚く。
 目隠しをしているのだから当たり前かもしれない。
 わたしはその反応に僅かな満足感を得ながら、あとに続いて響いてくる喘ぎ声と、舌先に広がる甘さをゆっくりと味わう。
 そして、じっくりと舌先と唇を使って優しく甘噛みと愛撫を繰り返した。
 痛みではなく、ただひたすら気持いと思える行為を刻んでいくうち、わたしの唇と口元への汚れと引換に乳房全体のチョコが取り払われ、綺麗になる。

380zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:55:06 ID:pMKONIUQ

「くぅん」

 舌を離した事によって寂しくなったのか、ワンちゃんが鼻にかかったような声を上げた。
 大丈夫。
 寂しくないよ。
 もっと、よくしてあげるから。
 左手で優しく頭を撫でた。

「んんっ」

 安心した様に小さく喉が鳴らされた。
 そのタイミングを見計らって、チョコの取り払われた胸へと熱いチョコをぼたぼたと落とした。

「ひぎっ!!!! あつっ! あついよぉっ! あああああっ!!!!!」

 一度火傷して過敏になった場所へのチョコはさすがのワンちゃんでも耐えられずに胸を庇って背を向ける。

「だめよ。いいって言うまで胸をかばっちゃダメって約束だったでしょ」
「で、でもっ……」
「ワンちゃんは人の言葉を話さない」
「う、ううっ……わん」

 少し強い口調で注意するとちゃんとワンちゃんの返事をしてくれる。

「いい子……。いい子にはいっぱいチョコをあげるけれど、約束を守れない子にはお仕置きが必要だよね」
「わんっ」

 頭を撫でながらの言葉には一番素直な返事が返ってくる気がする。
 わたしは暫くそうしてからワンちゃんの脚を持ち上げて開かせた体勢で拘束した。
 拘束する間、ワンちゃんは不安そうにしていたけれど、今のわたしにとってはその気配すら心地良いものでしか無い。
 割開かれた股間に指で触れてツルツルのそこを数度なぞる。

「んっ……ぅう……」
「ご褒美とお仕置き、両方いっぺんにしてあげる」
「え……」

 股が開いているにもかかわらずいまだにふっくらとした肉の壁に包まれて開ききっていない幼さの残るソコを、指で開く。

「ココに」
「ま、まって……」

381zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:55:25 ID:pMKONIUQ
「犬は喋らないよ」

 粘膜にチョコを垂らした。

「ひああああああああっ!!!!!!!」

 想像通りの悲鳴に全身が熱くなる。

「ワンちゃんらしくしていられたらご褒美。出来なかったらお仕置き。その自由な手で、わたしのする事を邪魔してもお仕置き。出来るでしょ。お互いが望んだ事なんだから」
「ああっ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……わ、わんっ」

 従順なその態度に満足して、更に興奮。

「いい子。その調子。ほら、これはご褒美」

 再び、粘膜にチョコを垂らす。

「きゃうううううううううっ!!!!!!!」

 嗜虐壁を満たす叫び、匂い、空気。
 それらの隙間、ふとした瞬間に蘇る僅かな後悔。
 でも、ワンちゃんが心のそこから悦んでいる事を理解できてしまう身としては、ここで中途半端なことは出来ない。
 だから、決めたところまでは突き進む。
 胸と同じように舐めて、きれいにして、また不意打ちでたらして粗相をさせて、もっときついお仕置きをして……。
 お互いの本当のパートナーで満たせない心を満たそう。
 唇を合わせるキスだけはNGで、でもそれ以外のいろんなコトをして、身体の奥に点った官能の火を燃え尽きるまで燃やし続けよう。

 そうすれば、余分なものがなくなった二人は再び炎が燃え広がるまでは、本当に好きな人の隣に居られるのだから。

382zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:56:51 ID:pMKONIUQ
以上となります。

黒サーニャな電波が降りてきたんで書いてみました。

383名無しさん:2011/02/14(月) 22:11:21 ID:DffvAYmQ
>>382
これは……っ! 危険がアブナイ!w GJ!

384mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/15(火) 00:17:22 ID:WLEEAE56
>>371 >>382 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! 新たなおっぱマイスター誕生の予感とえろすの予感!

>>374 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 二組の織りなす甘々さが凄いです。美味しく頂きました。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今回もふと思い付いたネタを、短く文章化してみました。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

385powdery snow:2011/02/15(火) 00:18:56 ID:WLEEAE56
 その夜、しんしんと降り積もる雪を窓越しに眺めていたエーリカは、やおらソファーから立ち上がると、おもむろに戸を開けバルコニーに出た。
 何事かとトゥルーデが後を追うと、エーリカは真上をじっと眺めていた。
「どうしたエーリカ?」
「雪だよ、トゥルーデ」
「ああ。このままだと明日の朝には積もっているかもな」
「もう数センチ積もってるよ」
「そうだな。足元に気を付けろよ」
「ありがとトゥルーデ。でも、それだけじゃ物足りないな」
 エーリカは手摺に積もっていた雪を手に取りきゅっきゅっと軽く握って固めると、おもむろにトゥルーデ目掛けて投げつけた。
 ぱしゃっ。
 粉雪の塊が、トゥルーデの服にぺたりと張り付き、端から少し解けていく。
「こら! いきなり何をする?」
「雪遊び」
「あのなあ……。そうやってはしゃぐ年でもないだろうに」
「そう? 楽しいものは楽しいよ。幾つになってもね」
「まったく……」
 半分呆れ気味のトゥルーデに、もう一発、えい、と雪玉を投げつける。今度は避けたつもりが、踏み出した先にもう一発待っていた。
 太腿に炸裂した雪玉は、じわじわと解けてトゥルーデの肌を濡らす。
「つ、冷たっ! こらエーリカ! 何するんだ!」
「トゥルーデが怒った〜」
 からかわれたと感じたトゥルーデは、手近に積もっていた雪をぎゅーっと握り、手当たり次第にエーリカに投げつける。
「お? トゥルーデが本気になった」
「やられっぱなしと言うのは腹が立つからな」

 雪玉を投げ合う事しばし。二人は上気した息遣いの中、背を合わせて立っていた。
 止まない雪が、二人の周囲を白銀に染め、肩に幾つもの結晶を載せていく。
「楽しいね」
「まあ、この程度ならな」
「皆集めて遊ぼうか」
「それはまずい。皆を考えてみろ。はしゃぎすぎて収拾が付かなくなって、ミーナか少佐に怒られるのがオチだ」
「そうかな? ほら、あそこ」
 エーリカが指し示す先を見るトゥルーデ。
 少し離れた場所では、ミーナと美緒が、窓から身を乗り出して雪を見ている。
 舞い降りる雪を直接手に取り、くすっと笑うミーナ。そんな彼女を見て優しい表情を見せる美緒。
 不思議な事に、こちらの様子は気にもしていない様だ。
「見て。向こうではエイラとサーニャが。あっちではシャーリーとルッキーニが……」
「エーリカ、他の奴等の事は良いから」
 こちらから見えるという事は、向こうもこっちを見ていると言う事だと気付いたトゥルーデは、少々気恥ずかしくなって
エーリカを部屋に引き戻そうとした。
「待って、トゥルーデ」
 エーリカは足を止め、空を見た。
 灰色の空から、とめどなく舞い降りる雪の欠片。大きいもの、小さいもの……綿毛の様に繊細で、触るとすぐに溶けて消える。
 音も無く、降り続く雪は大地を、二人を包み込む。
 雪が少し頭に積もったのを見たトゥルーデは、エーリカの頭をそっと払い、雪を除ける。
 ぶるっと身体を震わせたエーリカを見て、トゥルーデはそっと抱きしめる。そしてエーリカの名を呼び、呟く。
「寒いなら寒いと、言えば良いのに」
「だって、ここじゃあんまり雪を見る事が出来ないから」
「無理はダメだ」
「分かったよトゥルーデ」
 エーリカを抱きしめ、頭を撫でる。積もった雪をそっと落とし、これ以上積もらせはしない、と胸に埋める。
「どうしたのトゥルーデ、急に」
「お前が心配なんだ」
「ありがとう」
 二人はそっと軽く唇を触れ合わせて気持ちを確かめ合った後、一緒に空を見上げる。
 いつ止むのか。
 止んで欲しくない気持ちと、作戦に支障が出ると言う思いと……目の前で抱き合ういとしのひとを思い、
頭の中が巡り巡って、雪の中立ち尽くす。
 トゥルーデは、そっとエーリカの耳元で囁く。
「そろそろ、良いか?」
「うん。満足した」
「部屋に戻ろう。温かいココアを入れてやる。温まるぞ」
「ありがと、トゥルーデ。……そう言えば」
「どうかしたか?」
「ココアもホットチョコレートも一緒だよね。と言う事は」
「どう捉えて貰っても良い。とにかく、戻るぞ」
「トゥルーデ、そういうとこ素直じゃないんだから」
 エーリカはトゥルーデの服の裾を持って、部屋に戻る。引っ張られる格好のトゥルーデは、足を滑らせもたつきながらも後を追う。
 間も無く、二人の部屋からほのかにココアの温かい香りが漂う。

 501JFWには、降雪の多い地域と、そうでない地域出身のウィッチが混在している。
 雪に対する見方は皆違う。
 ただ、隣に居る者と一緒に眺め、少々戯れる事は悪い事ではない。
 束の間の安らぎは、時として天から降りてくる。

end

386名無しさん:2011/02/15(火) 00:20:10 ID:WLEEAE56
以上です。
舞台がブリタニア基地かロマーニャ基地かは分かりませんが
何となく雰囲気で……。

今年の冬は雪が多いですね。ご注意を。
ではまた〜。

387名無しさん:2011/02/15(火) 03:05:57 ID:CzZA1fq6
>>386
雪すごいですね。
北欧組意外がいきいきしてそうです。

こんばんは、LWqeWTRGです。
2月14日でした。というわけで2レスです。


「エイラ」
「んー? なんだー?」
「いつまでそうしてるの?」
「んー… もうちょっと」
「昨日もそういって結局やめなかったじゃない」
「だぁってさぁ……」
「だって……?」
「せっかくサーニャからハートのチョコレートもらったんだぞー?」
「いいから早く食べて」

えー、とか言いながらにへにへ。
にへにへしながら足をぱたぱた。
ぱたぱたしたらベッドの上をコロコロ。
嬉しいのはわかる。むしろ喜ぶ顔を思い浮かべながらチョコを作ったの。
でもそろそろこっち向いて。かまってくれなきゃ寂しいんだから。

「ねぇエイラ」
「んー?」
「ねぇったら」
「なんだー?」
「……もう」

だめだな。これは。
このままだとなにもせず終わっちゃうわ。
今日もかまってあげなきゃいけないのね……。

「なんだよー」
「たいくつなのー」
「んー… ってお、おい!」
「えーいーらー」
「や、やめ、頭の上でしゃべらないで!」
「じゃあぎゅー」
「ちょっと、サーニャ!」
「頭の上じゃないもん。背中の上だもん」
「背中もダメー!」

388名無しさん:2011/02/15(火) 03:07:02 ID:CzZA1fq6
そんなこと言ったってもう遅い。今日の私の居場所はここに決めた。
ぎゅーってしてすりすりすることに決めた。

「もー、サーニャー!」
「なあにーエイラー」
「すっごく棒読みだぞ!?」
「今日だけだかんなー」
「そっか今日だけー、ってそれ私のセリフ!」
「じゃあ、そのセリフをどうぞ」
「あうっ!?」

ふふ、赤くなっちゃって。
エイラ、かわいい。

「き」

言い終わると同時に抱きしめちゃおうかな。

「き…」

それから、ほっぺにキスして。

「ううう〜…!」

いっぱい、甘えて――

「きゃあっ!」
「今日は私がリードするんだああああああああ!!」
「ちょっと、エイラ!? んむっ!」
「サーニャ…」

体勢を入れ替えられて身体はエイラの下、腕は顔の横で拘束されていて、唇はエイラに封じられ。
…どうしたのエイラ、今日は本気じゃない。
手つきはおぼつかないけれど。
いいよ、きて。

「だいすきよ、エイラ」



END

―――――
以上です。
おぼつかないのは自分orz
内容薄くて短いのをなんとかしたいのですけど…。

タイトルは「ハートの誘惑」です。
たまには本気だしたエイラさんも。
それでは失礼します。

389名無しさん:2011/02/16(水) 03:31:33 ID:n5rl4bbA
物凄く和んだ GJ!!!

