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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第115話☆

1名無しさん@魔法少女:2012/12/13(木) 00:09:44 ID:6hLPLV4A
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。


『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

前スレ ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第114話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1341065580/

812ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/10(水) 21:41:56 ID:jy5UrrJ2
 びくんと跳ねた彼女の体に驚いて、少女はぱっと手を離す。

「どうしたの? 痛かった?」

「え、ええ……少し。ここは凄く敏感な所なので、気をつけて触らないといけません。でも、きちんと優しく扱えば女の子もイけるんですよ」

「へぇ、そうなんだ」

 痛いくらいのつたない愛撫に、リニスの秘所はもう洪水のように愛液を滴らせていた。
 どうやらマゾの気も強いらしく、少し乱暴に弄られて、美女の膣は既に準備万端とばかりにほぐれている。
 リニス自身、もう我慢が出来そうになかった。
 ちらりと視線を、ベッドに拘束された少年へ移す。
 クロノは目の前で繰り広げられていた痴態を前に、既に股間をぱんぱんに張らしていた。
 精液で濡れた幼いペニスは、すっかり元気になっている。
 その様子にくすりと笑って、リニスはクロノの上に覆いかぶさった。
 
「では、そろそろ子供の作り方を教えてあげましょうね」

 艶然と妖しい笑みを浮かべながら、美女は腰を下ろして、膣口と亀頭を軽く触れ合わせる。
 くちゅ、と触れ合う粘膜と粘膜。
 お互いの持つ熱に、ぞわぞわと痺れが走る。
 
「や、やめ……」

 上ずった声でクロノが制止を呼びかけようとするが、彼もまた快感と、生まれて初めて迎えようとしている女体への期待で上手く理性が働かなかった。
 いつもの彼ならもっと大きく声を張り上げて拒絶したかもしれない、だが……童貞の少年に、リニスの素晴らしい肉体と美しさは、あまりにも毒だった。
 クロノの声など無視して、リニスはアリシアとフェイトに、自分たちの性器をしっかりと見せ付ける。

「良いですか、こうして、男性のペニスを、女性の膣に……はぁぁッ!!!」

「うひゃあ!」

 ズンッ、と腰が下ろされた。
 リニスの甘い声と、クロノの呻きが同時に木霊する。
 クロノのまだ未成熟なペニスはぬるりとびしょ濡れの膣に飲み込まれた。
 熱い、溶けてしまいそうな熱さに、神経の一本一本までもが、甘く痺れてしまう。
 リニスもまた、クロノ以上に顔を蕩かせて、少年を貪る恍惚に酔い痴れた。

「こ、こうして……んッ……挿入するんです……ほら、分かりますか」

 目尻を下げて、涙で潤んだ瞳で体を揺すり、結合部を見せ付けるリニス。
 初めて目にする男女の営みに、アリシアとフェイトは声を失って、しかしまじまじとその様を網膜に焼き付ける。
 柔肌の上を撫でる視線に、リニスはぞくぞくと背筋が痺れるのを感じた。
 子供に見られながらセックスするという変態的な行為に、どこまでも快感は高ぶる。

「あぁ! ふ、二人とも……よく、見てくださいね! ふぁぁ……ひぅん! おちんちん、を……膣、お、おまんこに……いれるのは……凄く、気持ちいんです……ああ! んんぅ!」

 髪を振り乱しながら、リニスは既に理性の溶けきった雌の顔で喘ぎ、形の良い乳房を上下に震わせながら、一心不乱に腰を振った。
 初めて味わう蜜壷にペニスをしゃぶられ、クロノも少女のような声を上げて、快感に震え上がる。
 
「う、ぁぁ! り、リニス……やめ……ああ! で、でる……でちゃう、から……」

 涙交じりに懇願するクロノを見下ろして、リニスの顔に浮かぶ笑みが、深まる。
 淫蕩な、妖艶な、雌の顔。

813ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/10(水) 21:43:26 ID:jy5UrrJ2
 リニスはくつくつと笑うながら、一層深く腰を下ろした。

「良いんですよ、好きなだけクロノ君のおちんぽ汁、私の中に出してください……はぁ! ほら、どうですか? 気持ち良いでしょ?」

「ちょ……ひぃ、ああ!」

 性徴の遅い少年の、細い矮躯を貪るように、リニスは豊満な体で彼を責め立てた。
 知人の女性の中に射精してしまうという禁忌感を、肉と肉の交わりがもたらす快楽が蝕んでいく。
 性への知識は乏しくとも、アリシアとフェイトは目の前のその痴態に、なんとも言えないときめきを覚えた。
 男と女の交わり、その淫らさと美しさ……ただ文面の上の知識ではない、実際に目の当たりにする光景の持つ質感。
 アリシアの下半身に、するりと細い指が這った。

「ひゃん!」

 声を上げて体を震わせる。
 見れば、フェイトの小さな手が、姉に絡みついていた。
 荒く息を切らすフェイトの目は、とろんと蕩けていた。

「フェ、フェイト?」

「ねえ、アリシア……なんだか私、体が熱い……切ないよ……」

「……ぁッ」

 姉のスカートをめくり、下着に指を入れるフェイト。
 既にそこはぐっしょりと濡れていた。
 閉じた割れ目を弄られ、快感に背筋を痺れさせながら、アリシアもまた手を伸ばした。
 フェイトのスカートの中を触ると、自分よりさらにぐしょぐしょになった湿り気が迎える。
 リニスの教え通り、秘所を触れる快感を姉妹は身を以って味わった。

「ん! や、やだ……これ、気持ち良いよ……」

「うん……リニスの言ってた、通りだね……あ!」

 お互いにお互いの性器を弄りながら、そっくりの容姿をした姉妹は、淫らな痴態を晒す。
 目の前で行われるセックスを見ていると、その快感はさらに深く、甘くなっていった。
 乳房を揺らしながら腰を上下させるリニスの動きに合わせて、クロノの腰もまたびくびくと跳ねる。
 汗だくの少年の顔はいよいよ切羽詰って、限界が近いことを示していた。

「ふふ、クロノくん……もう出そう? 私のおまんこにピュッピュって、また精子でそう?」

 甘く妖艶な声で、誘うように責めるリニス。
 蕩けた目はまるで鼠を甚振る猫のようだった。
 哀れな獲物の少年は、ただ喰われるしかない。
 
「だめ、ああ……もう……ひゃああ!!」

 びくん、と、クロノの細い矮躯がベッドの上で大きく跳ねた。
 ぶるぶると震える少年の肢体、その上に跨るリニスの体も、大きく震えた。

「出てる……ああぁ、熱い……はぁ……」

 恍惚と甘い声を零しながら、遠くを見つめるリニス。
 膣内にたっぷりとぶち撒けられる白濁の熱に、彼女もまた絶頂を迎えていた。
 真っ白な二人の肌が、汗だくになって、何度も小刻みに震える。
 その淫らな光景に、間近で見せ付けられていた姉妹たちもまた快楽に深く溺れた。

「やだ……きもちいいの、くる……きちゃう!」

「はぁ……んぅ!!」

 ぶる、と震えて、ぺたんと座り込んでしまうアリシアとフェイト。
 じわりとスカートを濡らし、床の上に広がる液体は、二人分の愛液だった。
 あまりの快感と、初めて味わう絶頂に、どうやら腰が砕けてしまったらしい。
 四人が四人とも絶頂の中に沈んで、息遣いと肌の熱が空気に溶けて、部屋の空気は饐えた匂いに満ち溢れた。

814ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/10(水) 21:44:10 ID:jy5UrrJ2
 荒く息を切らしながら、リニスは傍らの二人に微笑みかける。

「はぁ……ふ、二人とも……分かり、ましたか? これが、セックスですよ……今日は安全日だから、大丈夫ですが……きちんと周期を見定めてすれば、赤ちゃんが出来るんです」

 この期に及んでまだ教育の体を忘れないリニスの言葉はしかし、半ば届いていなかった。
 アリシアとフェイトの意識は、イった事でほとんど溶けていて、瞳は茫洋と霞んでいた。
 この様では、もう教育うんぬんと教え込んでも意味はないだろう。
 リニスは恍惚と淫らな微笑を浮かべながら、自分の中でまだ硬度を失わない肉竿の感触に身震いした。

「あんッ! やだ、クロノ君ったら……まだ元気なのね」

 はぁ、と悩ましい吐息を漏らし、体の芯をぞわぞわと走る快感にリニスは蕩ける。
 まだ、足りない。
 もっともっと、この少年を味わいたい。

「もう少しだけ、しましょうか……」

 妖艶な微笑を湛えたリニスは、そうして再び腰を振り始めた。
 粘ついた水音、ベッドの軋み、美女と少年の上げる甘い声が部屋に満ち溢れた。



「あ……ク、クロノ君」

 明くる日、店で顔を合わせた瞬間、リニスの顔は真っ赤に染まった。
 
「……や、やあ」

 クロノも同じく、顔を赤くする。
 一日経ってみれば、淫欲の熱に浮かされていたリニスも平素に戻って、自分の乱れぶりに恥らう理性を取り戻していた。
 まともに顔を合わせる事が出来ず、頬に手を当てて横目でこちらを窺う仕草は、なんとも可愛らしかった。
 クロノにしてみれば彼女ほどの美人と筆卸しが出来た事はある意味幸運と言えなくもないが……
 しかしあれは、一夜の過ち、何かの間違いと流すのが賢いだろう。
 何より、お互いにこれ以上気恥ずかしいまま日常を過ごすのは無理だと思えた。

「あの……昨日の事は、忘れて欲しいのですが」

「ああ、うん……僕もそのつもりだ」

 顔を赤くしたまま、二人は曖昧な苦笑をして、顔を逸らす。
 しばらくの間は互いに顔を直視できなさそうだ。
 これ以上気まずい空気に居るのもばつが悪く、クロノはそそくさとその場を後にした。
 店頭での仕事はしばらく後回しにしよう、リニスと同じ場にいるだけで顔が赤くなってしまう。
 今日は自室で学校の勉強でもするか。
 そう漫然と考えた彼は、自宅の自室へと向かった。
 しかし、ドアを開けた時クロノは硬直した。
 彼の部屋のベッドに、二人の金髪の子猫が待機していたからだ。

「あ、クロノ」

「お、おかえりなさい……」

 白いシーツの上で、服を半分脱ぎかけのアリシアとフェイトが、潤んだ瞳で彼を出迎えた。
 二人の少女の桜色の唇は、透明な唾液の糸がつぅと掛かっている。
 アリシアの指先が服の隙間からフェイトの薄い胸を撫でている様子から、二人が演じていた痴態の程が知れるだろう。
 それは正しく、昨晩の情景の再現に他ならなかった。
 ただただ驚いて固まるクロノに、二人がそっと近づいてくる。
 頬にかかる、熱く甘い吐息。

815ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/10(水) 21:45:16 ID:jy5UrrJ2
 そして、脳細胞と理性を溶かす声音が囁く。

「ねえ、クロノ……昨日の事思い出したら、なんだか私たち体が熱くなっちゃって……」

「二人だけじゃ上手くできない、から……ね? 昨日リニスにしてたみたいなこと、私たちにも……」

 未熟でつたないだけに、余計それが淫靡に思えるたどたどしい手つきで、アリシアとフェイトの指がクロノを絡め取る。
 その時、既に彼の下半身は硬く自己主張を始めていた。
 背後のドアをそっと閉めながら、鍵を掛け、少年はベッドへ向かい、そして……肉の悦びに溺れた。


終幕

816ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/10(水) 21:46:01 ID:jy5UrrJ2
投下終了

リニスのエロって少ないから新鮮じゃね

817名無しさん@魔法少女:2013/04/12(金) 06:41:19 ID:wM0jAN0M
GJ!リニスのエロとは珍しいな
この調子で他のマイナーキャラや4期の新キャラ達のエロとかも増えて欲しいなぁ

818ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:14:18 ID:fObeGi6Y
しぐあいシリーズの新作投下します。百合エロ。

819ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:15:06 ID:fObeGi6Y
しぐ×あい! ぬくもり


「リインフォースが寝込んだ?」

 管理局の仕事を終えて帰宅したシグナムは、早々にシャマルから告げられた言葉を反芻した。
 脱いだコートを受け取りながら、シャマルは頷いた。

「ええ、なんだか気分が悪いって。今は寝室で休んでるわ」

「そうか」

 不安を滲ませるシャマルの声に、シグナムは静かに頷く。
 感慨なき将の態度に、癒し手はどこか訝るような顔をするが、それを特に追求するような事はしなかった。
 既に八神家の面々は夕食を終えており、しんと静まり返った居間でソファに腰掛けるシグナム。
 漫然と視線を泳がしながら、将はぽつりと尋ねた。

「明日は誰か看病できるか」

 誰を、とは聞くまでもない。
 
「いえ、生憎とみんな用事があって。良ければ私が休むけど」

「ならば私が暇を取る」

 シャマルの言葉を聴くと、シグナムはすぐさまそう申し出た。
 あまりに早い返事だったのでシャマルがそれを理解するのに、数拍の間を置いたほどだ。

「え、ああ、うん。あなたがそうしてくれるなら助かるけど。明日は休んでも平気なの?」

「構わん」

 速やかで淀みない答えは、そのまま意思の確かさを物語っている。
 ならばもう口を挟むのは野暮だろう。
 シャマルは了承して頷いた。

「分かったわ、じゃあお願いするわね」

「ああ」

 重ねてそう言うシャマルに、シグナムは小さく頷いた。

□ 

「むぅ……」

 カーテンの隙間から差し込む光が幾条も、薄く舞う埃を輝かせながら、朝の到来を教える。
 白い朝陽に顔を照らされて、リインフォースはベッドの中で身をよじった。
 まだ眠気がじんと染み込んだ脳細胞は、夢の世界を貪欲に求めているようだ。
 寝癖のついた長い銀髪を乱しながら、リインフォースは抱き枕をぎゅうと抱きしめながら布団の奥へ潜む。
 だがそんな彼女を、凛とした声が呼び起こした。

「おい、いつまで眠っている」

 このシチュエーションでは聞く筈のない声、居る筈のない相手に布団を半分捲られて、リインフォースははっと目を覚まして瞠目した。

「しょ、将!?」

 果たして、そこに立って見下ろす姿は、紛れもなく烈火の将シグナムであった。
 リインフォースが驚いた理由は、いつもなら仕事に出かけているシグナムが家に居る事もあるが、なによりその格好にあった。
 シグナムは、今まで一度として袖を通した事のない白いエプロンを掛けていた。
 その様子から、自然と事態を把握して、リインフォースは恥ずかしそうに俯いた。

「もしかして、私の看病の為に」

 か細い言葉には力がなく、如何にも申し訳なさそうだった。
 魔法術式のプログラムによって肉体の基礎を構築しているリインフォースは、少々の体調不良でどうこうなるほどやわではない。
 受肉した体が元の新陳代謝を取り戻すまでの間、じっと養生していれば良いだけの話だ。
 それを、仕事を押してまで家に残って看病するというのは、ただ彼女に孤独を味合わせない為だけの優しさに他ならなかった。
 
「気にするな。私が好きで残っただけだ」

 どこか憮然とした口調でぶっきらぼうに言うシグナムだが、それは一つの照れ隠しだった。
 武辺一徹の騎士の将、剣を執るならば一騎当千だが、まだ人を愛し優しくするには不器用が過ぎる。

820ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:17:08 ID:fObeGi6Y
 それをなんとなく理解しているリインフォースの口元には、ふっと笑みが浮かんだ。
 些細な事かもしれないが、それだけでも心に温かいものが満ちるのを感じる。
 幸福――その二文字には、まだ彼女も慣れていない。

「ありがとう」

 ふと告げたささやかな声音は、心からのものだった。
 将の顔を赤面させるには十分だ。
 シグナムはばつが悪そうについと視線を逸らし、小さく咳払いして気を紛らわせる。

「と、ともかくだ。今日は私が看病してやる。まずは朝食だ、どうする? ここまで持ってきてやろうか」

「いや、大丈夫だ。いつまでも横になっているのもなんだし。ちゃんと起きて下へ行こう」

 リインフォースはうーん、と背を逸らし、大きすぎるくらいの胸を押し出すように体を伸ばして、長い睡眠の凝りをほぐす。
 だが長く艶やかな銀髪はすっかり寝相で癖がついてしまい、あっちへこっちへ跳ねていて、それがどこか子供めいて可愛らしかった。
 思わず、シグナムの顔に笑みが零れる。

「そうだな、まずはその前にしゃんと格好を直しておくと良い。先に準備を済ませておく」

「あ、うん……わかった」

 指摘さて、慌てて乱れた髪を手櫛で梳き、リインフォースは恥ずかしそうに苦笑した。
 まずは食事より先に、身支度が先決だろう。
 促されるままに洗面所へ向かう彼女を微笑ましく見送りながら、シグナムもまた一階へ下りて、朝食の準備をしに向かった。

□ 

「ご馳走様でした」

 そっと手を合わせて、空になった食器を前にリインフォースは行儀良く礼する。
 寝巻きのパジャマ姿のままという事もあって、美貌と色香に相反して子供っぽく、それがなんとも可愛らしい。
 微笑ましくそんな仕草を見ながら、シグナムはそそくさと食器を片して流しへ洗いに行く。

「美味しかったか?」

「ああ。将は料理も出来るんだな」

「いや、ほとんどは主はやてが作っておいてくれたものだ。私が作ったのは卵焼きくらいだ」

 洗剤の泡で油汚れを落としながら、シグナムは照れたように言う。
 はやてや守護騎士の為、何かの役に立ちたいと時間があれば家事もするようにしているが、料理ばかりはまだまだつたない。
 それでもリインフォースは屈託ない笑みを浮かべる。

「でも将の卵焼きも甘くて美味しかった」 

 素直すぎる物言いに、またシグナムの頬が少しだけ赤くなる。
 無双の騎士であるシグナムも、リインフォースのこういうところにはてんで敵わないらしい。
 恥ずかしさから目を合わせないように洗った食器をラックに入れながら、話題を自然に逸らす。

「ところで、昨日はちゃんと風呂に入ったか?」

「いや、実を言うと不精してしまって」

「なら入っておけ。もう沸かしてある」

「分かった、すぐ入るよ」

 リインフォースは頷くと、すっくと立ち上がり、早くもパジャマのボタンを幾つか外しながらバスルームへ向かった。
 ちらりと一瞬だけ見えた胸元の深い谷間と白い肌に、ふっとシグナムの脳裏に想像が過ぎる。

821ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:17:58 ID:fObeGi6Y
 浴室で長い銀髪も豊満な肢体も雫で濡らし、全身を清めるリインフォースの姿、甘い声音――

(な、何を考えているんだ私は……)

 意図せず脳裏に浮かんだ眩い裸身に、シグナムは頭を振る。
 だがあの悩ましい体の隅々を知っているだけに、一度考えてしまうと消えてはくれない。
 ボーっと熱くなりそうな頭を冷やそうと、蛇口から流す冷たい水で手を濡らし、額を拭った。
 それからしばらく、シグナムは頭にこびり付くあの美しい体を忘れようと努めた。



 それから二時間程の間を、シグナムはあれこれと家事をして過ごした。
 洗濯に掃除、いつもははやてやシャマルに任せきりにしていた事をしてみると、いつも家族に頼っていた苦労が身に沁みる。
 エプロン姿で三角巾を被って掃除に勤しむ姿はさながら専業主婦だった。
 だが全て終わってしまうと後は暇になってしまう。
 かといってこんな時間に庭で剣を振るってはご近所の人々に訝られるだろう。
 仕方なしに、シグナムは居間のソファに腰掛けてテレビを見ながらお茶を啜り、せんべいを齧った。
 昼間の枠にやっているドラマの内容はやたらと男女の痴情のもつれを取り沙汰したもので、見ているとなんとも気まずい気分になってしまい、結局切ってしまった。
 となると、やはり時間を持て余してしまう。
 幾らか無為に時間を過ごしたシグナムは結局、二階のリインフォースの部屋へと行った。
 
「入っても良いか」

 ドアをノックし、返事を待つ。
 しかし待てども声は返ってこなかった。
 その数秒の間の沈黙が、馬鹿げた妄想を掻き立てる。
 扉一枚隔てた先で、誰に見取られる事もなく消えてしまうリインフォースの姿を――

「おいッ」

 湧き上がる不安のままに語気を荒げ、無遠慮にドアを開けるシグナム。
 あまり飾り気のない部屋の中、壁側に置かれたベッドの上には……シーツの盛り上がりがあって、銀髪の頭がちょこんと飛び出していた。
 おずおずと顔の上半分だけを出したリインフォースが、こちらを驚いたように見つめている。

「ど、どうしたんだ将……いきなり」

 突然ドアを乱暴に開けて声を張り上げるシグナムの姿に、リインフォースは不安交じりの声で問いかけた。
 もちろんシグナムは自分の考えてしまったせん無き想像を言えるわけもなく、咳払いと共に言葉を探る。
 
「いや……何でもない」

 それでも無骨な騎士に出せた言葉はその程度だった。
 咄嗟に上手く繕えるほどシグナムという女性は起用ではなかった。
 沈黙のまま気まずい空気を過ごすのに耐えかねて、シグナムはとりあえずリインフォースの傍まで行った。
 どうせなのだから、彼女の様子を診ておこう。

「具合はどうだ」

 膝を折り、目線をベッドのリインフォースを合わせて、優しく問いかけた。
 それだけでどこか、言葉に出来ないものをシグナムは感じる。
 自分を見上げる真紅の瞳に映る輝きの奥に……

「大丈夫だ、もうかなり良くなった」

 そう言って微笑みかける顔の血の気のなさに、シグナムの眉根はしわを生んだ。
 身内を不安にさせまいとする強がり、それは自分自身でも同じだから、痛いほど分かってしまう。
 ましてやリインフォースは、ともすればシグナムよりなお嘘が苦手で言葉がつたない。

822ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:18:34 ID:fObeGi6Y
 彼女にそれ以上の戯言を吐かせるより前に、シグナムはさっと手を伸ばし、白い頬と額に触れた。

「随分冷たいな」

 リインフォースの言葉を咎めるような、憮然とした口調だった。
 先ほど熱い湯に浸かったにしては、今触れている肌はひんやりとしすぎている。
 とても壮健の者の体温ではない。
 つたない強がりをあっさり看破されて、リインフォースは気まずそうに眉尻を下げた。
 麗しいほどの美貌が、教師に叱られた子供みたいになる。
 
「……すまない」

「謝るくらいなら嘘を言うな」

「ぅぅ……」

 きっと申し付けるシグナムに、リインフォースは貝殻に隠れるやどかりみたいに、顔をシーツの中に沈める。
 癖のある前髪と頭頂部だけ覗かせて隠れている様はどこか可愛らしく、やや厳しくなっていたシグナムの顔も苦笑になってしまった。
 
「具合が悪いなら素直に言え。隠されるほうが心配なんだ。今はどういう感じだ、どこか気分は悪くないか」

 柔らかく優しくなった将の声に、もう怒気は引いたと察して、リインフォースはまたちらりと顔を覗かせおずおずと告げた。

「体が、少し冷たい……それ以外は大丈夫だ、どこも悪くないよ」

「本当か」

「うん」

 こくりと頷く仕草と、自分を見上げる眼差しに、それが真実であると悟り、シグナムはため息をついた。
 その様子からして、急を要するほど体調は悪くないようだ。
 はやてやシャマルが帰って来たら、肉体的にもプログラム的にも回復を促す手段は幾らでも講じられるだろう。
 胸につかえていた不安の枷から解放されて、全身から力が抜けるのを感じる。
 だが、それまでの間をどうしようか。
 もう時節も春に移り行く頃合で、電気毛布などの防寒用品は納屋の奥へ仕舞いこんでしまった。
 今からあれらを引っ張り出すのも時間を取られる。
 冷え切ったリインフォースの体を速く暖めてやる方法、一つだけ手っ取り早いものがある。
 羞恥心が邪魔をしそうになったが、慈愛と欲望がそれを上回った。
 シグナムは腰の後ろに手を回してエプロンの紐を解く。
 そして、赤らんだ顔で囁いた。

「とりあえず、暖かくしよう」

 シーツの中に潜り込んできた温もりに、リインフォースが驚きの声を上げたのは、そのすぐ後だった。



 静かな室内、零れるのは微かな息遣いだけ。
 シーツを盛り上げる膨らみは二つに増えて、十分なゆとりを持つ筈のベッドが狭く感じられた。
 服越しに肌へ押し付けられる柔らかさと温もりに、リインフォースは陶然と酔い痴れてしまいそうだった。

「……」

 声もなく、間近にある相手の顔を見る。
 さらりと流れる桜色の前髪、愛剣を思わせる鋭い切れ長の瞳の眼差し、澄んだ青さ。
 じっと見つめ、また見つめられるのは、嬉しさと恥ずかしさが入り混じった不思議な心地だった。
 それはシグナムも同じだったのだろう。
 体調不良で血の気の薄いリインフォースの白い頬に比して、将の顔は熱を帯ほんのりと赤らんでいる。
 輝く銀の髪を散らし、深紅の双眸から視線を注ぐその美貌。
 見慣れているとはいえ、やはりこうして触れ合っていると熱が沸く。
 だがそれで良い。
 冷え切ったリインフォースの体を温める手段は、この火照った騎士の体なのだから。
 同じシーツの中に包まって、シグナムはリインフォースの腰に回した手に力を込めた。
 くびれた曲線を描く腰と背中を抱き寄せて、自分の体を押し付ける。
 豊満過ぎる二人の胸が、下着とシャツを挟んでなお柔らかさを伝え合い、熱を分け合う。
 さらにはむっちりとした太股まで絡み合って……
 悩ましく肉付いた体をぴったりと押し付け合うと、否応なく二人の官能までも煽られてしまった。
 
「しょ、将……も、もう少し離れて……」

 次第、次第に、シグナムの温かさを肌から与えられるリインフォースは、少しずつ頬に赤みを戻して訴えかけた。
 今まで何度も二人で愛を紡いできた。
 すっかり女の悦びを刷り込まれた体は、ただこうして体を押し付け合っているだけでも、じわじわと快感を呼び起こされてしまう。
 温もりだけでなく、淫らな心地まで煽られて、リインフォースの理性はそれに流されまいとした。

823ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:19:04 ID:fObeGi6Y
 それでもシグナムの手は、少しも緩める事なく、いや、むしろさらに力を込めて柔らかな肢体を掻き抱いた。
 大きな乳房が正面から潰れるように押し付け合い、悦びが増す。
 じんわりと広がる快感に、リインフォースの眉根が歪んだ。

「んッ……」

 瞳を潤ませた美貌から零れる、甘い吐息。
 既に先ほどまで冷たかった体に、その名残はなかった。
 抱き合って、息が掛かるほど顔を近づけて、見詰め合って……身も心も官能に染まり行く。
 正に烈火の名の如く、シグナムの体は体温だけでなく心の熱まで余さず伝えていた。
 
「……リイン、フォース」

 そっと、シグナムの唇が名を囁く。
 互いの前髪が重なって額を撫でる、近づく息遣いの熱に頬がくすぐられ、唇が触れ合った。
 
「……んッ」

 キスした口の合間から漏れる吐息。
 頭の奥に霞む桃色のもやに、意識が染められていく。
 体と心を重ねて体温を与え合う心地に、シグナムもリインフォースも、普段は秘めている想いを抑えられなくなっていた。
 そっと唇を離すと、つぅ、と唾液の糸が繋がって。
 瞳と瞳は薄く涙の膜に覆われていた。
 もう、止まらない――

「ぁ……はぁッ」

 切ない声を上げながら、リインフォースの胸元のボタンが千切られそうなくらいの勢いで外される。
 シグナムの指は荒々しい程の力で彼女の服を、次々と脱がしていく。
 同時に自分の服もそそくさと脱ぎ捨てて、二人の白い柔肌は晒された。
 すっかり芯に火の付いた体と体は上気して、薄く汗を滲ませていた。
 服の中で込められていた汗と甘い体臭が入り混じった香りに頭がくらくらする。
 ましてや目に焼きつく白い肌は、視覚までをも淫蕩に酔わせた。
 
「将……しょぉ」

 聴覚を狂わすような溶けた声を上げ、シグナムを求めるリインフォース。
 つんと張りを持つ肌に口を付けて、ついばむように口付けをして愛撫する。
 ぞわりと走る快感に身を震わせるシグナムもまた、リインフォースの耳たぶにちろりと舌を這わせて愛した。
 手と手が豊かな乳肉を揉み合う。
 硬くなった乳首をシグナムに摘まれて、リインフォースの体はそれだけでびくんと跳ねた。

「ひゃんッ! あ……ふぁ!」

 こりこりと指先で転がされて、その度に声を甘く蕩かせるリインフォース。
 さらに首元を舐められて、白い太股の間を湿らせる愛液の量が途端に増える。
 膣口はしとどに濡れて、まるで物欲しげに呻くかのように、ひくひくと陰唇を震わせていた。
 陰核も充血し、ぷっくりと膨らんで自己主張して止まない。
 そんな紅い宝珠に、騎士の指がするりと這い寄る。
 
「ぃッ!!」

 あまりの快感に引きつった声を零すリインフォース。
 シグナムの指にクリトリスを撫でられ、目の奥で白い光がスパークした。

824ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:20:23 ID:fObeGi6Y
 何度もか細く震え上がっては波打つリインフォースの豊かな肢体。
 そんな彼女の体を、シグナムはいよいよ力を込めて組み伏せて、圧し掛かった。
 
「あぁ……」

 蕩けた声を零し、見上げるリインフォース。
 その悩ましい様を見下ろすシグナムの顔もまた、淫蕩に熱を帯びて。
 ぐっと肉付きの良い脚を左右に大きく開かせて、シグナムはその間に自分の体を押し出し、脚と脚とを絡ませる。
 そして蜜でたっぷりと湿った二人の秘所が、ぐちゅりと重なった。

「んぅッ!」
 
「はぁッ!」

 二人の声が同時に零れて空気を濡らす。
 充血した陰唇と陰唇、陰核と陰核とを重ね合わせて生まれる快感に、両者の脳髄は奥まで痺れていく。
 弾む息遣いの中でシグナムは体を何度も揺すっては、ぐちゃぐちゃと粘着質な音を立てて腰を突き出した。
 そうする度、浜辺を打つ波のように緩急をつけて背筋を貫く快感の熱。
 重なる息遣いもまた同じく、弾んでは消え、消えては弾む。
 愛し合う二人の動きに軋むベッドのスプリング。
 徐々に上り詰めていく昂ぶりは、いよいよもって限界を見せ始めた。

