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魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話

1名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 16:59:12 ID:ypqjhtEM
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所の2スレ目です。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第98話
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1238819144/

2名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 17:04:29 ID:ypqjhtEM
【本スレ@エロパロ板】
 ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第97話☆
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1237292660/l50

【エロパロ板全体の避難所】
 エロパロ避難所
 http://jbbs.livedoor.jp/movie/2964/

【クロスものはこちらに】
 リリカルなのはクロスSS倉庫
 ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
 (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
 ・Nanoha Wiki
  ttp://nanoha.julynet.jp/
  (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
 ・R&R
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/date_SSX.html
  (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/   (wiki)

3名無しさん@魔法少女:2009/06/02(火) 20:07:15 ID:vh/wckII
したらばでの投下関連メモ

【エロパロ板】(参考)
容量が500kbを超えるか、書き込みが1000レスを超えると1スレッド終了

【避難所】
容量は関係なし。レス数1000を超えると1スレッド終了(現時点での設定)
管理人によるピンポイント規制可
・投稿間隔 30秒
・本文の最大行数 200行
・一回の投稿本文の最大文字数 4096文字

4名無しさん@魔法少女:2009/06/02(火) 20:08:20 ID:vh/wckII
■Jane Doe Styleからしたらばを見る方法。
板一覧のカテゴリの右クリックメニューから「新規カテゴリを追加」して、
新しくできたカテゴリに「ここに板を追加」でおk。

■ギコナビでのしたらばの見方
「表示」→「キャビネット」→「したらばJBBS」→「同人・コミケ・二次創作」
※入れ替わりが激しいので全ての板が登録されているわけじゃない。つまり、そのままではこの板は見れない。
◎この板の追加の仕方
「ヘルプ」→「ギコナビフォルダを開く」→「config」→「Board」→「したらばJBBS.txt」の順に開く。
カテゴリ[同人・コミケ・二次創作]の一番下に
好きな名前(「なのはエロパロ避難所」とか)=http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12448/  
を入力して上書き保存。一端ギコを閉じて、再起動。
このスレが「したらばJBBS」内に出現するはず。あとはお気に入りに登録するなり何なり。

5名無しさん@魔法少女:2009/06/02(火) 20:10:59 ID:vh/wckII
     Λ_Λ
フーフー (´∀` ) >>1乙!ラーメンでもどぞ
 __川 ̄○ヽ
 \  /     )
 ̄.└┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 


少ししたら投下するよ

6鬼火 ◆RAM/mCfEUE:2009/06/02(火) 20:16:40 ID:vh/wckII
・ギャグ
・短いです

7ピクニック:2009/06/02(火) 20:17:48 ID:vh/wckII
「あら、ヴィヴィオちゃん。お久しぶり」
「お久しぶり、カトリーナちゃん。アルトセイム旅行楽しかった?」
「ええ! 自然がいっぱいで、珍しいお花も見れたわ」
「楽しそうだね」
「ヴィヴィオちゃんは、お休み中どうしていたの?」
「ママとピクニックに行ったよ」
「どこまで行ったの?」
「ママの出身世界なんだけど、『アマゾン』ってところ」
「アマゾン? どんなところなのかしら?」
「えっとね、緑がいっぱいだったよ。生き物もいっぱい」
「まあ。動物もたくさんいたのね?」
「うん! おっきな猫さんとか、おっきな蛇さんとか、たくさんいたよ!」
「蛇……? ……ともかく、そちらも楽しそうでよかったわね」
「川でママとお魚もとったんだよ! おいしかった」
「まぁ、お魚? すごいわ、ヴィヴィオさん。何ていうお魚?」
「えっとね、『ピラニア』っていうの」
「ふぅん、何だかおいしそうな名前のお魚ね」
「でも、お水がなくて大変だったの」
「どうして? 川があったんでしょう?」
「川のお水は濁っててそのまま飲むと危険だから小石や炭火の
 残りでロカして、シャフツしてから飲まないと駄目なんだって」
「……? よくわからないけど、大変だったのね」
「でも、おもしろかったよ。また行きたいなぁ」

8ピクニック:2009/06/02(火) 20:18:53 ID:vh/wckII



「なのはぁぁぁっあぁぁぁあああああ!」

ある日、自宅で夕食の準備をしていると親友が血相を変えて飛び込んできた。
ずいぶんと取り乱した様子だ。何か良くないことでもあったのだろうか。

「どっ、どうしたの?」
「なのは! ヴィヴィヴィヴィヴィヴィオに何してるのッ!!」

突然、親友に怒鳴られてしまった。私、何かしただろうか。
毎朝、朝食とお弁当はつくってるし、仕事から帰れば、おしゃべりもする。
休日には、親子水入らずで一緒に出かけたりしているし、何も問題はないはずだ。
たぶん、何か勘違いでもしているんだろう。
彼女は結構、そそっかしい。

「ピクニックなんて言って、アマゾンまで連れて行って!」
「うん。この前の連休は、アマゾンまで行ったけど?」
「なのはの教育方針にはもう口を出さないでおこうって決めてたんだ!だけど――」
「うっ、うん?」
「いくら何でもやりすぎだよ!」
「えっ? やりすぎって?」
「行き先にわざわざ過酷な環境を選んでみたり」
「うん」
「食べ物もっていかずに、現地でワナの作り方を教えてみたり!」
「うん」
「テントや寝袋ももっていかずに、現地の樹や葉っぱで家をつくってみたり!」
「うん」
「ピクニックじゃなくてサバイバル訓練じゃない!」

9ピクニック:2009/06/02(火) 20:20:14 ID:vh/wckII
鼻息も荒く私に食って掛かる親友の姿に、私は呆気にとられてしまった。
どうやら、やはり彼女は何か勘違いをしているみたいだ。
でも、露骨に呆れた顔をしたら、きっと彼女も傷つくだろう。
私は彼女のことを思って、なるべく遠慮がちに言った。

「フェイトちゃん。えっと……なに言ってるのか、よくわかんないよ……」

だって、『ピクニック』と言ったら


「恭也、美由紀、なのは!今度の連休は父さんとピクニックに行くぞ!」
「父さん、今度はどこ行くんだ?」
「アンデスだ。こっちは夏だが、あっちは冬だ。防寒着を忘れないように!」
「ええ〜! 私、寒いの苦手なんだけど……っていうか、なのはも連れて行くの?」
「にゃ? ピクニック?」
「ハハハ、楽しいぞぉ〜景色もすごく綺麗でなぁ〜」
「行く! なのはもピクニック行きたい!」

「うにゃああああ! 雪、寒い! 歩けないの!」
「ハハハ、まだ海抜4000mだぞ」
「美由紀、干し肉はあとどれぐらい残ってる?」
「あと5日分くらいは…。それより恭ちゃん、そろそろ寝床確保しないと」
「じゃあ、スノー・シェルターつくるか」


そういうものでしょう?

10名無しさん@魔法少女:2009/06/02(火) 20:20:54 ID:vh/wckII
ノシ

11名無しさん@魔法少女:2009/06/02(火) 21:43:32 ID:jBcTJdT6
>>1

>>7
なのはさん、それピクニックやない、サバイバルやww

12名無しさん@魔法少女:2009/06/02(火) 23:32:15 ID:iSbS0qMk
>>11
いやピクニックだろ。
高町家的サバイバルは、月面とか金星と火星で行われます。
南極、北極、エベレスト、サハラ砂漠などへ行くのをピクニックといいます。

13ふと思った:2009/06/03(水) 01:00:13 ID:ha/NZ6hQ
フェイト「だってピクニックって言ったら……」

…………………
フェイト「キャロ、エリオ、山にピクニック行こうか」
エリオ「山……」
キャロ「山……」
フェイト「どうしたの?」
キャロ「……捨てられるんだ……お山に捨てられるんだ」
エリオ「……はい。今までお世話になりましたフェイトさん。こんなクローンの僕のために……」


…………………
フェイト「……え、えーと……」

14名無しさん@魔法少女:2009/06/03(水) 05:22:02 ID:8QZJwQ/M
なのはの考えるピクニック=環境的にヤバイ場所に行くor到着した現地にて週単位の訓練を行う
フェイトの考えるピクニック=ああ、母さんとやった思い出(アリシアの記憶だが)
はやての考えるピクニック=極一般的な家庭でやるようなピクニック(ただし連れてく家族が家族だけにトラブルの可能性はあり)
アリサ・すずかの考えるピクニック=海外の高原で…それはもうピクニックじゃねえよ!!(かかっている費用的意味で)
クロノの考えるピクニック=サバイバル実習込みの軍隊式でやりそーな【ピクニック】
ユーノの考えるピクニック=インディ・ジョーンズのシリーズ参照

15名無しさん@魔法少女:2009/06/03(水) 09:13:59 ID:8lC47CJ2
>>14
それでいくと、なのクロは相性が良いなw
>アリサ・すずかの考えるピクニック
何か吹いたwその発想はなかった

16名無しさん@魔法少女:2009/06/03(水) 11:38:33 ID:yI2kdMms
>>14
以外にも一般的なのはフェイトとはやてだけなのな
あとユーノ、それピクニックちゃう、ハリウッドや。
気になるのはシリーズでよく出てくる一作品限りの助手ポジなのか、
世界中で愛人作ってしまう偽名の教授ポジなのかだな。

17名無しさん@魔法少女:2009/06/03(水) 20:33:36 ID:l/1kp4c2
>>1スレタイに☆がないと少し寂しいな。☆可愛いよ☆

18ザ・シガー:2009/06/03(水) 21:23:11 ID:.8DRZkkg
>>1
>>鬼火氏投下乙
これは良い単発ギャグですな!


さーて、避難所生活3スレ目、住人・職人へのカンフルにラクガキなど晒してみるぜ。


まず、シロクジラ氏の「司書長は女の子」へー!
可愛い可愛い、女の子ユーノちゃんッッ!!
http://toppg.to/up/img/yu-no-onnanoko.htm


>>26-111氏へー!
私がパロオリキャラ史上最も愛する可愛い可愛いサンタとノーヴェ隊長ッッ!!
http://toppg.to/up/img/9-9.htm


>>そして尊敬するサイヒ氏へー!
着衣プレイとオッパイに定評のある我らが騎士カリムーッッ!!
http://toppg.to/up/img/oppai-oppai.htm

※これは提督の股間のデュランダルではなく、黒乃印の麩菓子かなにかです……たぶん。

19名無しさん@魔法少女:2009/06/03(水) 22:04:22 ID:zY1jOwh6
>> 18

グッドジョブ!
絵もかけたんですね、ザ・シガー氏!

20サイヒ:2009/06/03(水) 22:09:39 ID:jIa7uCEA
>>18
カリムエロイな。エロイなぁ。実にエロイなあ!!
書いてくれてありがとう&GJ!

不倫カリムは半年ぐらい書いてないんで、今月中に一本ぐらいなんか書けたらいいな。

2126-111:2009/06/03(水) 23:03:40 ID:rtlV6gFQ
>>シガー氏
thx、保存させていただきました。しかし、こうして対比させてみると・・・やっぱデカいですね丸いの
返礼ができれば良いのですが、なかなかそれも敵わず
貴兄に負けないくらいの話を描きたいところですね。勿論、陵辱的な意味で

すっかり磨り減った身ではありますが、今後とも切磋琢磨と行きたいところでございます
感謝感謝。それでは

22Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2009/06/03(水) 23:38:25 ID:4x8ZQ7bM
午前0時から投下したいのですが、大丈夫でしょうか?

23名無しさん@魔法少女:2009/06/03(水) 23:43:28 ID:.8DRZkkg
誰にも、投下は、止められない!
迷う暇があるなら投下すべきだぜ。

24名無しさん@魔法少女:2009/06/03(水) 23:45:56 ID:0BbBSqqY
ザ・シガー氏が某所のあの人だと分かってしまったorz

25ザ・シガー:2009/06/03(水) 23:50:54 ID:.8DRZkkg
>>24
何の話だね。
絵柄が似てる程度、どこでもある話さ。

というか、もし真実だとしてもそういう事は言うなや。

26Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2009/06/03(水) 23:53:48 ID:4x8ZQ7bM
SSの内容が内容なので、午前0時に投下したいのですよ。
さて、どうやら先陣は切れたようですが、今宵はどうなりますかねえ。

>B・A氏
ヒャッハー、幼女最高!!
……だが致すなら小学生スタイルのままで(教導官に粛清されました

>暗愚丸氏
まさかのすずか攻めとは。百合凌辱ほどの燃料なぞそうはあるものか!
これはもう1章から読み返すより他にないッ!!
当方もここまで爛れた代物が書けたら……

27Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2009/06/04(木) 00:00:32 ID:pCY4kleQ
さて、0時になった訳だが……
やつを追う前に言っておくッ!
おれは今やつのSLBをほんのちょっぴりだが体験した
い、いや……体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
「おれははやユノを書いていたと思ったら
いつの間にかはやすずを書いていた」

な、何を言ってるのかわからねーと思うが、
おれも何が起きたのか分からなかった……
頭がどうにかなりそうだった……
SSだとか誕生日記念だとか、
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

・はやてメイン、但しシャマルスキー歓迎
・お子様でも安心
・A's終了から半年後
・ユノなの短編集とは微妙に矛盾(ギャグの範囲内)

ではでは、始まります。はやてちゃん、誕生日おめでとう!

