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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第106話☆
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唐突に野獣の気迫を纏った乙女に、肉体の本能が警鐘を鳴らしているのだ。
目の前の存在は危険だ、と。
だが男も伊達に格闘の場で鍛えていない。
いかに纏う空気が野獣のそれを帯びようと、己が築き上げた優位性はいささかも崩れてはいないのだ。
(焦るな、安全に勝ちを拾え)
そう自身に言い聞かせ、ゆるりと構える。
ノーヴェが攻めてくるなら、彼女の傾向から見て確実に打撃だ。
起死回生を狙った打撃に備え、ガードを上段に上げる。
そして、来た。
「ふッ!」
掛け声と共に繰り出される拳が、小気味の良い乾いた音を立ててガードに出した前腕に当たる。
半ば予想していた通り、左のジャブだ。
男は内心ほくそ笑む。
やはり、幾ら強くとも実戦経験の少ない子供だ。
試合終了が近いので焦っている。
おそらくはこのまま打撃で攻め勝とうとしているに違いない。
続く打撃が、ガードを縫って顎を狙い済ましているのがその証拠だ。
オーバーアクションのテレフォンパンチで簡単には倒されるほど自分は生半な格闘士ではないのだ。
このまましばらく打たせ、頃合を見て反撃し沈めてやろう。
腕に走る衝撃に身を任せたまま、そう思案する。
そして思いのほか早くその時はきた。
いつしか単調の極みを呈するようになった打撃の中、打ち疲れたのだろう、少女の腕が一瞬止まる。
ガードの隙間からそれを目ざとく見て取った男は、すかさず反撃に打って出た。
最低限の体重移動と共に繰り出された左のジャブ、速度もタイミングも申し分ない一撃だ。
狙うは小柄な乙女の顎先、狙うは一撃によるノックアウト。
屈強な男の腕は高速で打ち放たれ、そして……
「なッ!?」
虚しく空を切った。
そして代わりに男の腕に来た感触は、相手を打つ衝撃ではなく、柔らかなもの。
前腕を掴む白魚のような指、次いで首に絡むしなやかな脚。
気付いた時には完全に決まっていた、それは脚を用いて相手の首を締め上げる、三角絞めの体勢であった。
腕にかかる少女の体重で傾き、膝をつく。
しなやかに伸びたノーヴェの脚はまるでそれ自体が獲物を求める蛇のように強く、容赦なく締め上げる。
本来ならば即座にタップすべき状況であったが、しかし男の脳裏は別に意識、驚愕の一色に染め上げられていた。
(まさか……最初からこいつを、狙ってッ!?)
先の打撃の猛攻、そしてそこに点け込もうとした己の反撃。
それが全てこの技の為の布石だったのだろうか。
正しく獲物を仕留める狼の狡猾さ、猛々しい狡知。
薄れ行く意識の中、歴戦の格闘士たる男は底冷えのする畏怖を感じた。
□
「おめでとうノーヴェ、凄い勝負だったね」
会心の勝利を収めたノーヴェに、柔らかな笑みと共に彼がそんな言葉をかけた。
好きな人が自分を賞賛しているという事に、乙女の頬は激しい運動後のそれとは違う意味合いで頬を染める。
「お、おう……ありがとな。でも、お前どうしてこんなとこ来てんだよ?」
「ああ、俺もちょっとストライクアーツに興味があってね。今日ノーヴェが試合してるってスバルから聞いたから、その見学に」
「そ、そっか……」
そう答えつつ、ノーヴェはある事に気が付いた。
気が付いてしまったのだ。
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