「将……もう、ああッ! だめぇ……ッ!」

「くぅ……んッ」

 切羽詰った声で喘ぐリインフォース、シグナムは唇をかみ締めて涙を湛えた瞳を細めた。
 体が沈んで、今まで以上に強く押し付けあう体と体、乳房と乳房、乳首と乳首、陰核と陰核。
 その瞬間、背筋の芯を絶頂の波が同時に貫いた。
 びくびくと震え上がり、痙攣するシグナムとリインフォース。
 吐息のみならず汗ばんだ肌の熱まで、シーツの中で混ぜ合わされて、部屋の空気をぬるく湿らせる。
 絶頂の余韻に体を支える力を失ったシグナムの体は、どさりとリインフォースの上に倒れこむ。
 汗で濡れた熱い肌が触れ合うのは、何とも言えず心地良かった。
 そうしてそのまま、まどろみに意識は溶けていった。
 


 それから数時間後、空が夜の闇に包まれた頃合、八神家の面々は皆仕事を終えて居間に揃っていた。
 ただ一人、リインフォースだけは養生して自室で眠っている。 

「……」

 ソファに腰掛けて腕を組んだシグナムの表情は、どこか冷たく硬かった。
 はやての手料理を口にし、家族の憩いの時間を共にしたというのに。
 どこか人を寄せ付けないその雰囲気に、敢えて声を掛けたのはシャマルだった。

「ねえシグナム、どうかしたの?」

 隣に腰を下ろすシャマルに、将はふっと一瞥をくれる。
 
「ああ」

 気だるげな声を零すシグナム。
 平素の彼女らしからぬ、どこか力の抜けた声音だった。
 シグナムは隣に座ったシャマルからついと視線を逸らし、横目に背後を見遣って、はやてたちがこちらを意識していない事を確認する。

「シャマル、リインフォースの体はもう診たのだったな」

「え、ええ」

「どうだった」

「明日にはもう回復すると思うわ。体の機能はもう元に戻ってるから」

 と、シャマルは言った。
 帰って早々に風の癒し手はリインフォースの治療を行い、身体不調のプログラムバグの除去を行っている。
 だが、言葉の裏に潜む陰を、シグナムは決して見逃していなかった。
 いや……元より将は、どこか天性の勘とも言うべきところで見抜いていたのだろう。
 シグナムの唇は、静かに、シャマルだけに聞こえる声音で囁いた。

「リインフォースは…………もう長くないのだな」

 と。
 諦観と絶望との入り混じった響きの薄暗さに、シャマルの顔は悲痛に凍る。

825ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:21:05 ID:fObeGi6Y
 何と答えるべきかあぐねて、開いては閉じる口は、上手く言葉を紡げず。
 だが、シグナムを相手に下手な慰めなど告げられるわけもなく。
 結局は白状した。

「……ええ」

 リインフォースの体を診た時、癒しを本領とするシャマルだけが察した事。
 まだはやてたち、他の家族には告げていない。
 優しすぎるシャマルにはこれほど辛い事を、どう切り出して告げて良いか分からないから。
 いつか来ると知っている永の別れの時、それは皆分かってはいる……分かってはいるが、だが受け入れるにはあまりに重すぎる。
 シャマルの簡潔な答えに、シグナムはかみ締めるように頷いて、ふっと天井を見上げた。
 平素と変わらぬように見えるその横顔が、果たして胸のうちの感情を隠すための仮面であると、シャマルは知っていた。

「そうか」

 遅れすぎて出た返事に滲む、虚しい響き。
 鋭すぎる哀しみの刃に心裂かれた者の声。
 その声は、隣に座ったシャマルにも聞こえないほど小さく、大気に溶けて消えた。


終幕

826ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/15(月) 22:30:42 ID:fObeGi6Y
投下終了。

このシリーズも次でしまいや。

827名無しさん@魔法少女:2013/04/15(月) 23:23:52 ID:beh2PqwA
乙です!
このシリーズ凄い好きだ、シグナムもリインフォースもいい
そしてやはりこうなるのだと思うと切ないな

828名無しさん@魔法少女:2013/04/15(月) 23:58:56 ID:VNl/FR6k
GJ、ついにその時との遭遇か
全裸待機するしかないな

829名無しさん@魔法少女:2013/04/19(金) 03:56:16 ID:N.pnMGlQ
イノセントのBJ姿のプレシアさんは旦那の隠し持ってたコスプレAVを見て
こういうのが好みなんだと思って頑張って着てみた何て感じのする見た目になってるね

830名無しさん@魔法少女:2013/04/19(金) 08:43:17 ID:4nCz1jcA
イノセントのリンディさんは旦那と制服プレイ余裕なんやで?

831名無しさん@魔法少女:2013/04/19(金) 18:36:26 ID:la7TyBnc
フェイトちゃんやクロノくんがお兄ちゃんお姉ちゃんになってしまうね!

832名無しさん@魔法少女:2013/04/20(土) 15:36:29 ID:zBNpXKcE
アリシア「ママ、わたし新しい妹がほしい!」

833名無しさん@魔法少女:2013/04/20(土) 18:57:47 ID:UslXgv1w
真っ赤になって恥ずかしがりながら「が、頑張ってみるわ」と言うプレシアさんはその夜ベッドの旦那の上に覆いかぶさって(ry

834名無しさん@魔法少女:2013/04/20(土) 21:17:39 ID:XMkxF6DE
テスタロッサの女はみんな愛が重い女だけど良い女ってのは共通してる気がする
もしプレシアの母が登場していたらきっと女傑系だけど愛の深い女だったに違いないw

835名無しさん@魔法少女:2013/04/21(日) 12:37:33 ID:7XCLg.wc
確かにプレシアさんとか成長したフェイトさんって重そうだよな。何がとは言わんが。

836名無しさん@魔法少女:2013/04/21(日) 20:57:15 ID:4kZErKZA
そりゃあんだけ立派な体してればな!

837名無しさん@魔法少女:2013/04/22(月) 00:37:00 ID:VgsGCUJc
イノセントだとアリシアがロリペタのままでフェイトがバインバインになるんだろ

838名無しさん@魔法少女:2013/04/22(月) 23:44:28 ID:yAaOt0vw
妹に負けたことを気にするアリシアお姉ちゃんを、セックスすれば女性ホルモンが出て女らしくなれるよと言葉巧みに……

839名無しさん@魔法少女:2013/04/23(火) 18:11:06 ID:2iTjekWI
>>837
バインバインがパイパンに見えた

840名無しさん@魔法少女:2013/04/23(火) 18:45:22 ID:w141Wltw
大人フェイトそんが生えてないのか、それとも金色草原なのかは永遠の課題

841名無しさん@魔法少女:2013/04/23(火) 19:58:51 ID:vE.GXi56
黄金密林だったらどうするの

842名無しさん@魔法少女:2013/04/23(火) 21:50:55 ID:VdtxeBA.
むしろごほうびです!
剃毛プレイって興奮するよね!

843名無しさん@魔法少女:2013/04/24(水) 01:43:59 ID:qKDHAHck
>>838
アリシアってああ見えてもの凄くガードが堅そうなイメージ

844名無しさん@魔法少女:2013/04/24(水) 12:35:50 ID:QrMn1LCo
なのは「フェイトちゃんはアナルの周りが黄金密林なの」

845名無しさん@魔法少女:2013/04/24(水) 13:07:08 ID:W4LpQC0M
>>844
二重の意味でかー
おおぅ、レベル高いなァw

846名無しさん@魔法少女:2013/04/26(金) 15:49:22 ID:DcU5Xio2
>>843
そして自分の時以上にフェイト関係では鉄壁に

アリシア「フェイトと付き合いたいなら、まずはわたしにあなたを認めさせてみなさい!」

無論、アリシアを陥落させた後にはラスボスが控えていることは言うまでもないw

847名無しさん@魔法少女:2013/04/26(金) 19:33:42 ID:fYPhOkUg
クロノ「つまりまずアリシアをおとして」
アリシア「んはあああ!おひりぬぽぬぽするのらめええええ!フェイトにばれちゃうのおおお!」
クロノ「プレシアママを説得」
プレシア「く・・・くやしいけどイクッ・・・でもフェイトには手を出させないわ、攻めるならもっと私を攻めなさい」

フェイト「はああ、なのはなのはなのは!なのはのぱんつ!」
なのは「フェイトちゃん、さすがにデュエル中に下からのぞくのはやめてほしいの(ドン引き)」

クロノ「・・・しかしまだ壁は高いな」

848名無しさん@魔法少女:2013/04/27(土) 17:38:16 ID:3g6BdljI
>>847
SS化はよ! はよー!  間に合わなくなってもしらんぞー!

子持ち人妻熟女を娘ともどもアナル責めでトロ顔晒させる展開はよ!!

849名無しさん@魔法少女:2013/04/27(土) 19:00:45 ID:qjEtYy0g
もう完全にこのスレのクロノは尻前提だよなwww

850ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/27(土) 20:10:30 ID:3g6BdljI
それに一体なんの問題があると。
アナルはよきもの。

さて、んじゃあ書き上げたのでしぐあい投下すんよー。
今回で最終回。
まあいつも通り、エロで百合で。

851しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:11:07 ID:3g6BdljI
しぐ×あい! 終わりの――


 飛び散る火花、響き渡る金音と共に、白銀に輝く刃が大きく虚空へ弾き飛ばされた。
 風を切り幾度も回転した末、長大な剣はその切っ先を深々と大地に埋めた。
 レヴァンティンを打ち払い、目の前に突き出された斧刃の黒い輝きを前に、シグナムは呆然とする。
 痺れる自身の手の震えを、どこか他人事のように客観視する醒めた思考。
 敗北の余韻に硬直する将へ、フェイトは冷然と告げた。

「私の勝ち、ですね」

 平坦な声でそう言われて、シグナムは手を下ろす。
 たまに時間と場所を用意できたのなら、互いに刃を交えて剣技を磨き合う仲のフェイトとシグナム。
 場所や戦闘の開始地点といったシチュエーションを様々に設定した戦いは、常に緊張感を伴い、良い鍛錬になっていた。
 だがこの日のシグナムの剣技は、どこか切れがない。
 そして、フェイトはその冴えをなくした理由を知っていた。

「――そうだな」

 ぽつりと呟く。
 空虚な沈黙が数秒間、世界を支配する。
 ため息を漏らしたのはシグナムか、フェイトか、あるいは二人ともか。

「今日はもう止めましょう」

「……」

 バルディッシュを待機状態にし、背を向ける。
 その小さな背中をシグナムは無言で見送った。
 訓練用の広域結界空間から、ふっと転移魔法で消えるフェイト。
 場にただ一人だけ残されたシグナムは、地に突き立ったレヴァンティンの柄を手にし、引き抜く。
 馴染んでいる筈の長剣が、まるで鉛のように重く感じた。



 いずれ来るものだとは分かっていた。
 現世に留まり、肉体を持って生を受けたリインフォースの命は、劣化したプログラム生命体の不可逆的消滅を免れない。
 過ぎ行く日々が充実していただけに、死の刻限の訪れは、一層早く感じられた。
 あらゆるスキャンと予測から、残る時間がたった十日と分かるまで、あっという間に。
 あと十度日が沈み、また昇れば、リインフォースは消える、永遠に。
 終わりの時を前にした日々を、しかし八神家の皆は平素と変わらぬよう過ごした。
 出来るだけリインフォースに穏やかな生活を送らせたいという想いからだ。
 それでも一日と、一時と、その瞬間が迫る事を考えれば、誰もが胸の詰まる気持ちになる。
 はやてが涙を流し、目を赤く充血させる機会も、とみに増えていた。
 いや、はやてだけではない、シャマルもヴィータもその顔に哀しみの色を滲ませ、ザフィーラでさえも憂いに表情を曇らせる。
 八神家の皆が、いずれ来る別れの時に想いを馳せ、悲嘆の中に在った。
 ただ、一人だけを除いて。
 その中にあってシグナムは、まるで鉄面を被ったかのように、いかなる時をも冷然とした表情を崩さなかった。
 あまりに表面に感情を出さぬ為に、ヴィータなどはシグナムを露骨に睨む事さえあるのだ。
 シャマルやはやても彼女の気持ちを図りかねて、不安そうな顔をする。
 だがザフィーラだけは何かを察したように、そんな彼女らを諌めた。
 あるいは、彼はどこかで分かっていたのだろうか、あの二人の関係を。
 そんな日々のある晩だった、シグナムが家に帰ってこなかったのは。



「あ、うん、分かったわ。ありがとなフェイトちゃん」

 そう言って、はやては受話器を置いた。
 時間は夜八時を回っている、いつもならとっくにシグナムは帰っている時間だが。
 この日に限っては連絡も遣さず、行き先も検討がつかない。
 とりあえずはやては、思い当たる節に幾つか連絡を入れてみる。
 その話しぶりから何か聞けたと察して、傍らに居たリインフォースは、電話を切った主へ尋ねた。

「どうでした?」
 
「うん、今日はフェイトちゃんと模擬戦しとたっていう話なんやけど、それからの行き先は全然分からんって」

 困ったように眉根を寄せて、首を傾げるはやて。
 リンディやレティたちにも一応連絡をしたが、局の仕事は既に済ませているという。
 まったく行き先は分からなかった。
 管理局やアースラ、ミッドチルダには居ないとなると、やはり海鳴に居るというのが順当だが。
 
「シグナム、どこに行ったんやろう……」

 その行き先は、まるで分からなかった。
 携帯電話に掛けても電源が入っていないようだし、念話を送っても反応もない。
 一体どうしたものか。
 はやてが考えていると、ふと視界の片隅でリインフォースが上着のコートを纏い始めていた。
 
「主はやて、将は私が探しに行ってきます」

「え、そんな……」

 はやての顔が、一瞬不安そうに歪む。
 リインフォースに残された僅かな命、日々衰えていく体、それを思えば彼女を一人行かせるのは気が引ける。

852しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:11:44 ID:3g6BdljI
 シャマルやザフィーラを共にさせようか、そうはやては言いさして、それを制してリインフォースは首を振る。

「一人で大丈夫です。皆と一緒に待っていてください」

 ふっと笑う優しい微笑に秘められた強い意思、はやてはそれ以上口を挟む事が出来ず、頷いた。

「じゃあ、お願いな」

「はい」

 首にマフラーを掛けたリインフォースは、もう一度はやてに微笑みかけて、夜の街へ出かけていった。



 海鳴の街はその名に冠する通り、海に面している。
 水面で冷たい海水と触れた風は冷たく、海沿いの周辺では桜の開花も遅い。
 時節は六月の初めであるが、海岸線に連なる町並みの中には、幾本か名残惜しげに花弁を残すものがある。
 ちょうど、この小さな道場の庭先には、そんな葉桜が一本立っていた。
 剣道の看板を掲げる、古びた木造で歴史を感じさせる風情には、桜の古木はなんとも映える。
 シグナムはその木を、胴着姿でじっと眺めていた。
 この道場には非常勤の講師として時折足を運んでいる。
 今日は稽古の日ではなかったが、道場主に無理を言って鍵を借りたのだ。
 汗で湿る胴着からして、それなりの時間を独り稽古に費やしたらしい。
 晩春の風を浴びながら、シグナムはただ言葉もなく桜を見つめる。
 あと何度か強い風が舐めれば、残る花弁は虚しく散り尽くすだろう。
 思う程に侘しさが募る。
 果たしてシグナムの胸裏に、儚げに揺れる数少ない桜花は、誰と重なるのだろうか。