28熱い雫 1/7:2009/06/04(木) 00:02:16 ID:pCY4kleQ
「ただいまやー」
その日、はやてが学校から帰ってくると、家の中は奇妙に暗くて、不思議に静かだった。
「なんや、誰もおらんのかいな?」
授業が終った後、立てるようになった足で図書館に通いつめる。
そして閉館と同時に出て、各々の仕事から帰って来た騎士たちと食事をするのが、このところの日課だ。
確か今日の食事当番は、シグナム。

自室に戻り、鞄を机の脇に掛ける。ベッドに寝転がると、その上には物言わぬ十字架が置かれていた。
「シュベルトクロイツ……今日はお前だけがそばにいてくれはるね」
多分、行き違いで皆は買い物に行ってしまったんだろう。
重みさえ感じられる階下の闇に、足を踏み入れる気は起きなかった。
「ん」
だが、フラッと部屋まで来たものだから、重要なことを忘れていた。
「手の一つでも洗っとこか」
最近、巷では悪い風邪が流行っているようだ。クラスでも二、三人が休んでいる。しかもとっかえひっかえに。
一階の宵闇よりも重い腰を上げて、はやては階段を降りた。

洗面所から出てくると、ダイニングに妙な気配。
ぼうっと、ゆらゆら揺れる霊魂のような――
「だ、誰!?」
返事はない。ただ、部屋内の雰囲気が変わったようだった。人の気配がする。
ごくりと唾を飲み込むと、意を決してドアを開けた。すると……

「はやてちゃん、おめでとう!」

クラッカーが盛大に鳴った。
割れんばかりの拍手と共に、明かりがパッとつく。
そこには、すずかやヴォルケンリッター、なのはたちの姿があった。
「主はやて、無礼をお許し下さい。誕生日パーティーというものを企画したのですが、
本人には秘密にしていた方が面白いと」
シグナムが進み出るが、はやてはぽかんとしたままだった。
「どうしたのですか?」
「……えっと、今日、私の誕生日やったっけ」
場がずっこけた。
「はやて、もしかしてボケちゃった?」
フェイトが心配そうに聞く。
「いや、その発言自体が大ボケや」
はやては全力で否定し、そして話し始めた。
「私、ずっと一人やったから。誕生日にお祝いやなんて、やったこともあらへん。
それに、去年はみんなが来たばっかりでバタバタしとったからな。
せやから、誕生日ってのは、私にとってはどうでもいいモノだったんや」

あれから一年も経つのかと、しみじみとした深い感慨が覆う。
はやてとベルカの騎士たちが出会ってから、そして闇の書――夜天の書と別れを告げてから、
もうそんなに年月が過ぎていたのか。

29熱い雫 2/7:2009/06/04(木) 00:03:13 ID:pCY4kleQ
「でも、すっごく嬉しいわ。みんな、ありがとう」
はやてが頭を下げると、また拍手が沸き起こった。
「早く食べないと、お料理が冷めちゃうわよー」
シャマルが食器を取り出しながら、コップにジュースを注いでいる。
先程から漂ってくる得も言えぬ匂いが、食欲を刺激して仕方がない。
「見ての通り、シャマルはジュースを注いでるだけだ。料理はほとんど全部なのはが作ったから安心してくれ」
ヴィータがそっと耳打ちする。はやては苦笑しつつも、どこかで安心している自分がいた。
「それにしても――」
なのはの手料理を、しかもこんなに手の込んだフルコースディナーを食べるなんて、退院祝いの時以来だ。
「なのはちゃん、味噌汁一杯作らせても実力がぎょうさん納得できるからなあ。楽しみで仕方ないわ」
既に唾が口の中で踊っている。もう待ちきれない。
ローストチキンに野菜たっぷりのスープ、真ん中にはどうやって焼き上げたのか見当もつかないほど、
大きなイチゴのケーキ。
上に乗っているチョコレートのプレートには、
『たんじょうびおめでとう これからもよろしくね』と書かれていた。
「はやて、ロウソク立ててもいい?」
アリサが色とりどりの小さなロウソクを持ってきた。
「あ、はやてには熔けやすくて低温のロウソクの方がいいかしら?」
「私はヘンタイかっ! そんなもんいらへんわっ!!」
アリサのボケに思わず突っ込むと、フェイトがぼそりと言った。
「わ、私はお兄ちゃんが望むなら……ううん、なのはに言われても……」
あくまでブツブツと、まるで独り言のように聞こえたが、とても独り言ではなかった。
本人に聞こえなかったのは幸いといえよう。

ロウソクを10本、等間隔に立てる。
「なんや、もう私2桁になってしもうたんか」
改めて驚くと、周囲から笑いが起こった。
灯りを消し、ふーっと一息で全てのロウソクを消し去ると、再びの拍手。
その後はもう、飲めや歌えやの大騒ぎ。
すずかと一緒にジュース一気飲みのパフォーマンスをすると、負けじとアリサも盃を飲み干す。
──ノンアルコールでココまで騒げるのも、珍しい話だった。
料理もまさに絶品。なのはにコツを聞いたり、隠し味の秘儀まで教わった。
「ホントに美味しいわね、なのはの料理。誰かさんが羨ましいわ」
アリサがチラリと横目でユーノを見る。
「あはは。なのはちゃんのお婿さんになった人は、きっと幸せやね」
少年が顔を赤くして無言になるのを、はやてはニヤニヤしながら見ていた。

「さーて」
食事会も終り、宴もたけなわといった時になって、はやては冷蔵庫へ走っていった。
「今日は誕生日祝いや!」
ドスン、と置いた茶色い瓶のラベルには、「ヱビス」……?
「飲んで飲んで飲み明かすでー!」
フェイトが「ダメだよ」とか何とか言うので、思いっきりコップに注いで飲ませた。
すると、一口でダウン。
「ふみゅ〜」
ぱたりと倒れ込むフェイト。
慌てて駆け寄るなのはを尻目に、はやてはアリサたちに注いでいく。
「っていうか、コレ中身摩り替えた『泡の出る麦茶』なだけなんやけど」

30熱い雫 3/7:2009/06/04(木) 00:03:51 ID:pCY4kleQ
グラスに注ぐと、確かに炭酸水と麦茶を混ぜただけのものだった。
「まさか、本物なんて買える訳ないやん? 雰囲気作りや、雰囲気作り」
じゃあ何で瓶だけここにあるのよ、というアリサのツッコミには聞こえないフリをした。
「まさかの組み合わせだね。でも、美味しいと思うよ」
すずかがコクリと飲み込んで感想を述べる。
それが契機となったのか、なのはやユーノも次々にコップへ注いでいく。
「フェイトちゃんは離脱か……」
まさか仮想アルコールで酔われるとは思わなかった。
介抱するクロノの目は真剣そのものだった。
「ごめんな、フェイトちゃん」
ちなみにこの後、復活したフェイトが一番大騒ぎしたのはお約束か。

すっかり飲み物も食べ物も尽きると、皆からはやてへとプレゼントが贈られた。
「主と共に過ごしたこの1年、かけがえのないものでした。
これは、私たち騎士から心からのお礼です」
受け取ったのは、以前から欲しかったスカートだった。
ちょっと値が張るから、そのうちそのうちと延ばしていたものだった。
「もしかして、最近帰りが遅かったのは……」
ハッとはやてが気付くと、シグナムは恭しく礼をした。
「いえ、これしきの仕事何でもありません。ひとえに、皆が主はやてを想うが故」
「シグナム……みんなも」
ヴィータは鼻頭を擦り、シャマルは終始ニコニコしている。
ザフィーラはといえば、顔を向けようともしない。照れている証拠だ。
「ありがとう、ありがとう。大切に着るな」

嬉しさに飛び上がろうというのに、まだまだプレゼントは続く。
「はやてさんはお料理が上手だ、って聞いたから。
これはハラオウン家からのプレゼントよ」
そう言われてリンディから受け取ったのは、ナイフのセット。
刺身に肉、リンゴからカボチャまで、これ一式でスッパリだ。
「ありがとうございます、リンディさん」
頭を下げると、リンディは首を横に振った。
「お礼ならフェイトに言ってちょうだい。あの娘が選んだものだから」
フェイトに目を向けると、照れたようにもじもじしている。
「どう、かな? 喜んでもらえると嬉しいな」
「何言うとるねん! 毎週だってパーティー開いたるっ!
ありがとな、フェイトちゃん」

ユーノとなのはからは、赤いワンピース。
「シグナムさんたちと被っちゃったね」
にゃはは、と笑うなのはに、はやては握手した。
「スカートはスカート、ワンピースはワンピースや。
私のためにわざわざ見繕ってくれるなんて、ほんまにありがとな」
早速着替えようと上着を脱ぎかけたところで、クロノの上ずった叫び。
「そ、そんなのは自分の部屋でやってくれ!」
はやては上着を下ろすと、「冗談に決まってるやん」とニヤついた笑いを浮かべた。
「それとも、クロノ君は私の裸見たくないんか? なんや女のプライドが傷ついてショックやわー」

31熱い雫 4/7:2009/06/04(木) 00:04:33 ID:pCY4kleQ
いじけてみせると、クロノはオロオロする。
この顔、見ていて飽きない。きっとフェイトの家庭は楽しさに満ちているのだろう。

アリサからは、CDを一枚。
聞くと、自身で弾いたバイオリンの曲が入っているという。
「皆とおんなじプレゼントじゃつまらないかな、って思ったのよ。
あたしが一生懸命弾いたんだから、ありがたく聞きなさい」
つっけんどんに渡してくるのが、またアリサらしい。
早速ミニコンポに入れて再生すると、誰もが知っているクラシック。
ソロだけに実力の問われる局面だが、見事に演奏しきってみせた。
「おおぉーっ」
会場から思わず拍手が立ち上がる。
何でもまるまる一時間入っているらしいので、このままBGMにする。
──と、ここではやては一人ばかり姿が見えないのに気づいた。
「ん、そういえばすずかちゃんは?」
「ああ、すずかならさっきベランダに出て行ったわよ?」
ベランダ? よく分からない。
はやては目一杯のプレゼントを一度テーブルの上に置くと、居間を後にした。
「すずかちゃん?」
カラカラとガラス戸を開けても、そこには誰もいなかった。
入れ違いになってしまったのか、と訝っていると、突然視界が塞がれた。
家から漏れていた明かりも、空の上で明るく輝く満月も、どこかへいってしまった。
「だーれだ?」
その声を聞いて、はやては合点がいった。
突然、世界が灯りを消してしまった理由が。
「すずかちゃんやね」
「正解」
すずかの声と共に、また目に光が戻ってきた。
ヒョイ、と後ろから姿を現したすずかは、「ここ、座ってもいいかな」と傍の椅子を指差した。
首肯すると、はやてはもう1つの椅子へと腰を降ろした。
「さて、すずかちゃんがこんなことするなんて珍しいやね。何かドッキリでもあるん?」
カメラを探してキョロキョロする仕草をして見せると、すずかはクスクスと笑った。
「大丈夫、騙したりする訳じゃないから。ちょっと、お話したくて」
『お話』──か。

そういえば、このところすずかと差し向かいで話すことなんて少なくなっていた。
なのはを中心とした輪の中にすずかがいる、そんな感じ。
会話の場が、二人きりになる図書館から学校に変わったのも一因か。
「ええよ。ちょうどお祭り騒ぎも終ったし、皆からプレゼントももろたからな」
今頃、向こうではどんな話をしているのだろうか。
思いを巡らせながらすずかの言葉を待っていると、すずかはぽつりぽつりと話し始めた。
「はやてちゃん……ううん、なのはちゃんも、フェイトちゃんも、魔法使いなんだね」
「せやで。魔法少女なんて、なってみるとこれがまあ現実を目の当たりにするというか、何というか」

32熱い雫 5/7:2009/06/04(木) 00:05:26 ID:pCY4kleQ
苦笑すると、すずかは「やっぱり、魔法が使えるとそれなりの悩みもあるんだ」と同意してくれた。
「でも、びっくりしたなあ。私の周り、なのはちゃんもはやてちゃんも魔法が使えるんだもん。
フェイトちゃんも、今考えてみれば納得かも」

すずかは一呼吸置いて、先を続けた。
「ちょっと、寂しかったかな。図書館友達って、はやてちゃんだけだったから」
今でも、たまにすずかと図書館で出会うことはある。
ただ、それは本を介してというよりは学友としての付き合いだった。
「だから、私からのプレゼントは、私とはやてちゃんが出会った、そのお祝い」
そう言って、すずかは薄くて広い包み紙を差し出した。
ちょうど、ノートと同じくらいの大きさ。
「開けてみてもええ?」と聞くと、すずかはニッコリと頷いた。
はらり、と丁寧に包装を取っていくと、そこには一冊の冊子があった。
「絵本?」
手作りなのだろう、見慣れたすずかのイラストが表紙を飾っている。
タヌキと月、それから星が笑っている。
「今、読んでもええ?」
すずかが首肯するので、はやては月明かりの下で絵本を読み始めた。