390[:2011/02/16(水) 23:07:33 ID:kTatHhwU
「なんじゃと? シュナウファーの様子がおかしい?」
 食堂を出てすぐのこと。
 子飼いの一人にそう耳打ちされ、足を止めた。
 シュナウファーの異変は逐一わらわに報告せよと厳命してある。あやつときたら何でもかんでも内に秘めるゆえ、こういった周辺情報が欠かせない。
「はい。いつも困ってらっしゃる感じですが、今日はそれに輪をかけて」
「…そうか。大儀であった」
 懐からスタンプを取り出し、カードの空欄にポンポンポン。
 功ある者には惜しみない労いを――――これがわらわの覇王道だ。
 高評価に喜んだ彼奴は小躍り。これからも精進せいと言い捨てて、わらわはその場を後にする。
「会敵とかトラブルの報告はなかった。すると哨戒後か……」
 腕組みして、廊下の真ん中を歩く。
 この基地でわらわに道を譲らぬ者はない。驕りではなく、それが当然なのだ。
 人には生まれついての定めがある。果たすべき義務がある。
 ウィトゲンシュタイン家に生まれたわらわは、それに則した威厳ある振る舞いをせねばならない。
「ノーブレス・オブリージュとは面倒なものよのぅ」
 ふふんと笑い、肩にかかる髪を払う。
 これは貴族の務めなのだ。シュナウファーが心配だからとか、そんな俗な感情ではない。
 通路の角を曲がると視界がふっと暗くなる。ここから先は夜間戦闘員の個室が並ぶ。最小限に照明が絞られているのは、暗い状態に目を慣らすための

措置だった。
 突き当たりにある皇帝像を左に行けばわらわの第5夜間戦闘航空団、右に行けばシュナウファーの第1夜間戦闘航空団がある。
「食堂では見なんだがまだ部屋におるのか? ウィッチたるもの、食事もとらずぶをああああっ?!」
 ドォン、ガシャシャンッ!
 突き当たりを右に曲がったところ、ボリュームのある何かと衝突して吹っ飛ぶ。そのはずみに陛下の銅像で側頭部を強打し、未知の感覚に廊下を転げ

まわった。
「だ、大丈夫ですか?」
「くうぅ〜〜〜おのれ。父上にもぶたれたことのないわらわに、なにやつ?! 相応の報いを受けさせてくれる!」
 ずきんずきんする側頭部を抱えて身を起こす。
 目の前に星が散って前がよく見えない。
「そ、その声はもしかしてハインリーケさんですか? すみません!」
「なっなに?! シュナウファーか?」
「はい。ちょっとよそ見をしていて………本当にすみませんでした」
「―――そなた、誰に謝っておるのじゃ?」
 ようやく視界が晴れてのち、口元をぴくぴく。
 王女の称号を与えられたこのわらわを前に、いい度胸だ。
「誰ってもちろんハインリーケさんに」
「たわけ! わらわを陛下の銅像と見間違えるなど言語道断、無礼も甚だしいわ!」
 銅像に向けて深々と頭を下げているシュナウファーにかみつく。
 わらわをあのような中年と間違えるとは。手袋を持っていたら即刻投げつけてやったのに。
「え?! あ―――し、失礼しました! 申し訳ございません、陛下」
「こ、この〜〜〜っ」
 怒りに両手をぶるぶる。
 こうまでコケにされたことは生まれて一度もない。
 この狼藉の始末をどうしてくれよう。咎ある者には容赦ない責めを――――これもわらわの覇王道だ。
 あれやこれやと考えて、ふと、違和感に眉を寄せる。
「…シュナウファー」
「は、はい! なんでしょう?」
「わらわはこっちじゃと言うておろう! そなた、目が……」
 またもや違う方を向くシュナウファーの両肩をつかみ、正面からその瞳を覗き込む。
 分厚いレンズの奥、紅玉のように薄っすらと光るそれが、焦点を合わせるのに苦慮したふうに揺らぐ。その様子を見たわらわの頭から音を立てて血が

引く。
「なぜそれを先に言わんのか! 医務室へゆくぞ!」
「きゃっ?! まっ、待ってください」
「ええい、大人しゅうしておれ! 体裁を気にしておる場合か!」
 じたばたするシュナウファーを叱りとばす。
 それでなくてもメロン大の膨らみが邪魔をして抱えづらいというのに。

391「からまわり」:2011/02/16(水) 23:08:55 ID:kTatHhwU
「で、ですから待ってください! 目の不調ではないんです。いつもの眼鏡を壊してしまって」
 いざゆかん、と踏み出しかけた足を止める。
 射殺さんばかりに眼力をこめ、腕の中にある紅玉を見下ろした。
「……眼鏡、だと?」
「はい。えっとその……すみません」
「すみませんで済むと思うか! このわらわをたばかったあげく、あまつさえ途方もない心配をかけるとはっ!!」
 縮こまる様子にかまわず怒号をうつ。
 引いた血が一気に戻ってきた。まったく腹立たしいったらない。
「え……心配?」
「うっ―――こ、言葉の綾じゃ! それだけわらわが徒労を感じたという意味で……本当じゃぞ? わらわはそなたのことなど、これっぽっちも」
「ありがとう、ございます」
「〜〜〜〜〜っ」
 ぐぬぬっと押し黙る。
 こやつはなにを勘違いしておるのか。
 物事を都合よく解釈するのは凡人のなせるわざ。わらわのライバルがそのような体たらくでは困る。
「ふん、まあよい。ときにシュナウファー。そなた、食事はとったのか?」
「い、いえ。食堂には今から行こうと」
「じゃが、その眼鏡は度が合っておらんのだろう?」 
「はい。でも、これしか替えがなくて……。夕方には新しいものが届くのですけど」
 視線を感じてか、シュナウファーは眼鏡のふちを触ってもじもじ。
 ドクンと、胸の奥で音が鳴る。
「その状態で行ってもさっきのようになるだけじゃ。給仕に申し付けて食事を運ばせるゆえ、自室で待っておれ」
「…わかりました。下ろしていただけますか」
 聞き分け良くうなづいたその紅玉に翳りがさす。
 ドクンと、ふたたび胸の奥で音が鳴る。
 何をやっておるのだ、わらわは。早く下ろさんとまたシュナウファーがおかしな勘違いをするではないか。
 そのとき、通路の先に見回りだろう衛兵の姿が見えた。
「おい、そこの!」
「はい! なんでございましょうか、姫」
 呼べば即座に駆けてくる。
 ほほう、なかなか見所のあるやつじゃ。
「今すぐ食堂へおもむき、シュナウファーの部屋まで食事をもて」
「は! 承知いたしました」
「そ、そんな、見回りの方を用立てるなんて」
 慌てた様子のシュナウファーが止めようとしてくる。
 だが、その程度は予想済み。わらわはシュナウファーの頭越しに指示を出す。
「よいな? 二人分だぞ」
「ですから私用でそのような命令は………え?」
 首をかしげて目をぱちぱち。
 普段は深刻げな顔ばかりしているが、こういう表情を浮かべると存外幼い。
「シュナウファー。そなた、今日が誕生日であろう? そのような日にひとり食事をとるのも味気ないものだ」
「ハインリーケさん……」
「ふん! 他意ならないぞ。これはノーブレス・オブリージュ、貴族としての務めじゃ」
 頬に感じる熱を無視して言い放つ。
 わらわには生まれついての責務がある。守るべきことわりがある。
「それに、わらわもまだ昼食をとっておらぬゆえな」
「は? 姫様は先ほど昼食をとられたのでは」
「お、おまえはさっきの奴かっ?! ――――余計な事を言うでないわ、この愚か者が! さっさとゆけい!」
 大いに焦り、その尻を蹴っ飛ばす。

 つんのめるように走り出した彼奴の背が遠ざかっていく。
「ま、まったく、このわらわを誰かと間違うなど無礼千万じゃ。あやつは後で折檻してくれる」
「あの……」
「なんじゃ――!」
「ありがとう、ございます」
「〜〜〜〜〜っ」
 ぐぬぬっと押し黙る。
 またしてもこやつは都合の良い勘違いを。
「もうよい! ゆくぞ!」
 正面に顔を戻し、風を切って歩き出す。
 シュナウファーの部屋は第1夜間戦闘航空団の最奥だったな。
「あっ?! 自分で歩きますので下ろしてください」
「聞こえぬ。黙ってそこで大人しゅうしておれ」
 じたばたする荷物にかまわず突き進む。
 この基地にわらわの行く手を阻もうとする者はない。
 ただひとり例外がいるとしたら――――それはシュナウファー、そなたのみじゃ。

392名無しさん:2011/02/16(水) 23:10:33 ID:kTatHhwU
あー、タイトル失敗...orz
マリー誕にかこつけたハインリーケssでした
それでは〜

3935uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/16(水) 23:30:25 ID:y1.YhCEo
>>379 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです。えっちな黒サーニャいいですね〜。受けエーリカも可愛い

>>384 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。雪も溶けちゃいそうなくらい熱々なエーゲルが素敵です

>>387 LWqeWTRG様
GJです。積極的なエイラーニャが大変可愛らしいですね

>>390
GJです。イケメン姫様と乙女なマリーの関係が素敵です

こんばんは、今日はマリーの誕生日ということで1本書いてみました。
ではどうぞ

394ナイトウィッチの誕生会:2011/02/16(水) 23:31:28 ID:y1.YhCEo
――ここは506JFW、談話室。
同隊の戦闘隊長、ウィトゲンシュタイン大尉は今日が誕生日の友人、
シュナウファー大尉のために各部隊からナイトウィッチを招き、誕生会を開いていた。

「あー、皆の衆。今日は我が親友ハイディのためによくぞ集まってくれた。ハイディの1番の友として礼を言うぞ。
そもそも、わらわとハイディの出会いはだな……」
「ハイデマリーさん、誕生日おめでとう」
「おめでとな」
「おめでとうございます、シュナウファー大尉」
「みなさん、ありがとうございます」
「お、おい! まだわらわの話は終わっておらぬぞ」
「まぁまぁ、長話なんてしてたらせっかくの料理も冷めちゃうぞ、プリン姫」
「だ、誰がプリンだ! 無礼者!」
「いいですね、プリン姫って愛称。可愛らしいウィトゲンシュタイン大尉にピッタリです。えいっ!」
「お、おい下原、どさくさに紛れてわらわを抱くな!」
「……ふふっ」
「どうしたのだ、ハイディ? 急に笑い出して……」
「あ、ごめんなさい。私もプリン姫って愛称、可愛いなって思って……」
「……ま、まぁそなたに気に入って貰えたなら良いか。それにしても、各統合戦闘航空団にナイトウィッチの招集を要請したというのに、
501と502以外どこからも来ないとは……」
「まぁ、504みたいに正規のナイトウィッチがいない部隊もあるし仕方ないんじゃないか? あるいはプリン姫に人望がないのかもな〜」
「な!? 無礼な、わらわには直属の親衛隊もいるのだぞ」
「へぇ、プリン姫さん、親衛隊がいるんですか。何だか分かる気がします。だってプリン姫さん、こんなに可愛いんだもの」
「はぅっ、く、苦しいぞ下原……離れろ」
「よーし下原、そのまま押さえてろ。プリン姫のボディチェックをしてやるんだな」
「ひゃぅ!? ど、どこを触っておるのだユーティライネン」
「うんうん、隠れよくできましたーって感じだな。悪くない」