「やっぱりここに居たんだな、将」

 物思いに耽るシグナムの横顔へ、澄んだ声音が掛けられた。
 振り返るまでもなく、声だけでも相手が誰なのか分かる。
 視線は新緑の芽吹く梢に向けたまま、シグナムは言葉を返した。

「リインフォースか」

 冷たく硬質な声だった。
 リインフォースは変わらず、優しい声音で告げる。

「連絡も遣さず帰らないから、皆が心配している」

「そうか」

 それきり、場は静まった。
 庭に立ち桜を見上げるシグナム、そんな彼女を見つめるリインフォース。
 微かな風に煽られて梢の触れ合うささやかな音だけが響く。
 長い沈黙を挟みシグナムはようやく口を開いた。

「よく、ここが分かったな」

「ああ。以前将に聞いた事があったからな、言っていたろう? たまに、独りで稽古していると」

「そうだったかな」

 言われてようやく思い出した。
 確かに、寝物語でそんな事を語った事があった気がする。
 心が落ち着かない時、迷いがある時、振り払おうと独り誰の邪魔もなく竹刀を振るうと。

「帰ろう、皆心配している」

「……」

 促され、しかし、将は沈黙したまま。

853しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:12:22 ID:3g6BdljI
 リインフォースに一瞥もくれず、ただ無言で桜を見上げる。
 そんなシグナムの後姿に何を感じ取ったのだろうか、リインフォースは彼女の元へ近づき、そっと手を取った。
 温かく、そして、震える細い手。
 だが掴まれた瞬間、シグナムはリインフォースの手を振り払う。

「やめろ!」

 唐突に溢れ出た叫び。
 大きな声で拒絶され、だが驚きや怯えよりも、リインフォースは憂いを美貌に湛えた。
 当然だ。
 叫びの後に切々と続く嗚咽が、シグナムの白い頬と青い瞳を濡らす涙の雫が、どうしようもなく悲しみに満ちていたのだから。

「……将」

 リインフォースに触れられ、呼ばれ、耐え続けたシグナムの心は決壊したのだろう。
 今日この日この時まで、頑なに抑え続けた感情。
 それが今、吐露された。

「やめろ、やめてくれ……今、触るな、呼ぶな……頼むから」

 胸の前で震える自分の手を掴みながら、シグナムは涙に濡れた声を零す。
 鉄面皮を装い、心を落ち着けようと剣を執り、見つめぬようにしてきた自分自身の心。
 だがそれは弱弱しい逃避に過ぎなかった。
 惑う心で振るう剣はあまりに鈍く、被った理性の仮面は脆く。
 烈火の将、剣の騎士、その勇ましいあだ名に比して、愛する者の死期を前に悲しむシグナムは、どこまでもただの人で、ただの女だった。
 どれだけ目を背けようと、リインフォースが消える事に変わりはない。
 今触れたリインフォースの手の冷たさから、そんな当たり前の事実を思い知らされる。
 もう春も終わるというこの時節に、マフラーやコートを着ける人間などいない。
 そうして暖を取るリインフォースの肌は、どうしようもなく冷たかった。
 シグナムは知っている、かつて触れ合い、抱き合い、感じ合ったぬくもりを。
 忘れようもないその感触さえもが、心を喪失感で揺さぶるのだ。
 
「どうして……どうしてお前が消えなきゃいけないんだ……どうして」

 とうとう身を支える力さえ失い、その場でへたり込んだシグナムは、意味のない問い掛けを零す。
 リインフォースに訴えかけるわけでもない、それはただこの慈悲なき運命そのものへ泣訴するように。
 涙し、感情のままに震えるシグナム。
 そんな将を前に、リインフォースは何と慰めて良いか分からなかった。
 だが、次にシグナムが零した言葉でリインフォースの表情は強張る。

「何が、烈火の将だ、剣の騎士だ……私は無力だ、何も出来ない……お前に何もしてやれない……どうせなら私が消えてしまえばよかったんだ」

 剣を振るうしか能がないとばかりに、自虐を叫ぶシグナム。
 だがその言葉を聞いた瞬間、リインフォースはシグナムへと近づき、彼女の頬に平手を見舞った。

「ッ!」

 パンッ、と弾けるような音。
 赤くなった左の頬に手を当て、遅れて痛みを感じるシグナム。
 へたりこんだシグナムと視線を合わすように腰を下ろしたリインフォースが、その真紅の瞳に涙を浮かべて、こちらを睨んでいた。

「馬鹿な事を、言うな」

 震える声音には、怒りが滲んでいた。
 
「リイン、フォース……」

「二度と、自分が消えれば良いなんて言わないでくれ。そんな事は私が許さない」

「……」

 いつもは優しげなリインフォースが、その時ばかりは本気で怒っていた。
 彼女もまたシグナムと同じ、いや、もしかするとそれ以上に、自分自身よりはやてや守護騎士を、そしてシグナムを大切に想っていた。

854しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:12:55 ID:3g6BdljI
 そんな相手の過ぎた自虐の言葉は何より心に突き刺さるのだ。
 リインフォースの気持ちを、シグナムも理解したのだろう。
 もし自分が逆の立場なら、同じ事を言ったかもしれない。
 シグナムは、力なくこくりと頷いた。

「すまない……」

「良いんだ。分かってくれれば」

 素直に頷く将に、リインフォースは涙交じりの笑みを浮かべる。
 すっと目尻の涙を一拭いすると、その腕は愛する人を抱きしめた。
 柔らかく豊満な体が押し付けられ、しかし肌の冷たさが服越しにも伝わる。
 もう不可避な程差し迫った滅びの予兆、シグナムの涙腺がまた緩みそうになる。
 そんな彼女の心を察したのか、耳元でリインフォースは優しく囁いた。

「帰ろう、皆のところへ、私たちの家へ」

「……」

 彼女の言葉に、シグナムは数拍の間を置いて、声もなく頷いた。
 


「……」

 シグナムは無言のまま、茫洋と露に濡れた天井と、少し黴で汚れた四隅を見上げる。
 立ち上る湯気、たわわな乳房を浮かべて揺らす水面。
 たっぷり湯を張った風呂に浸かる心地に、泣き腫らした顔もようやく落ち着きを取り戻した。
 あの後、リインフォースに促されるまま帰宅して、シグナムはすぐに風呂に入った。
 涙で濡れた顔や、震える体を、せめて温めて誤魔化したかったからだ。
 リインフォースに晒してしまった自身の弱弱しい一面、せめてはやてたちには悟られたくはない。

「ふぅ」

 幾らか温かい湯に浸かっていると、少しは心も平静を取り戻して、吐息にもどこか安堵が混じる。
 だがそんな落ち着いた心は、ドアを開けて現れた人影に再び掻き乱された。

「やあ将、一緒に入っても良いかな」

「ちょ! リ、リインフォースぅ!?」

 何の気なしに平然と浴室に足を踏み入れた、完璧なプロポーションの白い裸身。
 その姿を前にシグナムの言葉尻は面白いほど裏返った。
 さらりと腰元まで伸びる銀髪、爆発的な程に実った乳房と尻たぶの膨らみに、すらりとした四肢、きめ細かい純白の肌。
 リインフォースの悩ましい美しさは、今まで何度となく床の上で目の当たりにしたものだったが、こうして明るい場で晒されてしまうと羞恥心が掻き立てられてしまう。
 シグナムの顔は一気に血が巡って赤く染まり、思わず視線を逸らす。
 だがそんな将の気など知らず、リインフォースは軽く手桶で体をすすぎ洗い、湯船に足を入れた。

「もうちょっと詰めてくれないか」

「え? あ、ああ」

 あまりに平然としたリインフォースの態度に流されるように、シグナムは頷いて、言われるままに身を一方に寄せる。
 空いた隙間に、リインフォースは体を沈めた。
 どちらも実りに実った体の持ち主だっただけに、肩まで浸かると風呂桶から湯が溢れた。
 タイルの上に零れた湯で蒸気が立ち上り、視界を白く染める。
 
「うぅ〜ん、気持ち良いなぁ」

 骨身に沁みる湯船の温かさに、陶然とした声を漏らすリインフォース。
 白すぎる程の肌に血の気が巡り、顔には穏やかな笑みが浮かぶ。

855しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:13:29 ID:3g6BdljI
 だが彼女の顔よりなお、湯に浮かぶそのたわわな乳房に、シグナムの視線は釘付けになっていた。
 シグナムも相当大きいが、リインフォースのそれも負けじと凄まじいボリュームを誇っている。
 元々その気はなかったシグナムだが、リインフォースを何度も抱くうちに、その美しい体を性的な目で見るようになっている自分に気付いた。
 果たしてその事を当の本人は知ってか知らずか。
 
「どうした、将?」

「い、いや、何でもない」

 小首を傾げるリインフォースの問いに、シグナムは赤くなった顔を逸らしてはぐらかす。
 そのまま、しばらく二人は湯船に浸かった。
 血の巡りが増し、赤くなる頬、体の火照り、普段以上に熱く感じるのは、やはり一緒に居る相手のせいだろうか。
 いつもより早くのぼせそうになって、とうとう堪らずシグナムは立ち上がった。

「体を洗うのか?」

「ん? ああ、まあな」

 ぺたん、とプラスチック製の風呂椅子に尻を乗せて、シグナムはスポンジにボディソープを泡立てる。
 まずは手足から洗うのが常だが。
 
「将」

 そう呼ばわれて、手を止める。
 振り返ってぎょっとした。
 長く美しい髪と豊満な体から水滴を湯船に滴らせながら、リインフォースが立ち上がっていた。
 濡れた肌、濡れた髪、輝かんばかりの裸身。
 目を丸くして固まっているシグナムをよそに、リインフォースはひょいと湯船から身を乗り出して、その背後で膝を下ろす。
 
「ほら、貸して」

「え、うん」

 促されるままに、泡立てたスポンジを渡すシグナム。
 それが背中に当てられた時、ようやく意図を理解した。

「ちょ、おい、別に自分で出来るから」

「良いじゃないか、たまにはこういうのも。な?」

「ぅぅ……」

 シグナムの髪を体の前へやって、リインフォースはその背中を丁寧に洗い始めた。
 恥ずかしいが、先の一件もあり、無理に拒否するのも気が引けて、結局シグナムはされるがままになる。
 そんな将を尻目に、リインフォースは鼻歌交じりで楽しげだった。

「ふふ」

「嬉しそうだな」

「ん? ああ、まあな」

 泡立てたボディソープをシャワーで流しながら、リインフォースは微笑んだ。

「主はやてとは何度か共に湯浴みしたが、将とはなかったからな。消える前に、一度くらいしておきたかったんだ」

「……そうか」

 頷くシグナムの顔には、羞恥心にも勝る寂寥が滲み出ていた。
 既に自分の消滅を受け入れている節のあるリインフォースの言葉、それを聞いただけで突き付けられる非情な現実が……心に痛い。
 あと幾度夜を越え、朝を迎えられるか、どれだけの時間を共に過ごせるか。
 想いを馳せればなお募る切ない愛しさに胸が軋む。

「将? どうした?」

「……ッ!」

 沈黙するシグナムを不思議に思い、リインフォースが横から顔を覗きに掛かる。
 シグナムの口から言葉にならないものが溢れた。

856しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:14:08 ID:3g6BdljI
 何気なく体を寄せた事で、豊満過ぎる程に大きい乳房が背中に押し当てられて、肩から流れ落ちる銀髪がさらりと触れる。
 濡れた体からも薫る、甘い体臭。
 白く透き通る肌の冷たい心地は、陶然と心を掻き立てる。
 ごくりと将は唾を飲んだ。
 愛情、悲しさ、寂しさ……それらが全て淫らな熱になって燃え上がる。
 今まで何度も抱いた彼女の体、あと何度抱く事が出来るのか、感じる事が出来るのか。
 そう思った瞬間に、既に体は動いていた。

「将? え……ひゃ!」

 愛らしい悲鳴が零れ、同時にリインフォースの体が柔らかく押し倒された。
 風呂場のプラスチック製の床の上へ、倒れこむ体。
 身障者のはやてが使う事を前提にしているだけに、八神家の風呂場は広い。
 リインフォースが横たわっても悠々と余裕がある。
 しかし突然シグナムに圧し掛かられて、リインフォースは目を白黒させて驚いた。

「しょ、将? 何を……んッ!」

 疑問を告げようとする口を、シグナムは強引に塞いだ。
 いきなりキスをされて驚きに身をよじるリインフォースだが、やおら唇を割って滑り込む舌、柔らかく潰れ合う胸と胸の快感に、力が抜けていく。
 
「んぅ……ふ、ぅ……ちゅぷ……はぁ、んッ」

 唇と唇の合間から零れる甘い吐息。
 舌を絡め取られ、押し付け合った胸の先端で乳首が擦れ合うと、蕩けるような刺激が神経を疼かせる。
 床の上を泳ぐ手もシグナムに掴まれ、リインフォースの体は完全に支配下に置かれた。
 それから、幾度となく口内を蹂躙される。
 今までたっぷり体に刷り込まれた快感を呼び起こすような官能の口付けに、否応なくリインフォースの体は昂ぶる。
 既に白い太股の間には、つぅ、と一筋の淫らな雫で潤っていた。
 
「あ、はぁ……」

 とうとう息が切れそうになったのか、ようやくシグナムが体を起こして唇を離す。
 二人の間を繋ぐ透明な橋が、熱いキスの名残を伝える。
 荒く呼吸して胸を弾ませるリインフォースの顔は、これ以上なく蕩けていた。
 潤んだ瞳、風呂場の床に散る濡れた銀髪、火照った肌は熱を帯びて淡く紅潮していた。
 淫らさの中にも高貴とも言える品を持つ美しさ、同性ながらもその輝く美貌にはぞくりと背筋が粟立つのを感じざるをえない。
 湿った桜色の髪を手荒に指で掻き上げながら、シグナムは自分の体が熱くなっているのを感じ取った。
 リインフォースへの想いを、憂いを感じる程に募る狂ったような恋情、今は身を委ねてしまおう。
 残された時間は、限り在るのだから。

「将、あ! だめ……ひゃぅ!」

 震えるリインフォースの肌の上に、紅い舌が妖しく這った。
 首筋から始まり、鎖骨からたわわな乳房、その先端の綺麗なピンク色の蕾までをたっぷり舐め上げる。
 ぞわぞわと背筋を駆け巡る快感に、リインフォースは甘い声を上げて震え上がった。
 蕩けるような声音、水で濡れた肌から立ち上るミルクのような香りが、どこまでもシグナムを陶酔させた。
 ちろちろと乳輪のふちから乳頭までを舌先で弄りながら、おもむろに口に含む。
 そして、カリッ、と軽く歯を立てて甘噛みした。
 反応は劇的だった。

「はひゃぁ! ち、乳首……だめ……噛んじゃ、はぁう!」

 目尻に涙を溜めて悲鳴のような声を上げるリインフォース。
 だが言葉尻はぞっとするくらい甘く溶けていて、快楽に染まっているのは明白だった。

857しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:14:40 ID:3g6BdljI
 そんな彼女をわざとらしく嘲るように、シグナムは乳首を口に含んだまま念話で囁きかけた。

