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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第103話☆

824はつこいりみてっど。後編 (7):2010/04/13(火) 01:13:47 ID:vMyvfhys
 人通りの少ない、アースラのある通路で、クロノとなのはは立ち話をしていた。
 しょんぼりと肩を落とす様が情けない男が、この艦の実質ナンバーワンだ。
彼のこんな姿を見て良いクルーは、エイミィかフェイトくらいなものである。
 人目を避けて、人気のない場所を選んだが、一歩間違えば密会と誤解されてしまいそうだが、そんな意図はなかった。その実態は五歳も年下の少女に恋愛相談をする執務官という、何とも言えないものだ。

「クロノ君……何でエイミィさんがそんなことをしたか知ってる?」
「………僕が、関係を否定していると取れる言葉を言ったからだろう……」
「あ、それはわかってるんだね」

 グサリ。

 なのはの情け容赦もない発言に、クロノの心は抉れる。
初恋も気付けない男なのにと言われているようで、心が痛い。
 なのははクロノの心の痛みなんて気にする様子もなく、話し続けた。

「うん、エイミィさん、すっごい怒ってたよ。クロノ君のバカー! って」

 それこそ、七歳も年下の少女に愚痴を言うくらいに。ついでに、フェイトにも愚痴ついでに、クロノの初恋を暴露していた。

「でも、怒ってるってことは、嫌いになったわけじゃないってことだから……」
「それが原因で、嫌いになったかもしれないだろう…?」

 最初は好きだからこそ怒っていたかもしれない。
だが、なのはに愚痴を言った後に、嫌いだと思われたかもしれない。
クロノの表情が暗くなると、なのはの顔は呆れ顔に変わっていく。

「じゃあ、どうして、わたしにクロノ君のところに行くように言ったの?」
「……は?」

 クロノはなのはの言葉に驚く。ほんの少しの間呆然とするが、またすぐに暗い表情へと戻っていく。そんな言葉を聞いたら、自分の都合の良いように解釈してしまう。
それが嫌だった。

「エイミィさん、言ってたよ? クロノ君、きっと落ち込んでるから、慰めてあげてって」
「それは……」
「本当にクロノ君のこと嫌いだったら、きっと心配なんてしない。だから、クロノ君はエイミィさんに嫌われてなんかないよ?」

 嫌われていない。今のクロノには、なのはの言葉が都合の良い幻聴に思えた。
なのはは本当のことを言っているだけだが、心が引きちぎれそうになるほど苦しんだクロノは、彼女の言葉をすぐには信じられなかった。

「大丈夫だよ、クロノ君」
「………不安なんだ…」
「不安?」

 にこりと微笑むなのはとは反対に、クロノは暗い表情のままに、ポツリポツリと、彼女の言葉を信じられない理由を呟いていった。

 恋人同士になっても、エイミィが自分を弟扱いすること。
初めてのキスの相手はエイミィではなく、別の女性で、それを彼女に見られていたこと。
クロノ自身、今回初めて知ったことだが、初めて恋をした相手が、物心つくかつかないかの幼いころに母にしたとか、エイミィにではなく、今目の前にいるなのはだったこと。
それに気付いたのは、エイミィの言葉であったということ。

彼女の中では、いつまでも自分は弟のような友人であったらという不安。
できれば、恋人と重ねていきたかった想い出が、彼女以外の女性相手であった自分に、彼女が呆れてしまうのではないかという不安。

 もしも、彼女が恋人関係を解消して、友人に戻りたいと言い出したら。
 もしも、別の女性との関係から、嫌われてしまったら。


 ずっと心に抱えていた不安。それを今回の件で、激しく揺さぶられた。
エイミィを好きだと思わなければ、こんな不安は抱かなかった。
苦しくても、友人であったころの思い出が大切であっても、今の関係を壊したくないと、心底思っていた。




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