「ごめんなさい、ハイデマリーさん。なんだか騒がしくなっちゃって……」
「いえ、賑やかで楽しいです……あの、エイラさんっていつもあんな感じなんですか?」
「ええ。いつもあんな感じです……」
「……楽しそうですね」
「はい、エイラと一緒にいると楽しいです」
「ふふっ、サーニャさん、大尉……えいっ!」
「きゃっ! し、下原さん!?」
「わぁ、サーニャさんも大尉も白くてすべすべですね〜」
「お、おい! 何やってるんだお前! サーニャから離れろ〜!」
「あ、エイラさん。じゃあ変わりにエイラさんをぎゅってしていいですか? えいっ」
「ふにゃっ!? ふ、扶桑のウィッチって変な奴ばかりナンダナ……」
「ねぇ、エイラ」
「な、何だサーニャ」
「私もエイラのこと、ぎゅってしていい?」
「へ? サササササーニャ!? あぅ……」
「ふふっ、エイラ、すべすべしてて気持ちいい……」
「本当、白くてふわふわですね」
「ふ、2人とも、私をそんな目で見んな〜!」

「全く、騒がしい連中だ……ハイディ、大丈夫か?」
「は、はい……あの、プリン姫」
「な、何だ? ハイディ(そなたもその呼び名で呼ぶのか……)」
「今日はありがとうございました。私のためにこんな素敵な誕生会を開いてくれて……
私、同じナイトウィッチのみなさんに誕生日を祝ってもらって本当に嬉しかったです」
「何、わらわはそなたの友人として当然のことをしたまでだ……おっと、すっかり言い忘れていた。
ハイディ、誕生日おめでとう」
「ありがとう、プリン姫」
「うむ。これからも毎年、そなたの誕生日はわらわが盛大に祝ってやるぞ。そなたはもう、1人ではないのだからな」
「……はい」

こうしてナイトウィッチ達の夜は更けていく……

〜Fin〜

3955uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/16(水) 23:32:41 ID:y1.YhCEo
以上です。姫様の口調って難しい……
ではまた

396zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:01:38 ID:z3M5L//s
ヨシ、日付変わった!

去年の黒江さん誕生日合わせに書き始めて忙しくて手が止まって放ったらかしにしていたらキミ空で黒江x坂本の展開があったんで一度はお蔵入りしたんですが、書きかけのをちょろっと人に見せたら反応良かったんでちゃんと書き上げてみたお話です。
相変わらず妄想全開な内容ですがもう状況はifということで開き直ってます。



●ブリタニア1944 早咲きの桜の下で

『如月は十七日、
 村外れの丘、
 桜の下にて待つ。』

 おもむろにそんな文面の手紙が届いた。
 どう見ても果たし状なのだが……、ブリタニアまで扶桑の言葉で手紙を送りつけた人物には興味がある。
 ミーナは不審に思っていろいろ出所を探っているようではあるが、私は結果を待たずにその待ち合わせの場へと赴く事にした。

 辿り着いた丘の一角。
 驚いた事にそこは春に彩られていた。
 記憶にある物よりも少し濃い目の色をした桜が今まさに満開となり、私にここがブリタニアだという事を暫し忘れさせる。
 幻想的な光景にしばし目を奪われ立ち尽くし、不覚にも郷愁の念に囚われ、扶桑の日々を思い出して目頭が熱くなる。
 そんな私の背後から若い女性の声がかかった。

「どうだ、なかなかのもんだろう」

 声の方を見ると、ござを敷き胡坐をかいて杯を煽る見知った顔があった。

「黒江大尉」
「久しぶりだな、坂本」

 杯を掲げ、片目を瞑って挨拶してくる。

「一体いつブリタニアに?」
「ここの桜はむかーしに同盟結んだ時あたりに植えられたらしいな。ちょっと種類が違うんで扶桑のとは時期もずれるし色も違う。でも、こういうのも中々乙なもんだろ?」

 私の質問を無視して桜の解説を始める。全くマイペースな御仁だが不思議と憎めない。

「こっちへきなよ。折角だから扶桑撫子のお酌がほしい」
「はっはっは、それならば手酌でも条件は満たすんじゃありませんか?」
「あっはっは、私は撫子って柄じゃないさ。陸はがさつでいかん。お前とか竹井みたいなのじゃないとダメだろう」
「はぁ、あんまり変わらないと思いますが、私でよろしければ」

 言いながら近付いて傍らに腰を下ろす。
 数本用意してある日本酒の一升瓶のうちふたの開いているものを手に取り、黒江大尉の杯へと注ぐ。

「いつ、こちらへ?」

 改めての質問。

「一週間ほど前だな。本当は武子と一緒にここに来るはずだったんだが、あいつの方の予定が合わなくなって、ね」
「そういう事ですか。でも、何故あんな招待状を? あれではまるで果たし状ですよ」
「桜を愛でるなら扶桑人同士にしたくてね。それから他にもある……」

 黒江大尉が一度言葉を切り、ただでさえ近かった顔の距離を詰めてくる。

「一つは今年で上がりを迎える後輩の顔を見に来た、って言うのはどうだ?」
「黒江大尉……」
「知り合いに世話焼きが多くてな。ま、私もその一人ではあるんだが……どうなんだ? 坂本」
「私は……」

 まだ実感がわかなかった。
 確かに魔力の衰えは感じている。
 リバウで飛んでいた時よりも明らかに今の私の魔力は落ちているだろうと思う。
 だが、衰えた魔力は気力と技術によって補完され、振るう刃の冴えは今こそが絶頂期だと感じてもいる。
 何よりも私に勇気を与えてくれたのは上がりを迎えても飛び続けるこの黒江大尉やアフリカで活躍する加東少佐の存在だ。
 だから、私も飛び続ける、そう言いおうとした。
 直接言葉で感謝と決意とを伝えたかった。

397zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:02:24 ID:z3M5L//s
 しかし、その言葉を最後まで紡ぐ事は出来なかった。
 不意の殺気を感じ取り、魔力シールドを展開。
 そこに重い斬撃が来た。
 勢いを殺すためにそのまま後方へと飛びずさる。

「流石坂本、よく受けた」
「一体何のつもりです!?」
「現役のシールドは流石だな、ストライカーの強化なしで私の刃を止めるか……ふふっ、ならば遠慮なく行かせて貰うぞ」
「くっ!」

 こちらの問い質しを無視して次の一撃が来た。
 間合いを取る事で薙ぎ払いの斬撃を回避し、自身の刀を抜き、構える。

「よし、抜いたか。それでいい」

 錯乱している様子も、酔っている様子もなかった。
 だが、振るう刃に本物の殺気が込められているのも確かだった。

「やめてください!」

 叫びながら刀で攻撃を受け流し、受けきれないものはシールドで止める。

「私はお前が『やる気』だって聞いたぞ。だったら上がりのウィッチの攻撃程度でシールドに頼るな!」
「ぬぅ……」

 言っていることは尤もだ。
 目の前のウィッチがそれを実践しているのだ。
 ならば、応えるしかあるまい。

「ッ!」

 安易にシールドに頼らず、体捌きに集中する。
 心をよぎるのは死ぬかもしれないという恐怖と、その恐怖を凌駕する高揚感。
 黒江大尉は私の憧れであり、目標の一つだった。
 初めて顔を合わせたのはウィッチの養成校に入って間も無くの剣道の稽古だ。
 出稽古に来ていた黒江大尉との竹刀を合わせ、以来一度も試合での勝ち星が無い。
 お互い10代で3年の開きがあれば、その実力の差は歴然となる。
 年下の側が才に秀でるのであれば逆転はありえるかもしれない。
 だが、年上の側が才に恵まれた上に努力、研鑽を積み重ね続ける限り、その差は永遠に越えられない山脈となって二人の間に横たわる。
 しかし、今この瞬間、魔力、気力、体力ともに充実した私ならば、黒江大尉を超えられる気がした。
 細かい理由など要らない。ただ、目の前に偉大な先輩を超えるチャンスが訪れたとそう思えばいい。
 間合いを取り、暫しの瞑目の後に覚悟を決め、眼帯を外し、正面に刀を構える。
 見据えた視線の先、黒江大尉がにやりと笑う。
 それが応の証。
 二人の間に絶対的に強固な信頼関係が構築された事を感じ取り、踏み込む。
 呼吸、足の運び、指先の緊張、瞬き、発汗、鼓動……今まで僅かな誤差を持って刻まれていた動きが一つの物へと成っていく。
 お互いの手には真剣。
 一瞬の過ちが互いの命を刈り取るであろう剣舞を舞い散る桜が祝福する。
 黒江大尉の動きは速く、その一撃は重い。
 魔眼を以ってその動きの始点を見切り、機先を制することで優位を確保。
 次第に黒江大尉の打ち込みの手が減り始める。
 だが、同時に違和感を覚え始める。
 おかしい。
 私の切っ先は確実に黒江大尉の出足を殺していて、攻め手の主導権はこちらにある。
 あるがしかし、この場の空気とも言うべきものを出会った時から相変わらず黒江大尉が支配している気がした。
 不意に黒江大尉が構えを解いて目を閉じ、私の刃をその刀で受ける事を放棄した。
 違和感は確信に変わる。
 打たされている。
 私は初めと変わらずに刃を打ち込み続けているというのに、両手をだらりと下げて瞑目する黒江大尉の身体に触れることすら出来ない。
 理解した。
 攻撃の気配と殺気、僅かな動きの視点を私の魔眼が見切る事を見越した黒江大尉は、それを積極的に見せる事に依ってこちらの攻撃を誘発し、操り、支配する。
 既に術中に嵌り、私は徒に体力と魔力の消費を強いられていた。
 それでも攻め手を緩める事は出来なかった。
 構えなど無しにも何時何処からの一撃でも「お前を殺すぞ」という気配の起点が生まれては消え、私はそこから襲い来る恐怖を払う為、必死に踏み込んで斬り、突き、払った。

「情けない。そして浅はかだ。魔力にさえ頼めば私を凌駕できるとでも思ったか?」
「くっ……」

 黒江大尉の突き放すような声に、尚早と疲労から苦悶が漏れる。
 それが一瞬の隙になった。
 無造作な動きで踏み込んだ黒江大尉の左手が私の首を掴んで、思い切り振りぬかれた。

398zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:02:53 ID:z3M5L//s

「かはっ」

 数メートルを投げられ、したたかに桜の幹へと背を打ちつけ、咳き込む。

「どうした? 終わるか?」
「もう一本!」
「そうでなくちゃな、立て!」

 痛みを堪えて立ち上がり、刀を構え直す。
 その切っ先の迎撃範囲に対し、再び殺気も無しに無造作に踏み込んで来る黒江大尉。
 慌てて刃を払って追い払おうとするも既にその左手は私の右手と鍔を掴み込み、私の剣を殺していた。
 そのまま上半身を押し込まれ、再び桜の木へと背中を押し付けられる。
 押さえ込まれた上に互いの身体に挟まれたせいで腕は動かせず、上半身同士が密着した状態で睨み合う。
 いや、既に気負けしていた私は睨むと言えるほどの眼力をこの眼に宿らせる事ができず、ただ、その瞳を覗き込むことしか出来ていない。

