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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆

845UNDERDOGS 第二十五話⑧:2009/05/23(土) 23:30:15 ID:AvRlB5jM
「動きが鈍いなぁ、ゼロ・セカンド」

「くっ……………」

転がるように着地したスバルは、起き上がりながら右拳を作って身構える。
残されたエネルギーが少ないのか、スバルは反撃してこなかった。
対するスカリエッティも、荒い呼吸を吐きながらカギ爪に魔力を込めていく。
本来ならばバインドや射撃魔法で牽制したいところではあるが、AMFによって無効化されてしまうため、
魔力を飛ばす攻撃は使用できないのだ。そして、互いに消耗も激しく、次の一手が最後の攻撃となるだろう。
その一撃を凌ぐことさえできれば、目の前の憎たらしい小娘の顔を粉々に打ち砕くことができる。

(これは試練だ。私自身が運命に打ち勝てという過去からの試練だ。君は私の生み出した技術によって造られながら、
私に牙を剥く存在。私自身が過去に犯した唯一の汚点であり失敗だ。それを修正した時こそ、
私は求めていた自由な世界を手に入れることができる。君を打ち負かした時こそ、我が悲願の成就の時だ!)

最初にわざと攻撃を食らった時のような真似はもうしない。
あの時は彼女が自らの感情を押し殺していることに興醒めして攻撃を許してしまったが、
今の自分にそのような油断や慢心は微塵も存在しない。
その忌々しい社会正義をへし折って敗北感を刻みつけるために、全身全霊を賭けて放たれた一撃を捌いてみせよう。
確固たる決意を胸に、スカリエッティはカギ爪を振り上げる。
その時、彼の背後で小さな爆発音が響いた。





自分が刻一刻と別のものへと変化していくのを、カルタスはヒシヒシと感じ取っていた。
体内に埋め込まれたマリアージュの核は傷ついた体を修復せんと活性化しており、
全身の至る所が変化に伴う激痛で苛まれている。既に呼吸や脈拍は停止しているのか、
水たまりに顔が半ば浸かっているのに息苦しいとは感じなかった。
それでもカルタスは起き上がろうとしたが、どの筋肉も言うことを聞いてくれず、
指先一つ動かすこともできない。
仇敵と愛した女の妹が熾烈な戦いを繰り広げている中で、何もできないでいる自分がとても悔しく、
カルタスは血の涙を流しながら歯嚙みした。
いつかは終わるとわかっていた。
元々、この体はマリアージュの核を埋め込まれた時点で既に力尽きていたのだ。
ただ、心が死んでいなかったから動くことができただけ。死すらも喰らう執念が、
燃え尽きかけた精神をギリギリのところで繋ぎ止めていたのである。
だが、それもここまでだ。限界まで酷使された肉体は綻び、人ではない何かに変化していっている。
程なくして、自分は繁殖するだけの低能な存在へと成り果てるであろう。
復讐を果たすことも、大切な人を守ることもできずに。

(嫌だ…………それは、それだけは…………地獄に堕ちようと、辱しめを受けようと、
それだけは…………心だけは、折れたくない)

尚も諦めずに四肢を動かそうとするが、痛みが邪魔をしてうまくいかない。
ラッド・カルタスでは目の前の戦場に飛び込むこともできない。
こうしている間にも、彼女は追い込まれていっているのに。

(俺だけじゃ…………ダメ………なら、お前らの力を……………ああ、良いさ。全部くれてやる。
この体も魂も、全部食わせてやる。だから、少しだけ俺の言うことを聞け。俺が俺でいられる時間を、ほんの少しで良い)

必死で戦うスバルにギンガの姿が被る。
カルタスにはわかった、彼女も共に戦っているのだと。
妹を守るために、その魂が力を貸しているのだと。
ならば、自分も何かしなくてはいけない。どんなに惨めでも、何もせずに息絶えることだけは避けねばならない。




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