──あるところに、たぬきさんがいました。
とっても陽気で、月夜の晩にはいつも踊っていました──

そんな書き出しで始まる物語、『まんまるたぬき』は、山の寺に住む、たぬ吉が主人公。
仲間と一緒に、月の出ている夜は踊って歌うのが一番の楽しみだった。
ところがある日、満月の夜に踊っていると、せっかく出ていた月を雲が隠してしまった。
しかも、雨まで降り出してしまってずぶ濡れになってしまう。
山のてっぺんまで上っていって、雨雲にお願いすると、「星を取ってきたら出て行こう」と言われる。
仲間のために、とタヌキは山の中をさんざ探し回り、一かけらのホタル石を見つけると、雨雲へ差し出した。
「まさか本当に見つけてくるとは、あっぱれ」、と雨雲は素直に引き、空にまん丸のお月様が顔を出したのだった。

──そしてたぬきさんたちは、今宵も陽気に踊るのでした。
雨露に濡れた草から、雫がぽたりと落ちました。

「うん、うん」
はやては読み終ると、ほうと息を吐いた。
全体的に、満月の光に照らされた幻想的な風景が漂ってきている。
それでいて、タヌキたちが踊るのはお祭り騒ぎのように盛り上がり、メリハリが利いている。
最後の余韻もいい感じだ。
仲間のためにくじけずに頑張る、そんな意気込みが伝わってくる。
「すごく、すごく面白かったで、すずかちゃん」
お絵描きは少女の嗜みみたいなものだが、物語まで作れるとは思わなかった。
すずかは「ありがとう」というと、ハッと何かを思い出したように立ち上がった。
「私、ちょっとアリサちゃんたちのところに行ってくるね」
そう言うと、サッとベランダから家の中へと戻っていった。
一人残ったはやては、月を見上げた。
雨は降る気配もない。どこかでタヌキが踊っていても、そんなに不思議ではあるまい。
ふと、絵本に目を落とす。

33熱い雫 6/7:2009/06/04(木) 00:06:00 ID:pCY4kleQ
すると、最後のページにメモが挟まっているのに気づいた。
可愛い便箋だ。
「何やろ、これ」
ぴらりと開くと、それはすずかからの誕生日メッセージだった。

『はやてちゃん、誕生日おめでとう。これからも仲良くして下さい。
私は、はやてちゃんの明るさが大好きです。
足、治って本当に良かったね。魔法の力だって聞いたけど……呪いが解けたってことなの?
ステキな王子様みたいな人が、はやてちゃんにもいるのかな。
もしまだいないようだったら、私がお祈りします。
はやてちゃんがずっと元気でいてくれることと、王子様が見つかること。
それじゃ、また学校でね。図書館でもお話できるといいな。
          月村すずか』

ぽたり、と雫が便箋の上に落ちた。
理由は分からないし、いつになっても分からなかった。
ただ、気がついたら頬を流れる雫があった。
「うっ……うっ……」
本にまた便箋を挟み込んで、はやては瞳から溢れ出る熱い流れを拭った。
「なんでやろ、悲しくも何ともあらへんのに……」
でも、止まらない。いつまでもいつまでも。
いつまでそうしていたのかは全然記憶にない。
ただ、我に帰った時、隣にはシャマルがいた。
「シャマル」
「はやてちゃん、もう6月とはいえ風邪を引きますよ?」
そう言って、ストールを肩にかけてくれた。
ハンカチを差し出されたので受け取り、目頭を押さえる。
そこから先、シャマルは何も言わない。
ただ、一緒にいてくれている。
「はやてちゃんは、良いお友達を持ちましたね」
月を見上げながら、シャマルはカップを差し出した。
中に入っているのは、琥珀色の紅茶。
「ありがとな、シャマル」
一口飲むと、ほのかな甘みと渋みが口の中に広がった。
聞けば、なのはが皆に振舞ったものだという。
「まあ……私じゃ戦力になりませんから」
シャマルが苦笑する。その顔を見るに、一度失敗して諦めたらしい。
それでも、感謝の念には変わらない。
「なあ、シャマル」
「何ですか?」
「もう少し、このままでもええか」
もう少しだけ、一緒に。

今、はやてはすずかが退席した理由が何となく分かった気がした。
そして、シャマルが来てくれた理由も。

34熱い雫 7/7:2009/06/04(木) 00:06:38 ID:pCY4kleQ
「ありがとう、シャマル。凄く、あったかいよ」
心も、身体も。
はやては、シャマルと一緒にいつまでも月を見上げていた。

***

11年後。
「んー、やっぱり修羅場は遠くから見るに限るなあ」
はやては管理局で徹夜していた。が、別段仕事ではない。
ユーノが、部屋でなのはと大喧嘩しているところをリアルタイムで観察しているところだった。
「はやてちゃん……やっぱり隠し撮りはいけないです」
「そうは言うてもなあリイン、この半年以上一度も撤去しないし、っていうかリイン自身見てへん?」
「みっ、見てないです、なのはさんとユーノさんが……あ」
自爆した。
カメラの数は一つや二つではないから、なのはの話とは限らないのだ。
「まー、共犯ってことで。リインも聞く?」
イヤホンの片方を差し出すと、丁度二人の喧嘩が終ったところだった。

『なのは、ごめん。僕が悪かったよ』
『ううん、わたしこそ。ごめんね、あなた』
『なのは……』
『あなた……』

「きゃーっ!!」
叫んだのはリインだった。
仲直り早々、二人はベッドへ倒れ込んでいく。
それにしてもこの夫婦、ノリノリである。
「ダメです、まだ早いのです、えっちなのはいけないと思いますです!」
完全に混乱している。
「じゃあ何で目も背けなければイヤホンもはずさないん?」
はやての一言で、リインはむっつりと押し黙った。
「な、共犯やろ?」

のほほんと茶を啜りながら、二人の痴態を眺めるはやて。
後にリインが証言したところによると、間違いなくタヌキの耳が揺れていたという。

35Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2009/06/04(木) 00:09:31 ID:pCY4kleQ
読んでくれてありがとう。
次回はエロくします。

では。

36名無しさん@魔法少女:2009/06/04(木) 00:11:38 ID:M8eyt2dw
GJです!

>麦茶+炭酸
メッコールということですか

37名無しさん@魔法少女:2009/06/04(木) 05:54:27 ID:iIHYjQAU
んむ、全俺が泣いた

ところで、はやては闇の書事件の一年後には立ててたっけ?

38名無しさん@魔法少女:2009/06/04(木) 06:18:57 ID:6acLZzdY
A'sSS03の頃には復学できるぐらいには回復してた
まだ車椅子だが
入局当初も車椅子だったな

そこから一年も経ってれば歩けるようになってるんじゃね

39名無しさん@魔法少女:2009/06/04(木) 18:50:01 ID:h0/Pw5Gc
>>36
むしろリトルビール

40 ◆6BmcNJgox2:2009/06/04(木) 21:15:00 ID:tcyV2bq.
ではちょいと書かせていただきます。


・スカに掴まったリインがユニゾンデバイス量産プラントにされてしまう
・エロ
・フェレットさんと獣姦ユニゾン注意
・オリ出る
・設定捏造注意

41ちっちゃなママは好きですか? 1 ◆6BmcNJgox2:2009/06/04(木) 21:16:40 ID:tcyV2bq.
 事はリインフォースⅡがスカリエッティ一味に捕まってしまった事から端を発する。

「ハッハッハッハッ! ついに手に入れたぞ! 古代ベルカ式ユニゾンデバイスを!」
「あわわわわわ…リインを捕まえて一体何をするつもりですか〜?」

 古代ベルカ式ユニゾンデバイスを手に入れた事に喜びを隠せず、思わず興奮するスカリエッティに対し
小動物を入れたりする際に使う小さな檻の中に入れられたリインは目から涙を浮かばせ振るえていた。

「いや…ただ単純に古代ベルカ式ユニゾンデバイスと言うだけならアギトの奴が既にいたのだが…
あいつは正直私に対しては非協力的だからな。その点こっちは………。」

 直後、スカリエッティはリインの閉じ込められた檻を軽く叩き、リインは怖くなって思わず
泣き出してしまった。

「うああああん!! ごめんなさいですごめんなさいです! 言う事聞きますから
乱暴しないでくださいぃぃぃぃ!!」
「ほらこの通り。ちょっと脅せば簡単に言う事聞いてくれる! ここがアギトとは大違いだ。ハッハッハッ!」

 檻の中で身を縮ませ震えるリインを見つめ、スカリエッティは大きな声で笑っていた。

「リインを使って一体何をするつもりですか? 乱暴だけはやめて下さい…。」
「ハハハ…別に乱暴なんてしないさ。ただ古代ベルカ式ユニゾンデバイスに関しての研究に協力してほしいだけだよ。」

 涙を流し、震えながら訪ねるリインに対し、スカリエッティは紳士を装いつつそう答えるが…
その後直ぐに彼は一冊の本を手にしていた。

「我々が独自に入手した古代ベルカ時代の文献によると、ユニゾンデバイスは古代ベルカにおいても量産は
容易な物では無く、ごく一部の人間にのみ所有が可能な希少な存在だったらしいのだが…その一方で、
とあるユニゾンデバイスが多数のユニゾンデバイスを産み出したと言う記録も残っている事が分かった。」
「え? ユニゾンデバイスがユニゾンデバイスを産み出した…ですか?」
「少なくともこの文献には…そうあるな。」

 ユニゾンデバイスに対する既存の常識を打ち破る発見にリインも驚きを隠せないが…

「で、そのユニゾンデバイスはどうやって沢山のユニゾンデバイスを産み出したですか?」
「ふむ。そのユニゾンデバイスが自身から複数の個体を産み出した方法とは…。」
「その方法とは…?」
「その方法とは…フェレットとの獣姦ユニゾン!」
「えええええええええええええええ!?」

 驚愕の事実にリインは思わず絶叫。だがそれも仕方の無い事。フェレットとの獣姦ユニゾンとか
いきなり言われて平常心を維持出来る奴の方が逆に不自然だ。

42ちっちゃなママは好きですか? 2 ◆6BmcNJgox2:2009/06/04(木) 21:18:30 ID:tcyV2bq.
「ちょ…ちょっと待って下さいよ! フェレットさんと…ってどういう事ですか!?」
「ふむ。ミッドにおいては淫獣などと呼ばれ、賤しい動物として蔑まされているフェレットも
古代ベルカにおいてはそれはそれは神聖な動物として大切にされていた様でな…。」
「え…。フェレットさんって淫獣とか賤しい動物とか蔑まされてるですか? あんなに可愛いのに…。
リイン初めて知ったです…。」

 さらなる驚愕の事実にリインは驚きを隠せないが、スカリエッティは表情を変えずに文献を読み続けた。

「その古代ベルカ時代に生きていたユニゾンデバイスの一体が何とフェレットと恋に落ち、
そのまま獣姦ユニゾンをやらかして…しかも出来てしまったんだと。」
「え!? 本当に出来ちゃったですか!?」
「あくまでもこの文献の記述では…だがな。それに何故ユニゾンデバイスがフェレットとの間でのみ
子を成せたのかに関しての科学的な解明はなされておらず、謎のままだ。だが、私は科学者だ。
だからこそこの謎に挑みたい。と言う事で……その実験に協力してくれるな!?」
「ええええ!?」

 ここで初めてリインは自分が捕らえられた理由を悟った。スカリエッティは古代ベルカ時代の文献の
記述に則ってリインをフェレットと獣姦ユニゾンさせるつもりだ。

「いいいい嫌です! 嫌です! フェレットさんは可愛くて大好きですけど…獣姦ユニゾンなんて嫌です!
リインはユニゾンデバイスである前に一人の女の子なんですよ!」
「こちらとしても肝心のフェレットが手元に無いから実験のしようが無いからな。」
「ほっ…。」

 リインをフェレットと獣姦ユニゾンさせようと企むスカリエッティだが、肝心のフェレットが
手元に無いと知り、リインはほっと胸を撫で下ろしていたが…そこへクアットロが部屋の中に入って来た。

「ドクタ〜! フェレットを捕まえてきましたよ〜!」
「キューキュー!!」

 クアットロの手には一匹のフェレットが鷲掴みにされており、鳴き声を張り上げながらジタバタと
もがいていたのだが、少し様子が違った。薄黄土色の毛並みと二本のアホ毛の生えたフェレット。
これはユーノがフェレットに変身した状態の姿であり、リインにとって最も馴染み深いフェレットだった。

「キューキュー!」
「ふむ…。フェレットは殆ど鳴き声を発しないはずなのだが…変わったフェレットもいるものだな。
まあ良いだろう。さあフェレットだぞ。獣姦ユニゾン実験の開始だ。」

 スカリエッティはそのフェレットをリインの入れられた檻の中へ入れるが、フェレットはただ
くつろぐだけで何もしようとはしない。

「どうした? 早く獣姦ユニゾンをしろ。」
「無理ですよ。フェレットさんはそんな事をする様なフェレットさんじゃありません。」

 今同じ檻の中に入れられたフェレットの正体がユーノだと分かっているからこそリインはその様な事が言えたが…

43ちっちゃなママは好きですか? 3 ◆6BmcNJgox2:2009/06/04(木) 21:19:56 ID:tcyV2bq.
「そうか? ならば仕方が無い。これを見ろ! 動物園等で動物の繁殖を行う際には、その対象となる
動物が交尾を行っている映像を見せて興奮させると言う手を使うそうだが…そのフェレットは
何処まで耐えられるかな?」
「ええ!?」

 なんと言う恐ろしい作戦であろうか。リインとフェレットの直ぐ正面の空間に、フェレット同士の
交尾を映した映像が映し出されていたのである。雌のフェレットの背後から覆い被さり、一心不乱に
腰を動かす雄のフェレットの姿。これは間違い無くフェレットの交尾。

             そして…ついに恐れていた事態が発生するのである!