「……」

 黒江大尉が息を吐いて視線をずらし、一度私の肩にあごを乗せるようにする。

「なぁ、お前もう下りろ。がちがちになりすぎて滑稽なだけだぞ。でなきゃ……」

 下りろという言葉、私には重い言葉。

「黒江大尉……私、わひゃっ」

 反論しようとした私の耳にペチャっというえも言えぬ感触。

「くくくっ、扶桑撫子の耳たぶはいい味がするな」
「な、何をっ!?」
「耳たぶを噛んだんだ。唇でな」

 何を当たり前のことを聞いているんだ?とでも言うような表情で顔を正面に持ってきてからいたずらっぽい笑みを浮かべる。

「そ、そんな事はっ」
「まぁ、分かってるだろうな。ホラッ」

 遮ってそう言いながら軽く拳を作った手の甲で私の胸の中心を叩き、そのままバックステップして距離をとる。

「恐れんなよ。それと、難しく考えんな。力抜いてもっとのびのびと打ち込んで来い」
「黒江大尉……」

 確かに初めから、ずっと緊張しっぱなしだった気がする。
 自分が手にしている黒江大尉に対してただ一点の優位を魔力の強さだと思い込んで戦っていた。
 しかし、優位などは……そんなものは無かった。
 二人の関係は初めて会ったあの日から変わらず絶対的な力の差があり、彼女の存在そのものが聳え立つ巨峰そのものだった。
 大きく深呼吸してからその山を見上げれば、なんと登り甲斐があるのだろうと感嘆する。
 
「来いよ坂本。稽古をつけてやる」

 改めて構えを取る黒江大尉。
 もう一度深呼吸、自然体として大地に立つ。
 この身を包む大気は冷たいが、それ以上に開放感を欲して上着を脱ぎ、靴を放り出し、髪を解いた。
 更に意識して魔眼を閉じる。
 余計なものを削ぎ落とした等身大の坂本美緒として、剣士黒江綾香の前に立つ。

「いい空気だ」

 その一言と共に魔のクロエが神速の踏み込みを見せる。
 動きが視えた私はだらりと落としていた右手を引き寄せ、首を刈り取ろうとした真剣の一撃を受け止めてそのまま鍔迫り合いへと持ち込む。

「よく受けた。受けてくれなきゃ色んな奴にわたしが殺される所だったぞ」
「冗談がきついですな」
「冗談じゃないさ。この交わりの中でどちらが死んでも後悔はしない。しないがしかし、この意思を周りに理解してもらうのが面倒だとは思わんか?」

399zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:03:17 ID:z3M5L//s
「違いない」

 自然に笑みがこぼれ、そこから先は無邪気なチャンバラだった。
 無論一瞬のミスが死に繋がる事は変わらない。
 それでも互いの剣閃の交錯が楽しくてたまらなかった。
 いつしかお互い疲れ切って大地を背に頭の天辺を向け合って大の字になっていた。
 見上げるのは青空と桜。
 
「坂本」
「はい」
「何でもない」
「ははっ」
「ふ……」

 風が吹いて桜が舞う。
 もう一度黒江大尉が口を開いた。

「坂本」
「はい」
「酒を」
「お酌ですか?」
「ああ」
「はっはっは、仕方の無い御仁だ」

 適度な心地よい疲労感を抱えた身体で立ち上がり、酒瓶をとりにいく。

「ほんとはな、凹まして諦めさせようと思ったんだ。でも惜しくてな。発破をかけた」
「黒江大尉」
「そしたら見る見る動きが良くなるじゃないか。そうなるとこっちも楽しくってな」
「……」
「お前を繋ぎとめるつもりが気が変わったんだ……お前は自分の信じる道を行け。回りの雑音なんぞ気にするな……って、私がこんな事言ったのは秘密で頼むぞ。色々心配性な連中に半殺しにされかねん」
「はっはっは。ご心配なく」

 笑いながら酌をする。
 黒江大尉はその酒を豪快に飲み干す。

「そーだ坂本、お前ちょっと『おめでとう』って言ってみろ」
「え? ……おめでとう、ございます……」

 きょとんとして言った私の祝福の言葉に満足したのか、黒江大尉はニカッと笑って抱きついてくると背へと回した腕で私を引き寄せつつ「お前も飲め」と頬を寄せて囁く。

「私は酒は……」

 正直、私は下戸で酒は飲めない。

「知ってる。お前用にサイダーの瓶も持ってきてる」
「用意がいいですね」

 好意を受け取らない理由はなかった。
 酒とサイダーで乾杯。
 程よく身体が冷えて二月の冷気が浸透してきた所に、酔いで発熱した人肌が作り出す温もりが心地良い。
 後は二人で盃と瓶を傾けあって騒いで楽しんで、そんな酒宴は日が傾く頃にミーナと加藤の両中佐の登場によって幕を閉じた。

「半年後でも一年後でも、またやろうぜ」

 黒江大尉はそういって茶目っ気たっぷりに笑って片目を瞑り、扶桑刀一本だけ持って加藤中佐の車に乗った。
 半年、か……。
 先輩の明るい姿を見て、自分の半年後が少しだけ気楽に迎えられるようになった気がした。




以上となります。
坂本と黒江では本国では本来坂本中尉と黒江大尉という階級差があり、海と陸という立場の違いもあり、更に年齢差もあるという前提で坂本が一歩引いた態度を取っています。
まぁ、なんていうか自分は黒江大尉が大好きなんです。

400zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:13:22 ID:z3M5L//s
しまった、ハイデマリー誕生日SSきてたの見落としてた。
後でゆっくり読ませていただきます〜。

401名無しさん:2011/02/17(木) 00:56:26 ID:gpYqJJ0Q
>>388
いちゃいちゃエイラーニャ和んだ!GJ!

>>392
微妙にイマイチだけどやっぱりカッコイイ姫に萌えた。GJ!

>>395
何故ナイトウィッチじゃないのにエイラがw 和気藹々とした雰囲気GJ!

>>400
剣術の描写がステキ。黒江さんまだ現役いけるんじゃないの?w GJ!

402mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/21(月) 01:33:41 ID:x1ApGJ1Y
>>388 LWqeWTRG様
GJ! 積極的なサーニャさんとエイラさんに萌えました。
エイラさんもやればできる!?

>>392
GJ! 姫様イケメンですね。ハイデマリーも幸せ者ですね!
スラップスティックなノリに、和みました。

>>395 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! さり気なく混ざってあれこれしてるエイラに吹いたw
自重しない定子さんもGJです。

>>400 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! 剣と剣のぶつかり合い、迫力が伝わってきます。
文章から黒江さんのイケメンっぷりが漂って来ます。ステキです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日はエイラ誕生日祝いと言う事で……
じゃあ誰に祝って貰うのが良いかなとか
色々考えてるうちに出来たSSを投下します。
ではどうぞ。

403jealously:2011/02/21(月) 01:34:34 ID:x1ApGJ1Y
「誕生日おめでとー」
 のんびりとした雰囲気で始まったエイラの誕生日祝い。
 まんざらでもない感じで祝福の輪の中心に陣取るエイラ。
 ひとときの賑やかな時間を過ごしたエイラは、にやけ顔でミーティングルームを後にした。
 そう言えば、と後ろを振り返る。さっきまで一緒に祝ってくれていたサーニャ。何故か機嫌が悪い。
「どうしたんダ、サーニャ?」
 無言。
 同じ事を繰り返すも、むすっとして、ぷいと顔を向ける。
 だんだんと不安になってくるエイラ。
 ……何か変な事を言ったのか? サーニャにとって悪い事でも言ってしまったか?
 あれこれ思い返すも、そんな事は全然無い。
 ただ、賑やかに祝って貰っただけ。
 拭えぬ疑問を抱いたまま、部屋に戻る。

「エイラ……っ!」
 ふたり一緒に部屋に戻り、扉を閉めるなり、サーニャはエイラの腕を取り、身体ごとぐいと壁に押しつけた。
「な、何するんだサーニャ!?」
 手首に食い込むサーニャの爪。痛さよりも先に、サーニャの行動への驚きが出る。
「エイラ、分かってない……」
「な、何を? 私何か変な事言ったカ?」
「違う!」
「じゃあ、一体どうしテ。何でサーニャが怒ってるのかわからな……」
「エイラは黙って!」
 サーニャから発せられたいつになくきつい言葉に、エイラは唖然とし、同時に返す言葉を失う。
 ごくり、と唾を飲み込む。
「さ、サーニャ……」
 それ以上言葉を言わせて貰えなかった。不意に唇を塞がれる。
 先程二人で沢山食べたケーキの甘酸っぱさが、唾液に混じって微かに感じる。
 ゆっくり唇を離すサーニャ。はあぁ、と熱い溜め息がエイラの頬を撫でる。
「エイラは……」
「う、うん?」
「私だけのものなの。他の人に祝って貰うの、嫌なの」
「な、何で? サーニャも一緒に楽しん……んんっ……」
 またも唇を塞がれる。ぷはあっと息切れしたところで、ようやく唇を離す。
「エイラは、私だけのエイラなの。エイラ、私だけを見て?」
「サーニャ、どうしたんだヨ……い、痛い……」
 ぐいとエイラの手首を押しつけ、動きを封じる。いつしか耳と尻尾も生やし、力がこもる。
「私を、見て?」
 両手首を押さえつけて、顔をじっと見る。
 抵抗出来ない。しようと思えば出来るのだが、何故かしてはいけない気がして……。
 エイラも真正面からサーニャの顔を、目を見る。
 少々の涙で澱んだオラーシャ娘の瞳は、いつもの柔らかな輝きが失せ、エイラの怯える顔を映し出す。
 同時に、サーニャのキモチも垣間見る。
 狂おしい程の、愛情。
 いや、愛が故に狂気に走ったのか。
 腕の痛みを忘れ、息を呑むエイラ。
「もっと。ずっと、一生、私だけを、見て?」
「……」
「返事は?」
「う、うん……」
「じゃあ、ご褒美」
 エイラにもう一度口づけをすると、耳たぶの後ろに唇を這わせる。
「ひゃうっ……サーニャ……」
「エイラ、ここ、弱いもんね」
「そ、そんな事……」
「震えてる。可愛い」
「サーニャ、おかしいぞ……何か」
「エイラの為なら、何でもするわ」
「するって、私をしたい放題じゃないかー、うわっ……」
 サーニャはエイラをそのまま掴まえて、ずるずるとベッドに引きずり込んだ。
 エイラは為す術もなかった。

 ベッドの上で、疲れ果てて眠るエイラとサーニャ。
 何度キスを交わし、身体を重ねたか分からない。
 もうひとつエイラに分からない事。それはサーニャの豹変。
 重たいまぶたをうっすらと開け、目の前のサーニャを見る。
 やっぱり、分からない。
 しっかりと抱きつかれ、一時も離してくれない。
 でも、こう言う事も、何だか良いかも知れないと、思い始めた自分に気づき、驚く。
 だけど。一抹の不安が頭を過ぎる。
 ずっとこのままだったら、どうしよう。今のサーニャも魅力的だけど、いつものサーニャに戻って欲しい。
 でも、これはきっと何かのきっかけでたまたまこうなっているだけだと、言い聞かせる。
 起きたら、いつもの優しいサーニャに戻っている。そうに違いない。
 うぅん、と抱き枕みたいにサーニャにぎゅっと抱かれながら、エイラはぼんやりと思う。
 そう。夢から醒めれば。
 夢から……。

end

404名無しさん:2011/02/21(月) 01:34:59 ID:x1ApGJ1Y
以上です。
たまにはサーニャさんが積極的でもいいよね、とか思ったり。
ちょっとアレですけど。

ではまた〜。

405mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/21(月) 23:01:50 ID:AXSh3dio
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
本屋に立ち寄った時に思い付いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