『良いのか? あまり声を上げると、皆に気付かれるぞ』

「……ッ!」

 言われて、リインフォースははっとした。
 浴室のドアは決して防音性など望める厚さは有していない。
 もし声を大きく響かせてしまえば、家族皆に事が露見してしまいかねない。
 それを意識した途端、かぁ、と肌に熱と赤みが増した。
 羞恥心は快楽を煽り立てる極上のスパイスだった。
 必死に声を堪えて唇を引き結ぶリインフォースを前に、シグナムは一層激しく愛撫を行う。
 乳首を舌と歯で攻めながら、するりと伸びた手はむっちりの肉付いた太股を焦らすように撫でて這い上った。
 少しずつ上っていく指先の感触にくすぐられ、震える悩ましい脚線美。
 だが小刻みな震えは、すぐさま大きな痙攣に変わった。

「はぁッッ!!」

 必死に抑えようと口を噤んでいたリインフォースが、切羽詰った声を上げる。
 ぱっくりと僅かに開いて物欲しそうに蠢いていた入り口に、シグナムが容赦なく指で進入していた。
 今まで丹念にほぐされ、慣らされてきたリインフォースの膣口は、将の指を嬉しそうに締め上げ、肉ヒダを絡ませる。
 勝手知ったる媚肉の壷を、シグナムの指は刷り込んだ性感帯を余さず擦りあげて刺激する。
 指が中を引っ掻く度にぐちゅぐちゅいやらしい水音が響いて、聴覚まで犯すようだった。
 それだけでも堪らないのに、乳房を舐められ、吸われる快感まで神経を甘く苛む……
 リインフォースはされるがままに、ただ乱れ喘ぐしかない。

「ひぃッ……んッ……ふ、ぁぁ、んんッ」

 切れ長の目尻のたっぷり涙を溜めながら、唇を噛んで声が出るのを耐えるその美貌は、言葉にできない悩ましさがある。
 責めるシグナムの愛撫もより熱心になった。
 こんな風に必死に声を我慢されると、もっとその声が聞きたくなる、嗜虐心がそそられる。
 より強く乳首を噛んで、深く膣内を抉る。
 その瞬間生まれた快楽に、リインフォースの美しい体が床の上でびくんと跳ねた。

「はぁああ!」

 飛沫をあげるほど溢れる蜜。
 だらしなく半開きになった口は戦慄いて、か細い吐息を小刻みに漏らす。
 指をきゅうきゅうと締め付ける具合といい、絶頂に達しているのは明らかだった。
 唾液の糸を引かせながら乳房から顔を離して、シグナムは蕩けきったリインフォースの表情を見下ろしながら、ごくりと喉を鳴らす。
 気付けば、シグナムの秘芯もぐっしょりと蜜に濡れていた。
 ただ一方的に責めて愛するだけでは、足りない。
 求め合い、触れ合うからこそ、身も心も満たされるのだから。
 
「リインフォース……」

 上ずった声で、茫洋と目を霞ませた彼女の名を呼ぶ。
 はたとリインフォースの眼差しに意識が戻ったのは、名前を呼ばれた事もあるが、指に掛かる柔らかな重みと熱によるものだった。
 その手を取ったシグナムは、自分自身の豊満な胸へと手繰り寄せて、リインフォースの指をぐっと乳肉に沈み込ませる。
 絶頂がもたらす甘美な余韻に浸り、瞳に薄く涙の膜を下ろして息をつくリインフォースにシグナムの意図を汲むだけの思慮はなかったが、ただ指先に伝わる柔らかく温かい感触が心地良く、自然と力を込めて捏ねた。
 柔軟にして張りのある乳房を揉みしだかれ、シグナムはそれだけで背をびくりと震わせて上ずった声を上げた。

「んぅうッ」

 しなやかなリインフォースの指が胸に食い込み、脳髄に甘い電撃が轟く。
 息を荒くして期待に目を輝かせるシグナムを、リインフォースは陶然と見上げた。

「しょぉ……」

 潤んだ瞳が注ぐ熱っぽい視線に応えて、シグナムは微笑む。
 艶然と、淫らに。

858しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:15:18 ID:3g6BdljI
 それはベルカ騎士でもなく、ヴォルケンリッターの将でもなく、ただの女としての彼女の表情だった。
 頬を紅く上気させて、シグナムはするりと手を伸ばし、リインフォースのむっちりと肉付いた悩ましい太股を掴み、持ち上げた。
 そして、その脚と交錯させるように、自分自身の脚を絡ませる。
 二人の脚と脚が交わる事で、自然と濡れた入り口が近づく。

「リインフォース……一緒に、な?」

 物欲しそうな声の問い掛け、何を求められているかは今更考えるまでもない。
 リインフォースは素直にこくりと頷いた。
 その瞬間、シグナムがぐっと体を沈める。
 絡み合った脚の付け根で、ぐっしょりと湿った茂みと茂みが、入り口と入り口とが重なった。

「はぁ!」

「ぃい!」

 共に零れる、艶やかな嬌声。
 秘所を重ね合わせる、貝合わせの快感が、同時に二人の背筋を貫いた。
 体を揺する度に陰唇と陰核とが交互に触れて刺激される心地は、まるで目の裏側で白い光が弾けるような錯覚すらあった。
 
「はッ! ああぁ……リイン、フォース……リインフォースぅ!」

 喘ぎの甘い声音の合間に、恋しい相手の名前を呼びながら、シグナムは何度も体を上下させる。
 先ほど声を上げるのはまずいと言った口は、もう濡れた嬌声しか出ない。
 水気を帯びた桜色の髪を振り乱し、形の良いたわわな乳房を揺らしながら、リインフォースを触れ合う快感に溺れる騎士の将。
 床の上に輝く銀髪を散らせた彼女もまた、蕩けぶりでは同じだった。

「将! しょぉ……ひ、ぃああ! もっと……もっとぉ! ああ! もう、イきそうッ!」

 涙と涎でその美貌をぐしょぐしょにしながら、脚ではシグナムの腰を絡め取り、手は相手の乳房を弄り、肩を掴み。
 クリトリスが乱暴に押し付けられ合うあまりの気持ち良さに、既に快楽の限界値は昂ぶりに昂ぶっていた。
 しなやかな体を何度も跳ねさせながら、すぐそこまで迫った絶頂の奈落に、リインフォースは意識を一段と溶かしていく。

「将……一緒に……一緒にイきたい」

 涙ぐんだ顔でそう訴えかけるリインフォースに、シグナムは大きく頷いた。

「ああ……そうだ、一緒に……一緒、に……ずっとォ!」

 切羽詰った声が、言葉尻で跳ね上がった。
 シグナムの体がびくりと痙攣し、幾度となく震え上がる。
 駆け抜ける絶頂の雷撃に、芯まで穿たれて。
 同時にリインフォースの体も痛いくらい床の上で背中を反らせて波打った。
 神経という神経を蕩かせる法悦のさざなみ。
 意識も思慮も意味を成さないところに流されて、リインフォースは声にならない吐息をただ漫然と漏らす。

「あぁ……はぁ……ぁ、ぁ……」

 いやらしく、淫らで、美しい。
 湯気に満ちた風呂場で乱れたその姿は、まるで現実性を欠いた淫夢のようだった。
 絶頂の余韻に体を支える力を失ったのか、シグナムはそのまま倒れこむ。
 柔らかい乳房と乳房がクッション代わりになって、大して痛みはなかった。
 むしろきめ細かい肌と豊満な体が、蕩けるような心地だった。

「はぁ……はぁッ」

 体を上下させて漏らす、荒い息遣い。

859しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:15:49 ID:3g6BdljI
 二人の体の熱も、吐息も、白く煙る浴室の中で溶け合っていた。
 今、この瞬間だけは、感じ取れる。
 まだちゃんとそこに居る相手の存在を。
 
「リインフォース……」

 泣きそうなシグナムの声が、彼女の名を呼んだ。
 幾らかの間を置いて、すっと下から伸びた手が、濡れたシグナムの髪を撫でる。
 
「うん、シグナム」

 二つ名でない、本当の名を、慈しむように囁いた。
 そのまま二人はそうしてじっと過ごした。
 快楽の余韻と互いの熱に浸りながら、触れ合った肌を、吐息を交わらせながら。
 静かに。



「ああ、なんや、随分お風呂長かったんやね」

「え、あ……はい」

 風呂から出て早々にはやてから投げかけられた言葉に、シグナムは思わず言葉尻を浮かせてしまった。
 長湯が珍しくない自分であるが、やはりあんな事をした後では、ばれてはいないかと不安になる。
 つい視線を泳がせて、家族の様子を窺う。
 だが杞憂に反して、誰も変わった様子はない。
 いや……そこでシグナムはある事に気付いた。

「主はやて、これは一体」

「ああ、これな。今日はせっかくやから、皆で一緒にって」

 シグナムの問い掛けに、はやては満面の笑みを浮かべた。
 二人の視線の先には、広い八神家の居間。
 普段は長大なテーブルが鎮座している場所には、なんと幾つも布団が横に並べられていた。
 それが示す事は一つしかない。

「こんな風に皆で寝た事ってないやろ?」

「確かに、そうですね」

 八神家の邸宅は広く大きい。
 たっぷり部屋数を構えており、一人一人に個室があるのだから、皆で寝所を共にする機会などあるわけもなく。
 それを敢えて一緒にというのはもちろん、残り僅かな命の家族を想っての事だ。
 
「わあ、これはどうしたんです?」

 シグナムにやや遅れて、濡れた髪を拭きながら現れたパジャマ姿のリインフォースが、見慣れない光景に声を上げた。
 先ほどの情交をふと思い出してしまったシグナムは、つい視線を下に流してしまう。
 そんな事をもちろん知らないはやては、いつも通りに接した。

「うん、たまには皆で一緒に寝よう思ってな」

「本当ですか! なんだか楽しそうですね」

 はやての言葉を受けて、リインフォースは子供みたいに目を輝かせた。
 容姿の麗しいばかりの美貌に反して無邪気なその反応が、なんとも可愛らしい。
 しかしそこで当然の疑問に行き当たった。

「でも、寝る時はどういう順で並びますか?」

 と。
 それが意味するところは言うまでもない。
 リインフォースがちらりと視線を向けた先には、のろいウサギのぬいぐるみを抱いたヴィータがなんとも恨めしそうな目でこちらを睨んでいた。
 ヴィータははやてに懐いており、こうやって寝るならまず隣になりたがるだろう。
 だからきっと強い視線で訴えかけているのだ。

860しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:16:24 ID:3g6BdljI
 はやては困ったように苦笑した。

「リインフォースが決めてええよ」

「わ、私がですか?」

「うん」

 自分などが決めて良いのか、と問いたげに目を丸くするリインフォースに、はやては頷いた。
 それは決まりきった事だった。
 これは、リインフォースの為の思い出作りなのだから。

「で、どないする?」

「そうですね……では」

 首を傾げて尋ねるはやてに、リインフォースはしばらく迷った末、決めた。


 
「将、まだ起きてるか」

 暗闇に閉ざされた部屋の中で、すぐ傍からささやかな声が問いかけた。
 シグナムは布団の中で自分の手を握る、冷たい指を握り返して、頷く。

「ああ」

 カーテンの隙間から楚々と零れる月光だけが頼りの中でも、目を眇めればその銀髪と白い肌は確かに見える。
 しんと静まり返った居間で、起きているのは二人だけだった。
 寝ている場所はずらりと横一列に並んだ布団の端、小声で話せば誰も起きる事はないだろう。
 リインフォースの提案した並び方は、左端から、シグナム、リインフォース、はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラの順だった。
 自分の両隣にシグナムとはやてを指名したのはリインフォースなりの素直なわがままというところか。
 
「どうかしたのか?」

「ん、ちょっとな」

 布団の中でもぞりと動く気配がした。
 リインフォースは体を少しずらして、シグナムの方へ近づいた。
 顔が寄せられ、前髪が触れそうなくらいになると、深い紅色の瞳に吸い込まれそうになる。
 だが、心臓の高鳴りよりなお、眼差しの奥底に沈む悲しみを見て取って、シグナムの心に詰まるような哀切が満ちた。

「将にお願いがあるんだ」

「なんだ」

 一拍の間を置いて、リインフォースは囁いた。

「私はもうじき消える」

 一言一言が突き刺さるように鋭く、包み込むように優しく、不可避の真実と愛。
 祈るように。

「それはもうどうしようもない事だが、将は優しいから、きっと私が死んだら悲しんでくれるだろう」

 黙ってその言葉を聞くシグナムの手を、強く握りながら。
 リインフォースはさらに顔を寄せた。

861しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:16:55 ID:3g6BdljI
 互いの額と額を合わせて、近くから。

「私の事を想ってくれる将の気持ちが嬉しい、愛して求めてくれる心が嬉しい……でも、悲しみしか見えない盲目にはならないで欲しいんだ。私がいなくなっても、新しい幸せを見つけて欲しい」

「……」

 手を重ね、握りながら、囁く声音は甘く優しく。
 シグナムの頬を、静かに涙が流れ落ちた。
 この期に及んで自分が死ぬ事への恐怖より、残されるシグナムの事を案じる慈しみ、それが深いほどに、胸が締め付けられてしまう。
 涙は後から後から溢れてきた。
 シグナムは、声を殺して泣いた。
 リインフォースは、そんな彼女をそっと抱き寄せて、髪を撫でた。
 
「無理はしなくても良いんだ、今は心のままに悲しんでも良い。その傷を癒す時間は、将にはまだ幾らでもあるんだから」

 他の者に悟られないよう泣き声を押し殺すシグナム。
 シグナムを優しく抱きしめ、涙を受け止めるリインフォース。
 残された僅かな時間を想う程に募る、やりきれない悲しみと愛おしさの中で、二人はずっと触れ合ったまま夜を明かした。
 この時が、何時までも続けば良い。
 それが儚い願いだと知りながら、しかし、思わずにはいられなかった。
 

 そして、それから三日後の事である――容態の急変したリインフォースが――消滅したのは。





 太陽の輪郭をうっすらと滲ませる曇天から、降りしきる氷雪。
 ミッドチルダ北西部の冬は正に厳寒で、吹き荒ぶ風は肌を引き裂かんばかりに強い。
 空から舞い落ち、風が地表へと叩きつける雪は際限なく、全てを白く染めていく。
 それは、この整然と居並ぶ御影石の参列にも平等に。
 外周を簡素な囲いで覆われた広い敷地の中には、規則正しく並べられた石碑の列が並んでいた。
 形は皆似通っているが、表面に刻まれた名前と生没年の表記が声なき個性を主張している。
 死者たちが永の眠りにつく場所、ここは聖王教会管理の墓地であった。
 今日のように厳しい寒さと雪が大気を蝕むような日に、墓参りに来る者は少なく、雪化粧を施した寂しげな墓地にはただ風のそよぐ音だけが満ちていた。
 その中を、独り雪を踏みしめて歩む孤影が在る。
 風にポニーテールに結った桜色の髪を、羽織ったトレンチコートの裾を靡かせるのは、長身の美女の姿だった。
 ブラウンの管理局制服と飾り気のない外套を纏った様はさながら男装の麗人を思わせる凛々しさ。
 誰見紛う筈もない、烈火の将、シグナムである。

862しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:17:26 ID:3g6BdljI
 どれも似たようなシルエットを連ねる墓石の群の中を、シグナムは確かな足取りで進む。
 ここへ訪れるのは初めてではない、何度も歩んだ順路は間違いようがなかった。
 墓地の中でもかなり奥まった場所に鎮座する墓石の一つを前にして、シグナムは立ち止まった。
 目的の墓である。
 
「……」

 その墓を前に、シグナムはしばし無言で目を眇め、故人を偲ぶように墓石を見下ろした。
 脳裏には、かつて共に生きた蜜月が幾重にも過ぎっていた。
 そして、ふと顔に微笑を浮かべて、膝を突く。

「久しぶりだなリインフォース」

 慈しむように、彼女の名を呼んで。
 あの日旅立った愛する人を想った。
 本当ならば海鳴の墓地に葬ってやりたかったが、戸籍を改ざんする手間を考えると、やはりミッドチルダの方が墓を作るには易かった。
 聖王教会にはカリムを通じて顔が利くし、なにより、棺や墓石の場所にリインフォースとてこだわりはしないだろうと思ったからだ。
 プログラムを魔力を以って顕現していた彼女は、死ぬと共にただの魔力素に散って、遺骸は欠片も残らなかった。
 だから、この下に眠る棺の中身は空だ。
 ならば墓を設ける事自体、無意味と言えなくもないかもしれない。
 だが、人として愛し敬う為、生きた証として、八神家の皆はこうして彼女を弔った。
 空の棺桶だって、魂の在り処とするなら意味も在るだろう。

「しかし、随分降られたな」

 そう言いながら、シグナムは冷たい墓石に手を乗せた。
 降り積もった雪を手袋をした指でさっと払い、無機質な御影石の表面を拭う。
 十年の間風雪を浴びた墓石は、やはり色褪せて見える。
 そう、十年……もうそれだけの月日が経った。

「お前が逝って、もう随分経つんだな」

 口にしてみて、シグナムはあの日かから今日までの間の年月を噛み締めた。
 十年、途轍もなく長く感じる反面、短いようにも思える。
 そんな時間の流れの持つ慈悲深さと残酷さを。
 かつてリインフォースが死んだ直後は、その悲しみにあまりの深さに幾度となく涙し、嘆いた。
 だが流れ行く歳月は、少しずつ悲しみを癒す。
 今シグナムは、こうして墓石を前にしてもかつてのような激しい悲嘆に暮れる事はない。

863しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:17:57 ID:3g6BdljI
 同時に、以前は確かに思い出せた筈のリインフォースの仕草の一つ一つ、触れる髪や肌の感触を、甘やかな声を、鮮明に浮かべなくなっていた。
 その事を思うと、侘しい寂寥が一陣の風のように心を過ぎる。
 これが人間の生なのか、と。
 そして、それはリインフォースの命と引き換えに得た祝福でもあった。
 闇の書の呪いと共に、永遠に続く無為の日々を送る無限の命よりなお、儚く脆い定命の身の憂いが尊い。
 
「私がお前の所へ逝くのは、一体何時ごろなんだろうな」

 シグナムはふと、そんな事を語りかけた。
 十年と言う歳月を振り返れば、それは想像以上に長い先の事のように思える。
 しかしきっと、その時になればまた今のように感じるだろう、あっという間だったと。
 どこか涼やかな微笑を浮かべて、シグナムは立ち上がった。

「じゃあ、私はそろそろ行く」

 そう言って、シグナムは墓石から離れた。
 そもそも今日は命日でもなんでもなく、ただ彼女の事を思い出して、声を掛けたくなっただけだった。
 いずれ命日が来れば家族皆でまた会いに訪れるだろう。
 その時まで、ほんの数ヶ月ばかりのさよならだ。

「また、すぐ来る」

 最後にそう、名残惜しげに囁いて、シグナムは踵を返した。
 墓石の間をそよぐ冷たい風が、うら悲しい歌声のように響き、その後姿を見送った。

終幕






 
エピローグ


「待たせたな」

「あ、いえ」

 墓地の入り口近くに停めた車の助手席にシグナムは座り、運転席で待っていた男がそれとなく相槌を打った。

864しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:18:33 ID:3g6BdljI
 ヴァイス・グランセニック、何年来かになる部下である。
 ヘリパイロットのライセンスのみならず、バイクや車の運転に関しても達者で、今日は仕事がてらに墓地への送迎も頼んだのだった。
 シグナムはシートベルトを掛けて、車の発進に備える。
 が、車は停まったまま。

「どうした」

 訝しんで、シグナムが視線を横に向ける。
 ヴァイスはエンジンを掛けるでもなく、どこか漫然としていた。
 声を投げかけられてようやく目を覚ましたように、はっとする。

「いや、別になんでもないっす」

「何でもないわけあるか。どうしたんだ」

「……」

 シグナムの言葉に、ヴァイスは幾らか言葉に詰まって、どこか気後れしたように口を開く。

「その、姐さん、今日は誰かご家族の墓参りだったんすかね」

「ん? ああ、そうだな。そう言えない……いや、そう言えなくもない、かな」

 問われて、シグナムは少しばかり言い淀んだ。
 確かにリインフォースは八神家の一員で家族だったが、同時にシグナムにとっては家族以上の存在とも言えた。
 シグナム自身、彼女が自分にとって何なのか、いまいち判然としない。
 そんなシグナムの煮え切らない言葉に、ヴァイスはまるで焦ったような顔をした。

「もしかして姐さん」

「なんだ?」

「む、昔の男とかじゃ」

「……は?」

 ヴァイスの行き着いた疑問に、シグナムはぽかんとした。
 そしてその瞬間に、理解できた。
 どうやらこの青年、何時になくしおらしいシグナムの雰囲気から、墓参りの相手が昔の男と読んだらしい。
 そんな風に気を揉む理由となると、それは恋慕しかあるまい。
 まさか相手が女とまでは知るまいが。

「っぷ、はははは!!」

 思わずシグナムは噴出した。
 なりに似合わず純朴な恋情に駆られているヴァイスの様子がどこか可笑しく、可愛らしい。
 まさか数年来の部下が自分にそんな想いを抱いていると知らなかったシグナムは、どこか微笑ましい気分になった。
 もちろん、笑われたヴァイスとしてはあまり冗談めかされても困るのだが。

「ちょ、なんすか姐さん、別に笑わなくたって」

「いやいや、すまん。しかしお前、どうしてそんな事を気にするんだ」

「いえ、別に……ただの好奇心っすけど」

 照れ隠しか、ついと顔を窓の外へ向けるヴァイス。
 そんな横顔を見ながら、シグナムは微笑んだ。
 
「男、か。いや、そういうわけじゃ、ないんだがな」

「そうなんすか」

「ああ」

 安堵した様子のヴァイスの様子を面白く思いながら、シグナムは頷いてやった。
 思えば、武装隊に入った当時のヴァイスはまだ十五かそこらだった。

865しぐ×あい!:2013/04/27(土) 20:19:32 ID:3g6BdljI
 それからずっと上司と部下としての関係が続いているのだから、年上の上司を女として見てもおかしくはないのかもしれない。
 
「ほら、早く車を出せ」

「あ、はい」

 促されて、ヴァイスはようやく車を発進させる。
 普段はあまり見せない、朴訥な彼の一面に嬉しげな微笑を零しながら、シグナムは窓の外を眺めた。
 バックミラーに遠ざかる墓地の姿に、ふと、リインフォースの顔が過ぎる。
 彼女がかつて言った言葉を、今ようやく噛み締める。
 悲しみしか見えない盲目にはならないで、新しい幸せを見つけて。
 そう告げた言葉の意味を。

(新しい幸せ……私には、それを得る資格があると思うか? リインフォース)

 胸のうちで、決して答えの返らぬ問いを、シグナムは呟いた。
 果たして自分は新しい愛や恋を求めて良いのだろうか。
 新しい幸せを、欲して良いのだろうか。
 目を閉ざして、リインフォースの顔を浮かべる。
 彼女の笑顔を、声を。
 心の中に描くリインフォースの顔は、柔らかな笑顔だった。
 機動六課の隊舎に戻るまでの短い道のりの間、シグナムは瞑目し、彼女の事を想った。
 もはや茫洋と霞んだ、古い思い出を。

866ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/04/27(土) 20:21:26 ID:3g6BdljI
投下終了。


書きたい事は概ね書き上げた気がする・・・感無量。

867名無しさん@魔法少女:2013/04/27(土) 21:34:49 ID:iinZlmHE
あるぇ?エロい話だったはずなのに何だか最後微妙に良い話チックになってないか?
このじんわりとした読後感は一体どういうことなんだ・・・

868名無しさん@魔法少女:2013/04/28(日) 00:37:50 ID:Bz/W1ZxQ
最近シガー氏しか書いていない気がする

869名無しさん@魔法少女:2013/04/29(月) 11:47:56 ID:Eh72D9WM
同人系の準備とか?解らんが

関係ないけど、フェイトがユーノに執務官試験の勉強見てもらってたというのは
未確認情報ながら何度か見たネタだけど、
クロノが何かしてたっていうのはあったっけ?
マンガで戦闘訓練やってたらしいのは見たが…。
一応クロ助って元執務官だよな

870名無しさん@魔法少女:2013/04/29(月) 12:16:53 ID:80Y5AO12
>>869
そりゃ夜の勉強会だな。その後は凝り固まった尻をほぐしていた

871sage:2013/04/29(月) 16:44:23 ID:Ip0bQ1.M
>>726 は書かないのか?

872名無しさん@魔法少女:2013/04/29(月) 18:12:10 ID:znMqxtG.
>>866
。・゚・(ノД`)・゚・。 GJ
話としては極めてるが、泣けるのでいまひとつ抜けないのが欠点だナ
でも好きな作品だ、完結オツカレ

873名無しさん@魔法少女:2013/04/29(月) 18:20:43 ID:g2wVMHGQ
>>870

ユノクロ……か

874空の狐:2013/04/29(月) 19:43:09 ID:.7tVmF7s
お久しぶりです。20:00に作品一つ投稿させていただきたいです。
R-18要素はないですが……

875空の狐:2013/04/29(月) 20:00:32 ID:.7tVmF7s
トーマ×ユーリです。R-18要素なし。ユーリは王様の嫁と言う方はお引き返しを

876ユーリとの再会:2013/04/29(月) 20:02:53 ID:.7tVmF7s
 その日、特務六課には六人の客が来ていた。
 シュテル、レヴィ、ディアーチェ、三人のマテリアル、フローリアン姉妹、そして、紫天の書の盟主、ユーリ・ローウェル。
 かつての事件でかかわりのあったなのはたちに会いに来たのだが……

 トーマは困惑していた何故ならば……

「トーマ、お久しぶりです!」

 名も知らぬ少女に抱きつかれていたのだから。
 そして、その後ろでなにか恐ろしい気を発する闇統べる王がトーマを睨んでいた。

「トーマ、その子、誰?」

 さらに、リリィまでがまったく目が笑っていない笑顔でトーマに問いかける。

「トーマ、どうしたんですか?」

 少女は首を傾げる。それに、トーマは必死に目の前の少女が誰なのかを思い出そうと記憶の糸を辿り始めた。
 金色の少しウェーブのかかったふわふわの髪。スバルのようにおへその出たバリアジャケット。そしてトーマの身体に押し付けられたお陰でむにゅっと変形したナイスなお胸様。
 ダメだった。目の前の少女のことをトーマは思い出せない。やっぱり初対面にしか思えなかった。

「えっと、ごめん、君は誰だっけ?」

 トーマの問いかけに目の前の少女は世界が終わったかのような絶望の表情を浮かべる。

「思い、出せないんですか?」

「う、うん」

 トーマは少女の泣きそうな顔にたじろいでしまう。

「そんな、私をあんなに激しく攻めてきたのに?」

「うえっ?!」

 激しく、攻めてきた? いったいなんのこと?

「トーマ、どういうことか、お姉ちゃんに説明してくれる?」

「す、スゥちゃん?」

 ガシッと強く肩を掴まれる。スバルの目が金色に光っているのは気のせいだろうか?

「私が昔の自分に似ているって言ったのも、あの時限りの言葉だったんですか?」

 うるうると少女はトーマを見つめる。

「トーマ、そんなこと言った相手も覚えてないんだ」

「ヴィ、ヴィヴィオまで……」

 ヴィヴィオの軽蔑に満ちた視線が痛い。
 えっと、とトーマは再び思い出そうとする。もし思い出せなければいろんな意味で俺は終わってしまう。そう言えば、少しだけ目の前の少女の顔に見覚えがあるような、それもごく最近のはず。
 そして、その微かなとっかかりからトーマはやっと辿り着いた。目の前の少女と同じ顔をした女の子のことを。

「あ、夢の中で出たあの子!」

「トーマ、そんなので誤魔化すの?」

 アイシスの問いにぶんぶん首を振る。

「え、えっと、リリィ、ほら、あの俺と同じ夢を見たときの!」

 話を振られてリリィは思い出す。そういえば、トーマとまったく同じ夢を見たことがあった。確か、新しい技を試して八神司令に怒られた……

「あ、あの!」

 それでリリィも思い出した。
 そう、確か名前は……

『ユーリ・エーベルヴァイン!!』

「はい!」

 名前を呼ばれてユーリは嬉しそうに笑った。

877ユーリとの再会:2013/04/29(月) 20:04:46 ID:.7tVmF7s
「そっかあ、あれ、夢じゃなくて本当にあったことなんだ」

「はい。事情があってお二人にはエルトリアの出来事は夢と思っていただきました」

 事情がわかったために、誤解も解け、先程まであった修羅場色は霧散して、ユーリとの会話に花を咲かせていた。
 なお、時間移動のことを伏せるために、あくまでトーマたちはエルトリアの世界に来てしまったことにしている。

「でも、ユーリたちも成長するんだね」

「そうなんです。私たちもちょっと驚きました。自分たちにも成長があったなんて」

 そう言ってユーリは笑う。
 ユーリはかつてトーマたちと出会った頃と比べ、背は高くなり、その身体も女性らしい凹凸が生まれている。特に胸の成長は素晴らしい。

「でも、ユーリ、なんであんな誤解をされるような言い方をしたの?」

「誤解? キリエがこうすればトーマとリリィはきっと思い出すと言ったので」

 リリィの問いにユーリがそう答えて、瞬間、女性陣の刺さるような目がなのはたちと楽しくしゃべっていたキリエに突き刺さった。
 それに、びくっとキリエが震える。いつのまにかリリィはその手にディバイダーを、スバルはマッハキャリバー、アイシスはアーマージャケットを装備し、ヴィヴィオは大人モードになっていた。