「キュ…キュゥゥゥゥ………キュゥゥゥゥゥゥ!!」
「キャァァァァ! フェレットさん何をするですかー!?」

 フェレットの交尾の映像を見せ付けられ興奮したフェレットがリインに襲い掛かり、押し倒してしまったのである!
いくら紳士ぶろうともやはり…雄なのであろうか…?

「嫌です嫌です! フェレットさんやめて下さい! こんな形で初めてなんて嫌ですー!!」
「キュー! キュー! キュー!!」

 リインは必死にフェレットから脱しようとするが逃れられず、フェレットはその鋭い爪で
リインの着ていた服を切り裂き、その美しき肢体を露として行く。そしてついに…………

          フェレットの一物が……リインの処女膜を…貫いた!!

「痛ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「キュゥゥゥゥゥ!!」
「おお! ついに獣姦ユニゾンしたぞ! これは美しい! 実に美しい光景だ!」

 フェレットに処女を奪われ泣き叫びよがるリインと、野性の本能に身を任せ腰を突き動かすフェレット。
そしてユニゾンデバイスとフェレットの獣姦ユニゾンに美を感じるスカリエッティの構図は…
シュールとしか言い様が無かった。

「キュー! キュー!」
「フェレットさんやめて下さい! お尻がくすぐったくて…嫌ぁ!」

 フェレットがリインを突けば突く程、モサモサの毛並みがリインのお尻の肌と擦れて
非常にくすぐったい。その為にリインは一物に膣肉を抉られる痛みと尻を擽られる感触を
同時に受けて…泣きたいのか笑いたいのか分からない…なんともいえない感触を感じていた。

「キュー! キュー! キュー!」
「アッ! アンッ! ンアァー!!」

 なおも一心不乱にリインを突き上げ続けるフェレット。もはやリインは喘ぎよがるしか無いが…
そこでとんでも無い事に気付いてしまった。

44ちっちゃなママは好きですか? 4 ◆6BmcNJgox2:2009/06/04(木) 21:21:32 ID:tcyV2bq.
「(あ…リイン…もしかして…感じてるんですか? フェレットさんに突かれて…感じてるんですか!?)」

 フェレットが突き上げれば、リインもそれに合わせて腰を動かす。いや…もはやリインの方から
腰を動かしているのかもしれない。そう思っても仕方が無い状況に陥っていたのだ。

「(そんなのダメです! 気をしっかり持つです! 幾ら大好きなフェレットさんが相手でもこれは…。)」

 リインは一生懸命自身に言い聞かせていたが…その時、フェレットの凶暴な一物がリインの膣肉を
抉り、子宮口に強く撃ち込まれた!

「アァ―――――――ッ!! やっぱりダメですー!! 気持ち良過ぎて考えられないですー!!」

 もうダメだった。フェレットが雄であった様に…リインもまたユニゾンデバイスと言えども…雌なのか…。
フェレットが突けば突く程…リインもまた激しく…また淫らに…荒れた。もはや冷静な考えなど出来ない。

「アッ! アッ! アー! アー! アァ―――――――!!」
「キューキューキュー!!」

 そこには二匹の獣の姿しか無かった。大声を張り上げて吼え、互いを食い合うがごとき肢体を貪る…
野獣の姿しか無かった。そしてついに…ついに……ついに…

「リインもうらめれすぅぅぅ! リインもういっしゃうれしゅぅぅぅ! リイン…フェレットさんの
赤ちゃん…産んじゃうれすぅぅぅぅぅぅ!!」

 まるで犬の様に口から舌をだらしなく垂らし、そう叫ぶリインの姿があった。
悲しく残念な事だが…リインはもう…堕ちてしまったのかもしれない。それを悟ったのだろう。
リインの膣肉をえぐるフェレットの一物もまた………

                    ど び ゅ っ !

「んぁ…………。」

 ついにフェレットの精液が…リインの膣内にぶちまけられ…その子宮内をも満たしていた……。
リインとフェレットはそれぞれ体力を使い果たしたのか、崩れ落ちる様に繋がったまま眠りに付いていたが…
その直後、拍手が沸いていた。

「うんうん。ユニゾンデバイスとフェレットと言う種族の壁を越えた愛の姿に…私は感動した!」
「本当…素敵でしたわ…。」

 スカリエッティとクアットロは…目から感動の涙を流し…リインとフェレットに対して拍手を送り続けていた。

45ちっちゃなママは好きですか? 5 ◆6BmcNJgox2:2009/06/04(木) 21:23:12 ID:tcyV2bq.
 それからしばらくの時が経過した頃、リインとフェレットは小さな檻の中では無くもっと広い部屋に移され、
そこで一緒に過ごしていたのだが、そんな時にスカリエッティが部屋の中に駆け込んできた。

「喜びたまえ! 検査の結果おめでただと分かったぞ!」
「え………何の冗談ですか…?」
「冗談じゃない! 本当に君はフェレットの子を妊娠したんだ! 古代ベルカ時代の文献の記述は
間違って無かったんだよ! ユニゾンデバイスとフェレットとの間に子供を成す事は可能だったんだ!!」
「ええ!? 本当に…本当に…ですか!?」

 真面目な話、ユニゾンデバイスがフェレットと獣姦ユニゾンして子供を作れる等信じてはいなかった。
普通に考えて信じる方が異常だし、その古代ベルカ時代の文献とやらも眉唾だと考えていたのである。

「そんなの嘘です! 嘘ですよ! リインは信じません! 信じませんよ!」

 リインはフェレットの子を孕んでしまった等、信じなかった。信じたくなかった。
しかし……日に日に大きくなるリインのお腹。お腹の中にいるフェレットの赤ちゃん。
それはリインと言えども信じざるを得ない現実であった…。

「あ…ああ…リイン…ママになっちゃうですか? 産まれて来るのはどっちですか?
フェレットさんが産まれて来るですか? リインみたいなのが産まれて来るですか?
それとも……両方が混ざった様な珍妙なのが産まれて来るですか?」
「キュ〜…。」

 何時産まれても不思議で無い程にまでプックリと膨らんだお腹を摩りながら、リインは不安になっており
フェレットはそんなリインを見守る事しか出来なかった。

 そしてついにリインは産気付き、初めてのお産に挑戦する時が来た! しかもリインは生身の人間では無く
ユニゾンデバイスであり、またフェレットとの間の子供が産まれるのだから…何が起こるか分からない。
少なくとも既存の常識は通じないと考えても良いだろう。そういう点を踏まえ、スカリエッティ・ウーノ・
クアットロの三人もまた緊張の面持ちでリインのお産をサポートするべく出動した。

「ヒッヒッフー! ヒッヒッフー!」
「後少しだ! 頑張りたまえ!」
「そうよ! 頑張りなさい!」

 お産に伴う激痛にリインは何度も挫けそうになりながらも…スカリエッティ等の応援に励まされ…ついに……

「キュー! キュー! キュー!!」
「フェレットが産まれた! フェレットの赤ん坊が産まれたぞ!!」

 リインの膣口から出て来たのは一匹の小さなフェレットの赤ちゃん…………と思ったその時、
そのフェレットの赤ちゃんが光を放つと共に人型…それもリインを男の子にした様な赤ん坊へ変化していた。

「何だ。フェレットの赤ちゃんかと思ったら変身魔法でフェレットになってただけか…。
しかし、生まれながらにこれだけの事が出来るのは凄い事だぞ。」
「おめでとう。これで貴女も今日からちっちゃなママですね。」
「うう…嬉しい様な悲しい様な…不思議な気持ちですけど…ありがとうです…。」

 この後もリインはフェレットとの間に沢山の子供を産んでユニゾンデバイスの普及率アップと
フェレットの淫獣返上&地位向上に大きく貢献する事になるのだが…それはまた別のお話である。

                    おしまい

46 ◆6BmcNJgox2:2009/06/04(木) 21:25:17 ID:tcyV2bq.
リインとフェレットのラブストーリーを書こうと思ったらこんな事になっちってスマソ

47名無しさん@魔法少女:2009/06/04(木) 21:30:22 ID:gNkSSJaM
GJ!

しかしそれにしても……ユーノ。フェレットの交尾見て興奮するなよ………orz
さすがは淫獣……なのかっ?!

48野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/06/04(木) 23:05:51 ID:gNkSSJaM
なんか、名無しで感想書いた直後というのもアレですが。
日付変わる前にやらなきゃ意味がないので。
投下行きます。

 あぼんはコテか鳥で。

 八神はやて誕生日SS

「いさましいちびの車椅子、ミッドチルダへ行く」

49野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/06/04(木) 23:07:02 ID:gNkSSJaM
    1/5

 車椅子は、ご主人様の帰りをずっと待っていました。
 今日は、ご主人様の誕生日です。
 だけど、ご主人様は帰ってきません。

「おめえのご主人様は、もう大きくなってしまったから、おめえがもういらなくなっちまったんじゃないかな」

 車椅子の横に立てかけられているゲートボールスティックが言いました。

「おめえ、車椅子にしては、ちびだもの」

 そう言われても仕方ありません。だって、ご主人様は小学生だったのですから。車椅子だって、小さいのです。

「そんなことを言うものではござらん」

 スティックの反対側で、竹刀が言います。

「拙者たちのご主人様は、拙者たちを捨てたりはしない。そんな方々ではない。拙者はご主人様たちが帰ってくることを信じているでござるよ」
「でも、もう十年経つんだぜ?」

 スティックが険悪な口調で言い返します。

「棒ッ切れは黙っててくんねえかな」
「棒ではない! 拙者は竹刀でござる!」

 スティックと竹刀はいつも口喧嘩ばかりです。
 そして、それを止めるのはいつもエプロン。

「やめなさいよ、二人とも」

 竹刀の言葉に続いたのは、車椅子に被せられているエプロンです。
 エプロンは竹刀とは仲良しで、五人の中では一番の優しい性格なのです。

「ごめん」
「いや、拙者こそ……」

 スティックと竹刀はお互いに謝ります。二人とも、本当は仲がよいのです。

50野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/06/04(木) 23:07:43 ID:gNkSSJaM

   2/5

 だけど、ご主人様はどこに行ってしまったんだろう。
 車椅子は考えます。
 ご主人様が自分無しでも動けるようになったのはとても良いことだ、と車椅子にはわかっています。だけど、それはそれとしてやっぱり寂しいのです。
 この中では、この家に一番長くいたのは自分です。
 スティックよりも、竹刀よりも、エプロンよりも、そして、彼らのご主人様たちよりも前から、自分はここでご主人様のお役に立っていたのです。

「ご主人様に会いたいよ」

 車椅子が呟くと、皆が黙ってしまいます。

「うん、……会いてえな」
「そうでござるな……」
「私だって!」

 車椅子は考えました。もしかしたら、ご主人様たちはこのお家のことを忘れてしまったのかも知れない。
 だけど、ご主人様はみんな優しい人たちだった。僕たちのことを忘れていたとしても、思い出したらきっと優しくしてくれるはずだ。
 そうだ。忘れているだけなんだ。だったら、僕たちが思い出させてあげれば良いんだ。

「じゃあ、会いに行こう」

 驚いたのは竹刀たちです。
 この車椅子は突然何を言い出すのだろう。ご主人様がいないのに勝手に出歩くなんて、そんなことができるわけがないのです。

「僕は車椅子だから、動くことができるよ。みんな、僕に乗ればいい。落ちないように、エプロンさんに被ってもらえばいい」

 竹刀がふむ、と呟くと長考に入ります。この中では一番頭がいい人なので、皆は黙って竹刀の言葉を待ちます。
 スティックはそわそわと、試しに車椅子に寄りかかってみたりしています。

「そうでござるな」 

 ようやく竹刀が口を開きます。

「このままでも仕方ない。行こうではないか。拙者たちも」

 早速準備の始まりです。
 ご主人様へと旅立つのです。

51野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/06/04(木) 23:08:13 ID:gNkSSJaM
    3/5

 がたがた
 ころころ
 がたころがたころ

「なあ」
「なんですか?」
「ご主人様たちってどこにいるの?」
「えーと……」

 エプロンが言います。

「ミッドチルダって言ってたわよ」
「そっか、ミッドチルダか」

 がたころがたころ

「ねえねえ」
「なあに?」
「ミッドチルダってどこ?」

 ぴたり、と車椅子が止まりました。

「ねえねえ、竹刀さん、知ってる?」
「聞いたこともござらん」
「スティックさんは?」
「知らね」
「じゃあ、エプロンさんは?」
「ごめんなさい。私が知っているのは地名だけよ」

 困ってしまいました。
 だけど、車椅子はめげません。頑張って考えます。

「……どうしよう。せっかくの誕生日なのに」
「車椅子殿、諦めてはいかんでござるぞ。我らの底力、軽視してはならぬ」
「うん。ありがとう、竹刀さん」

 そう。底力。僕たちには底力がある。ご主人様に会いたいという気持ちがある。
 僕たちに不可能はない。絶対に会えるんだ。
 車椅子は、困難に敢然と立ち向かうのです。

52野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/06/04(木) 23:08:53 ID:gNkSSJaM
    4/5