406book seller 01/02:2011/02/21(月) 23:02:17 ID:AXSh3dio
 小春日和のとある日、ローマに赴き、それぞれの所用を済ませたトゥルーデとエーリカ、そしてペリーヌ。
 基地帰還まで少々の暇が出来た三人は、ローマ市内某所の本屋に足を踏み入れた。
「ここは……古書も扱っている様ですわ」
 ペリーヌが辺りを見回し、二人に言う。
「なるほど。ブリタニアの……ロンドン程は揃ってないか」
「まあ、ローマだし〜早く済ませてケーキ食べに行こうよ。シャーリーが言ってたあのお店〜」
「分かった分かった。とりあえず本だ」
 蔵書をざっと眺めて呟くトゥルーデと、ぴったり寄り添って歩くエーリカ。
「しかし大尉、本屋に何かご用ですか?」
 二人の後を歩くペリーヌがトゥルーデに聞く。
「ん? ああ、基地で読む為に丁度良い本は無いかと思ってな」
「なるほど。ではこちらなど、如何ですか?」
 ペリーヌが棚から探し、差し出したのは、カールスラントの哲学書。
「哲学か……戦闘教本とかそう言うのは」
「無いと思うよ」
「流石に、ここには無いかと」
 エーリカとペリーヌに即答され答えに困るトゥルーデ。
「そ、そうか。普通の本屋だからな……」
 ペリーヌから哲学書を手渡され、ぱらぱらとめくる。
「うーむ。私には、どうもな……」
「私も読んでると寝ちゃうよ」
「お前は何を読んでも寝るだろう」
「何で知ってるの?」
「あのなあ……」

 ペリーヌはひとり、ガリアの文学は無いかと探し、棚のひとつに辿り着く。
「ここには、まだ有るのですね……」
 何故か安堵するペリーヌ。
「ネウロイは、本は食べないからな」
 いつの間にか後ろに立っていたトゥルーデが呟く。
「でも、街ごと焦土に……」
「そうだったな。でも、こうして異国に有る事自体貴重な事じゃないか?」
「確かに……」
「ペリーヌも何か一冊買って行ったらどうだ? 何なら私が出してやるぞ」
「いえ、お金は大丈夫です」
「まあ、ペリーヌは、自分で本を買う金が有ったら、全て復興に回してしまうからな」
「そっそれの何処がいけないんですの!?」
「まあ怒るな。他意は無い。ただ、少し位自分の為になるものを買うのは、悪い事じゃないと思うが」
「それは……」
「そうだな。私はガリアの文学には疎いが……これなんかどうだ?」
 カラフルな表紙の本を一冊、ペリーヌに渡す。
「これは児童向けの童話集ですけど」
「今度、クリスに読んでやってくれないか?」
「えっ? 大尉の、妹さんに?」
「いや、クリスでなくても良い。子供達に夢を与えるのも大事な役割だと、思わないか?」
 しばし本を見つめる。表紙に描かれた無邪気な子供達の顔を見、目の前に立つトゥルーデの顔を見比べる。
「大尉らしいですわね」
 ぽつりと呟くと、ペリーヌは本を手にカウンターに向かった。
 ふと微笑むトゥルーデ。

「ねえ見てトゥルーデ。古書の処分だってさ」
「ほう」
 無造作に積まれた本棚の一角を見やる。
 様々な書物がどどんと積まれ、さながら「知識」のバーゲンセールだ。
 手に取ろうとするも、いささか躊躇われる。
 どの本も、必死の思いで書かれたものの筈なのに……、一山幾らの扱い。
 もし著者がこれを見たらどう思うのか。トゥルーデはそんな事を想いながら、一冊の本を手に取る。

407book seller 02/02:2011/02/21(月) 23:02:48 ID:AXSh3dio
 詩編。
 著者も題名も知らない。
 ページを開く。
 終わりなき、ものがたり。
 軽やかなリズムに乗って、ことばは軽やかに頁の上を飛び回り、何かを訴えかけてくる。
「トゥルーデ、その本が気になったの?」
「う、いや……」
「色々考え過ぎなんじゃない? 今は読む人が居なくても、平和になったらそのうち誰か読むって」
「平和って……。いつだそれは」
「私達が頑張るしかないんじゃない?」
「まあ、な」
「私はこの本買おうかと思って。妖精の話」
「妖精?」
「トントとか言う不思議な妖精の話」
「どっかで聞いた様な……まあいい」
 トゥルーデはさっきから手にしたままの本をどうすべきか考えていた。
 戦闘の役に立つものではない。
 クリスに読ませるには、少し難しい。
 だが……。
「大尉こそ、少しは戦いから離れた内容の本を手に取るのも宜しいんではなくて?」
 先に会計を済ませたペリーヌが、声を掛けてきた。
「お、ペリーヌ結局童話集買ったんだ」
 エーリカが目ざとくペリーヌの手にした本を見る。
「ええ。大尉のお薦めですから」
「そうだな。私もペリーヌに言った事だし。……そうだな」
 トゥルーデは繰り返すと、その本を会計に持って行った。

「トゥルーデの買った本が一番安いなんてねえ」
 ローマ市内のカフェ。シャーリーと芳佳お薦めの店で、エーリカは美味なるケーキを一口食べ、愚痴を続けた。
「私の買った本、トゥルーデの本の二十倍はしたよ」
「この本は古書で処分品だったからな……中身は他と変わらない筈なんだが」
「それ、どう言う意味?」
「どの本も皆著者の懸命なる努力の末に書かれたもの、と言う意味だ」
「トゥルーデらしいね」
「今度ガリアに帰ったら、この本を子供達に読ませますわ」
「そうすると良い。喜ぶと思うぞ」
「ええ」
 ペリーヌは微笑んだ。
「ま、いっか……」
 エーリカは一人呟くと、トゥルーデのケーキに手を伸ばした。
「おい、私のケーキ!」
「スキだらけなんだもん、トゥルーデ」
「スキも何も……って自分の分はもう全部食べてるのか」
「美味しかったよ」
「私は食べてない」
「じゃあもう一皿頼んでよ」
「仕方ない」
 ウェイトレスを呼ぶと、同じものをひとつ、いやふたつ頼むと声を掛ける。
「そんなに頼んで大丈夫ですの?」
 いぶかるペリーヌに、トゥルーデは言った。
「どうせ食べられるんだったら、予防線を張っておかないとな」
「私がひとつ食べると思った?」
「ああ」
「残念。来た分は全部食べるよ」
「こら、私の分も少しは残せ!」
「へへー」
 いつもと変わらぬカールスラントコンビのやり取りを見て、苦笑するペリーヌ。
「まあ、良いですわね」
「? 何が?」
「どうかしたのペリーヌ?」
 きょとんとしたカールスラント娘二人を前に、ガリアの娘はくすっと笑った。

end

408名無しさん:2011/02/21(月) 23:03:02 ID:AXSh3dio
以上です。
2期5話以降の話と思って頂ければ。
丸くなったペリーヌとお姉ちゃんの
ちょっとした交流も良いと思うんですが
如何でしょう?

ではまた〜。

409名無しさん:2011/02/21(月) 23:46:00 ID:9Hh7gI/c
エイラちゃん誕生日おめでとー!!

SSとか用意してないけども、とにかくおめでとう!

4105uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/21(月) 23:47:56 ID:.yOjDb6.
こんばんは、何とか間に合ったのでエイラの誕生日SSを3レスほど投下していきます。
では、どうぞ

411夢と髪飾り 1/3:2011/02/21(月) 23:48:42 ID:.yOjDb6.

「つまんねぇな〜」

ピンク色の明かりが灯された部屋の中、私はベッドに寝転がり夜間哨戒のローテーション表を見ながら呟いた。
今日の夜間哨戒の担当はサーニャと宮藤だ。
今頃サーニャ、宮藤と楽しくお話でもしてるのかな。
そんな事を考えてたら、何だか無性に虚しくなってくる。
宮藤は確かに良いヤツなんだけど最近、あいつのサーニャを見る目が何と言うかその……いやらしい感じがする。
宮藤の奴、私がいないのを良い事にあんなことやこんなことをサーニャにしてたりしないよな?
「まぁ、一応出発前に宮藤には釘をさしといたから大丈夫だよな? 多分……」
私は自分にそう言い聞かせて、寝ることにした。

夢の中にサーニャ、出てこないかな……

 「エイラ、起きて」
 私を揺すりながら、耳元で甘く囁く声。
 世界広しと言えど、こんなに甘い声を出せるのはこの世で1人しかいないだろう。
 そう、私の大好きなサーニャだ。
 「サーニャ! お帰り……ん? どうしたんだ、その格好……」
 私は飛び上がってサーニャの方を振り向くと、彼女の服装がいつもと違う事に気付く。
 サーニャは何故かいつもの軍服ではなく、純白のウェディングドレスに身を包んでいた。
 「エイラ、よく聞いて。私、芳佳ちゃんと結婚することになったの」
 「……へ?」
 一瞬、私の思考は停止する。
 ちょっと待ってくれよ、何言ってるんだよサーニャ。
 「サーニャちゃん、お別れの挨拶は済んだ?」
 「あ、芳佳ちゃん」
 そこにタキシードに身を包んだ宮藤がやってきた。
 サーニャは宮藤が入ってくるや否や、宮藤のことをぎゅっと抱きしめる。
 何だよ、それ。2人ともまるで本当の夫婦みたいじゃないか。
 「エイラ、私たち幸せになるから」
 「お、おい! どういう事だよ!? サーニャ! 宮藤!」
 「エイラ、今までありがとう……」 
 「それじゃ行こっか、サーニャちゃん」
 「うん。じゃあねエイラ」
 サーニャはそう言い残すと、宮藤と一緒に部屋を去って行った。
 そんな……行かないでくれよ、サーニャ……サーニャ!

412夢と髪飾り 2/3:2011/02/21(月) 23:49:19 ID:.yOjDb6.

「いやだあああああああああ!」
叫び声と共に私は、がばっと起き上がる。
「ゆ、夢……?」
額を拭うと、べっとりとした寝汗が手に張り付いた。
「確かに、夢にサーニャが出てきてほしいって願ったけど……」
全く、なんて夢見てんだよ私は。
サーニャと宮藤が結婚だなんて悪夢以外の何物でもない、まだ心臓がバクバクしてるよ。
「何事だ!?」
「どうしたんだ!?」
「エイラさん、大丈夫ですか?」
「一体何事ですの?」
私の叫び声がよっぽどすごかったらしく、バルクホルン大尉、シャーリー、リーネ、ペリーヌの4人が一斉に部屋に入ってきた。
着替える間も惜しかったのか、バルクホルン大尉に至っては衣服を何も身に付けていなかった。
「エイラ、何があったんだ? あんなに大きな声を出して」
大尉が心配そうな表情で私の肩をつかんできた。
何というか……目のやり場に困るな。
「えっと……何があったか全部話すから、とりあえず服を着てくれ大尉」

