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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第103話☆

825はつこいりみてっど。後編 (8):2010/04/13(火) 01:14:23 ID:vMyvfhys
 ほんの少しの自分の間違いが、その不安に直結しているのだと、思い知らされたのだ。

 クロノの話をずっと聞いていたなのはは、深く息を吸い、吐きだした。穏やかな表情であったが、どこか寂しげな視線。まっすぐ、クロノの目を見つめて、なのはは口を開いた。

「わたしと、おんなじだ」


 そう呟いて、なのはもクロノのように、ポツリポツリと呟いた。


 クロノが知っているように、なのははフェイトが好きだ。友情ではなく、恋愛として。反対に、フェイトもなのはを好きだった。

「わたし、一度墜ちて……その時、はじめてフェイトちゃんが好きだって気付いたの……」

 勿論、友情としてはもっと前から。ジュエルシード事件が解決する前から、なのははフェイトのことが好きだった。

「目を覚ました時に、フェイトちゃん、泣いてた………でね、そんなフェイトちゃんを見て、わたし気付いちゃったんだ」

 フェイトが好きだと。彼女を泣かせたくない、悲しませたくない―――自分のために泣いてくれるフェイトを、誰にも渡したくないと。
 なのははそう言った。フェイトもそれを受け入れて、好きだと言ってくれた。
 悲しませたくないと言いながら、心配するフェイトの反対を押し切って、なのはは再び空へと戻っていった。
それでも、フェイトは自分を好きでいてくれた。それがすごく、嬉しかった。


「フェイトちゃん、よく言ってるんだ……エイミィはずっとクロノのこと好きだよ、って」
「ああ」
「でも、クロノ君とエイミィさんって、友だちだったでしょう?」

 それがなのはの不安だった。フェイトは自分を好きだと言ってくれてる。だが、それは本当に自分と同じ『好き』なのだろうか。
 彼女には友情と恋愛の『好き』の区別があるのだろうかと、疑ってしまう自分がいるのだ。それは、薄々クロノも感じていた。
だからこそ、彼はなのはとフェイトの関係を複雑に思っていた。
特殊な環境で育ったフェイト。彼女を生み出したプレシアは、フェイトにとって姉にあたるアリシアが幼いころに離婚してたと、調査資料に書いてあった。
子どもにとって、一番身近にある『恋愛』の見本は両親である。
彼女は父親を知らない。それどころか、プレシアを母と呼んでいいのか、アリシアを姉と呼んでいいのかすら、判別が難しい。
 そんな彼女が、果たして友情と恋愛の区別がつくのだろうか。
ついていないから、『エイミィはずっとクロノのことが好き』だと言っているのではないかと、なのはとクロノは心のどこかで思っていた。

「正直ね……わたしも、フェイトちゃんを友だちとして好きなのか、恋愛として好きなのかわからなくなるときがあるんだ……」

 フェイトのことを好きだと思う。けれど、大好きな友だちだと感じる瞬間というのが、日常には存在する。
 なのははそれが怖かった。自分だって、友情と恋愛の区別がついていないのに、やはり区別がついていないフェイトにこれは『恋愛』であると嘘を吐いているのではないかという不安。

 それをフェイトに気付かれてしまったら。
もし、フェイトが自分に対している感情が友情だと気付いてしまったら。なのはが自分を騙していると気付いてしまったら。


「嫌われたくないんだぁ……」

 友情であろうと、恋愛であろうと、なのはがフェイトを好きでいることには変わらない。
でも、フェイトはどうだろう。それが恋愛であると嘘を吐いたなのはを好いたままでいてくれるのか。



 それが、なのはの抱いている不安だった。


 クロノと同じく、今ある幸せを手放したくない。
相手が大切だから、嫌われたくないと思っている。
 もし、不安が現実になったらどうしようという不安が、なのはの中にも渦巻いていた。
今回の件で、それは顕著になった。
フェイトが、クロノたちのことを言及すればするほど、なのはの心は締め付けられていた。それでも、彼女は心が折れたりしないのだ。

 そんな彼女を見て、クロノは静かに、そして力強く断言した。

「フェイトが君を嫌うわけないだろう?」
「ふふっ、クロノ君がそれを言う?」

 慰めに来たはずのなのはを、クロノが慰めようとしているのがおかしくて、彼女はわずかに笑った。
 でも、どことなく安心している自分がいると、なのはは感じた。

「妹のことだから、わかるさ。僕とフェイトは兄妹だからな」
「あはは、すごい説得力」
「だろう?」




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