 ここはミッドチルダ
 そして八神家。
 八神はやて誕生日、そしてヴォルケンリッター召喚記念日である。
 当然、家の中は大盛り上がりである。リインがハブられて涙目なのは内緒。
 今日は無礼講。八神家一同、なのは、フェイト、ヴィヴィオ、その他大勢が集まっているのだ。

 スバルが食べる。
 エリオが食べる。
 スバルが食べる。
 ギンガが食べる。
 フェイトが脱ぐ。
 スバルが食べる。
 キャロが微笑む。
 アルトとルキアを間違える。
 スバルが食べる。
 シャーリィがデバイスを抱きしめる。
 ティアナが泣く。
 スバルが食べる。
 ヴィヴィオが聖王化する。
 スバルが食べる。
 カリム萌え。
 スバルが食べる。
 スバルが食べる。
 スバ……

「スバル……。少し、お腹冷やそうか」

 なのはの余興(自称)も終わり、宴も終えて三々五々に帰っていく客たち。
 彼女らを見送り、八神家一同は今に集まっていた。
 シャマルが全員にコーヒーを煎れる。

「それにしても、もう十年ですか」
「そやな。海鳴から離れてそんなになるんやな」
「前の家ってどうなってたっけ?」
「売りに出した訳じゃないから、まだ残っているわよ」
「何かあった時には必要やろし、手放す気はないよ」
「荷物も置いたままですし」

 ザフィーラの言葉に一同がやや俯く。

「いや、あれはもう……」
「うん。ちょっと、必要ないかな……」
「なんていうか、騙されたというか……」
「そやな。あれはいらんな……」

53野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/06/04(木) 23:09:23 ID:gNkSSJaM
     5/5

 宴も終わり、静まりかえった八神家周辺に転移する影が一つ。
 
「ここに、ご主人様がいるんだね」
「うむ。拙者には気配がわかる」
「よっしゃ、あたしらの力、存分に発揮しようじゃねえか」
「そうね。久しぶりだもの」

 そう。車椅子たちです。

「行こう、久しぶりに僕たちの力を見てもらおうよ」
「うむ。全員もいるようだしな」
「へへ、目に物見せてやるぜ」
「ええ、それがいいわ」

 車椅子、拘束調教モード、スタンバイ!
 竹刀、多段双頭バイブ機能、オン!
 ゲートボールスティック、お仕置きお尻パッシングタイプ、セットアップ!
 エプロン、ムチムチぴっちりボディスーツバージョン、チェインジ!

 JS通販謹製製品たちは、全力で八神家を襲撃するのだった。






 お詫び
 タイトルの「いさましいちびの車椅子〜」は、「イヤらしいちびの車椅子〜」の間違いでした。謹んでお詫びし、訂正します。

54野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/06/04(木) 23:10:08 ID:gNkSSJaM

 以上、お粗末様でした


 まとめ管理人様へ
 まとめウィキに収録されている拙作「涙」を、一部改訂して同人誌に収録、この日曜日に即売会に出すことになりました。
 構わなければ、ウィキからは削除していただけないでしょうか。お願いします。

55名無しさん@魔法少女:2009/06/04(木) 23:26:33 ID:T3NaT4oM
ちょwww おまwwww

なんという確信犯的な詐欺www
最初は感動ものと思わせておきながら、最後に全てを最高に裏切りやがったwwww
いかん、腹筋がねじ切れそうだwww

GJです!

あと

>>アルトとルキアを間違える
>>カリム萌え

おいw

56名無しさん@魔法少女:2009/06/04(木) 23:29:43 ID:T3NaT4oM
というか、今さら気付いたが「ルキア」ってダレだ、別の漫画かww
まさかこれも確信犯かwww

57名無しさん@魔法少女:2009/06/05(金) 00:24:26 ID:CT5nU6Co
車椅子が勝手に動ける時点でこのヲチは予想するべきだったwww
茶返せwwwww

58名無しさん@魔法少女:2009/06/05(金) 01:11:44 ID:FhIUuOhM
とりあえずフェイトは服を着よう、スバルは食べ過ぎw
ザフィーラ縁の品がないことは伏線だったんだな。おかしいと思ったんだ。
GJ、そしてコーラ返せw

59マルチマックス:2009/06/05(金) 02:19:13 ID:c/IQzNgU
大変ご無沙汰です。
以前投下していました『復讐鬼』のフェイト陵辱パートを投下したいと思います。

注意
ガチ陵辱、精神崩壊などがあります。

そう言うのはいらないという方はNG登録お願いします。

60復讐鬼・フェイト編③:2009/06/05(金) 02:22:51 ID:c/IQzNgU
「くぁああああああ!!」

動く人間の姿が消えた場所で、少女の叫び声が空に響く。

男の手が軽く動くと、鞭はまるで意思を持つかのようにフェイトの身体を打ち付ける。
使用者の意思に従って、狙う場所に飛んでいく。
もしくは、逃げる対象を追尾する。
そんな性能を持っているムチではあったが、男はフェイトとの戦いでこれを使用することはなかった。

フェイトのスピードの前には、追尾機能が追いつかない可能性が高かったからだ。

「ええい! いい加減に吐かぬかぁあああ!」

だが、男の目的……フェイトへの拷問にはうってつけの武器となった。
触手に拘束され宙吊りのフェイトの身体が、打たれるたびに左右に激しく揺れる。

バリアジャケットからはみ出した太股や白い腕には、すでにムチの跡が深く刻まれていた。
美しいその顔にも……すでに無数のミミズ腫れが浮き出してしまっている。

「くそ……あの3人もそうだったが、この世界の連中は拷問が効かぬのか?」

管理局と戦うために、男は情報を欲していた。
だが、ベルカの騎士もフェイトも……男の拷問に望む情報を口にすることは決してなかった。

(あの頃の辛さが、こんなところで役に立つなんて……)

ここでムチに打たれているのが、なのはや、はやてならばあるいは拷問に陥落していたかもしれない。
だが、ベルカの騎士が拷問程度で主を裏切るはずもなく……。
ブレシアに受けた数々の虐待の過去があるフェイトも、今のところはその拷問に耐えることができていた。

「しかも、その戦闘服……忌々しい」

拷問に必要なのは力加減だ。
それなのにバリアジャケットの防御力のため、男の与える苦痛はコントロール不可能なものになっていた。

並みのダメージでは軽減され、決定打にならない。
とはいえ、全力で打っては対象を殺してしまうかもしれない。

そのジレンマが男の怒りを増幅していく。

「テスタロッサ……すまん」
「わりぃ。頑張ってくれ……」
「ごめんなさい。今は耐えて……」

同じく触手に拘束されたベルカの騎士もその様子を遠目に見ていた。
フェイトと同じように、その身体に刻まれた多くの傷が拷問の凄まじさを物語っている。

「く、ああああああああああああああああ!!」

拷問は続く……。
どれだけ叫び声をあげようとも……痛みではフェイトの心は折れない。

自分たちの行方不明はいずれ伝わるだろう。
そうなれば……管理局が全力で事態の解決に向かうはずだ。

フェイトが避けなければいけないのは、それまでに男が管理局に有効な手段を駆使することだけだった。
そのときまで耐え切れば……少なくともこの世界は、大切な親友二人はその身を危険に晒されることはないはずだ。

「拷問の方法を変えるか?」

打撃による苦痛が調整不可能となれば、精神を削る方法を考える必要があった。

「水責めがいいか。あれならば、その忌々しい服の防御力も関係あるまい」
「……」

それでも、フェイトは耐え抜く自信があった。
耐え切れないとすれば、心ではなく身体。
最悪、拷問の果てに命を落とすことがあっても……それで仲間を守れるのであれば、フェイトには何の後悔もなかった。

(なのは、はやて……わたし、頑張るからね)

痛む身体を、気力で支えるために大切な存在を思い浮かべる。
きっと、ベルカの騎士達も主を思い、こうやって自分を奮い立たせていたのだろう。

61復讐鬼・フェイト編③:2009/06/05(金) 02:24:27 ID:c/IQzNgU
「よし。向こうの池まで運べ。底なし沼になっていたはずだ」

これから行われる新たな拷問に、フェイトは身を固くする。
同時に心も固い鎧で覆ってしまう。
そうすれば……男が望む通りにはならない。

だが……。

「んぅ……はぁ……」

触手がフェイトを池まで運ぶために、拘束の形を変えようと身体を滑る。
打撃を与えることを目的としないその動きが、フェイトの股間をさすったとき……。

「む?」

微かに漏れたフェイトの熱い吐息を男は聞き漏らさなかった。

「おい」

男が触手でフェイトを拘束している魔物に目配せをする。
意図を察した魔物は……フェイトの背中の部分につーっと触手を滑らせる。

「ん……」

くすぐったそうに、フェイトが身体をよじるのを確認すると、男は邪悪な笑みを浮かべる。

「なるほど。打撃は防げても……その手の刺激は防げぬか」
「え……?」

「子供だと思ってはいたが……よく見れば中々育っているではないか」
「や、な、何を……」

男がフェイトを見る目が変わったことにフェイトは気がついていた。
フェイトも、年頃の女の子だ。
友達が集まれば、性に関する話をすることだってある。

そのために、男の目に宿った情欲の光の意味を理解できないほど……子供ではなかった。

「そうなると、傷ついたままは好ましくないな……」

男が手をかざすと、フェイトの身体についていた無数の傷があっという間に癒されていく。
治癒魔法の即効性においては、シャマル以上のことが男が「魔法使い」としても高い素質を持つことを示している。

「い、いや……」

だが、そんな分析をする余裕はフェイトにはなかった。
傷が癒え、元の白さを取り戻した肌に美しい顔……。
その全てが……フェイトに新たな危機を告げていた。

「こちらの拷問には耐えられるかな?」

男は酷薄な笑みと共に、魔物に目配せをする。
同時に……魔物から映える触手が、動き出す。

「く……はぁ……」

足を拘束していた触手は、太股を優しくさすりながら、徐々にフェイトのヒップに向かって迫ってくる。
腕を拘束していた触手は、首筋からから肩口をなぞりながら下に下りてくる。

「や、やぁ……ダメ……」

気丈だったフェイトの表情に明らかな怯えが走る。
だが、新たに現れた触手が、手足を再び拘束し、フェイトには自分の身体を這う触手を眺めること以外のことは許されない。

「テスタロッサ! 貴様! 武人に向かって何を!」
「貴様らは後だ! 今は邪魔だ!」

「うわあああああああ!」
「きゃああああああ!」

男の号令一つで、ベルカの騎士達は触手によって遠くへと連れ去られてしまう。

「やつらに見せながら、というのも悪くはないが……うるさいのはごめんだからな」
「あぁ……」

励ましてくれる声さえも途絶えた中。
フェイトへの新たな拷問が再開される。

フェイトの腕に脚に腰に……触手が絡みつき蠢き始める。

「あ、くぅ……っく……あっ! だめ……離して……」

触手の拘束は思いのほか強い。
フェイトは無駄だと分かっていても、懇願するしかなかった。

「離してやってもいいぞ。無論、我の言うことに全て答えると誓うのであれば、だがな」
「そんなこと……できるわけ、ない……」

男の要求には、拒否を貫くフェイトだったが、その瞳は泳いだまま。
戦闘の時も、捕らえられてからも男を鋭くみつめていた眼差しの強さは微塵も感じることが出来ない。

「どうした? あれだけ我慢強かったお前が、今更哀願とは?」
「うぅ……」

再三の鞭による拷問には解放を求めなかったフェイトに明らかな変化が訪れようとしていた。
幼少期の虐待や激しい戦いの中で、痛みには耐えることができたフェイト。
だが……未知の拷問には恐怖が先に立つのも無理からぬことだった。

「それにしても無様だな。雷神のごとき素早さを持ったお前が、この有様とは」

『雷神』。
男がフェイトを例えるために、偶然口にしたのは皮肉にもフェイトの通り名だった。
そのことも、フェイトの屈辱感を倍増させていく。

「く……どうして、この程度の拘束が……」

フェイトは絶望的な状況から逃れようと、身体をよじらせるが何も好転する気配はない。

本来ならばこの程度の触手はフェイトに触れることも叶わず、細切れにされているはずだった。
それなのに、傷つき疲労した彼女には、それを振りほどくことはできなかった。

62復讐鬼・フェイト編③:2009/06/05(金) 02:25:17 ID:c/IQzNgU
「諦めないことは美徳でもあるが……お前は我に敗れたのだ」

そんなフェイトの様子を男は、底意地の悪い笑みを浮かべながら鑑賞する。

「敗者は敗者らしく……それに相応しい道を歩むが良い!」

男の言葉を合図に、フェイトの前に、新たな二本触手が現れる。。
拘束には十分な数の触手が当てられている。
新たな触手の目的は……フェイトの身体に恥辱の痕を刻むことだけだった。