「あーはっは!」
十数分後、私が食堂で夢の事を話し終えると、シャーリーは腹を抱えて大声で笑い出した。
……やっぱり話すんじゃなかった。
「声が大きいぞ、シャーリー。ミーナ達はまだ寝てるんだ」
「ごめんごめん。でも、宮藤とサーニャが結婚だなんて……くくっ」
「何だよ。そんなに笑うことないだろー?」
「全く、ちょっと変な夢を見ただけであんなに騒ぐなんて……みっともないですわよ」
「じゃあツンツンメガネは、坂本少佐とミーナ中佐が結婚する夢を見ても平常でいられるのか?」
「な!? 何でそういう話になるんですの!? と、とにかく……私とリーネさんで作ったカモミールティーですわ。
これでも飲んで、気持ちを落ち着けなさい」
ペリーヌはあからさまにうろたえた様子を見せながらも、私にカモミールティーを差し出してくれた。
ほんわりとした良い香りが辺りに漂う。
「……ありがとな。ツンツンメガネもたまには優しいとこあるんだな」
「『たまには』は余計ですわ。たんとお飲みなさい」
私はペリーヌ達が淹れてくれたカモミールティーを口に含んだ。
ほんわりとした香りが口の中にも広がるのを感じる。
「うん、美味い」
「気に入って貰えて良かったです。それにしても私、ビックリしましたよ。眠ってたら、エイラさんの部屋からいきなり
すごい叫び声が聞こえてくるんだもん」
「騒がしてごめんな。でも、リーネだって同じ夢を見てたら、慌ててたと思うぞ〜?」
「それは、絶対ないと思います」
リーネがはっきりとした口調でそう応える。
「へ? 何でそう言いきれるんだ?」
「芳佳ちゃんが夢の中で誰と結婚しようと、それはあくまで夢の中での話です。本当の芳佳ちゃんは、
エイラさんからサーニャちゃんをとるような事は絶対しません」
「すごいな、そこまで言いきれるなんて……」
「はい。だって私、芳佳ちゃんを信じてますから」
リーネは、私を真っすぐ見つめながらそう言いきった。
本当にすごい奴だな、お前。
「あはは! 一本とられたな、エイラ。お前ももう少し宮藤のこと信じてやんなよ。確かにあいつはちょっと変なとこあるけど、
リーネの言うようにお前からサーニャをとるような事は絶対にしないと思うよ。なぁ、バルクホルン?」
「うむ。宮藤もサーニャも素直で可愛い私の妹だ」
「あー、あんたに振ったあたしが馬鹿だった……それじゃ、あたしらはもう寝るからエイラもそれ飲んだら寝たほうがいいぞ。
何てったって明日は……おっと、これはまだ秘密だった。じゃ、また明日な」
みんながいなくなると食堂は急に静かになった。
シャーリーの奴、一体何を言おうとしてたんだ?
まぁいいや、早くこれ飲んで部屋に戻って寝よ……

413夢と髪飾り 3/3:2011/02/21(月) 23:49:43 ID:.yOjDb6.
「エイラ、起きて」
私を揺すりながら、耳元で甘く囁く声が聞こえる。
こんなに甘い声を出せるのは世界で1人だけ……
「ん……サー……ニャ?」
私が起き上がると、そこにいたのは軍服に身を包んだサーニャだった。
もちろんウェディングドレスも着てないし、隣にはタキシードを着た宮藤もいない、私の知っている大好きなサーニャ。
「夢、じゃないよな?」
「何言ってるの? ふふっ、変なエイラ……ねぇエイラ、これ見て」
サーニャが微笑みながら小さな鏡を私に見せてきた。
私がその鏡を覗きこむと、そこに映っていたのは見慣れない髪飾りを付けた私の顔。
「ん? なんだこれ……」
私は、いつの間にか髪に付いていた髪飾りを触ってみた。
花の形をしたとても可愛らしい髪飾りだ。
「エイラ、誕生日おめでとう。それは私からの誕生日プレゼントよ」
「え?」
私は、サーニャの発言を理解するのに少々時間がかかった。
誕生日? 誰の?
「あ、そうか……私の誕生日、今日だったっけ……」
部屋のカレンダーを見て、ようやく私は今日が自分の誕生日だという事を思い出す。
昨日はサーニャと宮藤の事で頭がいっぱいですっかり自分の誕生日を忘れていた。
もしかして、シャーリーは昨日この事を言おうとしてたのか?
「……なぁサーニャ、頬をつねってくれ」
「え? いいの?」
「ああ、頼む」
サーニャが私の頬をそっとつねってくれた。
少し痛かった。痛いってことはつまり……
「夢、じゃないんだ……私、サーニャからプレゼントもらったんだ……やった! 本当にありがとな、サーニャ」
「ふふっ、やっぱり今日のエイラちょっと変……ん」
「へ? サ、サーニャ!?」
その時、私はサーニャに突然ベッドに押し倒された。
ちょ、ちょっと待ってくれよサーニャ。私たちまだこういうのは早いんじゃ……
「すー、すー……」
「え? ね、寝てる?」
サーニャは可愛らしい寝息をたてながら、私の上でぐっすりと眠ってしまった。
まぁ夜間哨戒明けだから無理もないか……って、そういう問題じゃない!
この体制だと私、身動きとれないじゃないか。
私の心臓の鼓動が昨日夢から覚めた時よりも早く鳴っているのを感じる。
色々とマズいぞこの状況。
でも、心地良く眠っているサーニャを起こすわけにもいかないし……私、一体どうすればいいんだー!

〜Fin〜

4145uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/21(月) 23:56:42 ID:.yOjDb6.
以上です。エイラ、誕生日おめでとう!
それと名塚佳織さん、ご結婚おめでとうございます。

>>396 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです。美緒と黒江さんのやり取りが素敵です。2人ともかっこいいですね。

>>402>>405 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。積極的なサーニャと優しいお姉ちゃんがいいですね。
お姉ちゃんと本と言えば、乙女の巻2巻の私の大好きなエピソードを思い出します。

ではまた

415名無しさん:2011/02/22(火) 15:33:06 ID:C0kCiUTo
>>414
これは良いエイラーニャ!GJ!
相変わらずのお姉ちゃんにもワロタ

4165uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/24(木) 01:13:08 ID:O/9rDeXw
こんばんは。>>411-413の続きのお話が出来たので投下していきます。
芳リーネで2レスです。ではどうぞ

417お嫁さんはどっち? 1/2:2011/02/24(木) 01:14:15 ID:O/9rDeXw

「え? 私とサーニャちゃんが結婚?」
「うん。エイラさんが昨日そんな夢を見たって」
エイラさんの誕生会の後片付けが終わって、リーネちゃんと部屋でのんびりしていた就寝前。
リーネちゃんは、昨日私とサーニャちゃんが夜間哨戒でいなかった時に起こったある事件の話をしてくれた。
「昨日は本当にビックリしたんだよ。寝てたらエイラさんの部屋から突然叫び声が聞こえてきたんだもん」
「あはは……実際、私がサーニャちゃんと結婚するなんて言ったらMG42持ったエイラさんに追いかけまわされそう……」
エイラさんは本当にサーニャちゃんの事、大事に想ってるもんね。
でも、それ以上にサーニャちゃんはきっとエイラさんの事……
「ねぇリーネちゃん、もしエイラさんとサーニャちゃんが結婚したら、どっちがお嫁さんになると思う?」
「え? どうしたの急に」
「私、どっちかって言うとエイラさんがサーニャちゃんのお嫁さんだと思うんだ。サーニャちゃんと一緒にいると、
エイラさんに守られたいんじゃなくて誰よりもエイラさんの事を守ってあげたいっていう気持ちが伝わってくるんだよね」
昨日夜間哨戒で一緒になった時もサーニャちゃんは、エイラさんの事をどんなに大事に想っているかを私に話してくれた。
エイラさんはサーニャちゃんにあんなに想ってもらって幸せ者だね。

「エイラさんがお嫁さんかぁ……何となく分かるかも。それじゃあ……もし、私たちが結婚したらどっちがお嫁さんになるのかな?」
「……へ?」
突然、リーネちゃんが顔を赤らめながらそんな事を訊いてくるものだから私も思わずドキリとしてしまう。
もう、リーネちゃんその表情可愛すぎだよ。
「えっと、私……できるならリーネちゃんをお嫁さんにしたいかな」
私がそう応えると、リーネちゃんも満面の笑みを浮かべてくれた。
「えへへ、私も芳佳ちゃんのお嫁さんになりたいって思ってたんだ。ねぇ、せっかくだからシミュレーションしてみない?」
「シミュレーション?」
「うん。私、今から芳佳ちゃんのお嫁さんになるから、芳佳ちゃんは仕事から帰ってきた旦那さんの役をやってくれない?」
「疑似夫婦になるって事だね……分かった。じゃあ、早速やってみよう」

418お嫁さんはどっち? 2/2:2011/02/24(木) 01:14:45 ID:O/9rDeXw

「ただいまー」
「お帰りなさい、芳佳ちゃん」
私が一旦外に出て、また部屋の扉を開けるとエプロン姿のリーネちゃんが出迎えてくれた。
リーネちゃんのエプロン姿は台所でいつも見てるのに、何だか今私すごくドキドキしてる……
自分のお嫁さんがエプロンをしてるって考えると、こんなにもドキドキしちゃうんだね。
「ご飯にする? お風呂にする? そ、それともわた、私……?」
リーネちゃんが顔を真っ赤にしながら私に三択を迫ってくる。
そんな表情で迫られたら答えは一つしかないじゃん。
「もちろんリーネちゃん! えいっ」
私は今日一番の笑顔でリーネちゃんをベッドに押し倒した。
「きゃっ! もう、芳佳ちゃんったらせっかちなんだから」
「えへへ……リーネちゃん、耳出して」
「う、うん……」
リーネちゃんは私の指示通り魔力を解放して、使い魔の耳と尻尾を出してくれた。
私がその猫の右耳を思いっきり甘噛みすると、リーネちゃんはくすぐったそうに身をよじった。
「ひゃぅっ! 芳佳ちゃん、くすぐったいよぉ〜」
「リーネちゃん、ここが弱いんだね」
私が続いて左耳を噛もうとしたその時、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「宮藤さん、リーネさん」
「「ペ、ペリーヌさん!?」」
振り返るとそこにいたのは、この部屋の3人目の主であるペリーヌさんだった。
「あなた方は一体、何をなさっているのかしら?」
ペリーヌさんは口調こそいつも通りだったけど、背後からは殺気のようなものを漂わせていた。
こういう時は何て答えればいいんだろう……
「……えっと、よ、夜の営み?」
「よ、芳佳ちゃん!」
「え? 間違った事は言ってないよね?」
「あ、あなた方という人は! な、何て破廉恥な〜! もう、知りませんわ!!」
ペリーヌさんは顔をりんごのように真っ赤にさせて、その場から去ってしまった。
「あ、ペリーヌさん行っちゃった……」
「もう……どうするの? 芳佳ちゃん。ペリーヌさん、怒りを通り越して呆れてたよ」
「ペリーヌさんには後で事情を説明するよ。それより今は……」
私はさっき噛み損ねたリーネちゃんの左耳を右耳と同じように甘噛みする。
リーネちゃんもさっきと同じようにくすぐったそうに身をよじらせた。
「リーネちゃんの事、もっと知りたいかな」
「はぅ……芳佳ちゃんのえっち……」

――リーネちゃん、私の可愛いお嫁さん。これからもずっと一緒にいようね。

―――――――

以上です。
なんだか思ってた以上にシュールな話になっちゃいました。
ではまた

419名無しさん:2011/02/24(木) 02:17:35 ID:LCdbcCfg
>>418
GJ! 芳リーネの夫婦に萌えてペリーヌさんの怒りでワロタ
あと30機撃墜クラブ入りおめでとうございます!
新たなミラクルエースの誕生に乾杯!

