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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第102話☆

860公務員の一日(午前):2010/03/05(金) 20:10:18 ID:a74D0S8A

「・・・」

嫌な予感がする、というレベルでは、もはやない。
現場の状況と広域サーチのデータから、すでにこの事態の原因は、ほぼひとつに絞られた。
私は、自分の中にある「確信」を「確定」にするために、地下街の奥、熱戦の発射地点と思しき周辺にサーチの範囲を絞る。

見つけた。
それはもう、あっさりと見つけてしまった。
動力反応、確認。動力波形、行動パターン共に、既存のデータと一致。
サーチによる多次元的な情報で構築された私の擬似視覚にも、片眼鏡を通して予想通りの形のものが浮かび上がった。

「うぇ、『はぐれガジェット』だ」

識別コード「ガジェットドローンⅢ型」。
1年前の「JS事件」においてバラ撒かれた、人間よりも大柄な、球形のボディーの自律型機械兵器。

こうした復興作業現場で、ガジェットドローンが、思い出したように動き出す事態は、実はそれほど珍しいものではない。
原因がよくわからずにフリーズしてしまったデバイスでも、強制終了させて再起動すればまた何事もなく動き出すことが多いように。
一度撃墜されて機能を停止し、ガレキの中に埋まっていたガジェットが、何かのはずみで自己修復機能や再起動のスイッチが入って動き出し、当初のプログラム通り無差別に人を襲うのだ。

復興作業には常にこのリスクが伴うため、わざわざ行政局のほうも専用の予算を組んで、会社側に一定の数の武装警備員を配置するよう義務付けているんだけど。
現場に到着してから爆発が起こって今まで、それらしき姿はまったく見えない。
つまり、タレコミどおりにブラックだったここの会社は、行政局からの警備員雇用の補助金まで懐に入れていたわけだ。
ガジェットドローンに対応できる対AMF戦闘訓練をした民間魔導師は、復興作業における需要の増大と合わせて、今や警備会社の花形。
当然、雇用費も保険もバカみたいに高いしね。省けば相当、費用が浮くはずだ。

さて。
すべての状況がクリアになったところで、自問する。
この場における、私のとるべき行動だ。

こういう場合、普通なら現場にいる民間会社の警備員が仕切り、作業員の安全確保を最優先に、可能ならばガジェットを撃退。
無理なら、管理局の武装警察隊に通報して後を任せて、作業員ともども避難する。

私もさっき、ガジェットであることが確定した時点でデータを添えて管理局の武装警察隊に通報したけど、駐留所からの距離的に考えても、到着までには時間がかかりすぎる。
戦闘には長けていたとしても武装警察隊のほとんどは陸士で、スクランブルできるわけじゃないし。
まあ、この場合は管理局に非はないけどね。
管理局の対応の遅さとかの問題ではなく、やっぱり、即座に対応できる武装警備員が現場に居なかったのが致命的なんだ。

地下街から地上に逃げた作業員の安否もサーチャーからの情報で追跡できてるけど、バラバラに逃げたり隠れたりしているのを、一人でいちいち保護するのも無理。
特に、この現場で働いている作業員のほとんどは、地元の住民のはずだ。
1年前のガジェットドローンの襲撃で、PTSDを発症するようになった例は多いと聞いている。
まかりまちがってガジェットに遭遇すれば、それだけで恐慌状態になっている可能性も高い。
そんな精神状態の彼らを、私一人で安全な場所に誘導できる状況ではない。
無責任で冷たい判断になるけど、ガジェットから逃げていて距離を置いてくれているだけ、まだ安全度は高い。

となれば。
一番の問題は、地下街から逃げ遅れた作業員だ。
データで確認できているだけで数人、ガジェットよりも「奥」で身動きが取れていない人間がいる。
たぶん、ガジェットが再起動したときに奥に居て、ガジェットは入り口近くの作業員のほうを先に認識して追いかけたため、無事だった。
でも、入り口のほうの作業員が地上に逃げ切ったあと、ガジェットは地上に出ず入り口付近をうろうろし始めたので、出るに出られない状況なんだろう。
地下街も、サーチで確認する限りは奥のほうはガレキで埋まっていて、別の出口から出るわけにもいかないっぽいしね。

放置すれば、いずれガジェットに見付かるのは確実。見付かれば逃げ場もなく熱線に焼かれるのも確実。
彼らがガジェットに見付かる前に武装警察隊が到着する可能性は、限りなく低い、と。

「・・・やらないとダメかー」
私は痛む胃を押さえ、覚悟を決めて、地下街の入り口に降り立った。




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