「や、やぁ……来ないで……」

それは人の手を思わせる動きで、一直線にフェイトの顔に向けて迫ってくる。
フェイトは顔を背けるが、触手はその動きを先読みするがごとく、進行方向へと姿を現してくる。

「っ───!!」

首だけの動きでは逃れられる範囲も限られる。
加えて二本の触手は、片方が常に囮になり、フェイトを追い立てていく。

「ん! ん───!!!」

哀れな獲物は、狩人に逃げ場を塞がれ追い詰められてしまう。
唇に触れる触手の目的はフェイトにも理解できた。

「ん───!!」

せめてもの抵抗に口を固く閉ざすが、二本の触手は、その動きを分担し、巧みにフェイトの口を割っていく。
ついに開かれた隙間はほんの僅か。

だが、触手の片方は、僅かな隙間を通り抜ける猫のように口内への侵入を果たす。

「んん────!!」」

入れなかった方の触手は残念そうに鎌首を下げる。
勝利した触手は、それを合図にしたように、フェイトの口の中で蠢きだしていく。

「ふんん! はうぅん……ちゅ、ふぐ……ぐふ……んぢゅ……!」

敗北した触手はフェイトの顎を押さえ、さらに口内の触手を奥深くへと押し込むアシストをする。
吐き出そうとフェイトは必死にもがくが、進入してきたときより膨れ上がった触手はその動きさえも困難にさせていた。

「んふぅ……ん、ぴちゃ……ん、ちゅ、ぐふ、ふぐ……ん、ぢゅっ!」

口を一杯に満たす触手は生臭く、口の奥から抜けて鼻でそれを感じさせられてしまう。

「ふんん……んちゅ、やめ……はぅ……ちゅぷ、んちゅ……」

喉の奥にまで触手は届き、その声をくぐもらせ助けを求める言葉を完成させない。
何度とない往復の間に、口内の触手はその熱と硬度を増していく。

それはフェイトをより不愉快にさせた。

「んはぁ……んぐ……やだ、んぢゅ……ぐぅ、んちゅ……ん──!!」

飲み込めない唾液が、口の端からあふれ出し頬を伝い白い首筋まで流れていく。
触手の先端からは、まるで人間の剛直のように先走りの汁が溢れ、その唾液と混ざり合う。

「んぐ! げほ、ごほ……ん──!! ぢゅ、げほ……んぐっ!」

食堂にまで達する触手の動きに、何度もむせそうになるが、それさえも許されない。
吐き出されそうになるたびに、触手は膨れ上がりフェイトの口内から出て行くことを拒否し続ける。

「ん、ちゅぷ……れる……ちゅっぷ……んぅ……んちゅ……ん────!!」

顎が外れるギリギリの太さの触手が、やがて焼けるほどの熱さを伴っていく。
口の中を往復する動きとは別に……その先端がびくんと跳ね上がり、フェイトの口内で暴れる。

暴れるに留まらず、その先端からはフェイトの喉の奥を目指して粘性のある液体が放出される。

「ん─────────!!!」

口を隙間なく塞がれている以上、フェイトはそれを嚥下するしかない。
そうしないことには呼吸さえもままならなかった。

63復讐鬼・フェイト編③:2009/06/05(金) 02:26:01 ID:c/IQzNgU
「ん……ぷは! はぁ、はぁはぁ……」

フェイトが己が吐き出したものを全て飲み干したのを確認すると、触手はようやくその口から出て行く。
その全てが結果としてフェイトに舐め取られ、白濁を発射した痕などどこにも残っていなかった。

「はぁはぁ……」
「どうした? 口が寂しいか?」
「バカなことを……言わないで……」

一度白濁を吐き出して満足したのか、触手はその動きを止めていた。
他の陵辱も全てやんでいるために、ようやく自由になった呼吸が、徐々に落ち着いてくる。

それなのに……。
なぜかフェイトの目は熱く潤んだままだった。

(おかしい。どうしちゃったの? わたし……)

触手から吐き出されたものを飲み込んだ喉が熱い。
それが溜まっているお腹の中はもっと熱い。
その熱は身体中を駆け巡り、フェイトの身体に道の感覚を植えつけていく。

「そうだな。寂しいのは口だけではないのであろう?」
「……っ!」

全て分かっている……男の瞳はそう告げていた。
それは、フェイトの身体に現れだしている変調が男によって仕組まれたことを暗に意味していた。

「な、何をしたの?」
「お前たちの世界では、拷問で自白を強いるときに自白剤というものを使用するそうだな? その代わりだと思ってもらっていい」

一般的には脳や神経を疲労させて正常な判断力を奪い、隠し事や嘘をつくことを困難にする薬を指すことくらいはフェイトでもしっている。

「ま、まさか!!」

男の言葉の意味を探り、たどり着いた答えにフェイトの顔面は蒼白になる。

「ほう。察しがいいな。さすがにここを突き止め単騎で乗り込んでくるだけのことはある」

今、フェイトに与えられようとしているのは……触手による性的な拷問。
フェイトの脳や神経を麻痺させるために、与える『何か』を増幅する効果があると考えるのが妥当だった。

その『何か』の正体は『快楽』であることは火を見るより明らかだった。

「そんな……じゃあ……」
「そういうことだ。通常では決して味わえない……夢のような時間が待っているぞ」

男がぱちんと指を鳴らすと、触手が再び動き出す。
夢は夢でも……これからフェイトに訪れようとしているのは正真正銘の悪夢だった。

64復讐鬼・フェイト編③:2009/06/05(金) 02:26:49 ID:c/IQzNgU
「あぁ……やぁ……」

身体から湧き上がる感覚に耐えようとするフェイトだったが、それは収まるどころか時間と共に大きくなっていく。
その口からは可愛らしいうめき声が漏れるだけだった。

「怯えも……すぐに快楽に変わる」

動き出した触手が目指す先は、フェイトの双丘だった。
同年代の少女の中では発育はかなりいい方で、身体計測のときなどは男女問わず注目の的になっている。
バリアジャケット越しでも、その膨らみは十分にその存在を誇示していた。

「い、いや……」

触手の先端は濡れそぼり、それは手と言うよりは、太く長い……舌を思わせた。

「くっ……はぁ……あ、ふぅ……」

濡れた触手が触れた箇所のバリアジャケットが、色を変えていく。
やがて、その変化は、膨らみを覆う部分の全てへと及ぶ。

「ん……んっ、ふ、ふぁ、ふぁぁ……っ」

(な、何……こんな感覚……知らない!!)

『感じる』という意味さえ分からないフェイトは、道の感覚に戸惑う。

身を捩じらせるのも困難なほどの拘束のために刺激を逃がすことさえできない。
フェイトはその刺激の全てを身体の中に送り込まれていた。

「く、んっ、はぁ……っ、はぁっ、ふ、ぁ……あっ……あんっ……ぅんっ!」

膨らみが控えめであれば、触手が絡むこともなくあるいはこの拷問の効果は薄かったかもしれない。
だが、豊かな膨らみは触手に自在に絡め取られ、バリアジャケットの上から自在に形を変えられてしまう。

「ひ、きゃうっ! んっ、っふ、ふぁ、ふくぁあっ、ぁあああっ!」

熱い吐息と共に、その膨らみはせり出し、より自己主張をし触手の標的となっていく。

「え……あ、やぁ……な、なに、それ……!!」

触手の先端がすぼまり小さな穴を形成していく。
その穴の形状はすぼめた、人間の唇を思わせた。

事実、それは確かな吸引力を持っている。
そして……吸い付く目標ははっきりとしていた。

「「んっ、んぅ、っふ、んんんぅっ、っふぁ、んっ!」

バリアジャケットの上から、胸を激しく吸われる。
もしも、その下の乳房を見ることができたのなら、痕がしっかりと残っていることだろう。

「ひぅ……っ! あ、あくぅっ、くんっ、んっ、んぅぅっ!」

触手は、その頂を探して吸い付く場所を、徐々に上へと移動させていく。
バリアジャケットの下には、その膨らみを覆う下着がある。

それは触手の目標を隠し、フェイトを守ってくれるはずだった。

「あぁああああ!!!」

それなのに、触手は正確に、バリアジャケットと下着越しにも関わらず、その先端を見つけ出す。
触手の吐き出した液体の催淫作用の影響か……執拗な乳房への愛撫により、下着を突き破らんばかりに目標は膨らんでいた。

「ふ、ふぁ、ふぁあ! あんっ!」

もしも直接吸われたのなら、狂っていたかもしれない。
その中身が裏切っても……フェイトを守る鎧は、まだその役目を果たそうと懸命だった。

65復讐鬼・フェイト編③:2009/06/05(金) 02:27:33 ID:c/IQzNgU
「ふふふふ。胸ばかりでは、他が寂しかろう」
「え……?」

胸への刺激だけで、手一杯のフェイトに更なる陵辱が襲う。
新たに触手が追加され……フェイトの脚をつま先から登り始めていた。

「んぁ……ん……ふぁ……くぅ……」

胸にある触手と同じく、熱くぬめりを持った触手が進んだ後には道が描かれていく。
その道は、つま先から足首へ……踝を通り、膝へと達していく。

「あ、あ、あん……や……それ以上……はぁ……舐めないで」

舐めるという表現が適切なのかは分からない。
だが、フェイトがそう感じている以上、それに勝る表現はなかった。

「や、はぁ……きもち、悪い……あ、あぁ、っあ!」

すらりと伸びた長い足を、くねらせながらフェイトは嫌悪を口にする。

だが、触手には当然その言葉は届かない。
舐める……というのであれば、触手は涎を流しながら、まるで誘われるように上へと登っていく。

「やめ……あ、はぁ……んぁ……ふぅ……っ!」

太股を通過し、行き止まりの地点で触手は一度動きを止める。

「やだ、見ないで……」

嫌悪を口にしながら同時にフェイトは感じ続けていた。
自分の中の熱い何かが、体内では収まらずにあふれ出していたことを。

触手が作った道と……フェイトから溢れたものが伝ってできた道がやがて繋がってしまう。

「あ、……っ、ひ、あん、あぁあああ!」

道が繋がったのを確認した触手は、その道を遠慮無しに進むと、フェイトの中心を撫で回す。
ぬめっとした生暖かい感触が、バリアジャケット越しにフェイトの秘部に感じられる。

「ひぁあぁんっ!! ふぁ、ふぁああっ!!」

嫌悪しているはずなのに……その口から漏れる声は、ただひたすら甘かった。
催淫効果が、フェイトの奥に眠る情欲を露にしていく。

「や、だ、だめぇ……っ!!」

胸を、秘部を触手が這い回る。
敏感な部分を一斉に刺激されて、フェイトは身体をくねらせ続ける。

「んっ、んぁっ、ふぁ、ひ、ぁ、あ、あ、あぁあああっ!!」

もはや、嫌悪さえも快感の一部とフェイトの身体は認識していた。
それでも、襲ってくる何かを拒絶し、唇を噛み締め、瞳を潤ませながらも耐え忍ぼうとする。

「や、やだぁ……こんなの、いやだぁ……あ、ああ……」

だが、漏れてくる吐息は切なく、聴くものがいたのならそれを虜にするほど淫靡な愛らしさがあった。

「あ、あ、あ、あ、ああっ、っふ、ひゃぅぅぅっ!!

触手のぬめりと、フェイトから湧き出る愛液が混ざり合う。
バリアジャケットから零れ落ちるその雫は……徐々にその割合を逆転させていく。

「だめ……もう、やめ、てぇ……あ、はぁ、あっ……あぁ……」

バリアジャケットの生地さえもふやけてしまうような水気のせいか……。
それとも、植えつけられた快楽に身体が屈したか。

「ぅぅううんっ、ぁああっ、ひ、ひぁ、ひぁああっ!」

股間の触手の蠢きが伝える快楽は、フェイトの脳を焼いていく。
それは、同時に、胸を弄っていた触手にも変化をもたらす。

「え? な、なんで! うそ! やだああああああ!!」

フェイトの絶叫が響き渡る。
バリアジャケット越しに、フェイトの胸に甘噛みを繰り返していた触手。
その触手が、バリアジャケットを引っ張った刹那……。

あれ程強固だった、バリアジャケットのその箇所が引きちぎられたのだった。

「む? これは?」

男にも予想外の事態だった。
だが、触手はその事態を見逃さない。

全身を這い回る触手が、フェイトのバリアジャケットを一斉に引きちぎりにかかる。

「だめぇええええ! これ以上は、だめぇええええ!」

フェイトの言葉に応えたのか、あの一瞬が何かの間違いだったのか。
触手は、それ以上バリアジャケットの引き裂かれた部分を広げることはできなかった。

66復讐鬼・フェイト編③:2009/06/05(金) 02:28:32 ID:c/IQzNgU
「たす……かった?」

だが、安堵する暇さえもフェイトには与えられない。
保護するものがなくなった、片方の胸を覆っていた下着が……触手に千切り飛ばされる。

「いやぁああああああああああ!!」

押さえつけられていた乳房が、解放を喜ぶかのように姿を現す。
バリアジャケット越しに見たよりも、ボリュームがある。
その先端は淡い桃色であり、白い肌の中で色づいていた。