4205uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:49:29 ID:elsxYk82
こんばんは。今日はペリーヌの誕生日ということで
短いですが、アメリーヌで1本書いてみました。
ではどうぞ

4215uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:50:53 ID:elsxYk82

「ねぇアメリー」
「何ですか? ペリーヌさん」
「その……あなた、少しひっつきすぎじゃない?」

現在の時刻は23時57分、日付の変わる3分前――私とペリーヌさんは1つのベッドに向かい合うような形で横になっていました。
「えへへ、ここにいればペリーヌさんの誕生日を一番に祝えますから」
「ええ。それはありがたいんだけど、その……こうもベッタリされると、なんだか恥ずかしいですわ」
そう言って、頬を朱に染めるペリーヌさん。
わぁ、ペリーヌさん、照れちゃって可愛いな。
私はそんなペリーヌさんの胸に耳を当てて、胸の鼓動を聞いてみる。
「本当だ。ペリーヌさん、すごくドキドキしてますね」
「ふぇっ!? だ、だから! ひっつきですって〜」
「……ペリーヌさんは、私にひっつかれるのイヤですか?」
「別に、悪い気はしませんわ。むしろ嬉しい……って、何言わせてるのよ」
「ふふふ……あっ!」
「どうしたの?」
「0時になりましたね」

部屋の時計を見ると、長針と短針がてっぺんで重なり合っていた。
今日は2月27日――私の大好きなペリーヌさんが生まれた日。
「ペリーヌさん、誕生日おめでとうございます」
「……ありがと」
「これ、私からのプレゼントです」
私は寝巻きのポケットからプレゼントを取り出し、それをペリーヌさんの耳に付ける。
シンプルな形の銀色のイヤリングだ。
「イヤリング?」
「はい。わぁ、すごく似合ってますよペリーヌさん」
「……本当にありがとう。正直あなたや501のみんなと逢うまでは、自分の誕生日というものに意味が持てなかったわ。
私には誕生日を祝ってくれる家族がいなかったから……でも、今は本当に嬉しい……家族と同じくらい大切な人に祝ってもらえて」
と、どこか寂しげな表情で語るペリーヌさん。
「ペリーヌさん……」
何だかしんみりした雰囲気になっちゃいました。
こういう時はどうすればいいんだろう……あっ、そうだ。
私は思いついたある事を実行するために、ベッドに侵入する。
「ペリーヌさん、ちょっとごめんなさい」
「へ? ア、アメリー!?」
私はベッドに潜り込み、ペリーヌさんのお腹の辺りをこちょこちょとくすぐる。
「ちょ、ちょっとアメリー!? く、くすぐったいですわ……ふふっ」
「あ、笑ってくれた」
「え?」
「その……私、とにかくペリーヌさんには笑っててほしいんです。だって、私ペリーヌさんの笑顔が大好きだから」
私がそう言うと、ペリーヌさんは顔を真っ赤にしながらこう呟いた。
「ま、全く、あなたという人は……お返しですわ」
今度はペリーヌさんがベッドに潜り込んで私のお腹をくすぐってくる。
「あぅ……ペ、ペリーヌさん! そこはダメですよ〜……ふふふ」
「ふふっ、観念なさいアメリー」
「や、やめてくださ〜い……あはは」

――ねぇペリーヌさん、私たちこれからもずっと一緒に笑いあえたらいいですね。

〜Fin〜

4225uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:53:34 ID:elsxYk82
以上です。ペリーヌ、誕生日おめでとう!
ペリーヌはアメリー相手には積極的だったらいいなーと思ったり。

>>419
ありがとうございます。まだミラクルエースになったという実感は湧きませんが、
これからもちょくちょく書いてくのでよろしくお願いします。

4235uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:56:04 ID:elsxYk82
すみません、タイトル忘れてました……
>>421のタイトルは「tickles」です

424Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:44:34 ID:Ggr4Rfow
お久しぶりです!
最近スランプ気味(!?)であったので、なかなか作品を投下出来ませんでした…;;
もう開き直って、スランプ状態なまま書いたらこんな作品が出来ました!ぜひ読んでください!
なお、初挑戦のエイラーニャ作品です!


【過保護エイラさん】

ここは部屋中、占いグッズなどが溢れているエイラとサーニャの部屋。
ネウロイの奇襲もなく、急きょ全員非番となり暇を持て余した隊員たち。
そんな中、エイラはベッドで寝ながらタロットカードで遊んでいた最中であった
急にサーニャがこんなことを聞いたのだ...

「何ダヨ、このタロットカード破れかけてるじゃんかヨー」
「ねえエイラ…」
「ん?どうしたサーニャ?」
「子供ってどうやって出来るの?」
「ハ…?」
「『愛の結晶』って何?」
「…ダッ、誰から聞いたンダ??!!」
「ハルトマンさん…」


***

425Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:45:02 ID:Ggr4Rfow
>>424の続き。


「ハールートーマーン!!!!」
「ん〜?何〜?」

エイラは急いで、居間でダラっとしていたエーリカを呼びとめる

「オッお前、サーニャになんてコトを!!!!」
「え、何?なんか私、変なこと吹き込んじゃった?」
「吹き込むも何も…サーニャがあんな突拍子にもない事を言うはずネエダロー!!」
「ん〜…思いつかない!じゃっ!」
「待てハルトマン、何処に行くんだ?!」
「え〜と、ミーナに頼まれてた領収書の整理?みたいな」
「オイオイオイオイ!!!!」
「はあ…」

エーリカは急に手を額にのせ、ため息をつく...

「エイラって、将来は良いパパになると思うよ」
「ハア?」
「んじゃ。わ〜たしに〜でっきること〜♪」
「待て、何処行くンダ!?」

意味深な言葉を残し、何処かへと行ってしまったエーリカであった...






























そして、また夕飯後に事件は起こる。

「ナア宮藤ぃ、サーニャ知らないカー?」
「サーニャちゃんならさっき、ルッキーニちゃんとハルトマンさんと一緒に居間に居たような…」
「ゲッ…」

薄々、嫌な予感を感じながらもエイラは居間へ向かう。
やはり予想通り………、

「ウジュー!おっきい!」
「これって…すごい」
「うん、大きいねえ!私もこんなんになりたいねぇ!!」
「…ッ!!ハルトマン!!!!」
「あ、エイラだ」

エーリカを囲むように、ルッキーニとサーニャは本を読んでいた

「エイラ」
「エイラ、どうしたの?顔真っ赤にしてさあ」
「どうしたも何も…お前、サーニャに何てモノを見せてるンダッ??!!」
「エッチな本」
「見りゃ分かるヨ!!」
「バッカだなあ、エイラ。このサーニャんの性教育はこのエーリカ先生に任せておきなさい!」
「アホらし。サーニャ、戻るゾ」

無理やりサーニャの腕を引っ張ろうとすると、

「…嫌」
「へ???」
「サーニャはねー、今日はあたしと一緒に寝るのぉー」
「じゃあエーリカちゃんも〜!」
「おいおい、待て待てルッキーニとハルトマン…どうゆう事ダ?」
「どうゆう事って…こうゆう事。おやすみ、エイラ」
「サーニャ…サーニャぁぁぁぁ…」

その場で立ちつくしてしまったエイラであった...


***

426Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:46:16 ID:Ggr4Rfow
>>425の続き。


「ううっ…うううっ…」
「泣くなってエイラ…」

何故かエイラはシャーリーに慰められていた...

「だって…だって私なんかもう必要ないンダ…ううっ」
「あぁもう面倒臭いヤツだなあー」
「何か言ったカ?」
「ううん、別に」
「ぐすっ…サーニャに捨てられたら私、私はどうやって…」
「極論過ぎんだろ!?」
「まだわからないの?エイラ」
「えっ…」

いつの間にか、エイラの背後にはエーリカが居た

「旦那、何かコイツに言ってやってくださいよ」
「おうおうおう…おうエイラ」
「何だよ、その打ち合わせしたようなやり取りはサ」
「今までサーニャの意見って聞いたことある?」
「そりゃあもう…いつもサーニャの頼みごとなら何でも聞いてたサ」
「ウッソだ〜!じゃあ本当はサーニャはツナのサンドイッチが食べたかったのに、エイラが勝手にハムのサンドイッチを持って行って食べさせてたってことは無かったと言い切れるの?」
「うっ…」
「もちろん、エイラは好意で持ってきてるから断れないよなあ」
「他にも、まだまだ。1人で落ち着いてサウナ入りたいのに下心アリアリなエイラが勝手に入ってくるんだよ?」
「まっ、まさか!サーニャに限ッテ!!」
「言い切れるのぉ〜?」
「うっ…」
「他にもサーニャはEXILEかCHEMISTRYは選択しきれなかったかもしれない。けどエイラは勝手にコブクロを…」
「もう良いよ!しつこい!!つまり何が言いたいんだ、ハルトマンは」
「はあ…だから、たまにはサーニャもエイラも、一人になる時間が大切だって話。そして最近のエイラは『お節介』や『押し売り』の度が過ぎてるかな〜って」
「…お前らにサーニャの何が分かるンダ!」

…怒り気味で部屋を出て行くエイラ。

「おい、待てって」

急いでシャーリーが追いかける

「落ち着けってエイラ」
「落ち着いてられるカ!!」
「あー…これ、ハルトマンには秘密な」
「秘密?」
「まあハルトマンとサーニャって最近仲が良いじゃん?」
「あぁ…」
「サーニャから相談を受けてたらしいんだ」
「ハルトマンに?」
「あぁ。もちろんエイラも大事に想ってるけど、最近私に付きっきりでエイラは他の人とあまり交流が少なくなってきてるってな」
「サーニャ…がか?」
「ああ。だからハルトマンは一念発起!…あえて引き離そうとしたらしいんだ」
「ご、誤解シテタ…」
「お前がサーニャが好きなのはわかる、けど…自分や相手を『思いやる』ってのも大事だぞ」
「…ありがとう、シャーリー。なんかムカムカしてたからサ」
「いんや、礼を言うのはハルトマンにな」
「サルミアッキでも贈るか、お菓子好きだって言ってたしナー」


***

427Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:49:36 ID:Ggr4Rfow
>>426の続き。

翌日

「ねえエイラ…」
「どうした?サーニャ」
「私、欲しい物があるの」
「そうかそうか!じゃあ私が………ううん、何でもナイッテ」
「だから今日もお休みをもらって買い物に行って来ようと思うの」
「ソウカソウカ…私は行かなくても大丈夫カ?」
「大丈夫。エイラはゆっくりしてて」

やはり少し心配したエイラは玄関までサーニャを送り出すことにしたが…

「………」
「おー、リーネ。どうしたンダ?」
「これ…何なんでしょう…?」

入口付近でただ呆然と立っていたリーネ。リーネの視線の先には…

「………」
「………」

この間送られてきたジャガイモの入っていた空き箱を何個か利用して工作され、それが積み上げられている物体があった

「…なんだこれ、『無人契約機 ナンボちゃん』?ナンダコレ?」
「コノ度ハ、『無人契約機ナンボちゃん』ヲゴ利用頂キマシテ誠ニグラシアス」
「わっ、喋ったゾ!?この箱!!」
「この無人契約機、なんか訛ってる…」
「そこをツッコむのカ?!…と言うかサーニャ!こんなの無視して早く行くんだ!!」
「うん…じゃあ行ってくるね、エイラ」
「おっ…おう!」

そうしてサーニャは走って外へ出かけて行ったのであった...

「ゴ利用ハ、計画的ヌ」
「…もう良いぞ、ハルトマン」
「あ、バレてた?」

箱の山から出てくるエーリカ

「これさあ、昨日ルッキーニとシャーリーの3人で徹夜して作ったんだよね〜!危うくトゥルーデに壊されそうになったけどさ」
「ったく…」
「たまにはさ、サーニャサーニャだとサーニャんの何処が好きなのか忘れちゃうよ?」
「余計なお世話だっての!」
「素直じゃないんだからさあ〜、トゥルーデじゃあるまいしぃ」
「けど…」
「けど?」
「あ…ありがと…ナンダナ」
「はは…あはは!ムリダナ〜!!」
「ぐぬぬっ!!ハルトマン!!!!」
「サーニャん、何買ってくるか楽しみだね〜♪」
「そうダナ」

428Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:49:58 ID:Ggr4Rfow
>>427の続き。



そうして、サーニャは昼過ぎには帰ってきた。

「あれ、無人契約機ナンボちゃんは…?」
「あれはどうでも良いンダ!!で、サーニャ!ケガとか無かったか?!」
「うん、無事」
「良かったぁ…」
「はい、これ」
「…ん??」

サーニャは買ってきたと思われる、ギフトを渡したのであった。

「私にカ??!!」
「うん…開けてみて」

若干手が震えながら、エイラはギフトの包みを開ける。そこには…

「新しいタロット…?」
「うん、今使ってるのずいぶん使い古してたみたいだから…やっぱりいつも使ってるのじゃないと、ダメ?」
「いやいや!全然!全然これでOKダヨ!!うわあ…素直に嬉しいナア」
「…ハルトマンさんに相談したら、タロットが良いんじゃないかって」
「へ???」
「いつも、エイラに面倒を見てもらってるって感覚だったから今度は私がって…」
「面倒を見るって…介護じゃあるまいし…」
「でも気に入ってくれたなら、嬉しい…」
「ホンットに嬉しいサ!ありがとナ、サーニャ!」
「エイラ…」


「ニシシシシ…」

柱の影から2人の様子を見ていたエーリカ
そしてその後ろにはルッキーニとシャーリーも居る。

「ウジュー、ハルトマンもっとイタズラしないのー?」
「おいおい、今一番良い所なのにイタズラってまあタライがエイラの上に落ちてきたら『笑い』的には美味しいな」
「エイラのリアクション芸が見たーい!!」
「そうゆうのはペリーヌで我慢しとけ、ルッキーニ。…なあハルトマン」
「ん〜?」
「お前って…一体何なんだ?」
「私?天使だよ!」

これぞ、まさに『EMT』である…。


【おわれ】


以上で〜す。如何でしたでしょうか、初のエイラーニャだったんですが;;
それにしても、リアクション芸担当はペリーヌだって断定するルッキーニは酷いw
やはり皆様の作品を読んで、どうかスランプから抜け出したいと思います!

429mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/03/04(金) 20:14:25 ID:Y6hG8x8g
>>414とかたくさん 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
激しくGJです! どのSSもキャラへの愛情に溢れる素敵な作品ですね。
あと30機撃墜おめでとうございます。新しい時代のミラクルエースですね!

>>428 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。普段とは又違った感じなハイテンション面白いです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ふっと思い付いたネタをひとつ短めに。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

430tact:2011/03/04(金) 20:15:43 ID:Y6hG8x8g
 遅めの朝食。殆どの隊員は食事を済ませ既に席を立っている。
 のんびりと食事をしているのは、エーリカとシャーリーのふたり。
 厨房に居る筈の食事係……リーネと芳佳も何処かへ行っており、食堂の中はしんと静まりかえっている。
 もそもそとサラダを食べつつ、シャーリーは斜向かいに座るエーリカに声を掛ける。
「今朝は、ハルトマン一人か?」
「そう言うシャーリーこそ、ルッキーニは?」
 ふかし芋を食べながらのエーリカの答えに、シャーリーは薄く淹れた珈琲を口に付けた後、答えた。
「ルッキーニは昨日から何だかご機嫌斜め四十五度でさ〜。今はどっかで寝てるか遊んでるんじゃないか」
「ふーん」
 会話終了。
 二人だけの淡々とした食卓は尚も続く。穏やかな陽射しが窓辺から二人のもとを照らす。
 不意に口を開くシャーリー。
「そういや、バルクホルンは風邪ひいたって聞いたな。大丈夫か?」
「トゥルーデ? 薬飲んで、部屋で寝てる」
「良いのか、看病してやらなくて」
「本人が良いって言うから。『他の連中の面倒を見てやれ〜』とか言っちゃってさ。で、私はここでご飯を食べてる」
「そっか……」
 その場に居ない“堅物”の物真似声を交えたエーリカの答えに、シャーリーは相槌を打つ以外に何も出来なかった。

 エーリカは、普段にも増してのんびりと食事を取っている。
 しかし、普段と変わらない様でいて、ペースはいつもよりゆっくり、そして何処か物憂げだ。
 シャーリーは、そんなエーリカをしばし観察した後、呟いた。
「ハルトマンってさ」
「?」
「そうやって、自由気ままに見えて、相手の事すげえ心配してるって言うか気を遣ってるって言うか、そういうとこ有るよな」
 エーリカの表情は変わらない。ただ、一瞬ぴくりと眉が動いたのをシャーリーは見逃さなかった。
 あえて気怠そうな表情のまま、エーリカはシャーリーの方を向いた。
「何が言いたいのさ」
「カールスラント人ってどうしてこう、カタい奴が多いんだろうね」
「リベリオン人だって、勝手気まま過ぎるよ」
「ハルトマンに言われたくはないな」
「私もシャーリーに言われたくないよ」
 二人の視線が交錯する。お互いを見つめてるうちに不意におかしくなり、くすくすと笑う。
「行ってやれよ。きっとあの堅物の事だ、部屋の隅で寂しく泣いてるぞ」
 エーリカをけしかけるシャーリー。
「シャーリーも行ってあげたら? ルッキーニ寂しがってるよ」
「そうだな。あいつの好きなキャンデーが何処かに有った筈だ……ええっと」
 服のポケットを探し始めるシャーリーに、エーリカが何かを差し出した。
「はいこれ」
「おっ、サンキュー。ってこれスオムスのまずい飴じゃないよな?」
「シャーリーの服に入ってたからそれはないと思うよ」
「なるほど……っていつの間に取ったんだよ」
「さあね。スキだらけ〜」
 エーリカはさっと立ち上がり、食べ終わった食器を片付けると、シチュー皿にシチューをたんまりと注ぐ。
 それをトレーに載せて、食堂を後にする。恐らくは、部屋で寝込んでる彼女の元へと持って行くつもりだろう。
 シャーリーはそんなエーリカを見て、ふっとため息を漏らす。

 あいつらと来たら……。
 ま、そう言うあたしも同類か。

 そんな事を考えながら、返された飴玉ふたつを、手に取る。
 ルッキーニの居場所は大体分かってる。
 行って声を掛けて……しかし飴玉ふたつで機嫌を直して貰えるだろうか。
 少々の不安か、飴玉の乗る手をじっと見つめる。

「考えるより、動いた方が良いよ。多分待ってる」
 見ていたのか、食堂の入口でエーリカがにやついている。

 ……全く、油断も隙も無い奴だ。

 そんな感想を胸にしまい、わかったわかったと大きめに返事をして、シャーリーは席を立った。

 ハルトマンなりの気遣い……あたしまで受けて、どうするよ。

 参ったね、と呟いて、シャーリーは外へ出た。

 あのウルトラエース二人は、よく分かってる。だからこそ……。
 リベリオン出身の大尉は大きく息を吐くと、ルッキーニの元へと走った。

end

431名無しさん:2011/03/04(金) 20:16:05 ID:Y6hG8x8g
以上です。

エーリカ×シャーリーな感じで。
でも前提としてエーゲルとシャッキーニがあってこそ
こう言うのも有りかなーとか思った訳で。

ではまた〜。

432管理人 ◆h6U6vDPq/A:2011/03/04(金) 23:38:22 ID:7A0XfQVw
皆様乙です
500KBに近づいてきましたので次スレを立てました
ここが500KBに達したら移動お願いします

ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所8
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1299248601/

433mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/03/20(日) 00:07:45 ID:gLiv7t0U
スレが前後してしまいますが

次スレ>>6 6Qn3fxtl様
GJです。エーリカかわいいです!

次スレ>>11 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJです。オラーシャの魔女もおそろしや。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日は何の日お姉ちゃんの誕生日と言う事で、埋めついでにひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

434cocoa:2011/03/20(日) 00:08:16 ID:gLiv7t0U
 それはまだ陽も出ない早朝の事。
 ベッドでひとり微睡んでいたトゥルーデは、部屋の中からただならぬ気配を感じ、がばと飛び起きた。
 果たしてそこにはシャーリーとエーリカが居て、トゥルーデを見て「しまった」と言う顔をしている。
「何をしている二人共」
 寝惚け眼をこすりつつも、問い質す。
「今日誕生日だよな?」
 呑気なシャーリーの答え。
「ああ……。まあ……、そうだが」
「と言う訳で、後でみんなからお祝い有ると思うけど、まず私からの前祝い〜」
 笑うエーリカ。
「『私から』って、エーリカお前何もしてないじゃないか」
 トゥルーデの言う通り、シャーリーは携帯コンロとフライパンを持ち込み、何やらパンケーキをじゅっと焼いている。
 エーリカは横で見ているだけ。
「だって、私には料理するなって言うじゃん。だからシャーリー代理」
「代理って……」
 呆れるトゥルーデ。
「まあ、堅物にも、たまにはこうして何か作ってやるのも良いかな、なんて思った訳よ」
 シャーリーもまんざらでもなさそうな顔で、パンケーキを一枚、また一枚と焼いていく。
「なあ、別に部屋でなくても……それに前にもこんな事が有った様な」
「気にしなーい。はい、焼けた。熱々のうちに食べな」
 ほかほかのパンケーキが載った皿を渡される。何処か釈然としないトゥルーデ。
「そうそう、バターとハチミツはそこに有るから適当に」
「……」
 適当に甘味を付け、もそもそと一口食べる。
「悪くない」
「美味いと素直に言えないのかねー」
「いや、すまない。美味い」
「……ま、誕生日おめでとう、って事で」
「おめでとう、トゥルーデ」
「ああ、有り難う……」
「で、これも」
 エーリカから、カップを渡される。カップの中身はココアだった。
 ミルクと砂糖で甘味を出していて、ほんわかと湯気が立ち上る。
 一口、口に含む。少し熱い。いや、だいぶ熱い。
「エーリカ、これは舌を焼くぞ」
「その辺は魔力で……」
「どうにもならん」
 だらけた二人のやり取りを聞いていたシャーリーは、くすっと笑った。
 ふわあとひとつあくびをすると、フライパンやら携帯コンロをさっさと片付け、立ち上がった。
「何処へ行くリベリアン」
「あたしの役目はここまで。起床までもう少し時間有るから、ちょっと寝るわ」
「分かった」
 寝坊するなよ、と言いたかったが色々気を遣わせてしまった以上、厳しくも言えない。
「色々すまなかった」
「なぁに、良いって。そいじゃ」
 シャーリーは片付け物を持ったまま、部屋から出て行った。

 いつの間に用意していたのか、エーリカも自分のカップにココアを淹れていた。
「ココアってさ」
 ふーふーしながら一口飲み、トゥルーデに語りかける。
「チョコレートと一緒なんだよね?」
「成分的にはそうだな」
「じゃあ、……そう言う意味で取っても良いのかな?」
「そう言う意味ってどう言う意味だ」
「まあ、もう祝祭日は過ぎたし……」
 二月の聖なる日を思い返すエーリカ。トゥルーデはそんな彼女を見ていたが、ぽつりと呟く。
「いや、そう取るなら取っても良いんじゃないか」
 途端に目を輝かせるエーリカ。
「本当?」
「な、何でも無い。良いから早く飲め」
「ふふ、ありがとトゥルーデ。トゥルーデも冷めないうちに早くパンケーキを」
「ああ……」
 エーリカが顔を近付けてくる。
「食べ残し、ついてる」
「えっ?」
 少し顔を向けた途端、唇が触れ合う。
「なんてね。ウソ」
「こら、人をからかうな」
「でもちょっとドキッとした?」
「……した」
「じゃあ、もう少しだけ」
 エーリカはトゥルーデにしだれ掛かり、腕を身体に回すと、ゆっくりキスをする。
「たまにはこう言うのも良いよね」
「しょっちゅうの様な気もするが……」
「気にしない」
 くすくすと笑うエーリカを前に、……まあいいか、とぼんやり思うトゥルーデ。
「今日はどれ位お祝いして貰えるかな、トゥルーデ?」
「私は、もう十分……」
 またもエーリカに唇を塞がれる。オモチャにされている感じもしたが、悪い気分ではなかった。
 もう少し、このままで。トゥルーデは腕を回し、エーリカを抱きしめた。

end

435名無しさん:2011/03/20(日) 00:08:38 ID:gLiv7t0U

以上です。
お姉ちゃん誕生日おめでとう!

ではまた〜。

436名無しさん:2011/03/21(月) 11:08:04 ID:lF.KuDvo
1日遅れたけどお姉ちゃん誕生日おめでとおおおおお


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