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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第100話
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「こんな遠くまで?」
「うわああぁぁぁぁぁあっ!!」
「三士!?」
魔法による肉体強化が消えたことで、力負けしたエリオの体が車体に叩きつけられる。
耳にこびり付くような苦悶の声。
騎士甲冑のおかげで致命傷は防げたようだが、かなりのダメージを負っているのは明らかだ。
助けなければと飛び出すが、思うように体が動いてくれない。
みんなを傷つけてしまうかもしれないという恐怖が彼女を縛っているのだ。
そして、戦場で震え上がる戦士は敵にとって格好の獲物であった。
「下がって!」
エリオが突き出した槍が、キャロ目がけて振り下ろされたアームをギリギリのところで防ぐ。
「大丈夫、任せて」
自分を押し潰そうとするアームを何とか受け流し、エリオは自らを囮にするかのように跳躍する。
すかさず、ガジェットは剃刀のような熱線で焼き殺そうとするが、エリオは紙一重でそれを回避して背後に着地、
そのまま攻撃せんとストラーダを振りかぶる。だが、ガジェットはその見た目よりも遙かに素早い動きで反転すると、
しなりの利いたアームでエリオを壁に叩きつける。
一瞬、エリオの纏っていた騎士甲冑が明滅する。
ダメージが大きくて呼吸ができず、魔力の生成が間に合っていないのだ。
『エリオ!?』
ケリュケイオンから、フェイトの悲鳴が聞こえる。
通信のために繋ぎっぱなしにしていたオープン回線で呼びかけているようだ。
「フェイトさん、三士が、モンディアルさんが!」
『待っていて、すぐに………くっ、このぉっ!!』
空の彼方で爆音が轟く。
金色の閃光の異名を持つ彼女でも、リミッターをかけられた状態ではガジェットⅡ型の群れを振り切るのは難しいらしい。
かと言って、なのはの砲撃ではレリックを巻き込む恐れがあるし、リインやスバル達も自分のことで手一杯のはず。
今、動けるのは自分だけだ。
自分の竜召喚だけが、エリオを救うことができる。
なのに、勇気が持てない。
ここへ飛び降りる時にあった力強さが、自分の中のどこを探しても見つからない。
手を繋いでいないから。
一人ぼっちだから、勇気が持てない。
「ううわぁぁぁぁぁぁぁっ!!! くはっ…………」
「っ!?」
アームに巻き上げられたエリオの体が動かなくなる。
抗う力を失った少年騎士は、子どもに飽きられた玩具のように投げ飛ばされ、崖下へと堕ちていく。
騎士甲冑があるとはいえ、この高さでは無事では済まない。
落下のダメージを防ぐことはできても、地面に叩きつけられた衝撃までは消せないからだ。
このままでは、間違いなくエリオは死ぬ。
小さな体がトマトみたいに潰れて、あの優しい笑みを二度と浮かべなくなる。
(モンディアル………三士…………)
キャロの脳裏に、ここ1ヶ月の間のエリオとの思い出が蘇る。
ターミナルでの出会い。
ベンチで交わした会話。
初めての模擬戦。
スピードだけが取り柄だと言った時の笑顔。
転んだ自分を労わってくれた優しさ。
嫌いなニンジンを、無言で食べてくれた不器用さ。
出動の前に分け与えてくれた勇気と、共に空を飛んだ時の安心感。
『キャロは、どこへ行って、何をしたい?』
フェイトに引き取られた時の問いかけが、脳裏を掠める。
いつだっていてはいけない場所がいて、してはいけないことがあった自分。
災厄を呼ぶだけだった竜召喚師としての自分。
けれど、そんな自分でも守れるものがあるのなら。
呪われた力でも、救える命があるのなら。
我が身の不幸を呪わず、胸を張って生きていける場所があるのなら。
いつかの問いかけに答えても良いのなら、自分はここにいたい。
機動六課で、大切な家族や友達と一緒に笑っていたい。
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