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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆

841UNDERDOGS 第二十五話④:2009/05/23(土) 23:26:29 ID:AvRlB5jM
「グリフィス、コードを送るから彼女達にも伝えてくれ。『帰宅時間だ』と」

『了解しました。炉心臨界まで残り25分、ご武運を』





救いたい命があった。
守りたい魂があった。
やり直したい過去があった。
果たしたい復讐があった。
償いたい罪があった。
そして、貫きたい正義があった。
7年前、あの眩しい星空の下で大好きな人に抱かれながら、自分は強くなりたいと思った。
弱いままの自分でいたくない、炎の中から救い出してくれた人のように強くなりたいと、魔導師の道を志した。
やがて、憧れは尊敬へと代わり、自分だけの正義が胸の中に生まれた。
もちろん、辛いこともたくさんあった。自身の出生と能力、才能の有無、救えなかった命、過信から起きた過ちと挫折、
憎しみによる正義の喪失、大切な家族との死別。
その度に、あの星空を思い出して戦い続けた。それはまるで、飛べない鳥が大空を夢見て懸命に羽ばたいているようで、とても痛ましい姿であった。

(間違い…………だったのかな? あの人みたいに、強い思いを束ねれば、どんな理不尽にも負けないって。
今度こそ、この熱い思いを貫けるって…………あたしなりに、頑張ってみたのに…………)

義憤の拳は欲望の糸で絡め取られ、完膚無きまでに叩きのめされた。マッハキャリバーも半壊し、
全身の至る所でスパークが起きている。左目も機能を停止したのか、視界の半分が暗闇に包まれている。
言わば半死半生。今の自分は機能停止寸前の機械が奇跡的に稼働し続けているようなもので、いつ止まったとしてもおかしくはない。
そして、ここで抗うことを諦めたとしても、誰も咎めはしないであろう。
その死を嘆くか無謀と罵るかはわからないが、力及ばずに倒れたのだと誰もが認めてくれるはずだ。

(けれど…………)

それを是とせぬ思いが、胸の片隅でくすぶり続けていた。
辛くて苦しくて、涙が出るくらい痛いのに。叫び出したいくらい怖いのに。
魔力も体力も尽きて、リンカーコアが壊れそうなほど軋みを上げているのに、この機械仕掛けの体は倒れてはくれなかった。
それどころか、苦痛の奥から戦うための闘志が沸々と湧き上がってくる。
限界のはずなのに、まだ戦えるとこの魂は叫んでいる。

「ああ、そっか」

呟いたスバルが見たのは、倒れそうになる自分の体を支える死者の腕であった。
それも1人や2人ではない。今日までに散っていった無数の英霊達が、挫けそうになる心を必死で鼓舞してくれている。

『大丈夫よ、スバル。あなたは1人じゃない』

『そうよ、母さんの娘で、ギンガの妹なんだから』

『こんな老いぼれでも良ければ、いくらでも力を貸すぜ』

『信じてください、自分の力を。その思いを』

『忘れるな、あたしが鍛えたお前の力は守る力だ』

『届かぬのなら、届く距離まで駆けろ、スバル』

『ここで諦めたら、きっと後悔するよ。部隊長からの忠告や』

『生憎、こっちは定員だ。だからよ、もう少しだけ粘ってみろよ。俺の代わりに』

『約束がある限り、私達はいつまでも一緒です、スバル』

1人1人の言葉に込められた力は、決して大きくない。だが、無限に束ねられた言葉は太陽の光のように全身へ染み渡り、
疲れ果てた体に尽きぬ闘志が湧き上がる。




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