「えっと、その、ねえん、えっとユーリ、それ以上は……」

「色々キリエにアドバイスされたんですよ。男の子はお胸が大きい方が好きだから、トーマは私が抱きつけば喜んで思い出すって」

 瞬間、危険を察したキリエは駆け出した。それを武装したリリィたちが追う。
 それをきょとんと見送るユーリ。

「トーマ、みんないきなり走り出してどうしたんですか?」

「君は知らなくていいことだよユーリ」

 ユーリから目を逸らしてトーマは答える。恐るべし天然娘。

878ユーリとの再会:2013/04/29(月) 20:05:21 ID:.7tVmF7s

「え、えっと、トーマ、と、ところで、その……嬉しかったですか?」

 と、ユーリは顔を赤くして、もじもじしながら、問いかける。

「え? なにが?」

 その問いかけにトーマは首を捻る。
 それから、少しの間、ユーリは恥ずかしそうに顔を伏せてから、再び顔を上げる。

「わ、私に抱きつかれて嬉しかったですか?」

 そして、今度こそトーマにはっきりと聞いた。
 それに、トーマは……即答できなかった。うん、八割が困惑だったが、リリィと同じくらいに成長したユーリの胸の感触にドキドキしたほどで、スバルやギンガといった魅力的な女性がそばにいたからか、実は巨乳派であるトーマとしてはかなり嬉しかったりした。
 そう、男は巨乳が大好きなのだ。ぷるぷると柔らかそうで、女体の神秘を余すことなく詰め込んだ魅惑の果実。八神司令が大好きになるのもトーマはよく理解している。
 うん、嬉しかった。だが、それをはっきりと答えていいのだろうか。本人が聞いてきたこととはいえ、大きな胸が押し付けられたのが嬉しかったとカミングアウトするのはかなり恥ずかしい。どうしようかとトーマは考え込む。だが……

「嬉しく、なかったんですか?」

 まるで小動物みたいにしゅんと気落ちして見つめてくるユーリに、そんな葛藤はあっさり消し飛んだ。

「す、すっごく嬉しかったよユーリ!」

「ほ、本当ですか?」

 疑うようにユーリはトーマを見つめる。
 それに対してトーマは言葉を重ねてユーリに抱きつかれた瞬間の感動を熱弁する。

「う、うん。その、ユーリの身体すごく柔らかくて、ふわふわで、えっと……俺、大きいの大好きだし!」

「そ、そうなんですか?」

 それに、ユーリは今度は別の意味で恥ずかしそうにもじもじして赤くなった頬に手を当てる。

「へえ? トーマ、大きいのがいいんだ」

「そりゃあ、俺だって男だし」

「ふーん、男の子って大きいのがいいの?」

「そうだな。大は小を兼ねる。大艦巨砲主義、昔から人は大きいのにロマンを見出すも、の……」

 そこまでいってトーマは途中から問いかけがユーリではなく、別の人物からのにかわっていたのに気づいた。

「えっと、ヴィヴィオ? アイシス?」

「うん?」

「なあに?」

 振り返ると、満面の笑顔の二人がそこにいる。さらには、

「トーマ、ユーリに抱きつかれて嬉しかったんだ」

「り、リリィ……」

 にこにこと笑うリリィ。だが、三人の背後には悪鬼のようなオーラが立ち上っている。

『少しOHANASHIしようか?』

 三人はがっしりとトーマの肩を掴んで引っ張る。
 あーっと絶望の声を上げながらずるずるとトーマは連れ去られていく。そこにいつの間にか嬉々としてディアーチェも加わっていた。
 そして、一人残されたユーリは……

「わ、私もトーマに抱きついた時ドキドキしました。男の人の身体ってこんなにがっしりしてるんだって驚きましたし、匂いもディアーチェたちとは全然違って……」

「えっと、ユーリ、トーマいないから話しても意味ないですよ?」

 アミタがツッコむが自分の世界に旅立ってしまったユーリにはその言葉も届かない。
 そして、訓練場の方向から、銀色のエネルギーと、爆音、そして、闇統べる王と聖王の魔力光の輝きが上がるとともにトーマの断末魔が響いた。

879空の狐:2013/04/29(月) 20:06:41 ID:.7tVmF7s
以上です。次に二人の関係をさらなる段階に進めたいかなあと。

880名無しさん@魔法少女:2013/04/29(月) 22:55:41 ID:SBrhZUCg
乙乙

881名無しさん@魔法少女:2013/05/01(水) 00:45:55 ID:94y4Nt2Q
GJです。嫉妬少女って可愛いよねw

ところで、ヴィヴィオ→トーマってこれ公式だっけ?

882名無しさん@魔法少女:2013/05/04(土) 23:41:27 ID:I5THaOns
GODではお互いのことを知っている会話はありましたね。
少なくともVividの時点で既に面識はあるそうですが、当然ですが友達程度の関係でしたね。

883名無しさん@魔法少女:2013/05/05(日) 07:19:10 ID:2kB5PeNA
拳で語り合う程度の友情である模様

884名無しさん@魔法少女:2013/05/05(日) 13:54:54 ID:Ize1W8B6
とりあえずなのはに届け物するついでにトーマとリリィに会いに行くくらいには
親しいらしい
多分トーマとエリオ以外に年近い親しい男いないしね

885名無しさん@魔法少女:2013/05/08(水) 16:45:40 ID:Xor8U8d.
Vは男キャラが全然いないしなぁ
名有りの男の新キャラなんてエドガーさんくらいしか居ないのに
そのエドガーさんは雷帝さんが独占してるしな

886名無しさん@魔法少女:2013/05/08(水) 17:13:35 ID:9FsBrot2
やさぐれてた引き篭もりエレミアに競技世界という道を教えたのが雷帝さんとエドガーさんだから、
その過程でいろいろ日常生活の指導とかスポーツ科学とか栄養学とかエドガーさんが教えたり手配したかもね

887名無しさん@魔法少女:2013/05/09(木) 01:02:03 ID:7VrDSDIg
sと、寝屋での受け責めとかw

888ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:25:16 ID:zW/gCesY
投下する。
ヴァイシグエロおっぱい。

889ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:25:47 ID:zW/gCesY
ヴァイ/シグ/おっぱい


「なあ、ちょっと良いか」

 唐突にドアを開けて医務室に訪れたのは、見慣れた家族のそれだった。
 訓練を欠かさぬ身だが、一流どころの腕前は確かで、医務室に来る事など稀な相手に、シャマルは意外そうな顔をする。
 
「あらシグナム。どうしたの? あなたがここに来るなんて珍しいわね」

「あ、ああ……」

 そう問われたシグナムは、何故か頬を紅くしており、言葉もどこか力がなかった。
 かといって具合が悪そうというわけでもないようだ。
 シャマルは不思議そうにきょとんと首を傾げる。

「怪我? じゃ、なさそうだけど」

「うむ、怪我ではないんだが」

 どこか歯切れの悪い言葉を零すシグナム。
 顔を俯かせ、視線も力なく泳いでいる。
 普段の凛とした姿の欠片もないその姿に、シャマルは不思議そうに眉根を寄せた。

「じゃあ何の用?」

「……」

 重ねてそう問いただされて、シグナムはしばし無言のまま。
 たっぷり数秒の間を置いてから、静かに口を開いた。

「実は――」

 ぼそぼそ、と耳打ちする。
 その言葉を聴き、シャマルはぽかんと目を丸くした。
 
「……え?」

 思わず疑問符のついた呟きを漏らす。
 よほどシグナムの言葉が理解し難いものだったらしく、シャマルは重ねて問い返した。

「ご、ごめんなさい、もう一回言ってくれる?」

 と。
 シグナムの顔がさらに、かぁ、と紅くなる。
 だが無言を貫くわけにも行かず、結局は白状するしかなかった。

「……その、だな……さ、最近…………さらに胸が大きくなったんだ」

 言いながら、シグナムはぷつんぷつんと上着のボタンを外した。
 露になった白いブラウス、たっぷりとボリュームを湛えた乳房の先で、ぷっくりと蕾が自己主張している。

「ブラしてないの!?」

「い、今までのじゃ合わなくなったんだからしょうがないだろ!」

 真っ赤になった顔で慌てるシグナム。
 シャマルは改めてまじまじと目の前の爆乳を見下ろした。

「確かに、言われてみると、今までよりさらに大きくなった気がするわね……」

 シャマルも自分のスタイルには結構自信はあるのだが、しかしその彼女をして驚愕する程に今のシグナムの胸は大きかった。
 ミサイルでも詰め込んでるのかと思うくらいである。

「うわ、すご……シグナムのおっぱいさらに大きくなったの!?」

 驚きと憧れが混じったような声をあげるシャマル。

890ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:26:23 ID:zW/gCesY
 だが当人にしてみれば迷惑な話だった。

「どうしてこんな事に……私たちの体はプログラムなんだから、変化はない筈だろう?」

 救いを求めるようにシャマルに問いかけるシグナム。
 ノーブラで外を歩かざるをえない状況に陥り、よほど恥ずかしいらしい、ほとんど半泣きの様だった。
 普段はそうそう見られないシグナムの慌てぶりを見ながら、シャマルは、ふむ、と顎先に手を当てた。

「そうねぇ。でも私たちの体は今ではかなり人間に近づいてるから」

 言いつつ、シャマルはさっと手で宙を払い、魔力で構築した投影ディスプレイを起こす。
 映されているのはシグナムのバイタルデータだった。 

「これを見る限り、特に内部プログラムや組織に変化があったようには見えないけど……何か外的な要因があったとか」

「外的要因?」

「心当たりはない?」

「いや、特に……ハッ!」

 思い当たる節があったのか、シグナムが顔色を変えた。

「どう?」

 とシャマルが問いかける。
 だがしかし、シグナムは慌ててかぶりを振った。

「い、いや、何でもない……邪魔したな」

 そう言い残し、シグナムはそそくさとその場を後にした。



「ちょ、ちょっと待った!」

 キスで塞がれた口の合間からそう叫び、シグナムは体に伸ばされた手を振り払った。
 対するヴァイスはというと、いつもの愛撫をいきなり拒絶されて驚き、唖然とした。

「どうしたんすか姐さん、急に」

 とっぷり暮れた夜、ベッドの上で、仕事や日々の責務を忘れて恋人同士の時間である。
 服も脱ぎかけたまま柔らかいシーツの上に雪崩れ込み、キスをしながら体を撫でて……そのままヴァイスは彼女の豊満な果実を掴もうとしたのだが。
 彼の手をシグナムは厳しく打ち据えた。
 赤くなった手の甲を押さえ、ヴァイスは困惑の顔をする。
 そんな彼に、シグナムはというと、鋭くきっと睨み付けた。

「む、胸はだめだ」

「ええ!? なんでっすか」

「……」

 今まで愛し合う時は普通に愛撫してきたのを、いきなりダメだと言われて困惑するヴァイス。
 だがシグナムは顔を赤くして、恥ずかしそうに俯く。
 
「最近……胸が、お、大きくなってるんだ」

 ぽつりと、消え入りそうな声で告げる。

891ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:26:54 ID:zW/gCesY
 ヴァイスはぽかんとなって、思わず聞き返した。

「マジっすか」

「……ああ」

 まじまじと、服の上から観察する。
 確かに言われてみれば、以前よりサイズが増したような気がした。

「えと、それでどうして胸触っちゃダメなんすか?」

「き、決まってるだろ! いつもお前が……さ、触るからだ!」

 かぁ、っと顔を真っ赤にして、シグナムは言った。
 確かに、こういう関係になってから行為に及ぶ際、彼女の大きな乳房に触れなかった事などない。
 ヴィータにおっぱい魔人などと揶揄されるほどのボリュームのそれは、無論ヴァイスの心を惹き付けて止まない最大のセックスシンボルだ。
 彼女を抱く時、愛する時、その柔らかくも張りの在る胸をヴァイスはたっぷり揉みしだく。
 今までどれだけ触ってきたかはもう数え切れない。
 そして思い返せば、シグナムとの恋人関係が始まってから胸は大きくなった気がする。
 つまり、ヴァイスがちょくちょく揉んでいたからサイズが大きくなったという事なのだろうか。
 少なくとも事の因果関係を考慮するとそうなる。
 ヴァイスは、納得いかない顔をした。

「どうしてもダメなんすか」

 あのなんとも堪らない柔らかさ、一度味わってしまうと、名残惜しい。
 だがシグナムの応えはにべもなかった。

「ダメだ! これ以上大きくなると……着る服に困る」

「あー、そっすか……」

 とまで言われては、さすがにヴァイスも無理強いはできなかった。
 
「じゃあ、胸なしでなら、良いんすよね」

 その代わりに、と。
 彼はシグナムの髪に、肩に、手を伸ばした。
 さらさらと流れる髪を梳きながら、肩から腰まで優しく撫でる。
 シグナムは、こくりと頷いた。

「……ああ」

 そして二人の距離がまた零になって、顔が近づき、触れ合った。
 唇を重ねて――ぬるりと滑り込む舌先。

「んッ」

 シグナムが美貌を悩ましく歪め、吐息を零す。
 構わずヴァイスは簒奪者の強引ささながらに彼女の口内を、丹念に蹂躙した。
 味、などしないが、彼女の唇を奪い、快楽に耽る心地はどこまでも甘美だった。
 たっぷりキスを味わい、楽しみながら、ヴァイスは片手間で服も脱がせ始める。
 狙撃手という仕事柄なのか、羽毛の一撫ででも落ちそうなほど軽く調整されたトリガーを正確に絞る指先は、ベッドの上で身悶える相手の服を脱がすという難事を素早くこなす。
 あっという間にブラウスのボタンを、スカートのホックを外し、下着までするすると下ろす。
 淡い室内灯に照らされた中でも、その眩いばかりの柔肌の白さは目に焼きつく。
 ふわりと漂うミルクめいた香り、シグナムの匂い、官能的に。
 深い谷間を有する二つの大きな膨らみと、その上で綺麗なピンク色をした蕾。
 つい、豊満な胸に手が伸びそうになるのを、ヴァイスはなんとか我慢した。

892ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:27:32 ID:zW/gCesY
 いつもならこのまま、好きなように乳房を弄ぶのだが。
 
(となると……)

 攻める箇所は別のところを選ばなければいけない。
 なので指先を腋から滑らせた。

「ひゃッ」

 シグナムの口から、可愛らしい悲鳴。
 凛然とした騎士でなく、女としてあげる声。
 脇腹を撫でつつ、するりと下腹へと、へそまで弄ぶ。
 むず痒いようなくすぐったいような快感に、彼女の顔が耐えるような表情を浮かべた。
 
「はぁ……ぁ」

 切なげに零れる吐息が悩ましい。
 見上げると、凄まじい量感を伴ってそびえる乳房越しに、彼女の顔が見れた。
 これを前に触れないとは、なんと酷な。
 そう思いながら、しかし目標は下方に定める。
 ヴァイスは下腹を撫でた手で、今度は彼女の脚を掴んだ。
 すらりと伸びながら、むっちりと女らしい肉付きをした二本の脚、そのラインはどこまでも倒錯的な程にエロティックだった。
 特殊な性嗜好の持ち主でなくとも、一度触れれば、吸い付くような柔肌の感触と相まって、溺れたくなる。
 太股をゆるりと撫でつつ、彼はそれを大きく左右に開かせた。
 髪と同じ色の恥毛、ぱっくりと開いたサーモンピンクの入り口は、既にじっとりと蜜で濡れて。
 
「あ、あまり、見るな」

 顔を手で覆ったシグナムが、消え入りそうな声で訴えかける。
 何度もしてきた事とはいえども、秘された場所を見られる事が恥ずかしい事に変わりはない。
 だから、見る代わりに、舐めてやった。

「ひゃぁん!」

 悩ましい太股の間に顔を埋めて、ヴァイスはシグナムの秘部を愛する。
 舌を伸ばし、入り口とその周りの陰唇を丹念に。
 犬よろしく舐め回す愛撫は実に丹念だった。
 膣口に舌を突っ込んだかと思えば、指で不意打ちにクリトリスを突く。
 あっという間に洪水になって、シーツに滲むくらい愛液が溢れた。
 
「ああ! あぁ……や、ひぃ!」

 女の体で一番敏感な部分、そこを無遠慮に触られて、過度な刺激に波打つ体。
 じわり、じわりと、肌に汗が浮かんでいく。
 シーツの上を引き毟る手の動き、どうやら余程ヴァイスの攻めは的確らしい。
 入り口を浅く舌で掻き回しながら、クリトリスを指でころころと弄って。
 そして唐突に、覆っている包皮を剥く。
 間髪入れず舌先はちろりと赤い真珠ちろりと舐め上げた。

「〜ぃッッ!」
 
 あまりの刺激に、悲鳴にさえならない息が吐き零された。
 ビクンッ、と跳ねる肢体。
 そんな様を悠然と見上げながら、ヴァイスは察する。

(そろそろかな)

 秘裂は、もうすっかり濡れそぼっていた。
 後から後から愛液が滲み出てきて、ぐしょぐしょだ。
 頃合、と見計らい、ヴァイスは体を起こした。
 彼自身もまた準備は万端で、硬く大きくいきり立っていた。
 
「入れますよ」

 それは了承を得るための言葉ではなく、ただ自分がする事を告げるだけの宣言だった。
 返事など待つ事もなく、ヴァイスは入り口に先端を宛がい、腰を沈めた。
 湿った、いやらしい結合の音が、甘い嬌声に引き裂かれる。

「ふひゃああ!」

 シーツを掴み、背を弓なりに反らして、震え上がる。
 彼自身の太さと硬さ、そして熱。
 貫かれる快感が脳天まで駆け抜ける。
 だが余韻に浸る間もなく、ヴァイスは前後に動き始めた。
 たっぷり蜜で潤う粘膜を彼の逞しい剛直が、力を込めて擦り上げ始める。
 その快楽は、挿入された時のものを倍する程に激しく深い。
 だが、しかし――

(……あ、れ?)