「ほう……なかなか可憐だな」
「やだ、見ないで!」

男の素直な感想に、フェイトは首を振る。
その言葉は男に向けられたのか触手に向けられたのか……。

当然そんな懇願は聞き入れられない。

「せいぜい可愛がってやれ」

男の命令に、触手は相次ぐ刺激に形を成してしまっている乳首に、その先端のすぼまりを寄せていく。

「ふぁ、ふぁああっ、ひ、ひぁっ、んっ、んっ、っふ、ふあああんっ!!」

守るものが何一つとしてなくなったそこは、触手の刺激を防ぐことは不可能だった。
押し寄せる快楽は今までの比ではなく……フェイトは抵抗する意思も、身体にこめる力さえも完全に奪われてしまう。

「あっ、はっ、はっ、くっ、んっ、ひ、ひぁぁああっ!」

全ての触手が晒されたフェイトの乳房に集中していく。
先端を押しつぶされ、舐められ、転がされ、甘噛みされ……。
乳房を押しつぶされ、舐められ、吸われ、痕をつけられていく。

「あ、は、はぁっ、ふぁ、あああああああああんっ!!」

もう、何も考えられないフェイトの声が、切迫したものに変わっていく。

「や、やだ、なにこれ、なにこれぇええ!」
「ふはははは。その感覚の意味も知らぬか!」

男は楽しげに、フェイトの様子を眺めて高笑いをする。

「覚えておけ。それが絶頂だ。身体の全てが快楽に染まった……淫らな女の証明だ!」
「違う! そんなことな……あ、は、ど、どうして、あ、あ、こな、いで、あ、はぁああ!」
「初めての絶頂を……触手で迎えるがいい!」

「あ、は、は、やだ、止まって、お願い、あ、はぁ、んく、あぁ……」

止められないことを悟ったのか、フェイトの抵抗する声が徐々に弱々しくなる。
その代わりに、口から出たのは今までで一番大きく……淫らな声だった。

「あ、はぁああ! あああああああああああああああああああああああああああ!!」

ついにやってきた快楽の果てに、フェイトの身体を包んでいたバリアジャケットが光の粒子となり四散していく。

「はぁはぁ……あ、はぁ……」

その下に隠されていた、歳不相応の豊満な肢体が顔を出す。

片方だけ下着に覆われた胸は、荒い息に合わせて上下を繰り返し……。
臀部を覆う白い布からは、あいつぐ絶頂の跡を示すように、愛液が染み出していた。

67マルチマックス:2009/06/05(金) 02:31:01 ID:c/IQzNgU
本日はここまでになります。
前半部分のみの公開です。
エロになった途端に長くなってしまいました(汗)。

快楽でバリアジャケットが弾ける、というのは復活された暗愚丸さんの作品でもあったのですが……。
変更するのもあれなので、そのままにしてしまいました。

もう後半もほぼ上がっているので、週末には投下できると思います。
よろしくお願いします。

68名無しさん@魔法少女:2009/06/05(金) 10:21:36 ID:kU75jf8w
投下乙
凌辱は良い、触手も実に良い。
次回投下も待ってます。

69名無しさん@魔法少女:2009/06/05(金) 20:42:59 ID:Ti85.uKM
獣姦ユニゾンwww
新しすぎるだろ

70名無しさん@魔法少女:2009/06/05(金) 23:27:59 ID:S5CrNuQc
素敵だ、やはり凌辱はいい
心が洗われるようだ
やっぱりフェイトにはSMが似合う


ところで、理想郷のなのは凌辱SSの続きを待つのは俺だけじゃないはずだ

71名無しさん@魔法少女:2009/06/05(金) 23:36:59 ID:2S8kEyKo
やあ、兄弟。フェイトそんは縛られている時が一番輝いていると思うw
ただ、基本的に他所様の話題は出さないのがここでの嗜みではなかったかね?

72超硬合金:2009/06/06(土) 08:31:17 ID:21SS2aaU
良い陵辱の後に何ですが、馬鹿話を一本投下させてください。

73超硬合金:2009/06/06(土) 08:32:33 ID:21SS2aaU
注意事項
・8ゼスです。
・時代設定はストライカーズSS04です
・オットーが壊れています。
・エロスはありません。
・勢いだけで書いた馬鹿話です。
・タイトルは「向こうは湖畔」です。

74向こうは湖畔①:2009/06/06(土) 08:33:57 ID:21SS2aaU
「以上がこちらで予定している作戦となります」

 僕の名前はオットー。
 下馬評では一番人気のチンク姉様と同じく、とっても控えめな胸の持ち主で、
僕のリサーチ結果に依れば騎士ゼストのストライクゾーン真っ直中の戦闘機人だ。
 そして、聖王陛下の目の前でドクターといちゃつくウーノ姉様の代わりに、
騎士ゼストに連絡する栄誉を授かった本日のラッキーガールでもある。
 勿論本当なら、胸の前で祈るように両手を握り、歓喜の涙に瞳を潤ませながら
『騎士ゼスト、お慕いしています』
 と、告白したいところではあるけれど、あいにく僕はそういうキャラじゃない。
 だからその代わりに淀みなくドクターの計画を報告し、さりげなくクールビューティーを演出する。

「オットーと言ったな」

 歴戦の強者だけが持つ深みを帯びた騎士ゼストの唇が紡いだ言葉は、あろう事か僕の名前だった。
 実を言えば最後発起動組の僕は、騎士ゼストと直接の面識はほとんど無い。
 それなのに彼は僕の名前を覚えていてくれた。
 これはもう、騎士ゼストが僕の愛に気付いてくれているから以外に考えられない。
 スナイパーG2を買って良かったと心の底から思える。

「はいナンバー8、オットーです…」

 おおマイラバー(予定)、愛しています。
 その思いを込めて僕は彼の名前をそっと囁く。

「…騎士ゼスト」

 だけど彼はつれなかった。

「いつも連絡してくるナンバー1、ウーノはどうした」

 どうして僕の前で他の女の名前を口にするんですか。
 やっぱり胸ですか!
 おっぱいがないとダメなんですか!

75向こうは湖畔②:2009/06/06(土) 08:35:24 ID:21SS2aaU
 ならいっそ貴方が揉んで大きくしてください。
 騎士ゼストならABC全部どんとこいです。
 て、何を言わせるんですか、エッチ。

「重要作業中に付き手が離せず、若輩の自分が皆さんに連絡する非礼、お詫び申し上げます」

 クールビューティー路線を維持する為に姉をフォローしつつ、
謙虚な自分を積極的にアピール!
 日本語が変な事は気にしない、だってここはミッドチルダだもん。
 そして見つめ合う騎士ゼストと僕。
 二人の視線は絡み合い、互いの体を舐め尽くすぅ…
ああ、ダメです騎士ゼスト、ルーテシアお嬢様が見ています。

「もーイイか、八番。あたし等はお前等の思い通りになんぞ動かないからなぁっ」

 邪魔!
 騎士ゼストと僕の間に這ってくるな、このツルペタ。
 ていうか、そもそも、そのいかにも悪魔ッ娘な羽とかしっぽとか服装とか、
そんな露骨な格好で騎士ゼストを誘惑しようだなんてプライドがないのか!
 あ、騎士ゼスト、勿論貴方が望むなら、裸エプロンだろうとブラジリアン水着だろうと着ますよ?
 でも、恥ずかしいからそういう事は二人だけの時にしてね。

「…了承していますアギトさん。
私はこちらの作戦日時と作業内容をお伝えするようドクターやウーノに命じられただけですので」

 瞬時に、冷静に、論理的に僕はミニマム痴女を論破する。
 解ったらさっさとカメラの前からどいて、騎士ゼストの生映像を僕に見せるんだ。

「うぅぅ」

 論破されたにも関わらず、未だにカメラの前からどかないミニマム痴女の
その根性にだけは敬意を表しつつ、僕はそろそろ我慢が出来なくなってきた。

76向こうは湖畔③:2009/06/06(土) 08:36:24 ID:21SS2aaU
「有難う、アギト」

 は!
 まさかルーテシアお嬢様、貴女も騎士ゼストと僕の恋路に立ち塞がろうというのですか!
 ですが、例え貴女が相手でもこの勝負、僕は引くつもりはありません。

「…ルーテシアお嬢様…」

 ルーテシアお嬢様から発せられた宣戦布告に答えるその直前に、騎士ゼストが再び口を開いた。

「こちらも、お前達の邪魔をするつもりはない、だがお前達がこちらの邪魔をするならば…」

 つまり、僕の愛を受け入れてくれるんですね。
 寧ろ「お前は俺のものだ、絶対放さない」宣言ですね!
 勿論です。ウェルカムです。
 貴方と共に歩く事が出来るなら、どんな苦労も厭いません。
 そうだ、ドクターに早速騎士ゼストと結婚する事を報告しよう。

「姉妹達には改めて念押しを、それでは失礼いたします」

 チンク姉様、今まで貴女に嫉妬していました、ごめんなさい。
 オットーは騎士ゼストと幸せになります。



77超硬合金:2009/06/06(土) 08:38:04 ID:21SS2aaU
以上になります。
尚、騎士ゼストの好みがオットーの調査通りか否かは不明です。

78名無しさん@魔法少女:2009/06/06(土) 12:20:08 ID:xsWJaszs
>>77GJ!
本編のあの会話でよくここまで妄想できたな
オットー×ゼストとか新しくていいね

79名無しさん@魔法少女:2009/06/06(土) 14:15:42 ID:mObVbzJE
これは酷いww
GJ!

80ストラディ:2009/06/06(土) 19:50:33 ID:yIiRtzQI
オットー可愛い!
GJ!

そんななか、流れを読まずに投下です。


・シグナム×ヴァイスです。
・シグナムがネタキャラになってます。
・基本、合意の上でラブラブですが、ヴァイスは最初からシグナムラブ、ではありません。
・設定が変。
・タイトルは『ヴァイスとシグナムin夜の決闘』です。

一つでも引っかかりがある方はスルーしてください。

81ヴァイスとシグナムin夜の決闘 1/12:2009/06/06(土) 19:52:56 ID:yIiRtzQI
 ヘリの整備をしていたヴァイスのもとへやって来たシグナムはいきなり、ヴァイスに言った。

「ヴァイス・グランセニック陸曹。好きだから付き合え」

 ……。
 ちょっと、冷静になろう。いわゆるセルフ少し頭冷やそうか。
 なにが起きたのか、脳内巻き戻しボタンできゅるきゅるっと巻き戻し。
 いきなり整備所にやって来たライトニング02が、慌てて敬礼で出迎えたヴァイスに、直球勝負の言葉をぶつけてきた。

「好きだから付き合え」

 もう一度だけ繰り返しちゃおうかな、とあまりのことに軽く酩酊状態に陥るヴァイスに、シグナムはずずいと顔を近づける。

「なっ、なんすか!?」

 思わず仰け反るヴァイスに、冷静に一言。

「顔が赤いな。風邪でも引いたか」

 誰のせいだよ馬鹿! と思わんでもないが、数歩シグナムから後ずさりしつつ取り繕いの笑顔で答える。

「そ、そんなことないっすよ。あ、そっか。姐さん、冗談言って俺のことからかったんすか。危うく引っかかるところでしたよ。あはは、考えてみたら姐さんが俺のこと好きになるなんてそんなワケないっよねー」

「女が男を好きになるのにワケなどいるか! そして私は女だ!」

 格納庫内に響きわたる逆ギレ? の声。わんわんと残響する中、なんだなんだと同僚たちがこちらを向く。

「始めて見たときから、お前には何か心引かれるものを感じていたんだ。好敵手としてではない、いうなれば生涯の友としての何かをだ」

「そ、それって普通に友なんじゃ……」

「いや、シャマルに相談したら、『それは恋よ、シグナム。シグナムも女の子だったのね〜』といわれた」

(シャマル先生……!)

 嬉しいんだか迷惑なんだか、判断しづらい感情がヴァイスの拳をふるふると震わせる。
 いや、迷惑なはずがない。
 こんな美人に熱烈に告白されるなど、男冥利に尽きるではないか。
 ただちょっと、ヴァイスの趣味とは違っていたけれど。

「お前はどうなのだ。私のこと、どう思う」

「そ、そうっすね」

 正直……、ヴァイスの趣味からは外れていた。だからこそ今まで、彼女のことは「美人で強い、頼もしい上司」としてしか見ていなかったのだが……。

「ティアナか」

「へ!?」

「ティアナなのか。お前の想い人はティアナなのか」

「違いますよ! ティアナはただの妹分で……」

「……そうか」

 背を向けたシグナムの姿が、一瞬にして騎士甲冑に包まれた。
 どこからか流れ来る華麗なピアノの調べ――そして決意を秘めた歌姫の歌声。BGM:Pray 唄・水樹奈々

「ちょい待ちーーーーっ!」

 慌ててヴァイスはシグナムの肩をぐいっと掴んだ。

「どこ行くつもりですか、姐さん!?」

 肩を持って振り向かされたシグナムの、その蒼い瞳は涼しく細められている。

「ちょっとティアナと お 話 し て く る」

(殺る気だ……この女殺る気だ……!)

