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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第106話☆

914F-2改:2010/08/09(月) 23:17:04 ID:gdodVBJ6
ごめん、と唐突な謝罪の言葉。慌てて、なのはは首を振る。謝ることじゃない、彼には艦長としての責務もあれば、執務官としての任務もある。クロノがやらなければ、困る人が大勢いるのだ。
それでも彼は、ごめん、と同じ言葉を繰り返した。生真面目なこの艦長兼執務官は、恋人に寂しい思いをさせてしまうことに罪を感じているのかもしれなかった。

「もう、クロノくんったら」
「むぐっ」

情けない悲鳴。少しばかり怒ったような表情をして、彼女は恋人の鼻を摘んでいた。

「謝ることじゃないってば。クロノくんにはクロノくんじゃないと出来ないお仕事があるんでしょ?」
「そうだけど、そうかもしれないけど……」
「けど?」
「――僕は、出来るなら最優先で君の傍にいたいんだ。全然、恋人らしいこと、してあげれてないし」

恥ずかしいのか、俯きながら彼はそう言った。愛を交わしてから何度かデートはしたけども、それっきり。仕事の合間を縫うようにして出会う時間も、あまり長いとは言えなかった。
ぎゅ、と。今度はクロノが、なのはに抱き締められた。ちょうど彼女の豊かな胸の辺りに、顔面を押えつけられる形。
いやらしい気分には、不思議とならなかった。顔を覆う暖かい体温。薄いパジャマ越しに、トクントクンと確かに聞こえる少女の胸の音。心なしか、普段の状態よりも鼓動が早い気がした。

「聞こえる?」

彼女の問いかけの意味が分からないほど、クロノは愚鈍でもない。ああ、とはっきり肯定を持って返答する。

「ドキドキしてるよね。これ、クロノくんと今会ってからずっとこうなんだよ」
「僕と会ってから?」
「そう。会えただけでも、こんなになっちゃうんだよ。嬉しいんだよ、私」

だから、謝ったりなんかしないで、と。こんな場所で会えただけでも、凄く嬉しいから。心が満たされちゃったから。
諭されたクロノは、頷く。頷いてから、ぎゅっと強く彼女を抱き締め返した。女の子特有のか細い身体が、折れてしまいそうなほど力を込めて。
なのははそれを、受け入れていた。逆に、自分も精一杯の力を込めて抱き締め返す。言葉はもう必要なかった。熱い抱擁が、全てを代弁してくれる。
唐突に、彼が耳元で囁いた。なのは、と。ただ名前を呼ばれただけなのに、その感触の、なんと甘いことか。なんと切ないことか。
胸がきゅっと締め付けられるような感覚に襲われたところで、少女は恋人が名前を呼んだ理由を理解する。その瞬間、ぽーっと自分でも顔が真っ赤に染まっていくのが分かった。顔から火が出そう
とは、きっとこのことだろう。
密着させていた身体を、少しだけ離す。愛しい人と見つめ合って、互いの意思を確認する。

「いいかな。その、こんな場所で言うのもなんだけど」
「うん……いいよ」

そっと、唇を寄せた。忘れかけていた甘い感触が脊髄を走り抜けて、理性の壁に穴を開ける。
肩にかけられていた彼の腕に力が入ろうと、具体的には優しく相手を押し倒そうとしたところで、あ、となのははそれを止めた。
――正直、この言葉を言うのに勇気が必要だった。それも並大抵のものではなく、とびっきり大きな勇気が。
でも、でも。今言わないと、たぶんもう言えない。言うことが出来れば、きっとクロノは喜んでくれる、と思う。何より、ここでの出会いが終わればまたしばらく、彼とは会えなくなる。次に会う
時まで、果たして自分は持つかどうか、はっきり言って自信がない。
いきなり動きを止められて、怪訝そうな表情をする恋人に向けて、なのはは恥ずかしさを押し切って、小さな声で告げた。




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