 シグナムは違和感を覚えた。
 何かが、足りない。
 いつもはもっと、もっともっと、甘く蕩けるような快楽が陶酔に引きずり込む筈だった。
 ヴァイスに突かれ、抉られ、喘ぎながら、感じる奇妙な欠落。

893ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:28:11 ID:zW/gCesY
 そう、足りない。
 
「あ……んぅッ」

 腰を、ズンッ、と押し上げられ、子宮口近くまで擦られて、漏れる喘ぎ。
 快楽、心地良い痺れが神経の隅々まで甘く染め上げて。
 それでも、やはり――足りない。
 
(……ぁ)

 シグナムは気づいた。
 ヴァイスに何度も突き上げられる度、たぷたぷと揺れる乳房の先が、じわじわと疼くのを。
 疼く。
 じんじんとして、気持ちが乳房に引きずられるような。
 膣内を掻き乱す快感に没頭しきれないのは、そのせいだった。
 当たり前と言えば当たり前かもしれない。
 昔はよくはやてに揉まれ、今ではヴァイスが丹念に愛撫して性感帯にしたてた、彼女の胸。
 突かれるごとに揺れる微妙な刺激が、余計に性感を煽る。
 シグナムははっとした。
 自然に、自分で自分の胸を揉もうとしている事に気付いたのだ。

(だ、だめだ! こんな……自分で、触るなと言っておいて……)

 ぎゅっとシーツを掴み、首を横に振るシグナム。
 彼女はその誘惑に耐えた。
 いや、耐えようとした。

「ん! はぁ……や、ぁあ」

 何度も、何度も、突き上げられて。
 そうするごとに乳房は揺れ、快感を深めて……しかし足らない。
 触ってはいけないと思えば思うほど触りたくなる、触って欲しい。
 
(だめ……だ、め)

 目尻にたっぷり涙を溜めて、シグナムは突き上げられる快感に震える。
 そうして、体を必要以上に強張らせてしまったのがいけなかった。
 ぐっと体に力を込めて、背を反らせた結果、大きすぎる胸がヴァイスの体に触れた。
 彼もちょうど腰を沈めたために、厚い胸板に乳首が擦れる。
 その瞬間、シグナムの中で、神経という神経が甘く蕩けた。

「ふあああああああ!!」

 飛び切り切ない声を上げ、幾度となく痙攣する体。
 目の前が真っ白に染まって時間と空間が意味をなくす。
 ぎゅう、と締め付ける媚肉の蠢きに、ヴァイスも一瞬呻きを漏らした。
 
「はぁ……ぁぁ……ぁ」

 余韻に震えながら、か細い息を零すシグナム。
 涙の膜で覆われた視界は茫洋として、意識も千々に乱れていた。
 絶頂、した。
 乳首が軽く擦れた、たったそれだけの刺激で。
 散々に焦らされ続けた時間の分快楽が昂ぶってしまっていた、その結果だ。
 
「ちょ、姐さん? もしかして、もうイっちゃったんすか」

 あまりに早く昇天したシグナムの様子に、ヴァイスはやや驚いて。
 先ほどの一瞬を反芻し、意味を理解する。

「ああ、なるほど」

 唇の端がつり上がる、笑みの形を結ぶ。
 それは、邪悪な顔だった、嗜虐の表情だった。

「やっぱり姐さん、胸弄った方が良いんじゃないっすか、ねえ? なら、良いっすよね?」

「え……あ、なにを……ふにゃぁ!」

 シグナムの声のトーンがまた上がって、甘い甘い声が溶けた。
 ヴァイスのがっしりとした指が豊満な乳房を優しく揉みしだき、反面、頂点の乳首は痛いくらいに抓る。
 すっかり御馴染みの、体に沁み込ませた熟練の愛撫。

894ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:29:02 ID:zW/gCesY
 我慢に我慢を重ねた結果、訪れる快感は――いつもの数倍。
 ほんの一抓りで、先ほど絶頂したばかりのシグナムが、再び達してしまいそうなくらい昂ぶるほどに。

「や、やめ……ダメ、だぁ……はぅんッ!」

「ダメ? じゃあ止めます?」

 こりこりと乳首を捏ね回しながら、同時に腰を動かして媚肉もたっぷり抉って、貫いて、ヴァイスが笑みで問いかける。
 止める。
 その意味をシグナムは、快楽の只中で蕩けながら考えた。
 こんなに気持ち良いのに止めてしまうのか、と。

「い、や……止めちゃ……ちが……でもぉ」

 曖昧なその言葉は否定なのか肯定なのかさえ判然としなかった。
 涙と汗でぐしゃぐしゃになった顔を横に振るシグナムの仕草。
 完全に快楽に飲まれ切った雌の顔、男に抱かれる女の顔。
 騎士の凛々しさも理性もそこにはない。
 まだかろうじて残るその抵抗を、ヴァイスは噛み砕く。
 ぐっと体を近づけたかと思えば顔を胸に寄せて、乳首を口に含んだ。
 舌がぬるりと乳首に纏わり付く。
 カリッ、と歯が軽く当てられる。
 
「ひゃはぁああ!」

 嬌声が木霊して、シグナムはまた絶頂した。
 たったそれだけの刺激で、いとも簡単に二度目の絶頂が脳髄を茹らせた。
 蕩けきる頭と心と、体。
 ヴァイスは口を離し、耳元に囁きかけた。

「良いんすか? 本当に、止めちゃって」

 そんな風に問いかけられて、それ以上踏みとどまれるほどにシグナムは強くなかった。
 いや、彼女でなくとも、これほどの快楽の深みを前に、耐えられる女なんていない。
 度重なる二度の絶頂で涙を溢れさせた瞳で彼を見上げながら、シグナムは何度も首を振った。

「だ、だめ! やめちゃ……ああ……もっと、もっと……してぇ」

 もう自分が口にした言葉の全てを放棄して、将は快楽に堕ちた。
 広い彼の背中に手を回し、たわわな柔らかい果実を押し付ける。
 ならば断る道理はない。
 ヴァイスは今度こそ心置きなくシグナムの乳房に指を沈めた。
 張りがありつつも柔らかく、揉めば幾らでも指を受け入れる極上の感触。
 肌の艶ときたら吸い付くようだった。

「あ、あああ!! もっと、胸ぇ……ひぃ! 突くの、はげしい……ッ」

 乳房を丹念に揉みながら、もちろん腰を振って膣を抉るのも止めない。
 ねっとりと纏わり付くような膣壁の蠢きと、指に吸い付く乳房の心地に、ヴァイスは陶然となった。
 いつしか胸を触る動きと、彼女を貫く動きは同じような間隔になっていき。
 次第、次第に、二人の息も同調して弾んでいく。
 今まで何度も抱いてきた過去の経験で、分かった。
 もう頃合は近い。

「姐さん、俺もそろそろ」

 言いつつ、ヴァイスは指に力を込めた。
 乳首を千切れそうなくらい抓る、それと同時に、全体重をかけて子宮口に亀頭でキスをした。
 それが契機だった。
 
「ひ、いいいいいいいい!!!」

 絹を裂くような悲鳴、いや、嬌声だった。
 二人の中で快楽が怒涛となり、爆ぜ尽くす。
 どくどくと注がれる精液の奔流が火傷しそうな熱を与える。
 意識さえ持って行きそうな絶頂の快感に、シグナムは肩で息をして喘いだ。

「あぁ……はぁ……ふぅぁ」

 ぐったりと脱力し、ベッドの沈み込む豊熟と艶やかで、美しい体。
 ヴァイスもまたその上に倒れこむ。
 柔らかく豊かな胸が受け止めてくれる、その心地良さ。
 堪らなかった。

「はあ……やっぱ姐さんの胸、良いっすねぇ」

 射精の余韻に浸りつつ、漫然とそんな事を呟く。
 だがシグナムは既に意識を半ば溶かしていて、そんな事は聞いていなかった。



「まだ買うんっすか……」

 そう呟くヴァイスの声は、辟易とした疲労、というべきか、驚嘆と恐怖交じりのものだった。

895ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:29:52 ID:zW/gCesY
 手にした買い物籠に積みあがっていくそれらの値札を見ての事だった。
 場所はクラナガンの大通りにある女性用衣類店、その下着売り場だった。
 男であるヴァイスがいるにはなんとも視線が痛いのだが、しかしそれ以上に痛いのは、むしろ財布の方か。

「当たり前だ、今までのが全部着れなくなったんだからな」

 と言いながら、シグナムはきっと鋭い視線を送りつつ、また手にしたそれを籠に入れた。
 白い可愛いブラジャー、サイズは凄まじい、ついでに値段も。
 これで五着目であり、その買い物の費用は全てヴァイス持ちだった。
 当然、といえば当然かもしれない。
 昨夜の睦事でシグナムの言いつけを破って結局胸に触ったわけだし、大きくなってしまった原因でもあるのだから。
 しかしまさか女性用下着がこうも高いと思わなかったヴァイスにとってはなかなか手痛い出費である。
 彼の顔はなんとも悲壮なものになっていた。

「仕方ないだろう、お前のせいなんだぞ」

「え、ええ、まあ、良いっすけど」

「それに、な」

 また一枚、下着を籠に入れつつ、シグナムが横目でヴァイスの顔を見上げる。
 頬はほんのり赤くなっていた。
 
「こうして責任を取るからには、相応の権利もあるわけだし、な……」

 ぼそぼそと、ともすれば聞き取れない声音で。
 首を傾げるヴァイスに、シグナムはそっと近づいて、囁いた。

「だから……これからも……む、胸触っても良い、から」

終幕

896ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/05/10(金) 00:30:51 ID:zW/gCesY
投下終了

おぱぁあぁぁ

897名無しさん@魔法少女:2013/05/10(金) 18:50:10 ID:lECPvyAc
( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!GJ!
烈火の将はいぢめがいがあってよろしいですな
次回からはどうぞおっぱい揉んでくださいって言うまでじらされるんだろうな

898名無しさん@魔法少女:2013/05/12(日) 20:11:06 ID:xz52EVTg
( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!

899名無しさん@魔法少女:2013/05/12(日) 21:40:31 ID:pi0n1M36
( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!

900名無しさん@魔法少女:2013/05/12(日) 22:16:05 ID:sxyo1I96
うぽつですぞ~。やはりおっぱいは偉大だ!

901名無しさん@魔法少女:2013/05/13(月) 03:56:54 ID:2s777guQ
( ゚∀゚)o彡゜ちっぱい!ちっぱい!

902名無しさん@魔法少女:2013/05/15(水) 01:39:12 ID:8tUZiwWw
リリなのシリーズ最巨乳と最貧乳は誰なんだろう

903名無しさん@魔法少女:2013/05/15(水) 01:48:14 ID:39m/jrvA
最巨乳は闇の書の闇
最貧乳はリインフォース2かアギトだろうな

904名無しさん@魔法少女:2013/05/15(水) 04:23:28 ID:bWfEeZj2
あくまでも人間サイズの範疇で言うなら最大はシグナム、アインス、サイファー辺りで
ロリを除いた最貧乳ならアギトかなぁ
ⅡとキャロはFだと膨らみはちゃんとあったし

905名無しさん@魔法少女:2013/05/15(水) 21:52:05 ID:uubsk8zc
ベルカの騎士とかで現実の騎士に興味をもって調べてたら、「鉄腕」ゲッツって呼ばれていた実在の騎士がいたらしいと知ったんだけど、
どうやらあの「俺のケツを舐めろ!」ってこの人が言ったらしいんだよ。

鉄腕の継承者 ジークリンデ・エレミア「私(ウチ)の尻を舐めろ!」

906名無しさん@魔法少女:2013/05/15(水) 22:34:27 ID:cbrarJz2
「古代ベルカから開発されっぱなしで鍛え抜かれたこのアナル性感…金髪執務官にも負けへんよ」

907名無しさん@魔法少女:2013/05/15(水) 23:00:46 ID:kMOmxR6w
クロノ「どれどれ?」

908名無しさん@魔法少女:2013/05/15(水) 23:58:55 ID:l4JC.UZA
ひょいひょい味見にでてくんな提督w

ジーク含めて大会組はいいキャラだと思うんだけど
四期はSS自体少ないせいかここでもあんまり扱われないんでちょっとさびしいぜ

ほぼ百合オンリーだけどVはカプの宝庫やし…
目立つのイヤやけどアイン×ジークとか見たいんよ…一度敗れた相手が望まぬ過去のしがらみを負わされたただの少女だと知って、年上でも自分より強くてもあなたを守るのは王の務めです的な独白とともにイケメン覚醒するところが見たいんよ…だれか…

909名無しさん@魔法少女:2013/05/16(木) 00:13:45 ID:m/r02GgQ
>ベルカの騎士とかで現実の騎士に興味をもって調べてたら、「鉄腕」ゲッツって呼ばれていた実在の騎士がいたらしいと知ったんだけど、
>どうやらあの「俺のケツを舐めろ!」ってこの人が言ったらしいんだよ。

あれはドイツ語の慣用句で「消え失せろ」って悪態ですがな

910名無しさん@魔法少女:2013/05/16(木) 00:18:07 ID:2Qj71Tio
ふたなりジークがヴィクター相手にエドガーと二穴プレイとか
アインハルト相手にたまにはロリコンもええよねとかそんな内容しか思い浮かばない…

911名無しさん@魔法少女:2013/05/16(木) 22:17:16 ID:1g3IhNzs
ジーク、NanohaWikiにかつてのエレミアたちの戦闘経験を受け継いでいる記憶継承者だとか、命の危険を感じると反射行動として「エレミアの神髄」
状態が発生するとか書いてあるけど、エロ関係の夜の戦闘技術も受け継いでて、かってに体が動いたりとかはしないの?




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