 内心ガクブルなヴァイスだが、割と男前であると自覚している面をキリリと引き締めて、己より少し低い位置にある烈火の将の蒼い瞳を見つめる。

82ヴァイスとシグナムin夜の決闘 2/12:2009/06/06(土) 19:53:48 ID:yIiRtzQI

「勘違いしないでください、姐さん。俺は確かに妹萌えです。けどそれはティアナだけじゃない……姐さんだって立派に妹じゃないですか!」

「そうか?」

「そうです!」

 言い切ってしまった。冷や汗を背筋に感じつつ、ヴァイスは必死に頭を働かせ言葉を続ける。

「ヴォルケンリッターの方々は八神家っていわれてますよね? ええっと八神隊長がお母さんとして……ザフィーラの旦那がお父さんとして……シグナム姐さんは……シグナム姐さんは……」

 シグナム姐さんは? ……ええと、シグナム姐さんは……なんだろう。ここまで出かかっているのだが……。
 はっ!(ひらめきのSE)

「次女です! 次女です! シャマル先生とヴィータ副隊長との間に挟まれた次女です! 次女は姉であると同時に妹でもありますよ!」

「そ、そうか。なんだか照れるな」

 ぽっと頬を赤らめて視線を落とすシグナム。
 誰かに自慢したい。ヴァイス・グランセニックは、ただ今人知れずティアナの命を守りました。
 まあそれはいいとして――。
 上気した頬で視線を落とすシグナムは、普段の凛々しさが薄まって年相応の、というか推定年齢相応の乙女みたいである。

(こんな美人が俺のこと……)

 単純だが、それだけでヴァイスの心は決定的にシグナムに傾いた。もはや妹系に未練はない。これからはポニーテール萌えで生きていこう、そう決意する。となるとリンディ総務統括官まで……? いや、今は後ろで一つに束ねているんだっけか?
 雑念は捨てよう。目の前のピンク髪の騎士に萌えの全てを捧げるのだ。

「……あ」

 ヴァイスは今さら、シグナムの肩に手を掛けていたこと(それもかなりがっしり掴んでいたこと)を思い出し、慌てて放した。

「す、すいません。俺……」

「うむ。まあその、なんだ。お前の好みも理解した……その好みに私が合点しているということも理解した。それはつまり、私と付き合ってくれる、ということだな?」

「はっ、はい。よろしくお願いしますっ!」

 思わず踵を合わせて敬礼してしまうヴァイスに、シグナムはふっと優しく微笑んだ。

「そう堅くなるな。他人行儀に見えてなんだか悲しいぞ?」

「すみません! ……あ」

 癖で敬礼してしまうヴァイスにふふふと笑いかけ、シグナムはきびすを返した。

「それじゃあな。話はそれだけだ」

 烈火の将はまさに炎の舌が嘗めるがごとくぶわっとヴァイスに襲いかかって、そして去っていってしまった。
 呆然と、彼女が去っていったまばゆい外界を見ているヴァイスの耳に聞こえてくる、同僚たちの囁き声。

「おい、今の。勤務中に告白だと?」

「しかもヴァイスのやつ、受けたぞ」

「いや、受けたっていうか……脅迫に屈したというか……」

 キッ、とヴァイスが睨むと黙ってしまう同僚たち。そして、

「さーて仕事仕事」

 なんて白々しく口にして、持ち場に戻っていってしまう。
 別に脅迫されたから告白を受けたんじゃねえよ、と心の中で毒づくヴァイス。
 好きだった。確かにヴァイスはシグナムのことが好きだった。好きでもない女性を姐さんと呼んで慕うわけがないではないか。
 まさかこんな形で告白されるとは思ってもみなかっただけである(しかも仕事中に)。

83ヴァイスとシグナムin夜の決闘 3/12:2009/06/06(土) 19:54:41 ID:yIiRtzQI
 † † †

 仕事が終わり、宿舎に帰ったヴァイス。
 結局あれ以降、シグナムからの接触はなかった。
 こちらの仕事終わりを待っているのかと思っていたヴァイスは少し拍子抜けした。
 だが考えてみれば、仕事終わりを待ってデートなんてそれどこの恋愛ゲームだよである。
 ヴァイスとシグナムは大人同士だ。それなりの距離感を保ちつつ愛を育む……というのも、まあ悪くはない。
 明日の昼にでも姐さんとその辺の話をすっかー、と考えつつ、風呂上がりのトランクス一丁で歯を磨くヴァイス。
 まずは映画だろうか。いきなりホテルはまずかろう。ショッピング……はてあの烈火の将は買い物で楽しめるのだろうか。
 あの剣の騎士が確実に好きなことといえば……
 ……………………決闘?
 海沿いの公園にいるシグナムを遠くのビルの屋上からストームレイダーで狙い撃ちする自分の幻影が頭をよぎった。
 トリガーを引けば、訓練弾ではない、本気のスナイプショットが放たれる。
 シグナムは当たり前のように一瞬にして騎士甲冑に身を包み、炎をまとったレヴァンティンを振るってスナイプショットを爆散。
 そしてスコープ内の彼女が肉眼では見えないはずのこちらをまっすぐに見つめ、爆風に長いポニーテールをなびかせながらにこっと花のように笑うのだ。
 念話がヴァイスの脳に届く、「なかなかよい弾筋だが、私を仕留めるにはまだまだ力不足だな、ヴァイス」。
 それは果たしてデートといえるのか。
 まあとにかく、全ては明日、シグナムと話し合って決めればいい。決闘の案は冗談めかしていってみよう。一歩間違えれば確実にシグナムを傷つけてしまうから。満面の笑顔で賛成されてもそれはそれで困るし。
 鏡の中の自分の顔は、嫌なデートシュミレーションにもかかわらず嬉しそうである。なんだかんだいって、好きな女性とのデートプランを練るのは楽しいものだ。
 と、その時。
 ピンポーン、と来客を告げるチャイムが鳴った。

「はーい」

 誰だろう、さてはシグナム姐さんと付き合うことになった俺をからかいに来た同僚だな――なんて思ったヴァイスはそのままの格好でドアを開けた。トランクス一丁の歯磨きスタイルで。

「夜分遅くすまん、ヴァイス」

 そこには烈火の将、シグナムがいた。しかも騎士甲冑姿。対するヴァイスは青と白のしましまトランクス一丁、得物は歯ブラシ……。

「ちょっと待ってて下さいっ!」

 歯磨きの泡を飛ばしつつ扉を乱暴に閉めたヴァイスは、大あわてで隊服を着込むともう一度扉を開けた。慌てていたので歯ブラシまで再着している。

「お待たせしました、姐さんっ」

「いや、別に待っていないが」

「何かご用で……いや、ここではなんですから中に入ってください!」

「そうさせてもらう」

 素直に招きに応じるシグナムのうなじを見送りつつ、ヴァイスは歯ブラシを噛みしめていた。
 これから何が起こるというのだろう。
 まさか……決闘……?

84ヴァイスとシグナムin夜の決闘 4/12:2009/06/06(土) 19:55:30 ID:yIiRtzQI
 † † †

 茶を淹れて持っていくと、シグナムはローテーブルについて部屋のあちこちを見回しているところだった。男の一人暮らしが新鮮なのだろう。

「お前の好みか。……ということは、私に似ているのだな」

「へ?」

 シグナムの視線を辿れば、そこには童顔で胸のあまりないグラビアアイドルのビキニ姿……のポスターが。
 ヴァイスはお茶をローテーブルにスマートに供してから、ポスターに手を掛けた。

「そっすねもうそっくりっすよ! もう俺の趣味ど真ん中に打ち抜いてますから姐さんは!」

「ではなぜそれを剥がしている?」

「もう俺の彼女はシグナム姐さんしかいないですから! もういらないんすよ他の娘なんて!」

「そうか……」

 ぽっ、と頬を赤らめるシグナム。ポスターを丸めながらヴァイスは思う、こういうところは手放しに可愛いんだよなあ、と。
 ローテーブルに向かい合って座ったヴァイスは、おずおずと切り出した。

「ところで姐さん、何かご用で……?」

「ああ。早速で悪いが、セックスするぞ」

「……へ?」

 目を白黒してしまうヴァイスに、ごく真面目な顔でシグナムは頷く。

「シャマルに相談したのだ。そうしたら、ヴァイスは人気があるから一刻も早く既成事実を作ってしまうのが得策だ、といわれた」

「そんな焦らんでも……」

 そりゃあ早いところ手を出したい、とは思う。が、それだけの男と思われるのは嫌だ。
 ……というか多分、いや絶対、相談する相手を間違っている。かといって誰に恋の相談などしたものか。意外なところでザフィーラがまともなアドバイスをしそうか。

「不安なんだ」

 シグナムの目は真剣そのものだ。

「ティアナに盗られそうで」

「それだけは絶対にありません」

 即答してしまう。気があるわけではない、彼女には妹を重ねていただけである。声が似ているし……。

「その即答が逆に妖しいな」

 す、と目を細くしてヴァイスを睨むピンク髪の騎士。今にも傍らに置いたレヴァンティンに手が伸びそうだ。

「妖しくないですよ! 俺別に姐さんのこと疑ってませんから。姐さんはせいぜいが殴り飛ばすくらいで、ティアナの頭冷やすことまではしないって俺信じてますから」

「何を言っているのだ?」

「だから、俺は姐さんを信じているんです」

 見つめ合う二人。
 ヴァイスはティアナが紫電一閃を喰らうところを想像した。ティアナは自分のことを凡人などというが、そんなことはない、十分才能溢れる若者である。それでも六課の他の連中と比べたら圧倒的にただの少女である、シグナムの剣など喰らおうものなら……マジで死ぬ。9歳でシグナムたちヴォルケンリッターと対等に渡り合ったというフェイト・T・ハラオウンや高町なのはとは、やっぱり次元が違うのだ。

「俺は……」

 ヴァイスは生唾を呑み込み、言った。嫌な想像で声が掠れていた。

「俺はシグナム姐さんが大好きです」

 だからどうかティアナは助けてあげて下さい、と、これは言葉にはしないが。

85ヴァイスとシグナムin夜の決闘 5/12:2009/06/06(土) 19:56:12 ID:yIiRtzQI

「うむ、まあ、そう見つめるな……疑った私が悪かった」

 ぽそっと呟くシグナムの頬が赤い。
 とりあえずの危機は去った(ティアナの)。
 ほ、と息をつくヴァイスに、彼女は言った。

「ではヴァイス……。早速、お前のレヴァンティンを私の旅の鏡にぶち込んでもらおうか」

 お茶を飲んでいなくてよかったと思う。飲んでいたら吹き出していた。絶対。

「ね、姐さん? 何を言ってらっしゃるんで?」

「うん? こういえば男はその気になるとシャマルから聞いたのだが……」

(シャマル先生……!)

 ヴァイスは膝の上で握った拳をふるふると振るわせた。
 やっぱり相談する人を間違えてます、シグナム姐さん。

「何かおかしかったか?」

 何もかもおかしいですと答えそうになるのをぐっとこらえ、ヴァイスは微笑んだ。

「いえぇ、あまりにもインパクトがアルカンシェル級だったのでびっくりしただけです」

「そうか。私もなにかおかしいと思ったのだ。お前が持っているデバイスはストームレイダーであってレヴァンティンではないからな。私だってクラールヴィントなど持っていない。まったく、シャマルはいい加減だな」

 そういうことじゃあないんすけどね、とヴァイスは思うが口には出さなかった。

「えと……姐さん? じゃあシャワーでも浴びてきますか? 俺、さっき風呂あがったとこですので……」

 セックス自体は嫌ではない。彼女が求めてきたら答えるのが男の役割だ。ティアナに盗られそうで不安だなんて危険な心配、ヴァイスがそっくりぬぐい取ってやればいいのだ。ヴァイスにしかできないやり方で。

「いや、私もここに来る前に身を清めてきたところだ。準備はばっちりだ、来い」

 と籠手をはめた手で胸を叩く烈火の将。

「……あの、姐さん? さっきから何となく気にはなってたんですが……、なんで騎士甲冑着てるんすか?」

「うむ。セックスとは男女の戦いだと聞いた。戦いに挑むとなれば正装するのが相手への礼儀……なあレヴァンティン、お前の主はそれくらいの礼儀は弁えているよな?」

『Ja!』

「……しかしなんですね、相変わらずテンション高いっすねレヴァンティンは」

「まあな。烈火の将の片腕らしいだろ?」

 ニヤリと笑う剣の騎士シグナム。

「それはいいとして、姐さん?」

「なんだ」

「とりあえず、騎士甲冑は解除してくださいね」

「どうしてもか」

「当たり前です」

「だが、これからお前と戦うというのにそれでは……」

「か・い・じょ、お願いします」

「そ、そうか……」

 しゅん、とシグナムの顔から覇気が引っ込んだかと思うと、一瞬にして騎士甲冑が焦げ茶色の制服へと変わった。

「考えてみたらお前はバリアジャケットがないし……私だけ騎士甲冑というのも不公平だよな……」

 不公平も何も、ヘリパイロット兼狙撃手にバリアジャケットなど必要ない。そんなものを編む魔力があるのならターゲットを正確に射抜くことに廻す。
 とまあ、そんなことはいいとして。
 いつもの、職場の格好。奇しくも今、ヴァイスも職場の服を着ている。
 それにもかかわらず、今から使用としているのは、男女の営み。
 今さらながら、ヴァイスの心臓がドックンドックンと大きく鼓動を打ち鳴らしてきた。

「ね、姐さん」

 先ほどとは違う理由で声が掠れている。

「うん? なんだ」

「ベッド……、行きましょうか」

「ああ」

 それを目的に押しかけてきているからだろうか、彼女に迷いはない。この辺りの剛胆さはさすが烈火の将である。




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